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中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の見直しを解説

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「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」とは、中途採用者の雇用管理制度を整備し中途採用拡大を図る事業主に対して、助成金を支給する制度です。令和4年度第二次補正予算案によって、中途採用等支援助成金の見直しが実施され、助成対象や助成額の改正が行われました。今後「キャリアのある世代を積極的に中途採用したい」という企業は、今回の記事を参考にして正しい手順で申請する準備を整えておきましょう。

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この記事の目次

政府が45歳以上の中途採用率の拡大に取り組む理由

令和元年9月に厚生労働省職業安定所が発表した調査によると、「45歳以上の人材を積極的に中途採用したい」と考えている企業の割合は、わずか3.1%という結果になりました。45歳以上の人材は、これまでの経験から戦力となることが期待できる一方で、「年齢が高い」ということで採用に消極的な企業が多いこともわかります。

しかし、人生100年時代と言われる中で、45歳はまだまだ現役世代です。45歳がまだまだ働ける年齢であることを踏まえ、幅広い世代の労働者に雇用の機会を生み出すために、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)を活用し企業の採用支援を行なっているのです。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)見直しの内容

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)における、現行制度と見直し後の制度の相違点は以下の通りです。

1.助成対象の改正

改正前改正後
中途採用率の拡大 中途採用率を20ポイント以上、上昇させた事業主に対する助成(中途採用計画期間前3年間の中途採用率が60%未満の事業所に限る) 中途採用率の拡大 中途採用率を20ポイント以上、上昇させた事業主に対する助成(中途採用計画期間前3年間の中途採用率が60%未満の事業所に限らず対象となる)
45歳以上の方の初採用 45歳以上の労働者を初めて中途採用した事業主に対する助成(これまで45歳以上の方を中途採用したことのない事業所に限る) 45歳以上の中途採用率の拡大 以下のすべてを満たす事業主に対する助成(中途採用計画期間前3年間の中途採用率が60%未満の事業所に限らず対象となる)
•中途採用率を20ポイント以上、上昇させた
•20ポイントのうち、45歳以上の労働者で10ポイント以上、上昇させた
・当該45歳以上の労働者全員の賃金を、前職と比べて5%以上、上昇させた
情報公表+中途採用者数の拡大 中途採用に係る情報公表を行い、中途採用者数を拡大させた事業主に対する助成 撤廃

2.助成額の改正

改正前改正後
中途採用率の拡大 ・20ポイント以上、上昇させた場合→50万円
・40ポイント以上、上昇させた場合→70万円
※これまで中途採用を行ったことがない場合は、上記+10万円
中途採用率の拡大 50万円
45歳以上の方の初採用 60万円または70万円(60歳以上の方を初採用した場合は70万円) 45歳以上の中途採用率の拡大 100万円
情報公表+中途採用者数の拡大 30万円(対象者が1年定着の場合はさらに20万円)

申請の流れ

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の主な申請の流れは以下の通りです。

(1)以下の2点を実施する
・中途採用計画の作成
・中途採用に係る情報の公表(常時雇用する労働者数が300人を超える事業主のみ)

(2)自社が申請するコースに対して中途採用計画を労働局へ提出する

(3)中途採用者の雇用管理制度を整備し、対象となる労働者を雇用する

(4)要件を満たした場合、助成金が支給される

対象となる事業主

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の対象となるのは、以下2パターンのいずれかに該当する事業主です。

パターンA:
常時雇用する労働者の数が300人以内で、以下【具体的な要件】の1〜9に該当する事業主

パターンB:
常時雇用する労働者の数が300人を超えており、以下【具体的な要件】の1~10に該当する事業主

【具体的な要件】
1. 雇用保険適用事業所の事業主である

2. 支給のための審査に協力できる(審査に必要な書類等を整備し保管している・審査に必要な書類等の提出を管轄労働局から求められた場合に応じる・管轄労働局等の実地調査を受け入れるetc)

3. 申請期間内に申請を行う

4. 支給対象者に対する賃金を支払い期日までに支払っている(期日を超えて支払っていない場合でも、支給申請までに当該賃金を支払った場合は対象となる)

5. 事業所において、以下ア〜ウの書類を整備、保管している(船員法において整備、保管が義務づけられている書類を含む)
ア:支給対象者の出勤状況が日ごとに明らかにされた出勤簿やタイムカード、船員法第67条で定められた記録簿等
イ:支給対象者に対して支払われた賃金について、基本賃金とその他諸手当が明確に区分されて記載された賃金台帳、または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
ウ:離職した労働者(日々雇い入れる者を除く)の氏名、離職年月日、離職理由等が明らかにされた労働者名簿等の書類

6. 中途採用計画の提出日の前日から起算して、6ヶ月前の日から支給申請書の提出日までの間(以下「基準期間」)に、事業所で雇用する雇用保険被保険者を、事業主都合で解雇等(退職勧奨を含む)していない。短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除く

7. 基準期間に、雇用保険法第23条第1項に規定する「特定受給資格者」となる離職理由のうち、「離職区分1Aまたは3Aとされる離職理由により離職した」として雇用保険失業給付の手続きを取った人数が、中途採用計画の提出日における雇用保険被保険者数に対して6%を超えていない

8. 過去に【中途採用率の拡大】または【45 歳以上の中途採用率の拡大】に取り組み、本コースの助成を受けたことがない事業主。なお、同様の取り組みによって、労働移動支援助成金(中途採用拡大コース)における助成を受けた場合も助成を受けられない

9. 本コースの申請を行う事業所が、中途採用計画期間の初日の前日から起算して3年前の日において、雇用保険適用事業所である(当該3年前の日において、雇用保険被保険者が存在している)

10. 中採用計画提出時点において、労働施策総合推進法第27条の2の規定に基づき、中途採用で雇った者の割合を公表している

支給対象労働者

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の対象となるのは、以下の要件A・Bを両方満たす労働者です。

A:中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)を申請する事業主によって、中途採用計画期間中に雇われている
B:以下【具体的な要件】の1~6を満たす労働者である

【具体的な要件】
1. 申請事業主に中途採用で雇われている(新規学卒者および新規学卒者と同一の枠組みで採用された労働者以外を指す)

2. 雇用保険の一般被保険者、または高年齢被保険者として雇われている

3. 期間の定めのない労働者(パートタイムを除く)として雇われている。なお、パートタイムとは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者のことを指す

4. 雇われた日の前日から起算したその日以前1年間において、雇用関係や出向、派遣、請負、委任により、申請事業主の事業所において就労したことがない

5. 雇われた日の前日から起算したその日以前1年間において、申請事業主との関係が、以下のア~ウのいずれかに該当する事業主に雇用されていた方ではない
ア:両者が親会社と子会社、またはその逆の関係にある
イ:取締役会の構成員について、両者の代表取締役が同一人物である。または取締役を兼務している方が、いずれかの取締役会の過半数を占めている
ウ:その他、資本的・経済的・組織的関連性等からみて、両者が独立性を認められないもの

6. (【45歳以上の中途採用率の拡大】に申請する場合)雇われた際の年齢が45歳以上である

支給対象となる措置

以下の1~8の取り組みを実施したうえで、支給対象者を雇った場合に助成金を受給できます。

支給対象となる措置
1.ア〜ウのすべてを満たす中途採用計画を策定している
ア:中途採用者の雇用管理制度を整備するものであり、中途採用者に適用される募集・採用以外の雇用管理制度が、新規学卒者等への適用と同じである。なお、ここでの「雇用管理制度」とは、募集・採用を除く、労働時間・休日、雇用契約期間、評価・処遇制度、福利厚生などを指す
イ:中途採用計画期間内の中途採用の拡大について計画している。計画では、採用予定職種や採用予定者数、採用予定時期、採用目的、配置予定部署・役職、採用時の評価方法、採用後のモデルキャリアを定めることが必要となる
ウ:中途採用計画期間が1年間である
2.中途採用計画を含め、本コースの支給要件を満たす確認を求めるための各種申請書類を、管轄の労働局へ提出している
3.中途採用計画期間中に採用した支給対象者を、支給決定日までに事業主都合により解雇等(退職勧奨を含む)していない
4.中途採用計画期間中に、支給対象者を2人以上雇っている
5.計画期間中の中途採用率から、計画開始日の前日から過去3年間の中途採用率を減じた値を20ポイント(中途採用率拡大目標値)以上とする
6.支給対象者のうち、雇った日から起算して6ヶ月を経過するまでに、離職者の割合が20%未満である
7.(【45歳以上の中途採用率の拡大】に申請する場合)計画期間中の45歳以上中途採用率から、計画開始日の前日から過去3年間の45歳以上中途採用率を減じた値を10ポイント(45歳以上中途採用率拡大目標値)以上とする
8.(【45歳以上の中途採用率の拡大】に申請する場合)すべての45歳以上支給対象者について、直近の雇入れ前事業所において支払われた賃金と、当該45歳以上支給対象者の雇入れ後6ヶ月間の賃金支払い日ごとに支払われる賃金を比較して、いずれも5%以上上昇させている

支給額について

支給額は、下記の実施区分に応じて異なります。

実施区分 支給額
中途採用率の拡大 1事業所あたり50万円
45歳以上の中途採用率の拡大 1事業所あたり100万円

受給手続きおよび必要書類について

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は以下の手順で申請手付きを行いましょう。各段階で必要な書類も紹介します。

(1)中途採用計画の届出

「中途採用計画」を策定し、中途採用計画の開始日前日から起算して6ヶ月前の日から、中途採用計画の開始日前日までに、以下の書類を管轄の労働局へ提出する。

必要書類 備考(あれば)
中途採用計画(変更)届
中途採用計画
採用規程、就業規則、賃金規程、人事評価規程等、中途採用者に適用する雇用管理制度が確認できる書類 中途採用計画前に、中途採用者の雇用管理制度が整備されている場合のみ必要
採用規程、就業規則、賃金規程、人事評価規程等、新規学卒者に適用する雇用管理制度が確認できる書類(中途採用者に適用される雇用管理制度が新規学卒者に適用される雇用管理制度と異なる場合のみ必要) 中途採用計画前に、中途採用者の雇用管理制度が整備されている場合のみ必要
中途採用率算定対象一覧(計画期間前)
中途採用の情報公表(中途採用によって雇われた者の割合)の義務を履行していることが確認できる自社ホームページの写し等の書類 常時雇用する労働者の数が 300 人を超える事業主の場合のみ必要

(2)中途採用計画の内容変更・取下げ

提出した中途採用計画において、以下のA・Bいずれかのパターンによる変更がある場合、指定の書類を管轄の労働局に提出する。

A:提出した中途採用計画において以下の変更が生じた場合
以下の書類を、変更が生じたタイミングで遅滞なく提出することが必要。

必要書類 備考(あれば)
中途採用計画(変更)届
中途採用計画
中途採用率算定対象一覧(計画期間前) 記載した対象者に変更があった場合のみ必要

B:「中途採用者の雇入れを行わなくなった」等、中途採用計画の実施が困難になり計画届を取り下げる場合
以下の書類を、支給申請書を提出する前までに遅滞なく提出することが必要。
・中途採用計画取下げ届

(3)支給申請

中途採用計画期間の終了日翌日から起算して、6ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内に、以下の書類を管轄の労働局へ提出して支給申請を行う。

対象コース 必要書類 備考(あれば)
共通 支給申請書
共通 中途採用率算定対象者一覧(計画期間)
共通 支給対象者雇用状況等申立書
共通 支給要件確認申立書
共通 採用規程、就業規則、賃金規程、人事評価規程等、中途採用者に適用する雇用管理制度が確認できる書類 中途採用計画届出時に提出している場合は不要
共通 雇用契約書、または雇入れ通知書等、支給対象者の雇入れ日と期間の定めのない労働者として雇用されていることがわかる書類
共通 支給対象者の雇入れ日から支給申請日までに支払われた賃金が、手当ごとに区分された賃金台帳、または船員報酬支払簿、あるいはその写し
共通 支給対象者の雇入れ日の属する月の出勤簿等
【45歳以上の中途採用率の拡大】のみ 45歳以上支給対象者の雇入れ前事業所において、支払われた賃金が確認できる以下ア〜オのいずれかの書類
ア:再就職援助計画対象労働者証明書
イ:給与明細等
ウ:退職時等の証明
エ:雇用保険被保険者離職票
オ:雇用保険受給資格者証
本人の同意があった書類に限る
【45歳以上の中途採用率の拡大】のみ 45歳以上支給対象者について、雇入れ後6ヶ月間の各月の賃金を、手当ごとに区分された賃金台帳または船員報酬支払簿、あるいはその写し すでに提出済みの場合は不要

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)活用のメリット

中途採用に限らず、採用活動には多額のコストがかかります。2020年に就職みらい研究所が実施した調査によると、採用コストの平均は「新卒93.6万円/人」「中途採用103.3万円/人」という結果になりました。採用者が増えるほど金額も膨らむため、例えば「経験豊富な45歳以上を採用したい」と考えても、躊躇してしまう企業も多いでしょう。

中途採用等支援助成金を活用して助成金を受給することで、上記の採用コストを削減できます。「事業拡大のために経験豊富な人材を複数採用したい」などを考えている事業者にとっては魅力的でしょう。

まとめ

中途採用等支援助成金では、45歳以上の人材を中途採用する事業主を資金面で支援してくれます。企業の採用活動には多額のコストがかかるため、大きな負担となる部分を軽減できるのは企業にとって魅力的です。事業拡大のために経験豊富な人材を採用したい企業は、積極的に活用しましょう。

参考:厚生労働省 中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)

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