水産庁は水産資源の適切な保存及び水産物の安定供給の確保、水産業の発展並びに漁業者の福祉の増進をはかることを任務とする行政機関です。
具体的な所掌事務としては漁業の経営改善・金融税制、海洋生物資源の保存・管理、漁港※・漁場・海岸の整備・災害復旧などか挙げられます。
※一般的な港湾は国土交通省港湾局が所管します。
補正予算ではどのような取り組みが予定されているのでしょうか。
今回は農林水産省の外局である「水産庁」の令和2年度第3次補正予算について、概要を紹介致します。
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この記事の目次
水産庁の課題
日本の食料自給率は、国内の第一次産業(農林水産業)従事者が5割程度であった1965年時点では73%と高い水準にありましたが、その後の高度成長期には第1次産業から第2次産業(製造業)への主要産業のシフトなどもあり、1990年代後半にはついに40%(※現在は38%)まで減少しています。
今回のようなコロナ禍による輸入の規制や、東日本大震災(原発事故)のような突発的な農林水産関係の被害発生時にも安定的な食料供給を可能にするため、水産庁には漁業の担い手の確保、養殖技術の開発、漁場の調査・開拓など様々な取り組みが求められています。
水産庁 令和2年度第3次補正予算
1 コロナ禍や不漁問題の長期化の中での水産業の成長産業
化の加速化(「TPP等関連政策大綱」の着実な実施)
〇 水産業競争力強化緊急事業 288億円
① 漁業構造改革総合対策事業 63億円
- コロナ禍や不漁問題の長期化の中で、新たな魚種・漁業形態や養殖業への転換など、収益性の高い操業・生産体制への転換を図るため、高性能漁船の導入や、大規模沖合養殖の活用等によるマーケットイン型養殖の導入により、収益性向上の実証の取組を支援
- 養殖業の生産性向上に向け、養殖魚の品質保持・管理技術
の開発や、ICT等を活用した給餌管理等の実証を支援
② 水産業競争力強化のための漁船導入に対する対策 95億円
・広域浜プランに基づく中核的漁業者へのリース方式による
漁船の導入を支援
③ 水産業競争力強化のための機器等導入に対する支援 40億円
・広域浜プランに基づく生産性の向上、省力・省コスト化に資する漁業用機器等の導入を支援
④ 水産業競争力強化のための施設整備、漁港機能増進 55億円
- 広域浜プランに基づき、高鮮度化、産地市場再編等による競争力強化を図るための共同利用施設の新設・改築、既存施設の撤去を支援
- 漁港の機能増進を図るため、増養殖のための施設の改良、荷さばき所等への衛生管理設備の導入、安全・省力化のための施設整備等を支援
⑤ 水産業競争力強化のための金融支援 3億円
- 漁船や漁業用機器等の導入に係る金融面を支援
⑥ 漁協の経営・事業改善(浜の活性化実証)11億円
- 広域浜プランに基づき、収入向上・コスト削減の実証的取組(産地市場の活性化、養殖用生餌の安定供給等)を支援し、浜の活性化を主導すべき漁協の経営・事業改善の取組を促進する。
〇 水産物輸出拡大緊急対策事業
① 水産物輸出促進のための基盤整備<公共> 50億円
- 水産物の輸出の拡大を図るため、大規模な流通・生産の拠点での集出荷機能の強化や養殖水産物の生産機能の強化に必要な共同利用施設、養殖場等の一体的整備を支援
② 水産物輸出拡大連携推進事業 6億円
- 水産物の更なる輸出拡大を図るため、生産・加工・流通・販売等のバリューチェーン関係者が連携して国際マーケットに通用するモデル的な商流・物流の構築を支援
〇 漁業の担い手確保・育成 1億円
- 就職氷河期世代の新規就業と定着を促進するため、リカレント教育(学び直し)の受講を支援するほか、就業相談会の開催や漁業現場での長期研修等を支援
2 ポストコロナに向けた新たな資源管理の着実な実行と漁
業経営の安定
〇 水産資源調査・評価緊急推進事業 2億円
- 近年のスルメイカ・サンマ・サケ等の記録的な不漁の要因の解明に必要な追加的調査を緊急に実施
〇 漁獲情報等デジタル化推進 20億円
- 資源評価・管理の前提となる漁獲情報の電子的な収集体制を強化するとともに、水産流通適正化制度の円滑な実施に向けた必要な電子システムの開発等を支援
〇 漁業収入安定対策事業 425億円
- 記録的な不漁や新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う水産物の需要減などに見舞われる中で、計画的に資源管理に取り組む漁業者や持続的な養殖業に取り組む養殖業者に対する収入安定対策(積立ぷらす等)の実施に万全を期するため、基金の積増しを行う。
〇 特定水産物供給平準化事業 5億円
- 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う水産物の在庫の滞留を踏まえ、滞留する魚種の保管料、運搬料等を支援
〇 水産業労働力確保緊急支援事業 6億円
- 新型コロナウイルス感染症の影響による人手不足を解消するため、漁業や水産加工業における代替人材の雇用や遠洋漁船において現在雇用されている外国人船員の継続雇用等を支援
3 外国漁船対策等
〇 韓国・中国等外国漁船操業対策事業 40億円
- 韓国・中国等の外国漁船に対応するため、我が国水域において、漁業者が行う外国漁船が投棄した漁具等の回収・処分や外国漁船の操業状況の調査・監視等を支援
〇 沖縄漁業基金事業 30億円
- 日台漁業取決め水域等において、沖縄の漁業者が行う外国漁船が投棄した漁具等の回収・処分や外国漁船の操業状況の調査・監視等を支援
4 防災・減災、国土強靭化、災害からの復旧・復興
〇 激甚化する台風等に備えた漁港施設等の強靱化<公共> 230億円
- 切迫する地震・津波等の自然災害や激甚化・頻発化する台風・低気圧災害による被害を未然に防止するため、漁業地域において岸壁の耐震化対策、防波堤の耐浪化対策等を支援
〇 海岸堤防等の対策<公共> 6億円
- 南海トラフ地震等の大規模地震が想定される地域での堤防の嵩上げ、補強等による津波・高潮対策や、老朽化が進行した海岸保全施設の改修等を支援
〇 漁港関係等災害復旧事業<公共> 47億円
- 被災した漁港や海岸等の速やかな復旧を支援
5 輸出先国の規制やニーズに対応した加工施設等の整備
- 加工食品等の輸出拡大を図るため、加工施設等の整備目標に即し、食品製造事業者等によるHACCP等に対応した施設改修・機器整備を支援【食料産業局計上90億円の内数】
- 農畜水産物の輸出拡大に必要な集出荷貯蔵施設、コールドチェーン対応型の卸売市場等の整備を支援【生産局計上80億円の内数】
6 経営継続補助金【経営局計上 571億円の内数】
- 農林漁業者の経営継続を確保するため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策とともに行う販路回復・開拓や事業継続・転換の取組で既募集に係る分を支援
7 国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業【大臣官房計上 250億円の内数】
- 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う需要の減少の影響を受けている農林漁業者、加工業者等の販売促進、販路の多様化等の取組を支援
まとめ
今回は水産庁から発表された令和2年度第3次補正予算の概要について紹介しました。
事業者向けの補助金制度なども複数実施される予定ですので、各事業の詳細が気になる方は水産庁のHPなども是非ご覧ください。
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