「防災センサーを開発したいが、試作品の製作費用が高額で踏み出せない」「介護ロボットのプロトタイプを作りたいが、開発資金の確保に悩んでいる」──都市課題を解決するプロダクトを持ちながら、資金の壁に阻まれている中小企業は少なくありません。
東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社は、こうした企業を強力に後押しする「課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)」の令和8年度募集を実施しています。安全・安心、高齢者・介護、DX、暑さ対策という4つの支援テーマに沿った試作品開発・改良に要する経費を、最大2,000万円・助成率2/3で支援する制度です。
第1回申請(令和8年6月4日〜7月3日)はすでに受付を終了しており、次のチャンスは第2回申請(令和8年10月9日〜11月13日17時)です。GビズIDプライムアカウントの発行に1〜2週間かかることや、申請書類の準備にも相応の時間が必要であることを踏まえると、いまから準備を始めるのが理想的なタイミングです。
背景として、東京都は「2050東京戦略」で防災・介護・DX・気候変動対応を重点課題に位置づけており、これらの分野に資する試作品開発を強力に支援する姿勢を示しています。連日の記録的猛暑を受けて熱中症対策への需要も急拡大するなか、「暑さ対策」テーマは本助成事業でも重要な位置を占めています。
この記事では、令和8年度の対象テーマ・助成内容・審査プロセス・面接審査の留意点・申請書類・交付後の義務までを、募集要項をもとに詳しく解説します。
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この記事の目次
課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)とは
本制度は、東京都が策定した長期ビジョン「2050東京戦略」の実現に向けた都市課題の解決を目的とした助成事業です。防災・介護・DX・暑さ対策といった特定の支援テーマに沿って、事業化を目指す製品・サービスの試作品(ハードウェア/ソフトウェア)の開発・改良に要する経費の一部を助成します。
・正式名称:課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)
・実施主体:公益財団法人 東京都中小企業振興公社
・助成限度額:2,000万円
・助成率:対象経費の2/3以内
・助成対象期間:最長1年9か月(第1回:令和8年12月1日〜令和10年8月31日/第2回:令和9年4月1日〜令和10年12月31日)
・第1回申請受付:令和8年6月4日(木)〜7月3日(金)17時(終了)
・第2回申請受付:令和8年10月9日(金)〜11月13日(金)17時
・申請方法:Jグランツによる電子申請(GビズIDプライムアカウント必要)
・問い合わせ:企画管理部 助成課 課題解決型技術開発促進事業 事務局
〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3-3 大東ビル4階
TEL:03-3251-7894(平日9時〜17時)
e-mail:kadai-kaihatsu@tokyo-kosha.or.jp
「製品・サービス」「試作品」の位置づけ
本助成事業における「製品・サービス」とは、市場に投入し事業化を目指す対象を指します。その製品・サービスを生み出すための核となる試作品(ハードウェア/ソフトウェア)の設計・製作・試験評価等を行うことが「開発・改良」です。開発・改良による成果が「試作品(成果物)」となります。
| 市場投入の形 | 助成対象となる試作品(成果物) |
|---|---|
| 製品(ハードウェア/ソフトウェア) | 課題解決を目的とした××装置/システムの試作品 |
| サービス | 課題解決を目的とした△△サービスにおける××装置/システムの試作品 |
サービスの形で市場投入を目指す場合、助成対象となるのはサービスに組み込まれるハードウェア/ソフトウェアの試作品である点にご注意ください。
販路拡大助成との連携で総額最大2,350万円まで支援
本助成事業を完了した方は、展示会出展等の販促に活用できる「販路拡大助成(開発枠)」(助成限度額350万円)に資格審査のみで申請できるというメリットがあります。試作品開発から市場投入までを一貫してサポートする、東京都の手厚い支援体制です。
対象となる4つの支援テーマ
本助成事業では、以下の①〜④の支援テーマから最も該当するもの1つを選択して申請します。いずれも「2050東京戦略」の実現に資するテーマです。①持続可能で安全・安心な東京の実現に関するもの
防災・減災、事業リスク対策、感染症対策、セキュリティ、子どもの安全対策などに資する製品・サービスの試作品開発が対象です。日本有数の大都市・東京において、地震や台風などの自然災害リスクへの対応や、サイバーセキュリティ対策、感染症に強いインフラ整備は喫緊の課題です。防災センサー・安全管理システム・AIによる異常検知ソフトウェアなど、幅広い技術シーズを持つ企業にとって活用しやすいテーマです。
②高齢者・障害者のニーズを満たすもの、又は介護従事者の負担軽減に関するもの
福祉・アクセシビリティ、次世代介護機器、アクティブシニア、パラスポーツなどに関する試作品開発が対象です。少子高齢化が急速に進む中、介護従事者の不足・身体的負担は社会問題化しています。本テーマでは「次世代介護機器」として、①移乗支援 ②移動支援 ③排泄支援 ④見守り・コミュニケーション ⑤入浴支援 ⑥介護業務支援 ⑦機能訓練支援 ⑧食事・栄養管理支援 ⑨認知症生活支援・認知症ケア支援の9分野での使用を想定した機器開発が対象となります。
③DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関するもの
業務効率化、営業・マーケティング強化、業務自動化・データ活用、業界特化型のシステム・ソフトウェア開発などが対象です。中小企業のDX化が急務とされる中、業種特化型の業務管理SaaS・AI活用ツール・自動化システムなど、デジタル技術を活用した試作品の開発を進める企業に適したテーマです。
④暑さ対策に関するもの
気候変動適応(気候変動の影響に対処し被害を少なくするもの)、熱中症対策、設備・インフラへの暑さ対策、暑熱環境の管理・モニタリングなどに関する試作品開発が対象です。2026年の記録的猛暑を受けて熱中症対策への社会的ニーズが急拡大しており、屋外作業者向けウェアラブルデバイス・建物の熱環境制御システム等の需要も高まっています。WBGT(暑さ指数)モニタリングシステムなど、暑さ対策に特化した技術シーズを持つ企業が活用できます。
申請要件と対象事業者
対象となる4区分の事業者
本制度では以下の4区分の事業者が申請できます。それぞれ必要書類や要件が異なります。
| 区分 | 該当する事業者 |
|---|---|
| ①法人(中小企業者) | 都内に登記簿上の本店・支店があり、実質的に1年以上事業を行っている法人 |
| ②個人事業者 | 都内所在で1年以上事業を行っている個人事業者 |
| ③未決算法人・未決算個人事業者 | 都内で創業し、事業期間が1年に満たない者 |
| ④創業予定者 | 基準日(令和8年6月1日)現在で都内での創業を具体的に計画している個人 |
中小企業団体(事業協同組合・協業組合等)も申請可能で、その場合は代表事業者を1社定めて申請します。ただし、社会福祉法人・医療法人・特定非営利活動法人・一般社団/財団法人・学校法人・有限責任事業組合(LLP)等は助成対象外となります。
中小企業者の規模要件
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業(ソフトウェア業・情報処理サービス業を含む)・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業(一部を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(下記以外) | 5千万円以下 | 100人以下 |
| 旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
なお、大企業が実質的に経営に参画(発行済株式の1/2以上単独所有、複数の大企業で2/3以上、役員の1/2以上を大企業が兼務等)している中小企業は対象外となります。
助成事業の実施場所の要件
助成事業の実施場所は、以下のいずれにも該当している必要があります。
・自社の事業所、工場等であること(賃借の場合を含む)
・原則として都内であること(状況により首都圏=東京・神奈川・埼玉・千葉・山梨・群馬・茨城・栃木の実施場所も可)
・申請書記載の購入予定物品、開発人員、成果物等が確認できること
※ バーチャルオフィスのみの場合は、公社が求める検査等を行う場所(原則都内)と、成果物や財産・帳票類を保管できる場所の確保が必要
助成対象事業と対象外事業
「助成対象事業」とは、4つの支援テーマに沿って事業化を目指す製品・サービスの核となる試作品の開発・改良です。以下の事業は助成対象外となりますので注意が必要です。
・具体的な販売予定がなく、研究開発のみを目的としている事業
・他社(親会社・子会社を含む)が開発した技術・製品等の実用化を目的としている事業
・助成事業完了前の販売を目的としている事業
・開業・運転資金など、開発・改良以外の経費の助成を目的としている事業
・設備投資(生産・量産用の機械装置・金型の導入等)を目的としている事業
・開発・改良した試作品(成果物)自体の販売を目的としている事業
・開発・改良の主要な部分が自社開発ではない事業
・開発・改良の全部または大部分を外注(委託)している事業
・量産化段階にある技術や既に事業化され収益を上げている事業
・既製品の模倣に過ぎない事業
・技術的な開発・改良要素がない事業
・申請時において開発・改良が概ね終了している事業
・助成対象期間内に開発・改良の完了が見込めない事業
・開発・改良が特定の顧客(法人・個人)向けで、汎用性のない事業
助成対象経費の7区分と直接人件費の詳細
助成対象となる7つの経費区分
| 経費区分 | 内容 | 主な注意事項 |
|---|---|---|
| (1)原材料・副資材費 | 試作品の構成部分、開発・改良に直接使用し消費される原料・材料・副資材の購入費 | 助成事業終了時点での未使用品は対象外。受払簿の作成が必要 |
| (2)機械装置・工具器具費 | 機械装置・工具器具の購入・リース・レンタル・据付費 | 1件税抜100万円以上は原則2社以上の見積書必要。パソコン・タブレット等汎用品は対象外 |
| (3)委託・外注費 | 自社内で直接実施できないものを外部委託する費用(研究開発・共同研究・ユーザーテスト) | 1契約税抜100万円以上は原則2社以上の見積書必要。全部・主要部分の再委託は対象外 |
| (4)産業財産権出願・導入費 | 特許・実用新案・意匠・商標の出願または譲渡・実施許諾に要する経費 | 審査請求・登録費用は対象外。助成事業者に権利が帰属することが条件 |
| (5)直接人件費 | 試作品の開発・改良に直接従事する自社役員・従業員の人件費 | 上限1,000万円(助成対象期間中の総額)。1日8時間・年間1,800時間まで |
| (6)専門家指導費 | 外部専門家への技術指導料 | 技術開発要素を伴わない指導は対象外。指導報告書の提出必要 |
| (7)規格認証・登録費 | 試作品の規格等の認証・登録に要する経費 | 維持審査料・更新審査料等、認証取得後の経費は対象外 |
直接人件費の単価(月額報酬別)
直接人件費は、従業員別に想定の報酬月額に応じた単価を使用して算出します。時間給×従事時間で計算します。
| 報酬月額(給与等) | 人件費単価(時給) |
|---|---|
| 〜130,000円 | 1,050円 |
| 130,000〜195,000円 | 1,120〜1,590円(段階的に上昇) |
| 195,000〜290,000円 | 1,680〜2,350円(段階的に上昇) |
| 290,000〜370,000円 | 2,520〜3,020円(段階的に上昇) |
| 370,000〜515,000円 | 3,190〜4,200円(段階的に上昇) |
| 515,000〜605,000円 | 4,450〜4,960円(段階的に上昇) |
| 605,000円以上 | 5,210円 |
対象となるのは、助成事業者の役員および直接雇用の従業員のうち、常態として当該開発・改良に従事し、毎月一定の報酬・給与が直接支払われている方のみです。個人事業者の自らへの報酬、就業規則で定めた所定労働時間外・休日の労働、給与の現金支給、雇用保険未加入の従業員が行った業務等は対象外となります。
助成対象外となる経費
以下の経費は助成対象外です。申請書に記載していても、交付決定後に該当が判明した場合は減額対象となります。
・助成対象期間外の発注・契約・取得・実施・支払いに係る経費
・消費税、収入印紙代、振込手数料、通信費、光熱費、自社の交通費、事務用品費等の間接経費
・所有権が助成事業者に帰属しない取得財産に係る経費
・建物附帯設備とその工事に係る経費
・達成目標のうち一部でも未達成だった場合の、それまでにかかった全ての経費
・帳票類が不備の経費(見積書・契約書・仕様書・納品書・請求書・振込控・領収書等が確認できない場合)
・手形小切手または電子記録債権による支払
・支払時にポイントを取得・使用した場合のポイント相当分
・キャッシュバック等により証憑と実質支払額が一致しない経費
・親会社・子会社・グループ企業等関連会社との取引経費
・パソコン・タブレット・デジタルカメラ等の汎用性が高い機器
・生産・量産用の機械装置に係る経費
・翻訳・資料収集等に係る経費(開発・改良要素を伴わないもの)
・技術開発要素を伴わないデザイン費・翻訳費
支払方法の制限──現金・クレジットカード・電子マネー
助成事業に係る経費の支払いは、助成事業者名義の金融機関口座からの振込払いが原則です。助成事業者に在籍する役員や社員の口座からの振込も対象外となります。
| 支払方法 | 認められる条件 |
|---|---|
| 金融機関振込(原則) | 助成事業者名義の口座から相手方名義の口座へ振込 |
| 現金払い(例外) | やむを得ない理由があり、総額10万円未満(税込)、支払先発行の領収書が提出できる場合のみ |
| クレジットカード | 利用日・引き落とし日が助成対象期間内、リボ払い・分割払い不可、助成事業者名義(法人は法人カード)のカード |
| 電子マネー | 助成対象外(一切不可) |
| 手形・小切手・電子記録債権 | 助成対象外(一切不可) |
代表者のカードや社員のカードによる立て替え払いも対象外となる点にご注意ください。
令和8年度の申請スケジュール
第1回・第2回の全体スケジュール
| フェーズ | 第1回 | 第2回 |
|---|---|---|
| 申請受付 | 令和8年6月4日〜7月3日17時(終了) | 令和8年10月9日〜11月13日17時 |
| 一次審査(書類審査) | 〜令和8年8月下旬 | 〜令和9年1月中旬 |
| 二次審査(面接審査) | 〜令和8年10月上旬 | 〜令和9年2月上旬 |
| 総合審査会 | 令和8年10月下旬 | 令和9年2月下旬 |
| 交付決定 | 令和8年11月30日 | 令和9年3月31日 |
| 助成対象期間 | 令和8年12月1日〜令和10年8月31日 | 令和9年4月1日〜令和10年12月31日 |
申請の流れ(STEP形式)
STEP 1:GビズIDプライムアカウントを取得する
Jグランツを利用するには「GビズIDプライムアカウント」の事前取得が必要です。国の審査によりID発行まで1〜2週間かかるため、第2回申請(10/9受付開始)に間に合わせるには9月中に取得を完了させてください。GビズID:https://gbiz-id.go.jp/
STEP 2:申請書類を準備する
公社HPの事業ページから申請書(Excel)・記入例・電子申請マニュアル・募集要項をダウンロードし、必要事項を記入します。1件税抜100万円以上の機械装置等・1契約100万円以上の委託外注費は2社以上の見積書が必要ですので、早めに見積依頼を行いましょう。事業ページ:https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/kadai-kaihatsu/index.html
STEP 3:Jグランツで電子申請を行う
受付期間内(第2回は令和8年11月13日17時まで)にJグランツで申請フォームを入力し、申請書・必要書類をアップロードして申請を完了します。1ファイル16MBまでの容量制限があります。締切間際はアクセス集中が予想されるため、時間に余裕をもって手続きしましょう。
STEP 4:一次審査(書類審査・経理審査・資格審査)
提出された申請書類に基づき書面による審査が行われます。結果はJグランツで通知されます。
STEP 5:二次審査(面接審査)
一次審査通過者に対して面接審査が実施されます。日時の変更は不可で、公社が指定した日時で行われます。
STEP 6:総合審査会・交付決定
一次審査・二次審査を踏まえた総合的な審査を経て、令和8年11月末(第1回)/令和9年3月末(第2回)に採否が通知されます。
STEP 7:試作品の開発・完成・完了検査
助成対象期間内に申請書の「達成目標」を満たす試作品(成果物)を完成させ、完了検査を受けます。
STEP 8:助成金の交付
完了検査後、公社職員により実績報告書の精査を行い、助成金額が確定します。Jグランツで請求書を提出し、請求後約1か月で指定口座に振り込まれます。
審査の視点(5項目)と面接審査の留意事項
審査の5つの視点
審査は非公開で、書類審査・面接審査で以下の5つの視点から総合評価されます。
| 審査の視点 | 主な評価ポイント |
|---|---|
| ①適合性 | 4つの支援テーマとの整合性、東京の都市課題解決への貢献度 |
| ②優秀性 | 技術・サービス等における先進的な新しい開発要素、技術的・実用的な優位性 |
| ③市場性 | 販売戦略、競争優位性 |
| ④実現性 | 開発体制、開発計画、開発後の事業推進体制 |
| ⑤妥当性 | 計画全体の確実性、資金計画、投資規模および申請経費の適切性 |
これに加えて、資格審査(申請資格要件への適合)と経理審査(財務内容、事業予算等)も一次審査で行われます。
面接審査の重要な留意事項
面接審査は落選の分かれ目となる重要なプロセスです。以下の点を必ず押さえてください。
・出席者は申請事業者の代表者・役員・従業員のみ(顧問・経営コンサルタント・委託先企業等は同席不可、同席発覚時は審査に重大な影響)
・申請書類以外の説明資料・パネル等の追加資料の持ち込みは不可
・電子機器類・プロジェクター・パネル等の持込み不可
・写真撮影・録音・録画不可
・動画利用・実演不可
・模型・従来製品等の参考サンプルの持ち込みは可能
・ソフトウェア・サービスの開発・改良の場合、パソコン等の持ち込みは可能(プロジェクター使用不可)
・面接審査の日時変更は不可(公社が定める日時で実施)
・必要に応じて現地調査を行う場合あり
代理申請機能──行政書士等への委任も可能
本助成事業では、Jグランツ上の代理申請機能を使うことで、行政書士等の第三者が申請作成を代行できます。ただし、以下の制約があります。
・代理申請を請け負えないのは、助成対象経費に関与する事業者(外注・委託先)およびその従業員、本助成事業の運営・審査に関わる者(公社職員・相談員等)
・GビズID上で申請者(委任元)が第三者(行政書士等)に委任申請し、承認されると受任者がJグランツで申請を作成可能
・申請の確認・提出は必ず申請者自身が行う必要があり、申請受付以降の手続きも申請者自身が行う
・代理申請者は「同意書(代理申請者用)」を公社HPからダウンロードし、Jグランツ申請フォームにアップロードする
・代理申請者と申請者間のトラブルには事務局は関与しない
申請に必要な書類
申請書類はすべてJグランツへのアップロードで提出します。1ファイル16MBまでの容量制限があり、PDF形式が推奨されています。ファイル名は「01申請書(事業者名).pdf」等の指定形式に従います。
基本の11書類
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 01 | 申請書(Jグランツフォーム+Excel様式) | 公社様式・全事業者必須 |
| 02 | 補足説明資料(A4サイズ30ページ以内) | 企画書・仕様書・図面・システム構成図・フローチャート・競合製品カタログ等。任意提出 |
| 03 | 改良前の製品・サービス説明資料 | 申請テーマで「改良」を選択した場合のみ |
| 04 | 特許・実用新案権等の証拠書類 | 該当する場合のみ。J-PlatPatで取得可能 |
| 05 | 見積書の写し(2社以上) | 1件税抜100万円以上の機械装置等または1契約100万円以上の委託外注費の場合必須 |
| 06 | 確定申告書(直近2期分) | 創業予定者・未決算法人は不要 |
| 07 | 登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 法人・団体のみ。発行後3か月以内の原本 |
| 08 | 開業届 | 個人事業者のみ |
| 09 | 納税証明書 | 都税事務所・税務署・区市町村発行の原本 |
| 10 | 残高証明書等 | 未決算法人・未決算個人事業者・創業予定者のみ |
| 11 | 経歴書等(会社案内+代表者職務経歴書) | 全事業者必須 |
書類準備の重要な注意点
・マイナンバー記載箇所は黒塗り・マスキング処理必須(確定申告書や開業届等)
・登記簿謄本・納税証明書は採択後に原本照合を行うため、必ず原本を保管
・外国語書類には日本語翻訳文の添付が必要
・書類の返却・修正はできないため、控えとバックアップを必ず保管
・不備・不足がある場合はJグランツで差戻し。担当者アドレスに通知メール
交付決定後の流れ・事業実施
事前支援・中間報告・完了報告
交付決定後、約2か月以内に公社担当職員が事業実施場所を訪問し、事業の全体把握や事務処理の説明を目的とした事前支援を行います。その後は以下の流れで事業が進みます。
| フェーズ | 内容 | 提出期限(第1回の例) |
|---|---|---|
| 助成事業開始・事前支援 | 公社職員が実施場所を訪問し、開発内容の確認等 | 令和8年12月1日〜 |
| 中間検査(遂行状況報告書) | 事業期間が12か月を超える場合に必要 | 令和9年10月15日まで |
| 事業終了 | 達成目標を満たす試作品(成果物)を完成 | 〜令和10年8月31日 |
| 実績報告 | 実績報告書をJグランツで提出 | 事業終了後15日以内 |
| 完了検査 | 公社職員による実施状況・目標達成確認 | 実績報告書提出後 |
| 助成金額確定 | 実績精査後、確定通知書で通知 | 完了検査後 |
| 助成金交付 | Jグランツで請求後、指定口座に振込 | 請求から約1か月 |
達成目標に設定した全ての内容について達成したことを完了検査で確認できなかった場合、事業完了とならず助成金は交付されません。達成目標は申請書提出後に変更できないため、慎重に設定する必要があります。
助成金交付後の5つの義務
助成金の交付を受けた後も、以下の義務が生じます。事業実施だけで終わりではない点にご注意ください。
①関係書類の5年間保存
助成事業の完了した年度の翌年度から起算して5年間、関係書類・帳簿類の保管義務があります。
②試作品(成果物)・財産の5年間保存
助成金で作製した試作品・成果物、および税抜50万円以上の財産は、公社配布のステッカーを貼って管理し、5年間保存する必要があります。この期間の販売・処分・目的外使用等は事前申請と承認が必要です。
③企業化状況報告書の提出(5年間)
助成事業が完了した日の属する公社会計年度の翌年度から5年間、各会計年度が終了する毎に事業化の実施状況について報告書を提出する必要があります。
④収益納付
事業化により相当の収益を得た場合、産業財産権の譲渡や実施権の設定により収益が生じた場合、その収益の一部を公社に納付する場合があります(納付額は助成金の交付額が上限)。
⑤成果の公表への協力
本助成事業の成果や製品化に係る発表・公開(取材対応、ニュースリリース、製品発表等)を行う際は、事前に公社への報告が必要。広報媒体には本助成事業の成果として得られたことを明示。
交付決定と異なる事実が判明した場合、偽り・不正の手段による交付、他用途への流用等が確認された場合は、交付決定の全部・一部が取消され、既に交付されている助成金の返還を求められます。不正行為に対しては刑事罰が適用される場合もあります。
試作品の販売開始タイミングの注意
開発・改良した試作品をベースとする製品・サービスの販売は、助成事業完了(完了検査の翌日)後から可能です。ただし、以下の点にご注意ください。
・助成金により作製した試作品・成果物自体は、5年間の保存義務があるため販売不可
・完了検査前の販売・営業行為(価格・発売時期の提示、有償貸与、予約受付等)は不可
・助成事業実施中の広告・展示会での販売価格・発売時期の掲載も不可
・メディア紹介の際は「課題解決型技術開発促進事業に採択された」という表現を使用(「認定を受けた」「認証を受けた」等の誤解しやすい表現は避ける)
採択後の追加メリット──販路拡大助成・制度融資
販路拡大助成(開発枠・最大350万円)への申請資格
本助成事業を完了した事業者は、「課題解決型技術開発促進事業(販路拡大助成)」の開発枠(助成限度額350万円)に資格審査のみで申請可能です。一般枠の上限150万円に対し、開発枠は350万円まで展示会出展・EC出店・自社Webサイト制作等の販路拡大費用を助成してもらえます。申請手続きの詳細は、本助成事業の完了後に事務局から直接案内があります。
東京都中小企業制度融資「DX・イノベ・産業育成支援」の対象
本事業に採択されている小規模企業者は、東京都中小企業制度融資「DX・イノベ・産業育成支援」の対象となり、信用保証料の1/2補助を受けることができます。試作品開発資金と並行して事業資金の融資を検討している事業者にとって、大きな追加メリットです。
手続サクサクプロジェクトと生成AI活用
手続サクサクプロジェクトへの参加
本申請等で提供した法人情報等について、東京都によるデータ収集に同意した場合、今後、東京都および東京都政策連携団体・事業協力団体が行う各種補助金等の申請手続きの際にデータ入力を省略できる取組(手続サクサクプロジェクト)に参加できます。同意は任意ですが、都内で複数の補助金・助成金を活用予定の事業者にはメリットが大きい仕組みです。
審査における生成AIの活用
本事業では、担当審査員を選定するにあたり、一部で生成AIを活用しています。生成AI上で扱う情報は申請テーマ・申請内容のみで、生成AIは審査自体には使用されず、また情報が生成AIモデルの学習に利用されることもありません。
課題解決型試作品開発・改良助成に関するよくある質問
令和8年度の申請受付期間はいつですか?
第1回は令和8年6月4日〜7月3日17時で終了しており、次のチャンスは第2回申請(令和8年10月9日〜11月13日17時)です。Jグランツによる電子申請のみで、持参・郵送等では申請できません。GビズIDプライムアカウントの発行に1〜2週間かかるため、まだ取得していない場合は9月中に準備を開始することをお勧めします。
助成限度額と助成率はいくらですか?
助成限度額は2,000万円、助成率は対象経費の2/3以内です。たとえば対象経費の合計が2,400万円なら助成額は1,600万円、3,000万円以上の場合は上限の2,000万円が助成されます。ただし、直接人件費は助成対象期間中の総額で1,000万円が上限です。
4つの支援テーマとは何ですか?
①持続可能で安全・安心な東京の実現(防災・セキュリティ等)、②高齢者・障害者のニーズを満たすもの又は介護従事者の負担軽減(次世代介護機器・アクセシビリティ等)、③DXの推進(業務効率化・業務自動化・データ活用等)、④暑さ対策(気候変動・熱中症対策・暑熱環境管理等)の4つです。申請時にいずれか最も該当する1つを選択します。②の「次世代介護機器」は移乗支援・移動支援・排泄支援・見守り・入浴支援・介護業務支援・機能訓練支援・食事栄養管理支援・認知症ケア支援の9分野が想定されています。
ソフトウェアの開発も対象になりますか?
はい、ソフトウェアの試作品開発も対象です。本制度では「製品・サービスを生み出すための核となる試作品(ハードウェア/ソフトウェア)の開発・改良」が対象となっており、DXテーマなどではソフトウェアシステムの試作品も対象になります。サービスの形で市場投入を目指す場合は、サービスに組み込まれるハードウェア/ソフトウェアの試作品が助成対象となります。ただし、開発の主要な部分(仕様策定やテスト等、開発・改良の根幹をなす部分)が自社開発であることが条件です。
直接人件費も助成対象になりますか?上限はありますか?
はい、試作品の開発・改良に直接従事する自社役員・従業員の直接人件費も助成対象経費に含まれます。ただし、助成対象期間中の総額で1,000万円が上限で、従事時間は1人につき1日8時間・年間1,800時間が上限です。時間給は報酬月額に応じて定められており、月額130,000円未満なら1,050円、月額605,000円以上なら5,210円が適用されます。就業規則の所定労働時間外・休日の労働、給与の現金支給、雇用保険未加入の従業員が行った業務等は対象外です。
他の公的機関の補助金(ものづくり補助金等)と併願申請はできますか?
他の公的機関の助成金・補助金(ものづくり補助金等)との併願申請は可能です。ただし、同一の申請テーマ・内容(経費)で二重に助成金を受け取ることはできないため、両方採択された場合はいずれか一方を辞退する必要があります。なお、公社の他の助成事業との併願申請は不可で、本助成事業の同一年度の採択は一企業につき一件です。
開発の全部を外注している場合は申請できますか?
申請できません。開発・改良の全部または大部分を外注(委託)している事業は助成対象外となります。「開発・改良の主要な部分」(仕様策定やテスト等、開発・改良の根幹をなす部分)が自社で行われることが条件です。ただし、ファブレス(製造設備を持たない)企業でも、開発・改良の主要な部分を自社で行っていれば申請可能です。
面接審査ではどんな点に注意すべきですか?
出席者は申請事業者の代表者・役員・従業員のみに限られ、顧問・経営コンサルタント・委託先企業等の同席は不可です(同席発覚時は審査に重大な影響)。申請書類以外の説明資料・パネル・電子機器類・プロジェクター等の持ち込みは不可、写真撮影・録音・録画・動画利用・実演も不可です。ただし、模型・従来製品等の参考サンプルの持ち込みは可能で、ソフトウェア・サービス開発の場合はパソコン持ち込みも可能です(プロジェクター使用不可)。面接審査の日時変更もできませんので、公社指定の日時を確保する必要があります。
審査の視点は何ですか?
書類審査・面接審査では以下の5つの視点から総合評価されます。①適合性(支援テーマとの整合性、東京の都市課題解決への貢献度)、②優秀性(技術・サービス等における先進的な新しい開発要素、技術的・実用的な優位性)、③市場性(販売戦略、競争優位性)、④実現性(開発体制、開発計画、開発後の事業推進体制)、⑤妥当性(計画全体の確実性、資金計画、投資規模および申請経費の適切性)。これに加えて、資格審査(申請資格要件への適合)と経理審査(財務内容、事業予算等)も一次審査で行われます。
GビズIDプライムアカウントはいつ取得すればよいですか?
第2回申請(令和8年10月9日)よりも前に取得しておく必要があります。GビズIDプライムアカウントは国の審査によりID発行まで1〜2週間かかります。第2回申請に間に合わせるには9月中に手続きを完了させてください。GビズID公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/)から申請できます。印鑑証明書またはマイナンバーカードが必要です。
代理申請は可能ですか?
Jグランツ上の代理申請機能を使うことで、行政書士等の第三者が申請作成を代行することができます。ただし、助成対象経費に関与する事業者(外注・委託先)およびその従業員、本助成事業の運営・審査に関わる者(公社職員・相談員等)は代理申請を請け負うことができません。申請の確認・提出は必ず申請者自身が行う必要があり、申請受付以降の手続きも申請者自身が行います。代理申請者は「同意書(代理申請者用)」を公社HPからダウンロードし、Jグランツ申請フォームにアップロードする必要があります。
採択後、試作品の販売はいつからできますか?
開発した試作品をベースとした製品・サービスの販売は、助成事業完了(完了検査の翌日)後から可能です。ただし、助成金により作製した試作品(成果物)そのものは、助成事業を完了した年度の翌年度から起算して5年経過する日まで保存義務があるため、その期間は販売できません。完了検査前の販売・営業行為(価格・発売時期の提示、有償貸与、予約受付等)も禁止で、実施した場合は助成金が一切支払われません。
助成金の交付後にも義務がありますか?
交付後には5つの義務があります。①関係書類・帳簿類の5年間保存、②試作品(成果物)・税抜50万円以上の財産の5年間保存、③企業化状況報告書の5年間提出(毎年)、④事業化により相当の収益を得た場合の収益納付(助成金交付額が上限)、⑤成果の公表・広報に関する事前報告と本助成事業の成果である旨の明示。これらの義務を果たさない場合、助成金の返還を求められる可能性があります。
本助成を完了すると、どんな追加メリットがありますか?
2つの大きな追加メリットがあります。①「課題解決型技術開発促進事業(販路拡大助成)」の開発枠(助成限度額350万円)に資格審査のみで申請可能。一般枠の上限150万円に比べて高い上限額で、展示会出展・EC出店・自社Webサイト制作等の販路拡大活動を支援してもらえます。②東京都中小企業制度融資「DX・イノベ・産業育成支援」の対象となり、信用保証料の1/2補助を受けることができます(小規模企業者の場合)。試作品開発から市場投入・事業資金まで一貫サポートされる仕組みです。
達成目標が達成できなかった場合、途中までかかった経費は支払われますか?
支払われません。助成事業の完了は、達成目標を達成することが条件です。完了検査にて達成目標の達成と経費関係書類の確認ができた場合に助成事業完了となります。達成目標が達成されなかった場合は事業完了とならず、それまでかかった経費は支払われません。また、達成目標は申請書提出後の変更もできないため、慎重に設定してください。
まとめ
課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)は、都市課題の解決を目指す都内中小企業の試作品開発を最大2,000万円・助成率2/3で支援する、規模感の大きい助成制度です。
第1回申請(令和8年6月4日〜7月3日)はすでに終了しており、次の申請機会は第2回(令和8年10月9日〜11月13日17時)となります。GビズIDプライムアカウントの取得や2社見積の準備、達成目標の設計に相応の時間が必要なため、いま着手するのが理想的なタイミングです。
・助成内容:最大2,000万円・助成率2/3(直接人件費は上限1,000万円)
・支援テーマ:①安全・安心/②高齢者・障害者・介護/③DX推進/④暑さ対策の4テーマから1つを選択
・第2回申請受付:令和8年10月9日(金)〜11月13日(金)17時。Jグランツによる電子申請のみ
・第2回の助成対象期間:令和9年4月1日〜令和10年12月31日(最長1年9か月)
・審査プロセス:一次審査(書類・経理・資格)→ 二次審査(面接)→ 総合審査会
・審査の視点:①適合性 ②優秀性 ③市場性 ④実現性 ⑤妥当性
・面接審査:出席は代表者・役員・従業員のみ(顧問・コンサル同席不可)、電子機器・パネル持込不可
・支払方法:金融機関振込原則。現金は10万円未満、電子マネー・手形・リボ払い・分割払いは不可
・交付後義務:関係書類5年保存、試作品5年保存、企業化状況報告5年、収益納付、成果公表協力
・完了後の特典:販路拡大助成(開発枠・最大350万円)に資格審査のみで申請可能、制度融資「DX・イノベ・産業育成支援」で信用保証料1/2補助
・今すぐやること:GビズIDプライムアカウントの取得(発行1〜2週間)、募集要項の熟読、達成目標の設計開始、2社以上の見積依頼
自社の開発テーマが4つの支援テーマに該当するか確認し、GビズIDプライムアカウントの取得と申請書類準備から今すぐ着手してください。制度活用や申請書の準備にお悩みの場合は、補助金ポータルの無料相談もご活用ください。
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