以前から、一部の企業で「働き方改革」に向けた取組として導入が進められていたテレワークですが、今年発生した新型コロナの流行によって「業務の非接触化による感染症対策」という新たな視点で注目を集めることになり、様々な産業分野で急激に普及が拡大することとなりました。
恒久的な在宅勤務の実現については多くの企業が難しさを感じているとの声もありますが、緊急時のBCP、社員のライフワークバランスの向上、社内のITリテラシーの醸成など、様々な観点で今後の企業経営におけるテレワーク導入の必要性は認識されており、業務、部署単位でのリモートワーク(テレワーク等)導入や、リモートワークと出社勤務を組み合わせたハイブリット勤務体制の実施など、ウィズコロナ時代に向けた組織体制のアップデートが現在も活発に行われています。
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この記事の目次
厚労省のテレワーク向け助成金は応募過多で早期終了
補助金・助成金の分野においてもテレワーク関連の制度の需要の拡大は顕著で、厚労省が働き方改革推進のために実施している「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」については、8月上旬で既に予算に達し本年度分の受付が終了、コロナ対策として創設された「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」についても残念ながら9月に受付が終了し、追加の公募についてのアナウンスは現在も行われていません。
テレワークコース
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html
新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html
テレワーク導入に向けたその他の支援策は?
上記の通り、厚労省のテレワーク関連助成金については既に本年度分が終了となりましたが、経産省が実施している「IT導入補助金(C類型)」などは現在も公募が行われており、テレワークの導入に活用できる補助金制度には現在も複数の候補が残されています。
また、企業が将来的にテレワークの導入を検討している場合にはテレワークに関するコンサルティングが無料で受けられる総務省の「テレワークマネージャー相談事業」という制度もあるため、IT導入を検討しているもののどのように取り組めばよいかわからないという事業者の方は、来年度に向けて今後のIT導入計画についての相談などを行うのもおすすめです。
経産省「IT導入補助金(C類型)」とは?
IT導入補助金はITツールの導入によって生産性向上に取り組む企業の支援を目的とした補助金制度です。
その中の一つの区分である「C類型」は、新型コロナウイルスが事業環境に与えた影響への対策および拡大防止に向けた具体的な対策(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備)に取り組む事業者のIT導入支援を優先的に支援するために創設された新たな申請区分です。
現在8次公募が実施されているところですが、受付期限は11月2日までと残り日数も少なくなっていますので、申請を検討している場合には速やかに導入計画作成などの準備に取り掛かる必要があります。
対象となる事業者
中小企業(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)
【主な要件】
・日本国内で事業を行っている個人・法人であること
・申請事業者が営む事業場内の最低賃金が法定基準を上回っていること
・電子申請なID「gBizIDプライム」を取得していること
・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定めたSECURITY ACTION(一つ星)の要件である「情報セキュリティ対策5か条」に関して取り組むことに同意すること。
gBizIDの詳細についてはこちら
https://gbiz-id.go.jp/top/
SECURITY ACTIONの詳細についてはこちら
https://www.ipa.go.jp/security/security-action/it-hojo.html
補助対象となる事業
申請事業主とIT支援事業者が共同で作成する、労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の、数値目標の達成が見込めるITツールの導入計画が補助対象となります。
またC類型はその取り組みが「サプライチェーンの毀損への対応」「非対円型ビジネスモデルへの転換」「テレワーク環境の整備」のいずれかに該当する事が申請要件となっており、導入するITツールについても一定の要件が設けられています。
対象製品について
IT導入補助金の対象として登録された下記の6種類の機能(業務プロセス)のいずれかを持つITツールが対象となります。
※経費についてはソフトウェア費、導入関連費、ハードウェアレンタル費が対象です
①顧客対応・販売支援
②決済・債権債務・資金回収管理
③調達・供給・在庫・物流
④業務固有プロセス
⑤会計・財務・資産・経営
⑥総務・人事・給与・労務・教育訓練・テレワーク基盤
ITツール検索 ※IT導入補助金HP
https://portal.it-hojo.jp/r1/search/?_ga=2.228699292.1245648546.1603332424-1328276114.1593139744
【C類型申請時の導入するITツールについての要件】
申請するITツールには以下「甲・乙・丙」のいずれかの目的のITツールが一つ以上含まれ、当該ツールの導入にかかる経費が補助対象経費全体の1/6以上である事が必要です。
甲:サプライチェーンの毀損への対応
※顧客への製品供給の継続
乙:非対面型ビジネスモデルへの転換
※非対面・遠隔でのサービス提供が可能なビジネスモデルへの転換
丙:テレワーク環境の整備
※従業員がテレワーク(在宅勤務等)で業務を行う環境の整備
テレワーク環境の整備に活用できるITツールは?
下記では今回のテーマであるテレワーク環境の整備で対象となっているITツール(丙ツール)にどのようなものがあるかについて、一部を紹介いたします。
※C類型では導入する全てのITツールがテレワーク対応(丙ツール)である必要はないため、その他のITツールも同時に導入する事が可能です。
クラウド型労務管理システム
⇒基幹業務をクラウド型のITツールで行うことによって、管理部門のテレワーク対応が可能になります。
クラウド型販売管理システム
⇒小売業などでは、日々変動する仕入れ価格、需要を集計分析できるクラウド型販売管理システムなどの導入も効果的な取り組みです。
WEB会議システム
⇒社内会議や顧客との打ち合わせなどもWEB会議システムを活用することで就業環境を選ばずどこからでも対応が可能になります。
情報共有ツール
⇒クラウド型のナレッジツールはテレワーカーとの情報共有には必須のITツールと言えます。
その他各種クラウド対応のITツール
そのほか各社が販売する様々なクラウド対応のソフトウェアが対象製品に登録されています。
マイクロソフトのオフィスや、人気のZOOMなども年間ライセンスがITツールとして登録されていますので、業種にかかわらず全ての事業主の方に活用の機会があるのではないでしょうか。
補助率
3/4
※甲ツールのみの導入の場合は2/3
支給額
30万円~450万円
テレワークマネージャー相談事業について
企業や地方自治体等を対象に、テレワークの導入に関する情報提供や相談などの支援を無料で行う総務省の支援事業です。
以前はテレワークマネージャー派遣事業という名称でしたが、コロナ禍によりWEB会議や電話相談での対応が主となったため、本年度から相談事業という名称に変更されています。
原則として毎年通年で実施されていますので、来年度も実施される可能性が高い厚労省のテレワーク関連助成金の活用を検討している場合などは事前に利用してみるのはいかがでしょうか。
総務省令和2年度テレワークマネージャー相談事業
https://teleworkmanager.go.jp/
支援内容
・テレワークによる効果の説明
・テレワークに適したITツールについての情報提供
・情報セキュリティ対策についての相談※本年度限り
・労務管理等についての相談
・そのほか導入に向けての情報提供、相談などの支援
対象者
・民間企業
・都道府県・市町村等の地方公共団体及びそれに準ずる団体等
支援の方法
WEB会議・電話または派遣訪問で無料の相談対応などを行います。
・1回1~2時間、3回前後実施が目安
まとめ
今回はテレワークの導入を検討している事業者の方が、計画作成段階から支援を受けられる2つの制度「IT導入補助金」「テレワークマネージャー相談事業」について紹介しました。
各省庁が公表した来年度の概算要求案の中でも「新型コロナウイルス感染症への対応」は令和3年度の最重要の課題としてとらえられており、今後も感染防止対策として有効なテレワークの普及には多くの予算が投入されることが予想されます。
ITツールは日々進歩していますので、これから導入を検討している場合にはまずは最新のITツールや活用方法について「IT支援事業者」でもある補助金ポータルまで是非ご相談ください。
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