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両立支援助成金に新設「育休中等業務代替支援コース」とは

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令和5(2023年)年、日本国内の子どもの数は、過去最少となりました。これは42年連続の減少です。少子高齢化は、日本の抱える大きな課題の一つになっています。岸田政権は「異次元の少子化対策」を明言し、育児世帯や子どもの支援を強化しています。

令和5年度補正予算案では、両立支援等助成金の拡充として、「育休中等業務代替支援コース」の新設が盛り込まれました。今回は育休中等業務代替支援コースの内容について、詳しく見ていきましょう。

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異次元の少子化対策の具体例が明らかに!こども未来戦略方針とは

この記事の目次

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両立支援等助成金の拡充の目的

両立支援等助成金は、働きながら子育てや介護を行う労働者の雇用の継続を図るための就業環境整備を支援する制度です。職業生活と家庭生活の両立支援に対する事業主等の取組を促進し、労働者の雇用の安定を図ります。

育務代替支援コース 新設の意義は

令和6年(2024年)1月から新設された「育休中等業務代替支援コース」の意義は、育児休業や育児短時間勤務を取得する従業員の業務を代替する体制整備を強化することにあります。

このコースは、中小企業事業主が周囲の労働者に手当を支給して代替業務を行わせる場合、あるいは新規雇用や派遣受入れで代替する場合に、助成金を支給します。これにより、育児休業取得者の業務継続を支援し、職場の両立支援体制を強化することを目指します。

これは政府が掲げる5つの経済対策の柱のうち、「人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変⾰を起動・推進する」に対応する政策です。

まずは両立支援等助成金全体の概要について見ていきましょう。

両立支援等助成金とは?

仕事と育児・介護等が両立できる職場環境づくりを支援する両立支援等助成金には、以下のようなコースがあります。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備措置の実施等を行い、実際に男性従業員に育児休業を取得させた場合、第1種の助成対象となります。【令和6年から】支給対象労働者数を3人までに拡充

また、その後3年以内に育児休業取得率を30%以上上昇させた場合には、第2種の適用があります。

【助成金額】
■第1種
育児休業取得 20万円など
【令和6年から】1人目で雇用環境整備措置を4つ実施した場合に10万円を加算

■第2種
1年以内の育児休業取得率の30%以上上昇達成 60万円など
【令和6年から】プラチナくるみん認定事業主の支給額を15万円加算

出典:両立支援等助成金 支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)

介護離職防止支援コース

「介護支援プラン」を策定して介護休業の取得・復帰に取り組んだり、介護のための柔軟な就労形態の制度を導入して実際に利用者が生じたりした中小企業事業主が助成されます。

具体的には、以下の2つの取組が対象です。

【介護休業】
対象労働者が介護休業を合計5日以上取得し、復帰した場合

【介護両立支援制度】
介護のための柔軟な就労形態の制度を導入し、合計20日以上利用した場合

【助成金額】
■介護休業
➀休業取得時 30万円
②職場復帰時 30万円

■介護両立支援制度
30万円

【加算措置】
業務代替支援加算:新規雇用20万円、手当支給等5万円
個別周知・環境整備加算:15万円加算

出典:両立支援等助成金 支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)

育児休業等支援コース

育児休業の円滑な取得・職場復帰のための取組を行った事業主が助成の対象です。具体的には、以下の取組や支援が対象です。

  • 育休取得
  • 対象労働者の職場復帰

【助成金額】
■育休取得
30万円

■職場復帰
30万円

出典:両立支援等助成金 支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)

柔軟な働き方選択制度等支援コース

育児中の労働者が利用できる柔軟な働き方に関する制度を複数導入したうえで、制度利用者を支援する取組を行った中小企業事業主が助成対象です。

【助成金額】
■制度を2つ導入し、利用者が生じた場合
20万円

■制度を3つ以上導入し、利用者が生じた場合
25万円

【加算措置】
対象事業主が自社の育児休業等の取得状況に関する情報を「両立支援のひろば」サイト上で公表した場合:2万円

出典:両立支援等助成金 支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)

両立支援等助成金の新コース!職場復帰後支援に使える「柔軟な働き方選択制度等支援コース」とは?

不妊治療両立支援コース

不妊治療のために利用可能な休暇制度・両立支援制度を利用しやすい環境整備に取り組み、不妊治療を行う労働者の相談に対して、休暇制度や両立支援制度のいずれかを利用させた中小企業事業主が対象です。

【助成金額】
■環境整備、休暇の取得等
1事業主あたり 30万円(1回限り)

■長期休暇の加算
1事業主あたり 30万円(1回限り)

出典:両立支援等助成金 支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)

育休中等業務代替支援コースとは

ここからは、「育休中等業務代替支援コース」について、詳しくみていきます。1月から始まった本コースは、育児と仕事の両立支援の促進と職場における育児休業取得の更なる推進を目指すものです。

育児休業や育児短時間勤務期間中の業務体制整備のため、業務を代替する周囲の労働者への手当支給や、派遣の受入含む代替要員の新規雇用を実施した事業主に助成が行われます。

1年度につき合計で10人まで、初回から5年間にわたって助成金の交付があります。

対象となる取組と助成金額は、以下の3つです。

対象となる取組 (1) 育児休業中の手当支給

育児休業を取得した労働者が行っていた業務について、周囲の労働者に手当等を支払った上で代替させた場合に、支払った手当額に応じた額を支給します。

最大125万円が交付されます。内容は、以下のとおりです。

【業務体制整備経費】
5万円(育休1か月未満の場合は2万円)

【業務代替手当】
支給額の3/4(限額は月10万円・12か月まで)

【主な要件】

  • 育児休業を取得する従業員と業務代替者の業務を見直し、効率化を図る
  • 代替業務に対応する手当等の制度を就業規則に規定する
  • 育児休業を少なくとも7日以上(所定労働日3日含む)取得させる
  • 代替期間中に手当による賃金増額を行う(手当は労働時間に応じた賃金ではない)。手当総額で1万円以上支給すること
  • 1か月以上の育児休業後、原則として原職に復帰させ、3か月以上継続雇用する(就業規則にも原職等復帰を規定化)

対象となる取組 (2) 育児短時間勤務中の手当支給

育児短時間勤務を利用する労働者の代替の場合は、最大110万円が交付されます。内容は、以下のとおりです。

【業務体制整備経費】
2万円

【業務代替手当】
支給額の3/4(上限は月3万円、子が3歳になるまで)

【主な要件】

  • 制度利用者や業務代替者の業務を見直し、効率化する
  • 代替業務に対応する手当等の制度を就業規則に規定する
  • 1か月以上の育児のための短時間勤務制度を利用させる(1日7時間以上の労働者が1時間以上短縮する場合が対象)
  • 制度利用期間中に手当による賃金増額を行う(手当は労働時間に応じた賃金ではない)。手当総額は最低3,000円以上

対象となる取組 (3) 育児休業中の新規雇用

育児休業を取得した労働者が行っていた業務を代替する労働者を新規に雇い入れた場合(新規派遣受入れも含む)に、業務を代替した期間に応じた額を支給するもので、最大67万5,000円が交付されます。代替期間に応じて、以下の額が支給されます。

【最短 (7日以上14日未満)】
9万円

【14日以上1か月未満】
13万5,000円

【1か月以上3か月未満】
27万円

【3か月以上6か月未満】
45万円

【最長 (6か月以上)】
67万5,000円

【主な要件】

  • 育児休業取得者の業務を代替するために、新規に労働者を雇用する(新規の派遣受入れ含む)
  • 育児休業取得者に7日以上(所定労働日3日含む)の育児休業を取得させる
  • 新規雇用した労働者が、育児休業期間中に業務を代替する。この労働者は、育児休業取得者と同じ事業所・部署で働き、所定労働時間が育児休業取得者の半分以上であること
  • 1か月以上の育児休業後、原則として原職等に復帰させ、3か月以上継続雇用する(就業規則にも原職等復帰を規定化)

加算措置・加算額

育休中等業務代替支援コースには、加算措置が設定されています。加算措置と加算額は、以下のとおりです。

【加算措置1】
プラチナくるみん認定事業主である場合
■加算額
①育児休業中の手当支給
業務代替手当の支給額を4/5に割増

③育児休業中の新規雇用
代替期間に応じた支給額を、以下のように割増

最短:11万円
最長:82万5,000円
【加算措置2】
育休取得者や制度利用者が、有期雇用労働者の場合
■加算額
①~③に10万円を加算
ただし、制度利用が1か月以上にわたる場合のみ
【加算措置3】
育児休業等に関する情報公表加算:申請前の直近年度に関わる情報を「両立支援のひろば」サイト上で公表した場合
■加算額
2万円

■対象の情報
①男性の育児休業等取得率
②女性の育児休業取得率
③男女別の平均育休取得日数

なお、この加算は「出生時両立支援コース」「育児休業等支援コース」「育休中等業務代替支援コース」で各1回限り適用されます。

「プラチナくるみん」とは

育休中等業務代替支援コースの加算要件の一つであるプラチナくるみんは、事業者が「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証となるマークです。以下のとおり、「くるみんマーク」「プラチナくるみんマーク」「トライくるみんマーク」の3種類が設定されています。

【くるみんマーク】
次世代育成支援対策推進法に基づいて一般事業主行動計画を策定した企業が、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たしたうえで申請を行うことによって認定されます。

【プラチナくるみんマーク】
平成27年、より高い水準で取組を行う企業を評価し、継続的な取組を推奨するために、「プラチナくるみん」認定が始まりました。

【トライくるみんマーク】
令和4年4月、くるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準の引き上げに伴い、新たに「トライくるみん認定」が創設されています。

育休中等業務代替支援コースの重要性「労働環境の変革」

総務省の発表によると、令和5(2023)年4月1日、こどもの数は1,435万人となりました。これは前年度に比べて30万人の減少です。

全人口に占める子どもの割合は、11.5%となりました。

出典:総務省

人口の減少は、労働力や社会保障力の低下につながります。健全な社会を維持するためには、人口は適切に増えていくのが望ましい状況です。そのためには、まず子どもを生みやすく、育てやすい環境の整備を急ぐ必要があります。

岸田首相は少子化対策を政策の柱の一つに数えていますが、その成果はまだ十分とは言えません。

一方で、多様な働き方や生活を守るために事業者が取り組むべき課題もあります。育児や介護を抱える従業員を支援もその一つです。生活様式の変化を経て、働き方にもさまざまな選択肢が生まれました。こうした新しい方法なら、いまより活躍の場を広げられる人は多いはずです。

育児休暇に関しては、大きな課題の一つだった男性の取得率は増加しつつあるようです。厚生労働省が公表した「令和4年度雇用均等基本調査」における男性育休取得率は17.13%だったのに対し、令和5年度の調査では、46.2%に向上しています。こうした動きを後押しし、さらに加速されることは、社会全体の安定にもつながります。

子どもの数は、急には増えません。労働力が不足なる中、希望する人が、希望する形で労働できる環境を整えることは、企業にとっても重要なことです。さまざまな環境で生活する従業員を支えるため、企業にも、労働環境を見直すべき時期が来ているのかもしれません。

まとめ

両立支援助成金の育休中等業務代替支援コースでは、育児のために従業員が休業した際、業務体制を整えたり、勤務を代替する者や規雇用者への手当を支給したりする取組が支援されます。

こうした支援を通じて企業の環境が整い、育児休暇を取りやすい社会へとなることは、子どものいない世帯を含めたすべての人にとってメリットがあります。

多様な働き方を支えることは、多様な生き方を認めることです。補助制度を活用し、予算的な負担を軽減しながら環境整備を進めることは、事業者にとっても大きな財産となります。

助成金を上手に活用し、企業改革を進めていきましょう。

参考:厚生労働省 令和5年度補正予算案の主要施策集
参考:仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ
参考:令和6年1月から両立支援等助成金に「育休中等業務代替支援コース」を新設しました

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