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水産庁 令和3年度概算要求について

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今回は令和3年度の水産庁の概算要求について紹介します。

農林水産省の外局である水産庁は、国内における水産資源の確保や水産物の安定供給、漁港整備など漁業に関係する事項全般を管轄し、海上保安庁との連携により近年悪質化している外国漁船の取り締まりなどにも取り組んでいます。

2021年度の概算要求は2802億円(2020年予算は3003億円)で、資源評価に関する取組み(下記:新たな資源管理システムの着実な実施)で大きな予算増加がみられるのが特徴です。

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この記事の目次

令和3年度水産関係概算要求

1.新たな資源管理システムの着実な実施

世界の水産資源全体の中で生物学的に持続可能なレベルにある資源の割合はおよそ70%前後で、残りのおよそ30%の海洋資源については過剰利用又は既に枯渇し、もはや絶滅も危惧される状況となっています。

水産庁では資源評価の対象魚種の拡大とともに、TAC(漁獲可能量)の設定による漁獲量規制の拡充、資源管理を行う漁業者への支援などを進め、水産資源管理の更なる基盤強化に取り組みます。

① 資源調査・評価の充実と新たな数量管理の導入等の推進 【152億円(71億円)】

・ 資源評価の対象魚種を令和5年度までに 200 種程度まで拡大するとともに、資源評価の精度向上を推進するため、漁業者の協力を得ながら行う調査船調査、市場調査、海洋観測等を拡充して実施し、水産資源研究センターと都道府県水産研究機関の連携による評価体制を確立
・ 水産庁漁業調査船「開洋丸」について、最新の調査機器等を導入した代船を建造・ 産地市場・漁協から水揚げデータを効率的に収集し、適切な資源評価・管理を促進する体制等を構築(令和3年度に 200市場を目途に体制を整備)
・ TAC・IQの導入に向けて、TAC管理の前提となる混獲回避等に係る技術開発や数量管理に向けた漁業者の取組を支援するとともに、資源管理計画から資源管理協定への計画的移行を推進
・ TAC・IQの導入に伴い更なる操業制限を行う漁業者等による資源・漁場保全の取組を支援

② 漁業経営安定対策の強化 【701億円(254億円)】

・ 資源管理を行う漁業者が安心して経営を継続できるよう、漁業収入安定対策(積立ぷらす)に係る基金を積み増すとともに、経営改善の取組を行う認定漁業者等に対する金融支援及び燃油や配合飼料の価格上昇に対するコスト対策を実施
※ 積立ぷらすについては、基金の執行状況に応じて、今年度中に不足があれば予備費による積み増しを行う

2 成長産業化に向けた重点的な支援

かつては漁獲量世界一誇った日本ですが、海洋環境の変化によって1980年代頃から漁獲量が減少し、現在は世界第8位の漁獲量(ピーク時の1/3程度)となっています。

少子高齢化や業界の衰退によって担い手不足が問題となるなか、水産庁では国内水産業を再び日本の成長産業とするため下記のような施策に取り組みます。

① 漁業・漁村を支える人材の育成・確保 【15億円(7億円)】

・ 漁業・漁村を支える人材の確保・育成を強化するため、漁業への就業前の若者への資金の交付、漁業現場での長期研修を通じた就業・定着促進、地域の中核となる漁業者の経営能力の向上等を支援

② 沿岸漁業の競争力強化 【100億円(120億円)】

・ 漁業所得の向上を目指す漁業者等による共同利用施設等の整備、密漁防止対策、浜と企業の連携の推進など浜プランの着実な実施を推進
・ 浜の構造改革に必要な漁船・漁具等のリース方式による導入を支援

③ 沖合・遠洋漁業の競争力強化 【85億円(30億円)】

・ 高性能漁船の導入等による収益性向上や、居住性・安全性・作業性の高い漁船の計画的・効果的な導入手法等の実証の取組を推進

④ 養殖業の成長産業化 【3億円+関連事業費85億の内数】

・ 養殖業成長産業化総合戦略を踏まえ、養殖生産の3要素である餌、種苗、漁場に関するボトルネックの克服等に向けた技術開発・調査を支援
・ 大規模な沖合養殖システムを活用したマーケットイン型養殖の導入や、新技術を用いた協業化の促進等による収益性向上の実証等の取組を支援

⑤ 内水面及びさけ・ます等栽培資源総合対策 【16億円(13億円)】

・ 内水面漁業の持続的な管理の在り方の検討、ウナギ等の内水面資源の回復と適切な管理体制の構築等を支援
・ サケの回帰率の向上に必要な放流体制への転換、資源造成・回復効果の高い種苗生産・放流等の手法、対象種の重点化等を支援

3 競争力のある加工・流通構造の確立

国内では肉食文化の浸透によって水産物の消費量は減少傾向にありますが、世界では和食文化の流行等を背景に年々水産物の消費量が増加しています。

先端技術を活用したバリューチェーンの構築、輸出力の強化等により内外の需要獲得を図ります。

① 水産バリューチェーンの生産性向上 【18億円(7億円)】

・ 生産・加工・流通・販売が連携し一体となってマーケットニーズに応えるバリューチェーンを構築するための先端技術の活用等を支援
・ 水産加工業者等への原材料の安定供給等のための調整保管を支援
・ 家庭食需要の増大等に対応するためのデリバリーやネット販売を利用した鮮魚店や流通業者等が共同して魚食を提供する仕組み作り等を支援

② 水産物の輸出力の強化 【関連事業費272億円の内数】

・ 水産加工施設等の整備への支援を充実させる。
・ 水産物等の輸出拡大に向けた食品製造事業者のHACCP(危害要因分析重要管理点)対応のための施設整備や輸出向けの施設のHACCP認定取得のための取組、生産海域等モニタリング、海外の販路開拓の強化を進めるための取組を支援
・ 持続可能な漁業・養殖業の認証等を進めるため、日本発の水産エコラベルの普及促進等を支援

4 水産基盤の整備、漁港機能の再編・集約化と強靭化の推進

地域水産業の基盤整備、老朽化する漁港施設等の長寿命化などに取り組みます。

① 水産基盤整備事業<公共> 【868億円(711億円)】

・ 産地市場の統合や養殖適地の確保等の水産改革と連動した水産基盤の整備のほか、衛生管理対策、水産資源の回復対策、漁業地域の地震・津波・台風対策、漁港施設の長寿命化対策を推進

② 漁港の機能増進・漁村の交流促進 【20億円+関連事業費70億円の内数】

・ 就労環境の改善、漁港利用者の安全性の向上、増養殖施設といった漁港施設の有効活用等に資する施設の整備等を支援するほか、漁村の交流人口の増大を見据えた対策を推進

③ 農山漁村地域整備交付金<公共> 【1131億円の内数】

・ 地方の裁量によって実施する農林水産業の基盤整備や農山漁村の防災・減災対策に必要な交付金を交付

5 漁業取締体制の増強、国境監視機能等の多面的機能の発揮、捕鯨対策

近年は日本の排他的経済水域における中国船の違法操業が蔓延しており、水産庁の漁業取締船が中国漁船に対して発した退去警告は2018年が114件であったのに対し、2019年は1115件、2020年には9月末までの集計で2587件にまで達しています。

2019年には水産庁の取締船と北朝鮮の漁船が衝突し、漁船が沈没する事件も発生していることから、取り締まり体制の更なる強化に向け、新たな大型官船の建造、配備等を進めます。

① 外国漁船対策等 【231億円(180億円)】

・ 我が国周辺海域での水産資源の管理徹底と国際ルールに基づく操業秩序の維持のため、外国漁船の違法操業等に対する漁業取締体制等を強化231億円(180億円)

② 水産多面的機能の発揮等 【57億円(48億円)】

・ 漁業者等が行う藻場・干潟の保全や国境監視、災害対応、資源管理等に資する取組や、離島の漁業者が共同で取り組む漁場の生産力向上のための取組、有害生物・赤潮等による漁業被害防止対策等を支援57億円(48億円)

③ 捕鯨対策 【51億円(51億円)】

・ 商業捕鯨の円滑な実施の確保のための実証事業、非致死的科学調査による科学的データの収集、持続的利用を支援する国との連携、非致死的科学調査の結果や鯨食普及に係る情報発信等を支援

6 東日本大震災からの復興まちづくり、産業・生業(なりわい)の再生

原発事故による風評被害などで途絶えた販路の回復や、海外を含む販路拡大、需要の喚起など、福島県の水産業の再生を総合的に支援します。

① 福島県農林水産業再生総合事業 【47億円(47億円)】

・ 福島県の農林水産業の再生に向けて、GAP認証の取得、海外を含む農林水産物の販路拡大と需要の喚起、高付加価値化によるブランド力の向上など、生産から流通・販売に至るまで、風評の払拭を総合的に支援

② 復興水産加工業等販路回復促進事業 【11億円(12億円)】

・ 被災地の水産加工業の販路回復に必要な個別指導、セミナー等の開催、被災県産水産加工品の安全性や魅力の発信、販路回復等に必要な加工機器の整備等を支援
※ 防災・減災、国土強靱化緊急対策に係る経費や「総合的なTPP等関連政策大綱」を踏まえた農林水産分野における経費については、予算編成過程で検討

まとめ

今回は令和3年度の水産庁概算要求について紹介しました。

日常生活であまり実感することがない「水産業の衰退」や「水産資源の危機」ですが、水産庁はこれらの問題解決に取り組み、漁業者への支援等を通し日本の水産業を再び成長産業へと発展させるため様々な活動を行っています。

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