新たに創業した人が受け取れる「創業助成金」という制度があることをご存じですか?
事業を立ち上げるにあたって、重大な問題のひとつでもあるのは「資金調達」ですよね。
創業当初は、金銭的な余裕がない方がほとんどなのではないでしょうか。
今回は、これから起業を考えている方が資金集めの方法として活用できる制度をご紹介します。
この記事の目次
1.どんな助成事業なの?
「創業助成事業」とは、東京都と(公団)東京都中小企業振興公社からでている助成金です。
創業期に必要な経費(人件費、賃借料、広告費等)の一部を助成することで、新たな雇用を生み出すなど、東京都の産業活力の向上を目的としてできた助成制度です。
2.申請要件
(1)どのような創業者が対象なの?
この助成事業は、都内創業予定者または創業して5年未満の中小企業者を対象とした、
次の(ア)~(ウ)を満たす者が対象です。
(ア)東京都内での創業を具体的に計画している個人
(イ)中小企業基本法第2条に規定する中小企業者※の内、以下2点を満たす場合
・法人登記を行ってから5年未満の法人
・個人事業の開業届出を行ってから5年未満の個人
(ウ)特定非営利活動促進法第2条に規定する特定非営利活動法人の内、以下2点を満たす場合
・法人登記を行ってから5年未満の法人
・中小企業者の振興に資する事業を行うものであって中小企業者と連携して事業を行うもの
または中小企業者の支援を行うために中小企業者が主体となって設立するものであること
※中小企業基本法第2条に規定する中小企業者とは
(2)申請するために創業者が確認すべき要件とは
創業者の申請要件は、募集要項をみる限り東京都や公社が実施する一定の創業支援や、
出資制度を利用する必要があります。
募集要項に記載された13個ある要件の内、比較的取り組みやすそうな次の①~④を紹介します。
(公団)東京都中小企業振興公社が実施する事業
①「事業可能性評価事業」において過去3年の期間内に「事業の可能性あり」と評価され、
継続的支援を受けている者
②「TOKYO創業ステーションにおける事業計画策定支援」を就労し、証明を受けたもの
東京都が実施する事業
③「女性・若者・シニア創業サポート事業」について取扱金融機関から融資を受け証明を受けた者
④青山創業促進センターにおける「アクセラレーションプログラム」を受講、又は以前受講した者
その他の細かい申請要件については、募集要項をご確認ください。
3.助成対象経費
(1)人件費
都内事業所において、助成事業者と直接雇用契約を締結した従業員に対する給与・賃金
※交付決定日より前に雇用した者(パート・アルバイトも含む)
≪給与・賃金例≫
①正規従業員給与(賞与):限度額(月額)35万円/ 1人
②パート・アルバイト賃金:限度額(日額)8,000円/ 1人
≪含まれないもの≫
・休日労働
・就業規則等に定められた所定労働時間を超えて行われえる時間外労働
・派遣・委託等、助成事業者と直接雇用契約を締結していない場合 など
(2)賃借料
助成事業に必要な不動産(事務所・店舗等)及び備品など、助成対象期間を通して継続的に賃借する経費
※交付決定日以前に既に借りていて、継続して支払う賃借を含む
≪不動産・備品例≫
①都内事務所・店舗・駐車場にかかる賃借料および共益費
②都内事務所・店舗において使用する備品のリース・レンタル料金
③業務用に使用するサーバーなどのレンタル料金
≪含まれないもの≫
・火災保険料、地震保険料
・住所兼店舗・事務所について、間仕切り等物理的に区別されていないもの
・事務所・店舗等の賃貸借契約に係る敷金・礼金・保証金 など
(3)専門家謝金
創業期の事業立ち上げに必要な外部専門家等に手数料として支払われる経費
≪含まれないもの≫
・法人設立に当たって支払われる経費
・本助成金の書類作成代行費用
(4)広告費
自社で行う広報に係る経費
※購入を行う際の配送料も含む
≪広告経費例≫
・切手の購入費用、展示会出展を他事業者と共同で実施するもの など
(5)備品費
創業期に必要な机、PC,コピー機等の器具備品の購入費
※購入を行う際の配送料を含む
≪備品購入費例≫
①1つあたりの購入単価:50万円未満(税込)
②1つあたりの購入単価に含まれるもの:応接セット、PCなど複数のもので構成され、同時に購入する場合の合計金額
③簡易な据付工事を含むエアコン等(建物付属設備となるものは除く)
≪含まれないもの≫
・事務用消耗品、日用消耗品
・中古品の購入費 など
4.助成限度額・助成率
助成率:助成対象経費の3分の2以内
助成限度額:300万円(下限額100万円)
5.申請期間
平成29年11月1日(水)~平成29年11月9日(木)
※期間中の消印有効です
(1)申請期間に注意
この助成事業は、ほかの助成金の申請期間と比較しても特に短く、申請期間は8日間のみという
期間の短さもポイントのひとつです。
申請書の手続きは郵送のみ、簡易書留、一般書留、レターパックプラスの受付です。
(公団)東京都中小企業振興公社 事業戦略部 創業支援化 創業助成係 が提出窓口です。
〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-1-1 明治安田生命ビル低層棟2階
電話:03-5220-1142
(2)助成対象期間
交付決定日(平成30年3月1日予定)から1年以上2年(平成32年2月29日)の間で、事業に必要な期間
(3)助成金を申請する上での条件
この助成事業の交付決定を受けた段階で、「負担付贈与契約」の契約成立になります。
「契約」という言葉に驚いてしまう方もいるかもしれませんが、大丈夫です。
簡潔に言うと、助成事業を行う代わりに条件を守ってね、という双方合意契約を結ぶものです。
助成事業を行う代わりの条件とは、次の①~③を行うことです。
①個人および個人事業主は助成対象期間中に法人成立を行わないこと
②原則、助成事業を完了した年度の翌年度から5年間、都内の事業所で事業活動を行うこと
③助成対象期間中に交付決定を受けた取り組みを適切に遂行すること
6.審査方法
この助成事業は、書類審査だけではありません。
書類審査を通過した申請者は、面接審査および総合審査※を行った上で対象者が決定されます。
※総合審査とは
書類審査と面接審査の結果を元に助成対象者の適否を判断するもの
(1)審査のポイント
まずは、申請者および申請内容が申請要件と適合しているかを確認することが前提条件です。
審査の際には、下記ア~オ内容が重視されるので十分確認した上で申請を行うようにして下さい。
ア)内容の明確性
事業に活かせる自分の強みや事業で何がしたいのかなど
イ)マーケティングの有効性
ターゲットとする顧客や市場、商品・サービスとその提供方法等の販売戦略など
ウ)事業の実現性
必要な経営資源の調達状況、助成対象期間中の商品・サービスの提供など
エ)申請経費の適格性
販売計画や経営収支と連動した経費であるかなど
オ)助成事業としての適格性(内容審査のみ)
助成金による効果(雇用、経済、社会)など
7.手続きの流れ
Step1:申請書提出
11月1日(水)~11月9日(木)
↓
Step2:書類・面接・総合審査
11月中旬~2月下旬
↓
Step3:助成金の交付決定日
3月1日予定
↓
Step4:事務手続き説明会
3月中旬
↓
Step5:事業実施
↓
Step6:完了報告・完了検査
↓
Step7:助成金交付
申請書の取得は、公社ホームページよりダウンロードをお願いいたします。
8.まとめ
いかがでしたか?
これから起業を考えている方や、起業から間もない事業者の方にとっては心強い制度なのではないでしょうか。この助成事業は、創業支援や出資制度を受けた証明書を提出することが申請要件のひとつでもあります。認定を受けておらず、「もう間に合わない!」と感じている方も安心してください。助成期間中に受ける見込みがある場合は申請可能なので、諦めてしまわずに支援事業の窓口へ問い合わせをしてみてくださいね。
また、書類申請にあたっては実現可能性の高い事業計画の提出が必要になります。
これは、助成金申請の有無に関わらず創業にあたっては考えておくべきことであり、専門家の創業支援を受けて評価認定を受けることができる事も、この助成事業の魅力のひとつです。
創業者向けの助成制度は、今回ご紹介した以外にも、都道府県や市町村単位で独自の補助金を設けているものがあります。例えば、事務所賃料の補助、ホームページ作成の補助など目的に応じて様々な補助金が出ています。
起業を検討されている方は、起業を考えている地域でどのような助成事業があるのか、まずは調べてみることをオススメします。
創業補助金のQ&Amo是非お読みください!
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