
中小企業のデジタル化推進が急務となる中、東京都では令和7年(2025年)度も「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」を実施します。これはソフトウェア購入やクラウドサービス利用にかかる費用を最大100万円まで補助し、専門家によるフォローアップ支援を行う制度です。
今回は中小企業デジタルツール導入促進支援事業の概要や申請方法、活用メリットまで詳しく解説します。
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この記事の目次
中小企業におけるデジタルツール導入の現状
人材不足や働き方の多様化への対策として、中小企業におけるデジタル化は大きく発展してきました。2025年版「中小企業白書・小規模企業白書」では、2023年には30.8%だった非デジタル化の割合は、2024年には12.5%まで減少したことが報告されています。
出典:中小企業庁 2025年版「中小企業白書・小規模企業白書」
一方で、まだデジタル化に全く取り組んでいない中小企業も一定数存在します。特に中小企業では、設備投資額総額に占めるソフトウェア投資額の比率が低くなりました。
出典:中小企業庁 2025年版「中小企業白書・小規模企業白書」
限られた人材で最大限の成果を上げるためのデジタル化は、中小企業の業績に大きな影響を及ぼします。しかし予算的な余裕の少ない企業では、新しい設備への投資が難しいのが現状です。
中小企業デジタルツール導入促進支援事業とは
中小企業デジタルツール導入促進支援事業は、都内中小企業等を対象に、デジタルツールの新たな導入補助と、「専門家によるフォローアップ支援」を行う制度です。事業活動のデジタル化の促進を図り、継続的な成長・発展を支援することを目的としています。なお本事業におけるデジタルツールとは、一般に販売されているパッケージ製品のソフトウェア・クラウドサービスを指します。
まずは補助事業の概要をみていきましょう。
助成対象事業
助成の対象となるのは、以下両方に該当するものです。
■事業活動のデジタル化のためにデジタルツールを新たに導入し、運用を開始すること |
■継続的にデジタルツールを活用し、自社業務の成長・発展を図る取組であること |
たとえば以下のような事業が、対象となります。
- 複数の業務改善ソフトウェアまたはクラウドサービスを新たに導入することで、バックオフィス業務の工数を削減する
- グループウェアやコミュニケーションツールを新たに導入することで、社内コミュニケーションの活性化やナレッジ共有を促進する
- マーケティングオートメーションツールを新たに導入し、営業・マーケティング活動の自動化を促進する 等
ただし、申請要件や助成対象経費に該当しないものは、すべて対象外となります。
主な申請要件
対象となるのは、主に以下の要件を満たす中小企業です。
(1) 次の両方を満たすこと |
・申請時に、東京都内に登記簿上の本店または支店があること ・個人の場合は、都内所在地等が確認できること ・東京都内で実質的に事業を行っていること |
(2) 取組の実施場所が、以下の両方にも該当すること |
・申請者の本社、事業所、工場等であること(賃借の場合を含む) ・完了検査時、新たに導入したデジタルツールを使用し、運用を開始していること |
(3) 以下のすべてを満たすこと |
・同一の内容で、公益財団法人東京都中小企業振興公社や国などから、重複して助成金や補助金の交付を受けていないこと ・これまでに当助成事業で採択を受けている場合は、令和7年6月11日時点で、助成金額が確定していること ・事業税等を滞納していないこと ・過去5年間に、不正等の事故を起こしていないこと ・過去5年間、必要な「企業化状況報告書」や「実施結果状況報告書」等を期日までに提出していること ・助成事業終了後も、引き続き自社の継続的な成長・発展を計画していること ・助成事業の継続について不確実な状況が存在しないこと ・必要な許認可を取得し、関係法令を遵守すること ・暴力団関係者等や風俗関連業を営む者でないこと ・その他、公社が公的資金の助成先として適切でないと判断するものではないこと |
なお、一般財団法人・一般社団法人・特定非営利活動法人(NPO法人)・学校法人・宗教法人・医療法人・社会福祉法人・農事組合法人等は、申請できません。
助成対象経費
助成の対象となる主な経費は、以下のとおりです。
ソフトウェア導入費、クラウド利用費 |
・新たに導入し運用を開始するソフトウェアおよび、クラウドサービスの購入、利用に要する経費 |
・上記の導入に伴う初期設定、カスタマイズ、運用・保守サポートに要する経費 |
なお、以下のものは、助成対象外です。
- 消費税・収入印紙代・振込手数料などの間接経費
- 広告宣伝費や広告宣伝に類する経費
- 通信費
- 顧客が実質負担する費用が、ソフトウェア代金に含まれるもの
- 第三者への賃貸、贈呈、販売等を目的としたツール購入等に係る経費
- 自社製品の購入に係る経費、自社で内製する場合の経費
- 最低限の必要性(数量・スペック)を超える部分に係る経費
- カスタマイズ開発を行う場合等の、要件定義に該当する経費
- 公的資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
そのほか、中古品やリースの利用、または著しく古い製品の購入は、認められません。
助成率・限度額
助成率 | 1/2(小規模企業者は2/3) |
助成限度額 | 最大100万円 |
なお申請できる助成金の下限額は、5万円です。またデジタルツール導入にかかる初期設定・カスタマイズ・運用、保守サポートに要する費用(関連経費)については、助成上限額が50万円となります。
助成対象期間
助成対象期間は、2年間です。
デジタルツールの導入は、助成対象期間内に必ず完了させてください。また助成対象となるのは、この期間内に契約・取得・実施・支払および運用開始までを完了した経費のみです。
中小企業デジタルツール導入促進支援事業の申請について
本事業の申請には「jGrants」を使用します。jGrantsの利用には、gBizIDプライムが必要です。取得には2週間程度かかりますので、余裕をもって準備してください。
そのほか、申請の流れやスケジュールをみていきましょう。
申請の流れとスケジュール
申請の主な流れとスケジュールは、以下のとおりです。
(1) 申請
令和7年(2025年)6月11日(水)~7月4日(金)
(2) 審査
令和7年6月中旬~令和7年8月中旬
(3) 交付決定
・第1回:令和7年7月下旬
・第2回:令和7年8月下旬
(4) 事業実施
・第1回:令和7年8月1日~最長で令和9年7月31日
・第2回:令和7年9月1日~最長で令和9年8月31日
(5) 実績報告・検査
(6) 助成金請求
(7) 助成金の支払い
請求書到着から1か月程度
主な提出書類
申請時に提出が必要な書類は、以下のとおりです。
- 申請前確認書
- 交付申請書
- 履歴事項全部証明書または個人事業の開業・廃業等届出書
- 直近1期分の確定申告書
- 事業税納税証明書
- 住民税納税証明書
- 見積書
申請前確認書と交付申請書は、電子システムに直接入力してください。
中小企業デジタルツール導入促進支援事業活用のメリット
中小企業のデジタル化では、予算以外にも、専門知識の不足が壁になっています。また導入後、必要な機能を使いこなすには、担当者の研修や専門人材の確保が必要です。
中小企業デジタルツール導入促進支援事業では、デジタルツールの導入費用補助のほか、専門家によるフォローアップ支援も提供されます。ツールの使い方から自社にあった機能の選定、さらなるデジタル化に向けた展望まで、専門家にさまざまな相談ができる制度です。
デジタルツールの導入は、企業の競争力と持続可能性を向上させる取組のひとつ。蓄積されるデータを活用した経営判断や、新たなビジネスモデルの構築も可能になります。
さらに働き方の多様化にも対応できるようになれば、優秀な人材の確保や従業員満足度の向上にもつながります。
中小企業デジタルツール導入促進支援事業を活用し、専門家のアドバイスを受けることで、時代にあった企業への改革が目指せるのです。
まとめ
中小企業デジタルツール導入促進支援事業は、都内中小企業のデジタル化を支援する制度です。最大100万円の補助のほか、専門家によるフォローアップ支援によって、デジタル化に対する課題解決を目指します。
現代においては、デジタル化は企業の成長力に大きな影響を与えます。中小企業デジタルツール導入促進支援事業を活用し、初期投資の負担軽減と専門家サポートを受けて、新しい時代の企業改革を目指しましょう。
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