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サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金~申請方法・特徴について徹底解説

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新型コロナウイルス感染症により、これまでのサプライチェーンが分断されることも多くなりました。

そこで、国内の生産拠点などの整備を進めることで、強靭な経済構造を作ることなどを目的とした補助金が、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」です。

コロナ禍の中で、サプライチェーンの強靭化を課題としている企業に導入を検討していただきたい補助金の第3次公募について、その概要・申請方法などについて、詳しく解説していきます。

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この記事の目次

顕在化したサプライチェーンの脆弱性

サプライチェーンとは、製品を製造するための原材料・部品を調達するところから、販売・出荷に至るまでの一連の流れを指す経営用語です。どの企業でも企業間取引だけでなく、部署間のやり取りも最適化することで、供給の最適化を図ってきました。

コロナ以前は世界全体で分業体制(グローバル・バリューチェーン)が構築されており、日本も例外にもれず世界規模でのサプライチェーン構築が一般的でした。

以前より、中国とアメリカの通商上などで対立することによる、サプライチェーンの分断リスクが懸念されてきました。これに加え、新型コロナウイルスが世界的に流行したことで、日本にも下記のような影響が拡大しているのが現状です。

●自動車部品・電子部品の供給途絶(中国→日本、東南アジア→日本)
●医療関連物資の供給途絶(EU→世界全体)

その他にも、都市封鎖(ロックダウン)による陸上輸送の遅延とそれに伴うコンテナ船の減便、旅客機が減便したことによる航空輸送の減少へとつながっています。

サプライチェーンの分断によって生じるリスクを低減することなどの対策は、日本企業における喫緊の課題のひとつです。

参考:サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金

サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金とは

「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」について、その特徴と目的について説明します。

【補助金の特徴】
「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」は、下記を対象とした生産拠点整備事業について支援する補助金です。

●生産拠点の海外集中度が国内全体で50%以上ある、もしくは生産拠点の集中度が高くサプライチェーン途絶によるリスクが大きい製品・部素材などの生産拠点整備
●感染症の拡大などにより需給がひっ迫しやすい製品のうち、医療提供体制の確保など国民が健康な生活を送る上で重要な物資の国内生産拠点整備

その特徴は、大きく2点あります。

●大企業も活用できる補助金制度
●補助上限額最大100億円

生産拠点となる工場の土地・建物、設備機械を補助対象としている分、補助金額も大きくなっています。その分、採択までの競争も厳しくなりやすいといえるでしょう。

【補助金の目的】
サプライチェーンの分断リスクの大きい製品・部素材および感染症への対応など国民が健康な生活を送るために重要な物資の国内における生産拠点などの整備を行うことで、下記3点を達成することが本補助金の目的です。

●サプライチェーンが途絶するリスクの低減
●日本国内にある製造業などが滞りなく稼働できること
●強靭な経済構造を構築すること

補助対象施設・設備

補助対象施設は下記が対象です。

●日本標準産業分類にある、製造業にて使用される工場
補助対象設備とは、下記に該当するものをいいます。

●補助対象施設となる工場で使われる設備機械装置
※設備機械装置の取得・購入を伴わない申請は、申請対象外となります。

補助対象事業

補助対象事業は3つに分かれ、それぞれに対象要件が定められています。ここでは、それぞれの補助対象事業と補助対象要件について説明します。

補助対象事業A

補助対象事業Aでは、生産拠点の集中度が高く、サプライチェーン分断によるリスクが大きい、重要な部品・部素材の供給途絶リスク解消を目的とした、生産拠点整備事業についてかかる経費を補助します。

【補助対象要件】
下記3つの条件をすべて満たしていることが求められます。

1.補助事業により生産する製品・部素材における生産拠点の海外集中度が、国内全体で50%以上であること
2.生産拠点の集中度が高く、サプライチェーン分断によるリスクが大きい重要な製品・部素材であること
例)電子回路基板・車載通信機器・洋上風力発電関連・航空機関連など
※対象となる製品・部素材の詳細は、公募要領を参照してください。
3.補助対象となる設備機械装置の性能(仕様・スペック)が、先端的であること

補助対象事業B

補助対象事業Bでは、感染症の拡大などに伴い、需給がひっ迫する恐れのある製品で、かつ感染症への対応や医療提供体制の確保など、国民が健康な生活を送る上で重要な物資に関する生産拠点などの整備事業を補助します。

【補助対象要件】
以下に掲げる製品・部素材を生産する工場・保管する物流施設が対象です。

●抗原検査キット
●検査用スワブ
●PCR検査試薬
●PCR検査機器
●給湯器関連物資(ワイヤーハーネス、コネクタおよびその生産に必要な部素材)

中小企業特例事業

中小企業特例事業では、生産拠点の集中度が高く、サプライチェーン断絶のリスクが大きい重要な製品・部素材の生産などに必要となる部品などを安定的に供給するために、中小企業等が行う生産拠点整備に関する事業にかかる経費を補助します。

【補助対象要件】
下記1~5のいずれも満たすことが条件です。

1.中小企業であること
2.補助対象事業Aの要件1および2を満たす製品・部素材のサプライチェーンについて、当該対象製品の生産などを行う事業者と、直接または間接的に取引関係のある事業者であること
3.当該事業者が、対象製品の生産などを行う事業者にとって代替の効かない(必要不可欠な)部品などの生産を行っていること
※市場から入手可能な汎用品は、補助対象外となります。
4.対象製品の生産などを行う事業者にとって、当該事業者から部品などの供給が滞った際、対象製品の生産計画に支障をきたすおそれがあること
5.部品などの生産能力を拡大する目的の投資であること

補助上限額

補助対象事業ごとの補助金限度額(上限)は、下記のとおりです。

●補助対象事業A・補助対象事業B:100億円
●中小企業特例事業:5億円

対象経費の区分

対象経費の区分は、下記のようになります。

1.建物取得費
2.設備費
3.システム購入費(補助事業の実施に必要なソフトウェアの購入費用)

1、2では、下記の2つが補助対象となります。
・地方税法第341条に規定する固定資産のうち、当該事業に使用するものの取得価格などの合計(消費税・地方消費税は除く)
・実施した附帯工事費用など
※老朽化した設備の入れ替えなど生産能力向上を目的としない投資(更新投資)については、補助対象外です。

補助率

補助対象事業ごとの補助率は、下記表を参照してください。

【共同申請】
事業者単独での申請が原則ですが、申請事業者単独では事業が成立しない場合には、複数事業者での共同申請が認められています。

共同申請における補助率は、下記のように適用されます。
●大企業と大企業の共同申請:大企業
●中小企業等と大企業の共同申請:大企業
●中小企業等と大企業のリース会社との共同申請:中小企業等
●中小企業等と中小企業等の共同申請:中小企業等

事業期間

3次公募申請分における事業期間は、原則として下記のとおりです。

交付決定後から令和6年度末(令和7年3月31日)までの3年間

ただし、大規模な投資案件で、上記期間までに事業が完了できないことが明らかな場合は、事業期間(事業完了期限)を令和7年度末(令和8年3月31日)までの4年間とした申請を認める場合もあります。

応募申請について

ここからは、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」応募申請の詳細について説明します。

申請資格・対象

下記のすべてを満たした事業者・計画が、申請資格者・対象となります。

【事業者の範囲】
申請事業者の範囲として、公募要領に掲示した要件をすべて満たしていることが求められます。ここでは、その一部を記します。

●日本国内において登記された法人であり、国内に事業実施場所があること
●補助対象事業を円滑に遂行するために十分な経営基盤・資金の管理能力があること
●単独または複数社の大企業・中小企業などであること 他

事業者の範囲に関する詳細は、公募要領を参照してください。
※この他に、不支給要件に該当しないことも申請要件に含まれています。ここでは、その一部を紹介します。

【不支給要件】
●暴力団員など反社会的勢力に属する者が、実質的に経営に関与している事業所
●業務に関して、不正競争防止法に掲げる行為を行った場合
●役員などが談合の容疑によって逮捕、もしくは逮捕を経ずに公訴を提起された場合 他

公募期間(3次公募)
令和4年3月1日~令和4年5月6日正午まで

申請方法

申請は、「jGrants」を通して行います。手順を流れに沿って順番に解説します。

1.補助金を探す
「補助金を探す」より「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」と入力すると出てきます。

2.GビズIDの取得・ログイン
「jGrants」での補助金申請には、「GビズID」の取得が必要です。取得までは、申請から2~3週間ほどかかります。申請したい補助金を見つけたら、早めに申請してください。

3.公募の内容を入力して申請
「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の公募要領関係書類一式および、応募様式一式は下記よりダウンロードできます。

▼サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金
https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W2x000005jiFlEAI

補助対象事業A、補助対象事業B、中小企業特例事業それぞれの応募様式がエクセルファイルになっているので、これに従って必要事項を記入して申請してください。郵送・持参・FAX・電子メールでの提出は受け付けていません。また、提出書類や資料の不備がある場合は審査対象外となるので、申請前にチェックして提出してください。

【事前着手の承認について】
事業の着手は、原則として交付決定後です。ただし、補助事業の必要性・緊急性が認められた場合は、事前着手許可日から交付決定日までに発注・購入・契約などを行った、事業に必要な経費も補助対象となります。事前着手の承認を希望する場合は、応募書類と一緒に「事前着手承認申請書」を提出してください。

【申請における注意点】
申請は1事業者に付き、1案件のみとなります(リース会社は除く)。一度申請を行った事業者については、別事業で共同申請者になることは認められません。また、親子関係にある会社から提出された同一内容と認められる申請については、審査の対象外です。

【必要書類】
「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」にある3区分のうち、ここでは補助対象事業Aの必要書類を書いていきます。
必要書類は、下記表のとおりです。

補助対象事業Bおよび中小企業特例事業の必要書類については、公募要領を参照してください。

【注意点】
・補助対象の経費を算定する際は、事前に消費税および地方消費税をあらかじめ控除した状態で算定するようにしてください。
・記入箇所漏れや必要書類の不備があると、審査対象外となります。
・必要書類が多いため、その分記入漏れは多くなりやすいので、補助金申請に実績のあるプロに相談することをおすすめします。

4.第三者委員会による審査
審査は、経済産業省が推薦する学識経験者などで構成される、第三者委員会が行います。審査項目は、下記の2つにわかれます。

●必須項目(基本的事項の審査)
●加点項目(事業内容などに関する審査)

ここでは、補助対象事業Aの必須項目と加点項目の審査基準について見ていきましょう。

【必須項目】
・補助事業の目的に合致しているかどうか
・補助要件に掲げた要件を満たしているかどうか
・補助事業を円滑に遂行するための体制があるかどうか 他

【加点項目】
・サプライチェーンが途絶した場合の経済的影響(損失)の大きさが認められるかどうか
・補助事業による増産効果が補助金交付申請額と比較して大きいかどうか
・大企業は3%以上、中小企業等は1.5%以上の賃上げに取り組む予定があるかどうか 他

補助対象事業B・中小企業特例事業の審査基準については、公募要領・概要書を参照してください。

5.採択決定後、交付申請を行う
審査結果は、令和4年6月中旬~下旬以降に「jGrants」にて通知される予定です。審査の結果、採択が決定した場合は令和4年度末(令和5年3月31日)までに交付申請を行ってください。

交付申請後に応募書類と交付申請書をもとに交付決定額が通知されます。補助対象となる経費は、交付決定日以降に発注などが行われた補助事業に関するものとなります。原則として、交付決定日以前に発生した経費は対象外です。

6.交付決定後、事業開始
交付決定後に、補助事業に関する建物・設備などの発注、購入、契約などが可能です。なお、請負その他契約は、相見積もりなどの一般競争で選定することが原則となります。ただし、運営上一般競争が困難もしくは不適当な場合は、指名競争または随意契約にすることも可能です。

7.事業開始~事業終了後に実績報告書の提出
交付決定後は、補助事業に関する建物・設備などの発注などについて速やかに着手し、令和6年度末までに事業完了していることが求められます。
※事業完了とは、建物・設備の取得が完了して、経費がすべて支払われた状態を指します。

補助事業完了後は、完了日から起算して30日を経過した日までに補助事業実勢期報告書の提出が求められます。

8.確定検査後、補助金額を精算払い
実績報告書が提出されると、実績報告書をもとに審査が行われます。審査後に交付金額が決定され、確定額を精算後に支払いという流れです。なお、確定額は交付決定額より少なくなる場合もあるので注意してください。

補助事業者の主な義務

補助対象事業者は、下記の義務を負います。

・補助事業によって取得した財産または効用の増加した財産について、注意をもって管理して、補助金交付の目的に従って効果的運用を図ること
・「取得財産等管理台帳」を備え、別に定められた財産処分制限期間中は、的確に管理すること
・補助事業が完了した日の属する、補助事業者の会計年度終了後5年間は、会計年度終了後ごと90日以内に補助事業に関する事業継続状況などについて報告すること など

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」は、国内生産拠点の整備に伴う土地・建物、生産に使う設備機械まで補助対象にしているため、補助上限額も100億円と大規模な補助金です。

その分、申請内容・補助対象経費の算定にもしっかりとした根拠が求められ、申請も難しく、また審査も厳しくなりやすいでしょう。申請する際は、補助金の申請に実績のある専門家に相談してみてください。

参考:サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金

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