厚生労働省の令和6年度雇用均等基本調査によれば、男性の育児休業取得率は40.5%と過去最高を記録しました。政府は2030年度に85%という目標を掲げており、育児・介護と仕事の両立支援は「福利厚生」から「経営戦略」の領域へと移りつつあります。とはいえ、人手に余裕のない中小企業にとって、休業者が出たときの業務をどう回すかは切実な課題ではないでしょうか。
この課題を財政面から支えるのが、厚生労働省の「両立支援等助成金」です。育児・介護・不妊治療・女性の健康課題までをカバーする6コース構成で、令和8年度(2026年度)は4つのコースで対象拡大・支給額引き上げ・新規助成の新設が行われました。特に育休中等業務代替支援コースは、業務代替手当の助成対象期間が2年間に延長され、1人あたり最大260万円まで拡大しています。
本記事では、厚生労働省「両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)」に沿って、6コースの支給額・要件・令和8年度の改正点・申請期限を企業担当者向けに整理します。
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・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
・育児休業等支援コース
・育休中等業務代替支援コース
・柔軟な働き方選択制度等支援コース
・介護離職防止支援コース
・不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
この記事の目次
令和8年度(2026年度)両立支援等助成金の改正点は?
令和8年度(2026年4月〜)は、両立支援等助成金の4つのコースで拡充が行われました。企業規模要件の緩和、有給休暇制度への助成新設、支給額の引き上げが柱です。申請書の様式も「R8.4.8版」に更新されているため、旧様式で提出しないよう注意しましょう。
令和8年度の改正点はこの4コース
| コース | 令和8年度の変更内容 |
|---|---|
| ①出生時両立支援コース | 「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」(旧・第2種)の対象を、業種を問わず常時雇用労働者300人以下の「特定事業主」に拡大/男性育休取得率の算定に事実婚状態の男性労働者も算入可能に |
| ②育休中等業務代替支援コース | 手当支給等(育児休業・短時間勤務)の企業規模要件を撤廃/新規雇用(育児休業)の対象を特定事業主に拡大/業務代替手当の助成対象期間を24か月に延長/新規雇用に「1年以上」区分を新設し81万円(プラチナくるみん認定は99万円) |
| ③介護離職防止支援コース | 介護休暇制度有給化支援を新設(30万円〜50万円)/有期雇用労働者加算10万円を新設/介護両立支援制度のメニューから「所定外労働の制限制度」「深夜業の制限制度」を削除 |
| ④柔軟な働き方選択制度等支援コース | 子の看護等休暇制度有給化支援を新設(30万円)/柔軟な働き方選択制度の導入数要件を「3つ以上」に引き上げ/障害児等要配慮支援加算20万円を新設 |
コース名称・種別名称の変更にも注意
令和8年度の申請では、出生時両立支援コースの種別名称が変更されている点に注意が必要です。旧「第Ⅰ種」は「男性労働者の育児休業取得」、旧「第Ⅱ種」は「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」という名称です。本記事では新名称に旧称を併記して解説します。社内規程や申請書類を更新する際にご確認ください。
なお、各コースごとに定める支給要件を満たした日によっては、令和7年度以前の支給要領が適用される場合があります。令和8年4月8日を境に適用要領が分かれるため、取り組みの開始日を必ず記録しておきましょう。
両立支援等助成金とは?6コースの支給額一覧
両立支援等助成金は、仕事と育児・介護等を両立できる職場環境づくりに取り組んだ事業主に厚生労働省が支給する助成金です。育児・介護・不妊治療・女性の健康課題までをカバーする6コースで構成され、複数コースを組み合わせれば1事業主あたり数百万円規模の受給も可能です。
6コースの支給額早見表
| コース名 | 助成の対象となる取組 | 支給額の目安 |
|---|---|---|
| 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金) | 男性の育休取得促進・育休取得率の上昇 | 1人目最大30万円/取得率上昇等は60万円 |
| 育児休業等支援コース | 育休復帰支援プランに基づく育休取得・職場復帰 | 1人あたり60万円(2人まで) |
| 育休中等業務代替支援コース | 業務代替者への手当支給・代替要員の新規雇用 | 1人あたり最大260万円 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 育児期の柔軟な働き方制度の導入・利用 | 最大25万円+子の看護等休暇有給化30万円 |
| 介護離職防止支援コース | 介護休業・介護両立支援制度・有給介護休暇 | 介護休業60万円ほか区分ごとに支給 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース | 不妊治療・月経・更年期の両立支援制度 | 最大90万円 |
すべてのコースに共通する加算として、厚生労働省「両立支援のひろば」の一般事業主行動計画公表サイトで育児休業等の取得状況を公表した場合の育児休業等に関する情報公表加算(2万円)があります。コースごとに1回限り加算されます。
対象は原則「中小企業事業主」|特定事業主とは?
両立支援等助成金は原則として中小企業事業主のみが対象です。ただし令和8年度からは、一部のコース・区分で「特定事業主」(業種を問わず常時雇用する労働者が300人以下の事業主)まで対象が広がりました。
| 対象となる事業主 | 該当するコース・区分 |
|---|---|
| すべての事業主(企業規模要件なし) | 育休中等業務代替支援コースの「手当支給等(育児休業)」「手当支給等(短時間勤務)」 |
| 特定事業主(常時雇用労働者300人以下) | 出生時両立支援コースの「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」/育休中等業務代替支援コースの「新規雇用(育児休業)」 |
| 中小企業事業主のみ | 出生時両立支援コースの「男性労働者の育児休業取得」/育児休業等支援コース/柔軟な働き方選択制度等支援コース/介護離職防止支援コース/不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース |
中小企業事業主の範囲は業種ごとに定められており、資本金・出資金か常時雇用労働者数のいずれか一方を満たせば該当します。
| 業種 | 資本金または出資金 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業・飲食業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
育児休業給付金・介護休業給付金との違いは?
両立支援等助成金は「会社(事業主)が受け取るお金」、育児休業給付金・介護休業給付金は「休業した労働者本人が受け取るお金」です。両者は別制度であり、併用できます。
| 比較項目 | 両立支援等助成金 | 育児休業給付金・介護休業給付金 |
|---|---|---|
| 受給者 | 事業主(会社) | 労働者本人 |
| 目的 | 両立支援の制度整備・業務代替体制の整備を支援 | 休業中の所得を補填 |
| 申請先 | 都道府県労働局雇用環境・均等部(室) | ハローワーク(原則として事業主経由) |
| 企業規模要件 | 原則として中小企業事業主・特定事業主 | 企業規模を問わない |
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)はいくらもらえる?
出生時両立支援コースは、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備・業務体制整備を行い、実際に男性が育休を取得した企業に支給される助成金です。「男性労働者の育児休業取得」(旧・第Ⅰ種)と「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」(旧・第Ⅱ種)の2区分があります。
| 区分 | 主な要件 | 支給額 | 対象事業主 |
|---|---|---|---|
| ①男性労働者の育児休業取得(旧・第1種) | 子の出生後8週間以内に育休を開始 | 1人目20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合30万円)/2・3人目各10万円 | 中小企業事業主 |
| ②男性労働者の育児休業取得率の上昇等(旧・第2種) | 育休取得率が30ポイント以上上昇し50%達成 等 | 60万円(プラチナくるみん認定は15万円加算) | 特定事業主(300人以下) |
※②は1事業主につき1回限りの支給です。②の受給後に①を申請することはできず、同一年度内に①②の両方を申請することもできません。
男性労働者の育児休業取得(旧・第1種)の必要日数は?
1事業主につき3人目まで支給され、対象人数ごとに必要な育児休業日数が異なります。
| 対象人数 | 必要な育児休業日数 | 期間中に含むべき所定労働日数 |
|---|---|---|
| 1人目 | 連続5日以上 | うち4日以上 |
| 2人目 | 連続10日以上 | うち8日以上 |
| 3人目 | 連続14日以上 | うち11日以上 |
主な受給要件は、育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を必要な数だけ実施していること、育児休業取得者の業務代替者に関する業務見直し規定を策定して業務体制を整備していること、対象の男性労働者が子の出生後8週間以内に育休を開始していることの3点です。雇用環境整備措置は5項目のうち、産後パパ育休の申出期限の設定によって必要数が変わります。
男性労働者の育児休業取得率の上昇等(旧・第2種)の要件は?
令和8年度から対象が特定事業主(常時雇用労働者300人以下)に拡大されました。業種を問わず労働者数300人以下であれば申請できます。支給額は60万円、プラチナくるみん認定事業主は15万円が加算されます。
B. 申請年度の前々事業年度に配偶者が出産した男性労働者が5人未満で、かつ申請前事業年度と前々事業年度の男性育休取得率が連続70%以上であること
「30ポイント以上上昇」とは、前事業年度が40%であれば70%以上に上昇した場合を指します。取得率が1.3倍になるという意味ではない点に注意しましょう。令和8年度からは、取得率の算定において事実婚状態の男性労働者の育児休業も対象になりました。
育児休業等支援コースはいくらもらえる?
育児休業等支援コースは、「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の育児休業取得と職場復帰を支援した中小企業事業主に支給される助成金です。1事業主あたり無期雇用労働者1名・有期雇用労働者1名の計2名まで対象になります。
| 区分 | 支給額 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 育休取得時 | 30万円 | 育休復帰支援プランの策定・面談の実施・業務の引き継ぎ/対象労働者が連続3か月以上の育児休業を取得 |
| 職場復帰時 | 30万円 | 育休取得時と同一の対象労働者/育休中の職務・業務情報の提供/原職等復帰&復帰後6か月以上継続雇用 |
| 情報公表加算 | 2万円 | 「両立支援のひろば」で育児休業等の取得状況を公表(1事業主1回限り) |
対象は中小企業事業主に限定されており、令和8年度も要件・支給額に変更はありません。1人あたり最大60万円、1事業主あたり最大122万円(2名分+情報公表加算)を受給できます。
職場復帰時は「育休取得時の支給対象となった労働者のみ」が対象です。原職または原職相当職への復帰と、復帰日から6か月以上の継続雇用(かつ5割以上の就業)が求められます。
育休中等業務代替支援コースはいくらもらえる?【令和8年度で大幅拡充】
育休中等業務代替支援コースは、育児休業取得者や育児のための短時間勤務制度利用者の業務を代替する周囲の労働者へ手当を支給した場合や、代替要員を新規雇用した場合に支給される助成金です。令和8年度は3つの大きな拡充がありました。
令和8年度の3つの拡充ポイント
②業務代替手当の助成対象期間を12か月から24か月へ延長。1人あたりの上限額が大幅に拡大しました
③新規雇用(育児休業)に「1年以上」の区分を新設し、81万円(プラチナくるみん認定は99万円)を支給。あわせて対象を特定事業主(300人以下)に拡大
手当支給等(育児休業・短時間勤務)の支給額は?
業務体制整備経費と業務代替手当の合計額が支給されます。
| 区分 | 業務体制整備経費 | 業務代替手当 |
|---|---|---|
| 手当支給等(育児休業) | 6万円(育休期間1か月未満は2万円)/外部の社労士等に労務コンサルティングを委託した場合は20万円 | 業務代替者に支給した手当総額の3/4(プラチナくるみん認定は4/5)。上限は月10万円×24か月分=最大240万円 |
| 手当支給等(短時間勤務) | 3万円/外部委託の場合は20万円 | 手当総額の3/4(プラチナくるみん認定は4/5)。上限は月3万円で、子が3歳になるまでが対象=最大108万円 |
手当支給等(育児休業)を外部委託とあわせて最大限活用した場合、1人あたり最大260万円となります。受給には「業務代替手当」などの賃金制度を就業規則に規定し、業務の見直し・効率化の取組と業務代替者への面談を業務代替期間の開始日までに実施しておくことが必要です。
新規雇用(育児休業)の支給額は?
育児休業期間中に業務を代替した期間の長さに応じて支給額が決まります。
| 業務を代替した期間 | 支給額 | プラチナくるみん認定事業主 |
|---|---|---|
| 7日以上14日未満 | 9万円 | 11万円 |
| 14日以上1か月未満 | 13.5万円 | 16.5万円 |
| 1か月以上3か月未満 | 27万円 | 33万円 |
| 3か月以上6か月未満 | 45万円 | 55万円 |
| 6か月以上1年未満 | 67.5万円 | 82.5万円 |
| 1年以上(令和8年度新設) | 81万円 | 99万円 |
このほか、対象労働者が有期雇用労働者の場合の有期雇用労働者加算10万円と、情報公表加算2万円があります。支給人数は3区分あわせて1年度10人まで、初回から5年間です。くるみん認定・トライくるみん認定を受けている事業主は、年度上限にかかわらず令和12年度まで延べ50人を限度に支給されます。
柔軟な働き方選択制度等支援コースはいくらもらえる?【令和8年度で要件変更】
柔軟な働き方選択制度等支援コースは、育児期の柔軟な働き方に関する制度を3つ以上導入し、「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」に基づいて制度利用者を支援した中小企業事業主に支給される助成金です。令和8年度は「子の看護等休暇制度有給化支援」が独立した区分として新設されました。
令和8年度の支給額
| 区分 | 要件 | 支給額 |
|---|---|---|
| ①柔軟な働き方選択制度 | 制度を3つ導入し、対象労働者が利用 | 20万円 |
| ①柔軟な働き方選択制度 | 制度を4つ以上導入し、対象労働者が利用 | 25万円 |
| ②子の看護等休暇制度有給化支援(令和8年度新設) | 子の看護等休暇を有給化し、対象労働者が実際に利用 | 30万円 |
| 制度利用期間延長加算 | 制度の利用期間を中学校修了前まで延長 | 20万円 |
| 障害児等要配慮支援加算(令和8年度新設) | 障害児・医療的ケア児を養育する労働者について、制度利用期間を18歳になる年度末まで延長 | 20万円 |
| 情報公表加算 | 「両立支援のひろば」での公表 | 2万円 |
※①は1事業主5人まで、②は1事業主1回限りの支給です。令和7年度は「2つ導入で20万円・3つ以上で25万円」でしたが、令和8年度は導入数の要件がそれぞれ1つずつ引き上げられました。
対象となる柔軟な働き方選択制度5つ
子が3歳以降、小学校就学前までの労働者が利用できる制度として、次の5分類から3つ以上を導入する必要があります。
・育児のためのテレワーク等
・柔軟な働き方を実現するための短時間勤務制度
・保育サービスの手配及び費用補助
・養育両立支援休暇制度
令和7年度まで対象メニューに含まれていた「法を上回る子の看護等休暇制度」は、令和8年度から②子の看護等休暇制度有給化支援として独立した区分になりました。あわせて、子の看護等休暇の有給化については対象労働者が実際に制度を利用したことが支給要件に追加されています。
介護離職防止支援コースはいくらもらえる?【有給介護休暇助成が新設】
介護離職防止支援コースは、「仕事と介護の両立支援プラン」に基づき労働者の介護休業取得・職場復帰を支援した企業や、仕事と介護の両立に資する制度を導入・利用させた中小企業事業主に支給される助成金です。令和8年度は介護休暇の有給化に対する助成が新設されました。
4区分+2加算の支給額
| 区分 | 要件 | 支給額 |
|---|---|---|
| ①介護休業 | 対象労働者が介護休業を取得し職場復帰 | 40万円(連続15日以上の休業は60万円) |
| ②介護両立支援制度 | 制度を1つ導入し対象労働者が利用 | 20万円(合計60日以上の利用は30万円) |
| ②介護両立支援制度 | 制度を2つ以上導入し対象労働者が1つ以上利用 | 25万円(合計60日以上の利用は40万円) |
| ③業務代替支援(新規雇用) | 介護休業取得者の代替要員を新規雇用または派遣で受入 | 20万円(連続15日以上の休業は30万円) |
| ③業務代替支援(手当支給等・介護休業) | 介護休業取得者の業務代替者に手当を支給 | 5万円(連続15日以上の休業は10万円) |
| ③業務代替支援(手当支給等・短時間勤務) | 介護短時間勤務者の業務代替者に手当を支給 | 3万円 |
| ④介護休暇制度有給化支援(令和8年度新設) | 有給の介護休暇制度を導入し、対象労働者が10時間以上利用 | 30万円(年10日以上付与する制度は50万円) |
| 環境整備加算 | 研修・相談体制・事例提供・方針周知の4つをすべて実施(①②③が対象) | 10万円 |
| 有期雇用労働者加算(令和8年度新設) | 休業取得者・制度利用者が有期雇用労働者の場合(①②が対象) | 10万円 |
※①〜③はそれぞれ1事業主あたり5人まで、④と各加算は1事業主あたり1回限りです。
介護両立支援制度のメニューから2制度が削除
令和8年度から、介護両立支援制度のメニューは次の5つになりました。
・介護のための短時間勤務制度
・介護のための在宅勤務制度
・介護のためのフレックスタイム制度
・介護サービス費用補助制度
削除されたのは「所定外労働の制限制度」と「深夜業の制限制度」の2つです。いずれも育児・介護休業法で企業に義務付けられている措置であるため、助成の対象から外れました。また「法を上回る介護休暇制度」は④介護休暇制度有給化支援として独立しています。
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースはいくらもらえる?
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは、不妊治療・月経・更年期という3つの健康課題に対応する両立支援制度を整備し、労働者に利用させた中小企業事業主に支給される助成金です。1事業主あたり最大90万円を受給できます。
| 区分 | 要件 | 支給額 |
|---|---|---|
| A:不妊治療 | 不妊治療のための両立支援制度を合計5日(回)利用 | 30万円 |
| B:女性の健康課題対応(月経) | 月経に起因する症状への対応制度を合計5日(回)利用 | 30万円 |
| C:女性の健康課題対応(更年期) | 更年期における心身の不調への対応制度を合計5日(回)利用 | 30万円 |
対象となる両立支援制度は、休暇制度・所定外労働制限制度・時差出勤制度・短時間勤務制度・フレックスタイム制度・在宅勤務等です。これらを就業規則等に規定したうえで、労働者からの相談に対応する「両立支援担当者」を選任することが要件になります。各区分とも1事業主1回限りで、令和7年度から内容に変更はありません。
両立支援等助成金の申請方法は?申請期限と必要書類
両立支援等助成金は、令和5年6月26日から電子申請の対象となっています。厚生労働省の「雇用関係助成金ポータル」から申請すれば、労働局への持参・郵送の手間を省けます。書面申請の場合は、本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地を管轄する労働局雇用環境・均等部(室)へ、簡易書留など配達記録が残る方法で送付してください。消印日ではなく到達日で判断されるため、期限内必着です。
申請までの5ステップ
STEP2 対象労働者と面談し、育休復帰支援プラン等を作成する
STEP3 業務の整理・引き継ぎ、業務見直しなどの体制整備を行う
STEP4 労働者が育児休業・介護休業・各種制度を実際に利用する
STEP5 所定の継続雇用期間の経過後、期限内に支給申請する
令和8年度の改正で「制度を導入するだけでなく、対象労働者が実際に利用したこと」を支給要件とする区分が増えました。制度整備と利用実績づくりをセットで計画することが受給の鍵になります。
各コースの申請期限一覧
| コース・区分 | 申請期限 |
|---|---|
| 出生時両立支援コース(男性労働者の育児休業取得) | 育児休業終了日の翌日から2か月以内 |
| 出生時両立支援コース(取得率の上昇等) | 取得率が上昇等した事業年度の翌事業年度の開始日から6か月以内 |
| 育児休業等支援コース(育休取得時) | 産後休業または育児休業の開始日から3か月経過日の翌日から2か月以内 |
| 育児休業等支援コース(職場復帰時) | 育児休業終了日の翌日から6か月経過日の翌日から2か月以内 |
| 育休中等業務代替支援コース(育休1か月未満) | 育児休業終了日の翌日から2か月以内 |
| 育休中等業務代替支援コース(育休1か月以上) | 育児休業初日から1か月経過日の翌日から2か月以内と、育児休業終了日の翌日から3か月経過日の翌日から2か月以内の2回に分割 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 6か月間の制度利用期間の経過後2か月以内 |
| 介護離職防止支援コース(介護休業) | 介護休業終了日の翌日から3か月経過日の翌日から2か月以内 |
| 介護離職防止支援コース(介護休暇制度有給化支援) | 制度の利用時間数が10時間に達した日の翌日から2か月以内 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース | 両立支援制度の利用が合計5日(回)を経過する日の翌日から2か月以内 |
共通で必要となる主な書類
各コース共通で提出が求められる主な書類は次のとおりです。コースごとの詳細は厚生労働省の両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)で確認してください。
・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号の最新版)
・労働協約・就業規則・関連する労使協定
・労働者名簿・出勤簿またはタイムカード・賃金台帳
・面談シート、育休復帰支援プランや仕事と介護の両立支援プラン
・雇用契約書・労働条件通知書
・次世代法に基づく一般事業主行動計画策定届
・支払方法、受取人住所届および支払口座が確認できる通帳等の写し
両立支援等助成金を申請するときの5つの注意点
要件を満たしていても、取り組み前の準備不足や労務管理の不備で不支給となるケースが少なくありません。「制度整備→労働者への周知→取り組み実施→書類提出」の順序を守ることが受給の前提です。
①就業規則への規定がなければ助成対象外になる
本制度は「両立しやすい環境整備のための助成金」であるため、就業規則等に規定化されている制度のみが対象です。実態として法定を上回る対応をしていても、規定に反映されていなければ支給されません。また「育児・介護休業法に準拠する」という包括的な規定を置くだけでは認められず、制度の内容を具体的に定める必要があります。常時雇用する労働者が10人未満で就業規則を作成・届出していない場合は、制度が明文化され労働者に周知されていることを示す書類が必要です。
②取り組みの前に体制整備を終えておく
各コースには「いつまでに実施しておくべきか」が細かく定められています。
| コース | 取り組み前に必要な準備 |
|---|---|
| 出生時両立支援コース | 雇用環境整備の措置(必要な数)/業務見直しに係る規定の策定と業務体制の整備 |
| 育児休業等支援コース | 育休復帰支援プランによる支援方針の社内周知/面談の実施とプランの策定 |
| 育休中等業務代替支援コース | 業務代替手当等を就業規則に規定/業務の見直し・効率化の実施/業務代替者への面談 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 柔軟な働き方選択制度を3つ以上導入/育児に係る柔軟な働き方支援プランの作成 |
| 介護離職防止支援コース | 仕事と介護の両立支援プランによる支援方針の周知/面談とプランの作成 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース | 各区分の両立支援制度を就業規則に規定/両立支援担当者の選任 |
③支給対象外となる事業主の条件を確認する
要件を満たしていても、以下に該当する事業主は雇用関係助成金を受給できません。
・支給申請日が属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納付していない事業主
・支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの期間に労働関係法令に違反していた事業主
・性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業を行う事業主
・事業主または役員が暴力団と関わりがある場合
・支給申請日または支給決定日時点で倒産している事業主
・都道府県労働局が行う事業主名等の公表について、あらかじめ同意していない事業主
④「原職等復帰」と継続雇用の要件を満たす
育児休業等支援コースや育休中等業務代替支援コースでは、育児休業終了後に原職または原職相当職へ復帰させることが要件です。原職相当職とは、厚生労働省編職業分類の中分類が同一で、休業前と同一の事業所に勤務することを指します。職制上の地位が休業前を下回っていないことも必要で、主任手当や管理職手当が復帰後に支給されていない場合は同等とみなされません。あわせて、復帰後の継続雇用期間(コースにより3か月または6か月)は5割以上就業している必要があります。
⑤受給までに2〜3か月程度かかる
申請から振込までには一般的に2〜3か月程度かかります。書類の不備や労働局の審査状況によってはさらに長くなるため、資金計画には十分な余裕を持たせましょう。なお雇用関係助成金の申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士の独占業務です。外部に依頼する場合は資格の有無を必ず確認してください。
育児・介護休業法の改正と両立支援等助成金はどう関係する?
育児・介護休業法の改正は「企業に義務を課す法律」、両立支援等助成金は「取り組んだ企業に支給されるお金」という違いがあります。法改正への対応と助成金申請は並行して進めるのが効率的です。
2025年10月から義務化された「柔軟な働き方措置」
2025年10月1日より、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対し、柔軟な働き方を選択できる制度を整備することが義務化されました。企業は以下の5つの措置から2つ以上を導入し、労働者はその中から1つを選んで利用できる仕組みです。
| 選択肢 | 概要 |
|---|---|
| ①始業時刻等の変更(時差出勤等) | フレックスタイム制や時差出勤など、始業・終業時刻の変更を可能にする措置 |
| ②テレワーク等 | 月10日以上のテレワークを可能にする措置(時間単位の取得可) |
| ③保育施設の設置運営等 | 事業所内保育施設の設置、ベビーシッター費用補助等 |
| ④養育両立支援休暇 | 年10日以上の休暇を付与(原則時間単位で取得可能) |
| ⑤短時間勤務制度 | 1日6時間を原則とする短時間勤務制度の導入 |
義務は「2つ以上の導入」ですが、柔軟な働き方選択制度等支援コースの助成対象になるのは「3つ以上の導入」です。法対応にもう1制度を上乗せすれば助成金の対象になる、という設計になっています。
出典:育児・介護休業法(令和7年10月施行部分)及び両立支援等助成金等のご案内
2026年10月からの国民年金育児期間免除もチェック
人事担当者が押さえておきたい関連改正として、2026年10月から始まる国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス等)の育児期間免除制度があります。会社員の育休中の社会保険料免除に相当する仕組みで、雇用形態を問わず子育て世帯を支える枠組みが完成します。副業で自営業を行っている社員や、退職後に自営業へ転じる社員に案内できるよう概要を押さえておきましょう。
無料で使える「仕事と家庭の両立支援プランナー」とは?
厚生労働省は、社会保険労務士等の資格を持つ「仕事と家庭の両立支援プランナー」が中小企業を訪問し、育休復帰支援プランや仕事と介護の両立支援プランの作成を無料で支援する制度を整備しています。両立支援等助成金の受給には各種プランの策定が不可欠なため、社内にノウハウがない企業はまずこの無料支援の活用を検討するとよいでしょう。申し込みは都道府県労働局雇用環境・均等部(室)を通じて行えます。
なお、プランナーの支援を受けて作成したプランであっても、助成金の要件を満たす記載(業務の整理・引き継ぎに関する事項など)がない場合は支給対象外となります。助成金申請を前提とする場合は、その旨をプランナーに伝えておきましょう。
両立支援等助成金に関するよくある質問
令和8年度(2026年度)の主な変更点は何ですか?
令和8年度は4つのコースで拡充が行われました。①出生時両立支援コースの「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」(旧・第2種)の対象が、業種を問わず常時雇用労働者300人以下の「特定事業主」に拡大されました。②育休中等業務代替支援コースは、手当支給等の企業規模要件が撤廃され、業務代替手当の助成対象期間が24か月に延長。新規雇用に「1年以上」区分が新設され81万円(プラチナくるみん認定は99万円)となりました。③介護離職防止支援コースに介護休暇制度有給化支援(30万円〜50万円)と有期雇用労働者加算10万円が新設されました。④柔軟な働き方選択制度等支援コースに子の看護等休暇制度有給化支援(30万円)と障害児等要配慮支援加算(20万円)が新設され、柔軟な働き方選択制度の導入数要件が「3つ以上」に引き上げられています。
両立支援等助成金は大企業でも申請できますか?
一部のコース・区分は申請できます。令和8年度から、育休中等業務代替支援コースの「手当支給等(育児休業)」「手当支給等(短時間勤務)」は企業規模要件が撤廃され、すべての事業主が対象になりました。また、出生時両立支援コースの「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」と育休中等業務代替支援コースの「新規雇用(育児休業)」は、業種を問わず常時雇用労働者300人以下の「特定事業主」が対象です。育児休業等支援コース、柔軟な働き方選択制度等支援コース、介護離職防止支援コース、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは中小企業事業主のみが対象となります。
中小企業が育休で受け取れる助成金はいくらですか?
組み合わせ次第で1人あたり数十万円から数百万円になります。男性が育休を取得した場合は出生時両立支援コースで1人目最大30万円、育休復帰支援プランに基づいて取得・復帰した場合は育児休業等支援コースで60万円(育休取得時30万円+職場復帰時30万円)です。さらに業務代替者へ手当を支給すれば育休中等業務代替支援コースで最大260万円、代替要員を新規雇用すれば代替期間1年以上で81万円が支給されます。ただし同一労働者の同一の育児休業について、出生時両立支援コース(男性労働者の育児休業取得)と育児休業等支援コースの併給はできません。
育児休業給付金と両立支援等助成金は何が違いますか?
受け取る主体が異なります。両立支援等助成金は事業主(会社)が受け取る助成金で、両立支援の制度整備や業務代替体制の整備を支援するものです。都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に申請します。一方、育児休業給付金は育児休業を取得した労働者本人が受け取る雇用保険の給付で、休業中の所得を補填するものです。原則として事業主経由でハローワークに申請します。両者は別制度のため併用でき、企業側は助成金、労働者側は給付金という形で同時に活用できます。
パート・有期雇用労働者が育休を取っても対象になりますか?
対象になります。雇用保険被保険者であることなど各コースの要件を満たせば、有期雇用労働者も支給対象です。育児休業等支援コースは1事業主あたり無期雇用労働者1名・有期雇用労働者1名の計2名まで支給されるため、有期雇用労働者の枠を活用できます。さらに育休中等業務代替支援コースと介護離職防止支援コースには、対象労働者が有期雇用労働者の場合に10万円が加算される「有期雇用労働者加算」があります。介護離職防止支援コースの有期雇用労働者加算は令和8年度に新設されたものです。
法律より手厚い対応をしていても、就業規則に書かれていなければ対象外ですか?
対象外となります。両立支援等助成金は「仕事と育児・介護等を両立しやすい環境整備のための助成金」という趣旨のため、就業規則や労働協約に規定化されている制度のみが対象です。実態として法定を上回る対応をしていても、規定に反映されていなければ支給されません。また「育児・介護休業法に準拠する」という包括的な規定を置くだけでは認められず、育児休業・産後パパ育休・育児のための所定労働時間の短縮措置などを具体的に定める必要があります。常時雇用する労働者が10人未満で就業規則を作成・届出していない場合は、制度が明文化され労働者に周知されていることを示す書類を提出してください。
個人事業主も両立支援等助成金を申請できますか?
申請できます。個人事業主も要件を満たしていれば助成金の対象となり、事業所単位ではなく個人単位で支給されます。ただし雇用保険の被保険者を雇用していること、労働保険料を納付していること、労働関係法令を遵守していることなどの基本要件は満たす必要があります。あわせて、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届け出て公表・周知していることも多くのコースで要件となります。
情報公表加算はいくらもらえますか?どんな条件が必要ですか?
育児休業等に関する情報公表加算は2万円で、コースごとに1回限り支給されます。厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」の一般事業主行動計画公表サイトで、①雇用する男性労働者の育児休業等の取得割合、②雇用する女性労働者の育児休業の取得割合、③雇用する労働者(男女別)の育児休業の平均取得日数、の3項目を公表することが条件です。自社サイトなど「両立支援のひろば」以外での公表は対象外です。原則として支給申請日の属する事業年度の直前の事業年度の情報を公表する必要があり、支給決定後も公表事業年度の終了までは掲載を継続することへの同意が求められます。
くるみん・プラチナくるみん認定は必須ですか?
必須ではありませんが、認定があると有利になります。プラチナくるみん認定事業主は、出生時両立支援コース(旧・第2種)で15万円の加算、育休中等業務代替支援コースの業務代替手当の助成率が3/4から4/5に引き上げ、新規雇用(育児休業)の1年以上区分が81万円から99万円に割増されます。またくるみん認定・トライくるみん認定を受けている事業主は、育休中等業務代替支援コースの1年度あたり支給上限10人にかかわらず、令和12年度まで延べ50人を限度に支給されます。なお、プラチナくるみん認定事業主は一般事業主行動計画の策定・届出がなくても支給対象となります。
「治療と仕事の両立支援助成金」とは別の制度ですか?
別の制度です。両立支援等助成金は育児・介護・不妊治療・女性の健康課題との両立を支援する厚生労働省の助成金で、都道府県労働局が申請窓口です。一方、がんや難病などの治療と仕事の両立支援については、独立行政法人労働者健康安全機構が扱う産業保健関係の助成金や、東京都難病・がん患者就業支援奨励金などの自治体独自制度が用意されています。名称が似ているため混同されやすいのですが、対象となる取組・申請窓口・支給額がいずれも異なります。自社の課題がどちらに当たるかを整理してから制度を選びましょう。
まとめ
両立支援等助成金は、育児・介護・不妊治療・女性の健康課題までをカバーする6コース構成の助成金です。令和8年度は4つのコースで拡充が行われ、出生時両立支援コースと育休中等業務代替支援コースの企業規模要件が緩和されたほか、介護休暇・子の看護等休暇の有給化に対する助成が新設されました。特に育休中等業務代替支援コースは業務代替手当の対象期間が24か月に延び、1人あたり最大260万円まで拡大しています。
令和8年度の改正に共通するのは「制度を導入するだけでなく、実際に労働者が利用したか」を重視する設計です。就業規則への規定、労働者への周知、プランの作成、業務体制の整備という順序を守り、取り組みの開始日を記録しておくことが受給の前提になります。あわせて2025年10月に施行された柔軟な働き方措置の義務化への対応や、2026年10月開始予定の国民年金育児期間免除にも視野を広げ、時代に合った職場環境づくりを進めていきましょう。制度設計に不安がある場合は、厚生労働省の「仕事と家庭の両立支援プランナー」による無料の訪問支援も活用できます。
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