「両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)」は、不妊治療・月経・更年期の3つの健康課題に対応する制度を整備した中小企業を支援する制度です。これまでの「不妊治療両立支援コース」を拡充し、女性の健康課題にも対応するコースとして2025年度より創設されました。
女性従業員が安心して働き続けられる環境を整えることで、人材の定着や企業イメージの向上にもつながります。この記事では、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースの要件や申請方法、申請対象となる企業について紹介します。
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・【★本記事】不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
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この記事の目次
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースとは?
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは、不妊治療・月経・更年期の3つの健康課題と仕事の両立を支援する制度を整備し、対象となる労働者に利用させた中小企業に対して助成金が支給されるコースです。3つの区分は独立しており、それぞれ要件を満たせば1事業主あたり最大90万円が受給できます。
| 区分 | 助成額 |
|---|---|
| 不妊治療 | 30万円 |
| 女性の健康課題対応(月経) | 30万円 |
| 女性の健康課題対応(更年期) | 30万円 |
各区分とも1事業主につき1回限りの支給ですが、同一年度内に複数の区分を申請することも、同一の労働者が異なる区分の制度を利用した場合に複数申請することも可能です。
なお、令和6年度までに「不妊治療両立支援コース」を受給した事業主は、不妊治療区分は再受給できません。一方、月経・更年期は新たに要件を満たせば対象になります。
申請対象となる企業
本コースの対象となるのは、以下の「資本金の額」または「常時雇用する労働者の数」のいずれかに該当する中小企業事業主です。
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
なお、資本金等のない事業主については、常時雇用する労働者の数により判定します。
受給するために必要な4つの要件
本コースは、制度を就業規則等に整備するだけでは支給対象になりません。「制度を整える→担当者を決める→労働者に利用してもらう→雇用を継続する」の4つの要件を順に満たす必要があります。
①支援制度を整備し、就業規則に規定する
不妊治療・月経・更年期それぞれについて、以下6つの中から少なくとも1つの制度を導入します。3区分すべてを実施する必要はなく、申請したい区分について1つ以上の制度を導入していればかまいません。
・所定外労働制限制度(残業免除)
・時差出勤制度
・短時間勤務制度
・フレックスタイム制度
・在宅勤務等
導入した制度は、利用手続きや賃金の取扱いとあわせて労働協約または就業規則に明記します。育児・介護休業法に準拠する旨の規定を置くだけでは認められず、具体的な制度内容を規定として落とし込む必要があります。
短時間勤務制度を導入する場合は、1日の所定労働時間を1時間以上短縮できるようにすること、時間当たり基本給等の水準が制度利用前を下回らないこと、利用に伴って正規雇用から非正規雇用へ変更しないこと(本人希望含む)、の3点を満たす必要があります。
休暇制度については、不妊治療・月経・更年期で休暇を別々に作る必要はなく、多目的休暇1本で複数の課題に対応する形でもかまいません。労働基準法の年次有給休暇は対象外ですが、失効した年次有給休暇を活用する制度は対象となります。
なお、対象となる制度は雇用保険被保険者でないパートタイム労働者等も利用対象に含める必要があります。特定の労働者を除外する制度は助成対象外です。
②両立支援担当者を選任する
労働者からの相談に応じる両立支援担当者を1名選任します。選任は対象労働者が制度利用を開始する日の前日までに行う必要があり、事後の選任では認められません。
担当者は事業主自身、または雇用する労働者から選任します。外部の専門家に委託する場合は、社会保険労務士または医療関係の国家資格を有する者(産業医・保健師・看護師・助産師等)に限られます。キャリアコンサルタントや健康管理士は外部選任の対象外です。
③対象労働者に制度を利用してもらう
対象労働者に、整備した制度を所定労働日において合計5日(回)以上利用させます。
ここで実務上注意したいのが、「5日に分けて利用する必要がある」という点です。時間単位での利用も可能ですが、1日にまとめて取得した時間を合算して5日分とすることは認められません。
利用期間は制度利用開始日から1年以内が条件です。多目的休暇など、不妊治療・月経・更年期以外の目的でも利用できる制度を導入している場合は、当該課題対応のために利用したことが申出書等で確認できる日のみが対象としてカウントされます。
④申請日まで雇用保険被保険者として雇用を継続する
対象労働者を、制度利用開始日から申請日まで雇用保険被保険者として継続雇用していることが必要です。この間に退職・契約終了等があった場合は支給対象外となります。
申請タイミングと申請方法
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースの申請は、対象となる労働者の各制度利用期間が合計5日(回)を経過する日の翌日から2ヶ月以内に行います。申請するタイミングのイメージは、以下のとおりです。

出典:両立支援等助成金支給申請の手引き(2025(令和7)年度版)(パンフレット)
申請の際は、支給申請書や各制度の利用実績が確認できる書類、対象労働者の労働日等が確認できる書類の提出が求められます。書類の様式を両立支援等助成金の公式サイトで確認した上で、各都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)まで提出してください。
よくある質問
短時間勤務のパートタイム労働者が使っても支給対象?
助成金の支払い要件としては、雇用保険料の支払い対象とならない短時間勤務のパートタイム労働者も含め、休暇等の支援制度の対象とする必要があります。但し、その雇用保険料の支払い対象とならない方が制度を利用しただけでは支払い対象とはならず、雇用保険料を支払っている方が制度を利用した場合に事業主への支給要件を満たします。
不妊治療を男性が利用しても対象になる?
本コースは男女問わず不妊治療を対象としたものとなりますので、会社の規程に基づき、男性労働者が休暇等の支援制度を利用した場合にも、本助成金の申請対象となります。
女性のみを対象とした不妊治療の特別休暇制度を設けただけでもいい?
いいえ。本助成金の申請対象とするには、男女問わず不妊治療のための制度の対象とする必要があります。
男性も更年期症状で休暇等の支援制度を利用したら対象になる?
本コースのうちの健康課題対応は女性が主眼ではありますが、更年期症状に係る支援については企業として就業規則等を定めた上で、男性労働者がそれに基づく休暇制度等を利用した場合にも、本助成金の申請対象となります。
月経休暇を取らせる場合、無給の休暇もカウントの対象になる?
無給の休暇とした場合は、あくまで法律の規定に沿った対応をしたに過ぎず、本支援制度の対象とはなりません。
不妊治療や更年期での休暇は、無給でもいい?
不妊治療と更年期における心身の不調への対応については、無給でも支給対象となります。一方で、労働者が利用しやすい制度とする観点からは、これらについて
有給とすることをご検討ください。
出典:両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)Q&A (2026年度版)
まとめ
本コースは、主に女性が安心して働き続けられる環境づくりを支援する、新しい助成制度です。不妊治療や月経、更年期特有の症状に対し支援環境を整え、従業員が5日(回)以上利用すると、それぞれ30万円が支給されます。
この助成金を活用することで、制度整備にかかるコストを抑えながら、社内の環境改善を進めることができます。多様な働き方への対応を進めたい事業者にとって、有効な支援策となるでしょう。
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