今回ご紹介する地域DX促進活動支援事業は地域企業がDX化を実現するために、産学官金の関係者が一体となった支援コミュニティに対して出される補助金です。
DX化実現のために必要な経営・デジタルに関する専門的な知見やノウハウを補完するための各種支援活動にかかる費用を補助するもので、DXを推進して、地域企業の生産性を向上させることを目的としています。
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この記事の目次
DX化の推進が叫ばれる背景
【デジタル投資の加速】
昨今、日本国内の企業はDX化が急速に進んでいます。
主な背景として、コロナ情勢の中、感染防止拡大に伴う自粛によりテレワークなどの働き方改革、Eコマースや教育ICTなどのサービス提供手段の改革があります。
出典:東京都産業労働局 「2021年テレワーク実施率調査結果」
また、他にもスマートフォンの台頭により、消費者行動は激変し、企業もそれに合わせてIT技術の導入をする必要性が高まってきているという点もあります。
グローバル化が進む中、世界的にもこの動きが大幅に進んでおり、日本の企業群も都市・地方、業種問わずこの流れに沿った動きを求められてきております。
【デジタル田園都市国家構想】
デジタル田園都市国家構想とは、地方のデジタル化を進めることでビジネスや教育、医療といった地方と都市の差を縮めようといった着眼点から出されたアイデアです。岸田総理は、2021年10月に行われた会議で、この構想を国家成長戦略の第二の柱として位置づけしました。
出典:内閣官房HP「第4回デジタルから考えるデジタル田園都市国家構想」
地域DX促進活動支援事業とは
【地域DX促進活動支援事業の目的】
本事業は上述の構想のもと、行われる取り組みの一つです。
地域企業で取り組みが遅れているDXを強力に推進し、生産性を向上させることを目的としています。地域DX推進コミュニティを整備し、地域企業がDXを実現させるために必要な経営・デジタルに関する専門的知見やノウハウを補完するための各種支援活動に要する費用を補助します。
対象者について
【地域DX推進コミュニティの定義】
地域DX推進コミュニティとは、複数の主体が、地域企業の DX 推進に向けて連携・協働する実施体制であり、代表機関及び代表機関と共に地域企業を支援する構成員の連携体を指します。
◆代表機関(補助事業者)
代表機関は、地域企業に対する各種支援に止まらず、補助事業全体の運営管理、構成員相互の調整を主体的に行う者です。また、補助事業者として、経済産業省との総合的な連絡窓口を担うとともに、構成員に対して委託・外注・謝金支払いを行う等、補助事業の遂行・経費管理における責任を有します。
◆構成員
構成員は、経営・デジタルに関する専門的知見・ノウハウを持つ産学官金の関係機関・団体等で、代表機関と共に、地域企業に対する課題分析・戦略策定支援や、ソリューション提供事業者とのマッチング支援等の各種支援活動に取り組み、必要に応じて代表機関から委託・ 外注・謝金支払い等を受ける者です。 具体的には、産業支援機関、地域金融機関、商工団体、教育・研究機関、ITベンダー・Tech系ベンチャー等を想定しています。 なお、事業開始後、必要に応じて構成員を追加することも可能です。
<参考>地域企業
地域企業は、地域DX推進コミュニティによる各種支援を受ける者で、補助金の交付は受けません。
補助対象事業
代表機関および構成員が地域企業に対して実施する以下の取り組みを支援します。
①地域企業の DX 推進に向けた課題分析・戦略策定の伴走型支援【必須】
②地域企業とソリューション提供事業者(ITベンダー等)とのマッチング支援【必須】
③その他、地域企業の DX 推進に向けた支援活動【任意】
③の具体的な活動のイメージとして、地域企業の DX 推進に向けた伴走型支援、地域企業のDXに関する機運醸成やDXの推進に必要なサイバーセキュリティ対策、兼業・副業人材の活用等を含むデジタル人材の確保・育成等に関する各種セミナー・勉強会等の実施等があげられます。
【事業実施期間】
交付決定日~令和5年3月31日
補助金の応募資格
◆地域DXコミュニティの主な要件
地域DX推進コミュニティは、以下の要件を満たす必要があります。
①後述の代表機関及び構成員によって構成されるものとし、事業の実施に必要な知見やノウハウ等を有する者を含むこと。
② 経済産業省からの連絡、指示、問い合わせ等への対応は、代表機関の担当責任者がその責任を持って担当すること。また、代表機関の担当責任者は、自らの責任において当該対応内容に ついて構成員へ共有すること。
③ 総括事業代表者、副総括事業代表者、事務管理責任者を配置すること。なお、これらの代表者・ 責任者には、実際に本事業の運営推進に携わる人を任命すること。特に、総括事業代表者、副総括事業代表者は、採択決定後に経済産業省が行うヒアリング等には必ずどちらかが出席すること。
④ 構成員からの年会費や支援対象となる地域企業からの対価(報酬)等の収入を得る仕組みを構築し、補助事業終了後も継続的に事業を実施するための事業実施計画を策定 していること。それを踏まえて、地域DX推進コミュニティは、補助事業終了後5年間は地域企業への支援活動を継続すること。
◆代表機関及び構成員の主な要件
代表機関及び構成員は、次の要件をいずれも満たす者に限ります。
①日本国内に拠点を有していること。
②経済産業省からの補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている者ではないこと。
また他にも下記の要件を満たす必要があります。
(1)代表機関(1者)
①当該事業の期間中及び当該事業の終了後における事業の実施主体であること。
②法人格を有すること。(地方公共団体は除く。)
③代表機関としての業務を遂行するに十分な管理能力があり、そのための人員等の体制が整備されていること。
④交付決定後の地域 DX 推進コミュニティの経理実務について、責任を持って管理できること。
⑤当該事業を実施できる財政的健全性を有していること。
⑥ 総括事業代表者、事務管理責任者を代表機関に所属する者から選出すること。
⑦補助金の交付は事業終了後となるため、事業実施期間中に発生する経費を補助金の受領前に立替払いすることが可能であること。
⑧当該事業の期間中及び当該事業の終了後3年度までにおいて、経済産業省の求めに応じて、指定の方法で事業の活動状況・成果等を報告可能な主体であること。
⑨別の地域DX推進コミュニティにおける代表機関ではないこと。
⑩令和3年度補正「地域デジタル人材育成・確保推進事業(現場研修プログラム候補の 案件組成事業)」に申請していないこと。
(2)構成員(4者以上)
①当該事業に取り組む実施体制を有していること。
②各地域の実情を把握している、地域の産業支援機関、地域金融機関、商工団体、教育・研究開発機関等が2者以上、かつ地域企業に不足するデジタルに 関する専門的知見・ノウハウ持つ、ITベンダー、Tech系ベンチャー等が2者以上の参画を必須とする。
事業類型・補助率・補助上限額
本事業では、地域企業に対する支援活動を実施する範囲に応じて3つの事業類型を設けています。
事業類型により要件、補助上限額が異なります。
(1)A類型
・要件:支援対象地域が単独の都道府県内の場合
・補助率:10/10
・補助上限額:2,000万円
(2)B類型
・要件:支援対象地域が2都道府県に跨がる場合
・補助率:10/10
・補助上限額:2,500万円
(3)C類型
・要件:支援対象地域が3つ以上の都道府県に跨がる場合
・補助率:10/10
・補助上限額:3,000万
【採択予定件数】
採択予定件数は20件程度となっています。
類型ごとで採択予定件数の上限は設けず、全類型の合計で20件程度の採択を予定しています。また、採択予定件数は公募開始時点での想定であり、今後変更になることがあります。
補助対象経費
本事業の対象とする経費は、事業の遂行に直接必要な経費及び事業成果の取りまとめに必要な経費であり、具体的には以下のとおりです。
(1)人件費
事業に直接従事する者の直接作業時間に対する人件費
(2)事業費
①旅費
②会場費
③謝金
④備品費
⑤借料及び賃料
⑥消耗品費
⑦印刷製本費
⑧広報費
⑨補助員人件費
⑩その他諸経費
⑪委託・外注費
応募手続きについて
【募集期間】
令和4年2月24日(木曜日)~令和4年3月29日(火曜日)17時00分
【応募書類】
(1)申請書(総括事業代表者経歴書、副総括事業代表者経歴書、事務管理責任者経歴書、代表機関の概要、構成員の概要)
(2)提案書
(3)別添1 スケジュール・支出計画・資金調達内訳
(4)代表機関の直近の決算報告書(1か年分の貸借対照表、損益計算書)
(5)代表機関の団体・企業概要(パンフレット等)※任意
【応募方法】
(1)補助金申請システム「Jグランツ」で応募を受け付けます。Jグランツでは、本申請を受け付けるとともに、通知等を行います。Jグランツを利用するにはGビズIDの取得が必要です。
(2)応募書類に記載された情報については、審査、管理、確定、精算、政策効果検証といった一連の業務遂行のためにのみ利用します。なお、応募書類は返却しません。
(3)応募書類等の作成費は経費に含まれません。また、選定の正否を問わず、提案書の作成費用は支給されません。
(4)提案書に記載する内容については、今後の事業実施の基本方針となりますので、予算額内で実現が確約されることのみ表明してください。なお、採択後であっても、申請者の都合により記載された内容に大幅な変更があった場合には、不採択となることが あります。
※Jグランツを使用する場合には設立登記法人及び個人事業主以外の申請者は、システム利用に必要なGビズIDの取得ができません。
地域DX促進活動支援事業のメリット
日本企業でDX化が中々進まない原因の一つとなっているのが、DX化を推進する人材の不足です。
出典:DX推進の課題「人材がいない」「予算がない」 調査でわかった日本企業の悲しい現実 (株式会社フレクトのデータを参照)
今回の支援事業では、補助金を支給することによって、ベンダー側とのマッチングを促進する狙いがあります。
支援される地域企業にとっては、社内だけでは対応できなかった部分を、専門的な知識を有する事業者が、運用体制の構築まで5年間従事してもらえるので、これまでアナログ的だった方法から大きな改善が見込めるでしょう。
また、支援事業者にとっても補助金を活用することで新たな販路開拓への足がかりにすることが可能です。
まとめ
以上が地域DX促進活動支援事業についての内容になります。今回の補助金は地域企業がDX化を実現するために、産学官金の関係者が一体となった支援コミュニティに対して出される補助金です。
DX化は特に地方においてはまだまだ不十分な領域なので、こういった制度を使うことによって競争優位性を築く事が可能になります。
審査基準として、事業の有効性、将来性、合理性や支援地域への理解度が求められます。また、今回は支援活動地域が広域であるB型、C型ほど加点があります。申請時は、これらを踏まえた上で書類を作成して提出するようにしましょう。