近年では、温室効果ガスの抑制や燃料コスト削減への取り組みとして、電動自動車の導入が日本国内でも普及しつつあります。電動化への試みが重要視される中、次に活躍が期待されているのが電動バイクです。
そんな中東京都では、個人・法人等の電動バイク購入費用を支援する「電動バイクの普及促進事業」を実施しています。この記事では、本事業の概要や電動バイクのメリット・活用事例について詳しく解説します。また、よりリーズナブルに電動バイクを購入できるケースも紹介するので、個人で導入を検討している対象者もぜひチェックしてください。
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この記事の目次
電動バイクの魅力とは
環境に優しい
ガソリン車が走行する際には、地球環境へ影響を及ぼす温室効果ガスや有害物質を排出します。その点、電動バイクは排気ガスを出さないため、環境に優しいのが特徴です。
自動車の例を見ると、日本でガソリン車の代わりに電気自動車を取り入れた場合、CO2排出量を約半分まで削減できるとされています。
出典:国立研究開発法人 国立環境研究所
燃料コストが安く済む
電動バイクは、ガソリンバイクよりも燃料コストを抑えられます。ここでは、YAMAHAのスクーター「Vino」を例に比較してみましょう。
◆Vino(ガソリン車)
ガソリン1Lでの航続距離は約80kmです。ガソリン1Lの価格を150円とした場合、1km走行する際にかかるコストは「約1.87円」となります。
◆E-Vino(電動スクーター)
充電1回あたりの電気代は約15円で、フル充電での航続距離は約32kmです。よって、1km走行する際にかかるコストは「約0.46円」となります。
「Vino」の例を見ると、電動はガソリンに比べ4分の1程度のコストで稼働できることが分かります。
給油の手間がない
多くの電動バイクは、バッテリーを取り外して家庭用コンセントで充電できます。そのため、ガソリンスタンドへ給油に行く必要がありません。電動バイクで帰宅しそのまま充電しておけば、翌日にはフル充電の状態で使えます。なお、EV(電気自動車)市場が今後急拡大すると見込まれていることから、全国各地で充電スポットの整備が進んでいます。
快適に走行できる
電動バイクは、ガソリンバイクのようなエンジン音や振動がないため、騒音を気にせず静かで快適な乗り心地を味わえます。さらには、電動バイクは基本的にATなので、クラッチ操作が苦手という方でもスムーズに扱えるでしょう。
電動バイクの普及促進事業とは
電動バイクの普及促進事業は、電動バイクの購入における経費の一部を、公益財団法人東京都環境公社が助成する取り組みです。これにより、側車付二輪自動車(側車付二輪)並びに原動機付自転車が排出する二酸化炭素を削減することを目的としています。
事業スキーム
①東京都が本事業の原資を公社へ出えんします。
②出えん金で公社が基金を造成します。
③公社は基金を元手として、助成対象者に電動バイク購入費用の一部を助成します。
助成対象者
種別 | 要件(申請日時点) |
①個人 | ・都内に居住している(住民票を有することとします) ・②の個人事業主に該当しない |
②個人事業主 | 個人事業の開業届を提出しており、事業所が都内にある |
③法人 | 法人設立もしくは支店等設置を届け出ており、事業所が都内にある |
④リース事業者 | 上記①~③の該当者とリース契約を締結したリース事業者 |
※下記の該当者は助成対象外です。
- 国もしくは地方公共団体
- 税金の滞納がある
- 刑事上の処分を受けている
- 東京都暴力団排除条例に定められている暴力団関係者等
- その他、公的資金の交付先として社会通念上適切でないとみなされるもの
助成対象電動バイクの要件
◆令和5年(2023年)2月24日までに初度登録された電動バイクである。
◆初度登録を行った日に、CEV補助金(※)の「側車付二輪自動車・原動機付自転車」もしくは「ミニカー(第一種原動機付自転車で3輪以上の車)」の区分で対象車両になっている。(※)CEV補助金の対象車両は随時変更される可能性があるため、一般社団法人次世代自動車振興センターのホームページをご確認ください。
◆定置上もしくは使用の本拠を、初度登録の日から継続的に都内で保有している。
◆新車である。(中古車や新古車は対象外とします)
◆車両の支払いに関して、下記①~③のいずれかの要件を満たすこと。
①助成対象者が購入した車両で、代金が支払い済みである。
②助成対象者が割賦販売(所有権留保付ローン)で購入した車両で、ローン会社等の立て替え払いを含め、代金が支払い済みである。
③助成対象者が割賦販売(所有権留保付ローン)で購入した車両で、今後全額支払いする旨を販売業者と契約している。
◆都が実施する同種の助成金交付を重複して受けていない。
※本助成金については、都の車両本体以外の装置に関する助成金、もしくは都以外の補助金・助成金の受給における制限はありません。(後述の『「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」との併用が可能』をご参照ください。)ただし、他の補助金・助成金については制限されている可能性が考えられるため、各申請先へご確認ください。
◆自動車販売業者が、展示・試乗等の販売促進活動に使用するものでない。
◆側車付二輪自動車(側車付二輪)の場合は、軽自動車届出済証の記載に関して下記表の要件に該当する。
軽自動車届出済証の記載事項 | 通常の購入の場合 | 助成対象者がリース事業者の場合 | 割賦販売で購入する場合 |
所有者の氏名もしくは名称 | 助成対象者と同一名義 | 助成対象者と同一名義 | 自動車販売業者もしくはローン会社等 |
使用者の氏名もしくは名称 | 助成対象者と同一名義 | 貸与先の名義 | 助成対象者と同一名義 |
「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」との併用が可能
前述の「助成金交付の重複」に関して、本事業(都の補助)と併用できるのが「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(国の補助)」です。この補助金は、対象車(電気自動車・プラグインハイブリッド自動車・燃料電池自動車等)を購入する個人・法人・地方公共団体等に対し、購入費用を支援する取り組みです。
電動バイクは、高価になりやすいのがネックです。しかし「電動バイクの普及促進事業」と「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」を併用すれば、ガソリン車と同等の価格で電動バイクを購入することも可能です。
【「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」との併用による補助合計額・実質購入価格の例】
車種(本体価格) | 都の補助 | 国の補助 | 補助金額合計 | 実質購入価格 |
第一種原付(286,000円) | 93,000円 | 31,000円 | 124,000円 | 162,000円 |
第二種原付(998,000円) | 302,000円 | 100,000円 | 402,000円 | 596,000円 |
ミニカー(727,000円) | 180,000円 | 200,000円 | 380,000円 | 347,000円 |
なお、令和4年11月8日~令和5年2月17日までに新車新規登録(新車新規検査届出)を実施した車両に関しては、令和4年度当初予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の補助対象車種並びに単価等の要件が継続されます。
令和5年2月18日以降の新車新規登録(新車新規検査届出)に関しては、令和4年度補正予算事業の対象となっていますが、補助対象車種並びに単価等の要件は決定次第公表されることになっています。
助成対象経費
車両本体価格より、当該車両と同種同格のガソリン内燃機関搭載の車両本体価格を差し引いた額とします。
助成金額
助成金交付額は、助成対象経費より規定の補助金交付額を差し引いた額とします。車両ごとの上限額は下記の通りです。
車両 | 上限額 |
側車付二輪自動車並びに第一種原動機付自転車(三輪を除きます) | 18万円 |
第一種原動機付自転車(三輪) | 48万円 |
第二種原動機付自転車 | 48万円 |
車名ごとの助成金額の詳細は「電動バイクの普及促進事業 助成金申請書類作成の手引き」のP.7~をご参照ください。
申請方法、受付期限
【申請方法】
オンライン申請もしくは郵送
【申請受付期限】
令和5年2月28日17時まで
【申請書類】
- 助成金交付に関する申請書
- 誓約書
- 登記事項証明書(法人)、住民票もしくは印鑑証明書(個人・個人事業主)
- 法人都民税納税証明書もしくは法人設立・設置届出書
- 購入した電動バイクの代金に関する請求書もしくは注文書
- 購入した電動バイクの代金の支払に関する領収書
- 購入車両の標識交付証明書(発行されない場合は軽自動車税申告書控え又は標識届出証明等)もしくは軽自動車届出済証
- 振込先口座が確認可能な書類
- 購入車両に関するリース契約書
- 貸与料金の算定根拠明細書
- その他公社が必要とみなす書類
【手続きの流れ】
1.電動バイクを購入し初度登録を完了させる。
2.交付申請書を提出する。
3.交付申請書の審査後、交付決定が行われる。
4.交付決定通知書が発送される。
5.助成金が入金される。
まとめ
近頃では、ウクライナ侵攻による影響や、コロナ禍からの世界経済回復による原油の需要増により、原油価格高騰が深刻化しています。ガソリン価格の高止まりが続けば、電動バイクや電気自動車の役割はますます重要になるでしょう。
Hondaでは電動バイク普及に向けた取り組みを本格化しており、その他の企業でも電動バイクの開発や性能アップが進んでいます。電動バイクの購入を考えている対象の個人・法人・リース事業者は、ぜひこの機会に「電動バイクの普及促進事業」で補助金の利用を検討してみてはいかがでしょうか。