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最大で580万円助成「商店街起業・承継支援事業」とは?商店街での開業・多角化・事業承継を支援します

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昨今の商店街では、後継者不足が大きな課題となっています。平成31年に中小企業庁が公表した商店街実態調査報告書では、商店街が抱える問題として、経営者の高齢化による後継者問題が64.5%ともっとも大きなものとなりました。

同調査では商店街の近況について37.5%が「衰退している」と回答し、廃業理由についても「商店主の高齢化・後継者の不在」が74%です。後継者問題は、商店街全体の活性化にも大きな影響を及ぼしています。
参考:中小企業庁 商店街実態調査報告書

こうした問題を解決するため、東京都は商店街起業・承継支援事業を設立しました。商店街起業・承継支援事業の対象事業や、申請の流れについて紹介します。

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この記事の目次

開業時に助成金を活用するメリット

日本政策金融公庫が行った「2021年度新規企業実態調査」では、開業費用の平均は941万円と、調査開始以来もっとも少なくなったことが報告されました。一方で、開業時に調達した資金の平均額は1177万円と、開業費用の倍以上の資金を用意した企業がもっとも多くなっています。資金調達先としては「金融機関からの借入」が68.3%でもっとも多く、次いで「自己資金」が23.9%でした。

参考:日本政策金融公庫 2021年度新規開業実態調査

また、資金繰りに苦労したと回答した企業は57.6%に及びました。この数字を2019年度と比較すると、10%以上も向上しています。

参考:日本政策金融公庫 2021年度新規開業実態調査

商店街で店舗をそのまま引き継ぐ場合は費用が抑えられることもありますが、新事業の開拓や老朽化した施設の修繕など、なにかと出費があるものです。特に中小企業の場合はその資金が調達できず、企業や継承をあきらめるケースも予想されます。そんなとき、返還義務のない助成金の活用は大きな助けとなります。

商店街起業・承継支援事業とは

商店街起業・承継支援事業は都内の商店街の活性化を目指して設立された助成金です。まずはその概要を確認しましょう。

【助成金の目的】
商店街起業・承継支援事業を活用すると、都内の商店街で個人または中小企業者が開業するときなどに必要な経費の一部に助成を受けることができます。商店街における開業者や事業後継者の育成及び開業等を支援し、都内商店街の活性化を図ることがその目的です。

【助成内容】
商店街起業・承継支援事業では、開業等に関わる事業所整備費・実務研修受講費・店舗賃借料の一部に助成を受けることができます。それぞれの助成率と助成限度額は以下の通りです。

事業所整備費…助成対象と認められる費用の3分の2以内
【上限】250万円

実務研修受講費…助成対象と認められる費用の3分の2以内
【上限】6万円

店舗賃借料…助成対象と認められる費用の3分の2以内
【上限】1年め15万円/月・2年め12万円/月

対象経費の詳細については後述の「助成対象経費」を参照してください。

商店街起業・承継支援事業の助成対象事業

商店街起業・承継支援事業は、以下の①~③の区分で成り立ちます。

①開業
開業予定者が都内商店街で新規に実店舗を開設する場合
②多角化
実店舗を持つ中小企業者が既存事業とは異なる分野へ進出するため、都内商店街で実店舗を新たに開設する場合
③事業承継
中小企業者の後継者が都内商店街で既存事業を引継ぎ、店舗改装等をする場合で、以下のいずれかに該当するもの(現経営者が生存している場合は、親子関係のない第三者も含む)
・当該事業を営む既存店舗で事業を行うとき
・既存店舗と同じ商店街又は既存店舗とは異なる都内商店街に店舗を移転し、事業を行うとき

「開業」区分の対象となるには、都内に限らず、申請時点では実店舗を持っていないことが条件です。ただし、ネットショップのみで営業している方が新たに店舗を開設する場合は助成の対象となります。

商店街起業・承継支援事業の申請要件

申請要件は区分によって異なります。「開業」は以下の①~③、「多角化」は①~④、「事業承継」は①~③と⑤の要件をすべて満たす必要があります。

①次のうち、いずれかに該当すること
1.創業予定の個人
2.中小企業者

②次の項目の全ての要件を満たしていること
1.開業日が交付決定日以降であること
2.都内商店街において開業等する業種が、公社が定める業種に該当すること
3.商店街における開業等について、本申請時点で当該商店街にある商店街振興組合、商
店会等の組織の代表者等から承諾を受けていること(当該商店街には助成事業終了後も加入し続けること)
4.開業の実績報告時に、個人事業主として開業等する場合は都内を納税地とした開業届の写しを提出できること、また法人として開業等する場合は本支店登記等により都内所在地が確認できる登記簿謄本を提出できること
5.開業等するまでに申請業種の実施に当たって必要な許認可等を取得すること
6.以下のいずれかにより、経営に関する知識を有していること
・1年程度の経営実務経験を有していることを職務経歴書等で証明できる
・経営等に関する資格を有していることを証明書等で証明できる
・申請日から過去3年以内に経営知識の習得研修を受講している又は開業までに受講できる
7.以下のいずれかにより、申請する事業に関する実務知識を有していること
・開業する業種と同業他社で1年程度就業したことを職務経歴書等で証明できる
・申請する事業に必要な資格を資格証等で証明できる
・申請日から過去3年以内に開業する業種の店舗運営に係る実務研修を受講している、または開業までに受講できる
8.大企業若しくは大企業が実質的に参画している企業のフランチャイズ加盟業者でない、または申請に係る店舗の事業がこれらと関連するものでないこと
9.申請者(法人の場合は代表者)もしくは法人の場合は、当該法人の従業員(正社員に限る)が本申請に係る店舗において、助成事業終了後も申請店舗における事業にもっぱら従事すること

③次の全てに該当すること
1.同一テーマ・内容で公社・国・都道府県・区市町村などから助成を受けていない、または、同一テーマ・内容で助成金・補助金に申請を行い、複数の交付決定(採択)を受けた場合において当該助成事業を受けるには、その他は取り下げる予定であること。
2.公社・国・都道府県・区市町村などから、本助成金と同一経費への重複助成・補助となることがない、またはその予定がないこと
3.本助成事業の申請は、一個人につき一申請、一店舗に限ること
4.過去に若手 ・女性リーダー応援プログラム助成事業もしくは商店街起業 ・承継支援事業に採択され、助成金を受給していないこと
5.東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていないこと
6.過去に公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受け、不正等の事故を起こしていないこと
7.諸税を滞納していないこと
8.過去に公社から助成金の交付を受けている者は「企業化状況報告書」、「実施結果状況報告書」等を所定の期日までに提出していること
9.民事再生法又は会社更生法による申立て等、助成事業の継続性について不確実な状況が存在しないこと。
10.助成事業の実施に当たっては、関係法令を遵守すること。また、事業完了後は関係法令に基づき税務申告等、必要な手続を遅滞なく行うこと
11.「東京都暴力団排除条例 」に規定する暴力団関係者又は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条に規定する風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、支援の対象として社会通念上適切でないと判断される業態を営むものではないこと
12.その他、連鎖販売取引、ネガティブ・オプション(送り付け商法)、催眠商法、霊感商法など公的資金の助成先として適切でないと判断する業態を営むものではないこと

④以下の条件を全て満たすこと
1.申請日以前から申請予定の新規事業を行っていないことが確認できること
2.既存事業と新規事業の業種が、【募集要項】の「業種確認表」の小分類で異なっていること、かつ、新規事業の業種が公社の指定業種に該当すること
3.申請者が代表・役員・従業員等 として関わっている事業の単なる事業拡大ではないこと
4.既存店舗のリニューアルオープンではないこと

⑤以下の条件を全て満たすこと
【被承継者(現経営者)が生存している場合】
1.被承継者は基準日の時点で、都内で引き続き 1 年以上、実質的に事業を行っていること
2.承継者は創業予定の個人または個人事業主であること
3.事業承継の手続きは交付決定後に行うこと
【被承継者が死亡している場合】
1.被承継者は承継者の三親等以内であること
2.承継者は創業予定の個人または個人事業主であること
3.被承継者は死亡日から遡って1年以上前から都内で実質的に事業を行っていたことが確認出来ること
4.被承継者が死亡してから申請日時点で 1 年以内であること
5.被承継者の死亡日が確認できる書類の写しを提出できること
6.開業後の実績報告書提出日までに相続手続きを終え、承継者が店舗財産を承継したことが確認できる書類の写しを提出できること

助成対象期間

助成の対象期間は、交付決定日から開業日の翌々月末(最長1年間)です。ただし、店舗賃借料は交付決定日から2年間となります。

助成対象経費

助成対象となるのは交付決定日から開業までにかかる経費のうち、以下のものです。

【事業所整備費】
①店舗新装・改装工事費
商店街で開業等するために行う店舗の新装または改装に要する工事費用
②設備・備品購入費
店舗開業時に必要な設備・備品(1点で税込10万円以上)の購入に要する費用
③宣伝・広告費
店舗開業に向けての広報を目的として、外部の事業者等へ委託して行う取り組みに要する費用

【実務研修受講費】
店舗開業等をするに当たり、助成事業を実施するために必要な店舗運営管理実務を習得するため、申請者または申請者が指定する従業員を受講する費用

【店舗賃借料】
助成事業の遂行に必要な店舗を借りる場合の賃借料

活用事例

令和3年度は、以下の事業が採択されています。

  • 楽しく何でもお喋りができる多国籍総合エステサロンの開拓
  • 和のスコーンと日本茶の店
  • 日本の伝統工芸の魅力を発信するギャラリー&ショップの開業
  • 気軽に立ち寄れる、家庭料理とお酒処
  • 商店街でサウナ施設を運営する
  • 丁寧な技術と接客+良質薬剤で髪に艶と潤いを与える美容室の開業
  • アレルギー患者を自立させるオンライン薬局
  • ”惣菜”を通して全国と繋がり、祖師谷の地域を盛り上げ発信する惣菜店
  • 多摩の『美味しい』と『素敵』を集めた食堂
  • 手仕事のつまったギャラリーカフェで、新しい伝統のかたちを召し上がれ
  • デザインを提供する街工場&カフェ
  • フラワーアレンジとハンドクラフトのアトリエ(教室)兼ショップ
  • 現事業のお客様の声「近隣にカフェがない!」に応えるダイニングカフェの開業
  • 生産者の顔が見える癒しの自然派ワインが買えるお店
  • 都内産直送の食材・日本酒・ワインで外国人を魅了させる寿司割烹

商店街起業・承継支援事業のスケジュール

それでは、商店街起業・承継支援事業を申請する手順を見ていきましょう。申請には事前にエントリーが必要です。以下の期間に、ホームページからエントリーを行ってください。

【第1回】
令和4年4月5日(火) ~ 令和4年4月19日(火)
【第2回】
令和4年6月27日(月) ~ 令和4年7月14日(木)
【第3回】
令和4年9月26日(月) ~ 令和4年10月14日(金)

エントリー後、書類提出の締め切り等が通知されます。申請書類は、商店街起業・承継支援事業のホームページからダウンロードできます。

その後の流れは以下のとおりです。

出典:東京都中小企業振興公社 商店街起業・承継支援事業

まとめ

商店街の衰退は、企業だけの問題ではありません。シャッター通りの増加による治安の悪化や地域の無個性化を背景に、若者の地元離れも指摘されています。

商店街の店舗廃業を防ぎ、開業・継承を支援することは、その土地全体の経済的な発展にもつながります。同時に企業や若い事業者にとっては、新たな形態での事業展開のチャンスです。

商店街起業・承継支援事業は、後継者問題に悩む企業だけに必要な制度ではありません。未来を担う若者や新しい企業にこそ、活用してほしい助成金です

参考:東京都中小企業振興公社 商店街起業・承継支援事業

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