2026年8月28日、厚生労働省が公表した人口動態統計速報で、2026年1〜6月の出生数が34万2,068人となり、前年同期を0.8%(2,788人)上回りました。上半期の出生数が前年を超えるのは2015年以来、11年ぶりのことです。
とはいえ、少子化が止まったわけではありません。2025年の出生数は67万1,236人で10年連続の過去最少、合計特殊出生率も1.14と過去最低を更新しました。
こうしたなか、日本の少子化対策は大きな節目を迎えています。2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」の加速化プラン(3.6兆円規模)は、2026年度が集中取組期間の最終年度。児童手当の拡充から高校授業料の無償化、こども誰でも通園制度まで、施策の大半がすでに動き出しました。
この記事では、日本の少子化対策の具体例を一覧で整理したうえで、経済的支援・教育費・働き方・保育の4分野ごとに、2026年時点で実際に使える制度と金額を解説します。財源となる子ども・子育て支援金や、これまでの効果検証も取り上げます。
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この記事の目次
少子化対策とは?2026年時点の日本の取り組みを3分で解説
日本の少子化対策とは、2023年12月22日に閣議決定された「こども未来戦略」を中核として、児童手当の拡充・教育費の無償化・育児休業給付の上乗せ・保育の拡充などを一体的に進める国の政策パッケージです。総額は3.6兆円規模で、この中心となる実行計画が「こども・子育て支援加速化プラン」(加速化プラン)です。
加速化プランは2024年度からの3年間を集中取組期間と位置づけており、2026年度がその最終年度にあたります。つまり、計画に盛り込まれた施策の大半は、すでに制度として動き始めている段階です。
■若い世代の所得を増やす
■社会全体の構造・意識を変える
■全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する
「異次元の少子化対策」とは?こども未来戦略との関係
「異次元の少子化対策」は、2023年1月に当時の岸田文雄首相が施政方針演説で用いた表現で、正式な制度名ではありません。この方針を政策として具体化したものが、同年6月の「こども未来戦略方針」、そして12月に閣議決定された「こども未来戦略」です。
そのため現在の行政文書では「異次元の少子化対策」という言葉はほとんど使われず、「こども未来戦略」「加速化プラン」という名称で運用されています。報道で「異次元の少子化対策」と呼ばれてきた施策の中身を知りたい場合は、こども未来戦略の内容を確認するのが正確です。
少子化対策の予算はいくら?2026年度は7兆4,956億円
少子化対策を所管するこども家庭庁の2026年度(令和8年度)予算案は総額7兆4,956億円です。内訳は一般会計4兆2,795億円と、子ども・子育て支援特別会計3兆2,161億円で構成されています。前年度の7兆3,270億円から、約1,700億円の増額です。
主な増額要因は、こども誰でも通園制度の全国展開(約223億円)、保育士等の処遇改善(858億円)、育児期間中の年金保険料免除(新規152億円)などです。
| こども家庭庁予算の主な使い道(2026年度予算案) | |
|---|---|
| 保育所・放課後児童クラブ等の運営費 | 約2兆5,800億円 |
| 児童手当 | 約2兆1,000億円 |
| 育児休業等給付 | 約1兆900億円 |
| 障害児支援・虐待防止・ひとり親支援等 | 約8,900億円 |
| 大学授業料減免等 | 約6,600億円 |
| 妊婦への給付 | 約800億円 |
日本の少子化対策の具体例一覧【2026年最新版】
2026年時点で実施されている主な少子化対策の具体例は、次の一覧のとおりです。すでに始まっているもの、2026年度に始まったもの、これから始まるものが混在しているため、開始時期とあわせて確認してください。| 分野 | 制度名 | 内容 | 開始時期 |
|---|---|---|---|
| 経済的支援 | 児童手当の拡充 | 所得制限を撤廃し高校生年代まで延長。第3子以降は月3万円 | 2024年10月 |
| 経済的支援 | 妊婦のための支援給付 | 5万円+妊娠しているこどもの人数×5万円を給付 | 2025年4月 |
| 経済的支援 | 出産育児一時金 | 原則42万円から原則50万円に引き上げ | 2023年4月 |
| 経済的支援 | 出産費用の無償化 | 正常分娩を公的医療保険の新たな給付体系へ。自己負担ゼロを目指す | 2027〜2028年度見込み |
| 教育費 | 高校授業料の無償化 | 就学支援金の所得制限を完全撤廃。私立全日制は年45万7,200円が上限 | 2026年4月 |
| 教育費 | 多子世帯の大学等無償化 | こども3人以上を扶養する世帯の授業料・入学金を所得制限なしで支援 | 2025年4月 |
| 教育費 | 高等教育の修学支援新制度の拡大 | 理工農系の中間層まで対象を拡大 | 2024年4月 |
| 働き方 | 出生後休業支援給付金 | 両親ともに14日以上の育休で賃金の13%を上乗せ。手取り10割相当に | 2025年4月 |
| 働き方 | 育児時短就業給付金 | 2歳未満のこどもを育てながら時短勤務した場合、賃金の10%を支給 | 2025年4月 |
| 働き方 | 柔軟な働き方を実現する措置 | 3歳〜小学校就学前のこどもを持つ労働者向けの措置が事業主の義務に | 2025年10月 |
| 保育 | こども誰でも通園制度 | 就労要件を問わず月10時間まで保育所等を利用できる新制度 | 2026年4月 |
| 保育 | 保育士の配置基準改善 | 1歳児6対1→5対1、4・5歳児30対1→25対1へ。76年ぶりの見直し | 2024年度〜 |
| 財源 | 子ども・子育て支援金 | 医療保険料に上乗せして徴収。2026年度の支援金率は0.23% | 2026年4月 |
以下では、この一覧の各分野について、金額や対象者をくわしく解説します。
【経済的支援】児童手当や給付金など、お金がもらえる少子化対策
少子化対策のうち、直接お金を受け取れる制度の柱は児童手当・妊婦のための支援給付・出産育児一時金の3つです。妊娠から高校卒業までの各段階で、切れ目なく現金給付が届く設計になっています。
児童手当は高校生年代まで月1万〜3万円
児童手当は2024年10月から大きく拡充され、所得制限が撤廃されました。あわせて支給対象が中学生までから高校生年代まで延長され、第3子以降の加算額も引き上げられています。
| こどもの年齢 | 第1子・第2子 | 第3子以降 |
|---|---|---|
| 3歳未満 | 月1万5,000円 | 月3万円 |
| 3歳〜高校生年代 | 月1万円 | 月3万円 |
「第3子以降」の数え方には注意が必要です。児童手当における第3子とは、児童やその兄姉等のうち、年齢が上のこどもから数えて3人目以降を指します。大学生年代(22歳到達後最初の年度末まで)のこどもも、経済的な負担をしていれば人数に含めて数えられます。
妊婦のための支援給付は合計10万円
妊婦のための支援給付は、2025年4月から法律に基づく制度として実施されている給付金です。妊娠の届出後に5万円、こどもの人数×5万円が支給されるため、単胎妊娠なら合計10万円を受け取れます。
もとは2022年度の補正予算で始まった「出産・子育て応援交付金事業」で、これを恒久制度に格上げしたものです。給付と同時に、市区町村の面談・相談を通じて妊婦とその配偶者を支える「妊婦等包括相談支援事業」が一体的に実施されます。
出産費用の無償化は2027〜2028年度に実施予定
出産費用の無償化については、2026年5月29日に改正健康保険法が参議院本会議で可決・成立し、制度化が確定しました。ただし施行は公布後2年以内と定められており、実際に自己負担がゼロになるのは早くて2027年度、現実的には2028年度ごろと見込まれています。
それまでの間は、現行の出産育児一時金(原則50万円)が引き続き利用できます。なお無痛分娩の追加費用や個室の差額ベッド代、祝い膳といった付加サービスは、無償化後も自己負担が残る見通しです。
【教育費】高校・大学の無償化はどこまで進んだ?
教育費の負担軽減は、2026年度に最も大きく動いた分野です。高校授業料は2026年4月に所得制限が完全撤廃され、大学等については2025年度からこども3人以上の多子世帯が無償化の対象になりました。
高校授業料無償化は2026年4月に所得制限が完全撤廃
高校授業料の実質無償化は、2026年3月31日に成立した改正法(令和8年法律第8号)が4月1日に施行されたことで実現しました。高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず授業料相当分が支援されます。
年39万6,000円 → 年45万7,200円へ引き上げ(所得制限なし)
■私立高校(通信制)
年33万7,000円を上限に支給
■公立高校
年11万8,800円(授業料が実質全額無償)
文部科学省の令和8年度予算では就学支援金等に5,824億円が計上され、前年度の4,074億円から1,750億円の増額となりました。同省の試算では、この改正で新たに支給または増額の対象となる生徒は約80万人にのぼります。
ただし支援されるのは授業料のみです。入学金・制服代・教材費・通学費・修学旅行費などは引き続き自己負担となる点に注意してください。
多子世帯は大学等の授業料・入学金が無償に
2025年度から、こども3人以上を扶養する多子世帯の学生については、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の授業料と入学金が所得制限なしで無償化されました。国公立大学であれば入学金約28万円・授業料年約54万円が上限額の目安です。
一方で「扶養するこどもが3人以上」という要件は継続的に判定されるため、第1子が就職して扶養から外れると、第2子以降が対象外になる場合があります。制度を当てにして進学計画を立てる際は、この点を必ず確認しておきましょう。
【働き方】共働き・共育てを支える育休・時短の給付
働き方分野の少子化対策は、2025年4月に新設された2つの給付金が中心です。男性の育児休業取得を後押しする出生後休業支援給付金と、時短勤務による収入減を補う育児時短就業給付金が創設されました。
出生後休業支援給付金で育休中の手取りが実質10割に
出生後休業支援給付金は、こどもの出生後または産後休業後8週間以内に、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、それぞれへ最大28日間支給される給付金です。
支給率は休業前賃金の13%で、既存の育児休業給付金(67%)に上乗せされます。合計80%となり、育休中は社会保険料が免除され給付金に所得税もかからないため、実質的に手取り10割相当を受け取れる計算です。
ひとり親家庭など、配偶者がいない場合や配偶者が就業していない場合は、片方の育休だけでも支給対象になります。
育児時短就業給付金は時短中の賃金の10%
育児時短就業給付金は、2歳未満のこどもを育てながら時短勤務をする雇用保険の被保険者に対し、時短就業中に支払われた賃金の10%を支給する制度です。2025年4月に創設されました。
育児休業から復帰した後、フルタイムに戻る前の段階で収入が下がる問題に対応するもので、男女を問わず利用できます。時短勤務によって賃金が下がったこと、育児休業給付の対象だった、あるいは一定期間雇用保険に加入していることなどが条件です。
柔軟な働き方の措置は2025年10月から事業主の義務に
2025年10月1日から、3歳から小学校就学前のこどもを養育する労働者に向けて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが義務化されました。
■始業時刻等の変更(時差出勤・フレックスタイム制)
■テレワーク等(月10日以上)
■保育施設の設置運営等
■養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
■短時間勤務制度
事業主が用意した選択肢のなかから、労働者が1つを選んで利用できる仕組みです。勤務先がどの制度を採用しているかは、就業規則や人事担当者に確認してください。
【保育】こども誰でも通園制度が2026年4月に全国スタート
2026年4月1日から、こども誰でも通園制度(正式名称:乳児等通園支援事業)が全国の自治体で本格実施されました。保護者の就労要件を問わず、保育所等を時間単位で利用できる新しい給付制度です。
| こども誰でも通園制度の概要 | |
|---|---|
| 対象 | 生後6か月〜満3歳未満で、保育所・認定こども園等に通っていないこども |
| 利用可能枠 | 国の補助基準上限は月10時間(自治体が独自に上乗せ可) |
| 利用料 | 1時間300円程度が目安(自治体により異なる) |
| 就労要件 | なし |
| 手続き | 事前に市区町村への利用登録が必要 |
0〜2歳児の約6割は保育所等に通っていない未就園児で、その多くの家庭が「孤立した育児」の不安を抱えているとされてきました。この制度は、こどもに集団生活の機会を、保護者に一息つける時間を提供することを狙いとしています。
一方で課題も残ります。受け入れ枠が限られ、開始を遅らせた自治体もあるほか、保育士の確保が追いつかない園では実施が難しいという指摘もあります。利用を検討する場合は、お住まいの自治体で実施している施設と空き状況を早めに確認しておきましょう。
保育士の配置基準は76年ぶりに改善
保育の質を高める取り組みとして、2024年度から保育士の配置基準が見直されました。1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は30対1から25対1へと改善され、4・5歳児については1948年以来76年ぶりの見直しとなりました。
処遇改善も継続しており、令和7年度補正予算では5.3%の給与改善が実施されています。平成25年度以降の累計では、約39%の給与改善が進められてきました。
少子化対策の財源は?子ども・子育て支援金が2026年4月に徴収開始
加速化プラン3.6兆円の財源の一部として、2026年4月分の保険料から子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。公的医療保険料に上乗せする形で、全世代・全経済主体からこども・子育て世帯を支える仕組みです。
子ども・子育て支援金は月いくら引かれる?
2026年度の子ども・子育て支援金率は、全国一律0.23%です。協会けんぽの健康保険料率のような都道府県ごとの差はありません。
会社員が加入する被用者保険では、標準報酬月額に0.23%を掛けた金額を労使で折半します。標準報酬月額30万円なら、本人負担は月345円程度が目安です。こども家庭庁は、被用者保険の被保険者1人あたり平均で月約550円と試算しています。
| 標準報酬月額 | 本人負担額の目安(月額) |
|---|---|
| 20万円 | 約230円 |
| 30万円 | 約345円 |
| 50万円 | 約575円 |
支援金率は2028年度まで段階的に引き上げられる予定です。また賞与にも同率がかかるため、年収ベースでは月額換算より負担が大きくなる点に注意してください。被扶養者から徴収されることはありません。
集められた支援金は、児童手当の拡充・こども誰でも通園制度・出生後休業支援給付金など、対象者に広がりのある6つの子育て施策に充てられます。
少子化対策に効果はあった?2026年時点のデータで検証
少子化対策の効果は、現時点では「反転には至っていないが、減少ペースは鈍化した」と評価するのが正確です。出生数と婚姻数の直近データを見ると、いくつかの変化が読み取れます。
| 指標 | 直近の数値 | 前年比 |
|---|---|---|
| 出生数(2025年) | 67万1,236人 | 1万4,937人減(△2.2%) |
| 合計特殊出生率(2025年) | 1.14(過去最低) | 0.01ポイント低下 |
| 婚姻件数(2025年) | 48万9,119組 | 4,027組増(2年連続増加) |
| 出生数(2026年1〜6月・速報) | 34万2,068人 | 2,788人増(+0.8%) |
| 待機児童数(2026年4月1日) | 2,435人 | 181人増(9年ぶり増加) |
減少ペースは鈍化、上半期は11年ぶりに増加
2025年の出生数の減少率は2.2%で、2022〜2024年の5%台と比べると明らかに緩やかになりました。さらに2026年上半期の出生数は前年同期比0.8%増となり、上半期としては2015年以来11年ぶりの増加です。背景には、2024年・2025年と2年連続で婚姻件数が増えたことがあると見られています。
母の年齢別に見ると、2025年は30〜34歳の出生数が増加しました。経済的支援の拡充が、この年代の出産の後押しになった可能性があります。
それでも少子化は続いている
一方で、厳しい数字も並びます。2025年の出生数67万1,236人は、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計が2040年に到達すると想定していた水準です。およそ15年前倒しで少子化が進行している計算になります。
2026年4月1日時点のこどもの数(15歳未満人口)も1,329万人で、45年連続の減少です。東京都の合計特殊出生率は3年連続で1を下回り0.96まで低下しました。
また待機児童数は2026年4月1日時点で2,435人と、9年ぶりに増加に転じました。東京都が0〜2歳の第1子まで保育料の無償対象を広げたことで申込者が想定を上回り、都内だけで1,113人と全国の半数近くを占めています。支援の拡充が新たな需要を生み、受け皿の整備が追いつかないという構図です。
2026年度以降の少子化対策はどうなる?
加速化プランの集中取組期間は2026年度で終わりますが、少子化対策そのものは継続します。2026年6月9日には、高市早苗総理をトップとするこども政策推進会議で「こどもまんなか実行計画2026」が決定されました。「こども版骨太の方針」と位置づけられる年次計画です。
実行計画2026では、小中高生の自殺者数が538人と過去最多を更新したことを受けた自殺対策の強化、インターネット上でこどもが犯罪に巻き込まれるリスクへの対応、15〜39歳の若者10万人を対象としたオンライン調査の新規実施などが盛り込まれました。
2026年7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」でも、保育料負担の軽減、保育士等の処遇改善と公定価格の見直し、ベビーシッター・家事支援サービスの利用促進、子育て世帯向け住宅供給の促進などが明記されています。
2026年10月には「106万円の壁」が撤廃予定
若い世代の所得向上に関わる動きとして、2026年10月をめどに社会保険の賃金要件(月額8.8万円以上=年収約106万円)が撤廃される予定です。従業員51人以上の企業で週20時間以上働く短時間労働者は、年収にかかわらず社会保険の加入対象となります。
税制面では2025年に、所得税の課税が始まる年収ラインが103万円から160万円へ、扶養親族等の所得要件が103万円から123万円へ引き上げられました。大学生年代のこどもについては、年収150万円まで親の手取りが減らない「特定親族特別控除」も導入されています。
使える制度は自分で取りに行く必要がある
ここまで見てきたとおり、少子化対策として整備された制度の多くは申請しなければ受け取れません。高校授業料の就学支援金も、妊婦のための支援給付も、こども誰でも通園制度も、いずれも事前の申請や登録が前提です。
さらに国の制度に加えて、自治体独自の上乗せ支援も数多く存在します。結婚・出産・進学といったライフイベントのタイミングで、国と自治体の両方の制度を確認する習慣をつけておきましょう。
少子化対策に関するよくある質問
最後に、日本の少子化対策についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。日本の少子化対策の具体例を教えてください
主な具体例は、児童手当の拡充(所得制限撤廃・高校生年代まで延長)、妊婦のための支援給付(合計10万円)、高校授業料の無償化(私立全日制は年45万7,200円が上限)、多子世帯の大学等授業料無償化、出生後休業支援給付金(育休中の手取り10割相当)、育児時短就業給付金(賃金の10%)、こども誰でも通園制度(月10時間まで就労要件なしで利用可)などです。これらは「こども未来戦略」の加速化プランに基づいて、2024年から2026年にかけて順次実施されました。
異次元の少子化対策とは何ですか?いつから始まりましたか
「異次元の少子化対策」は2023年1月に当時の岸田文雄首相が用いた表現で、正式な制度名ではありません。政策としては2023年6月の「こども未来戦略方針」を経て、同年12月22日に「こども未来戦略」として閣議決定されました。主な施策は2024年10月の児童手当拡充から順次スタートし、2025年4月に出生後休業支援給付金や妊婦のための支援給付、2026年4月にこども誰でも通園制度と高校授業料無償化が始まっています。
少子化対策の予算は総額いくらですか
こども未来戦略の加速化プランは3.6兆円規模です。所管するこども家庭庁の2026年度(令和8年度)予算案は総額7兆4,956億円で、一般会計4兆2,795億円と子ども・子育て支援特別会計3兆2,161億円で構成されています。前年度の7兆3,270億円から約1,700億円の増額となりました。
異次元の少子化対策に効果はありましたか
出生数の減少に歯止めはかかっていませんが、減少ペースは鈍化しています。2025年の出生数は67万1,236人で10年連続の過去最少でしたが、減少率は2.2%と、2022〜2024年の5%台から縮小しました。さらに2026年上半期(1〜6月)の出生数は34万2,068人で前年同期比0.8%増となり、上半期としては2015年以来11年ぶりの増加です。ただし合計特殊出生率は1.14と過去最低を更新しており、少子化そのものが反転したとは言えない状況です。
少子化対策の財源は誰が負担していますか
財源は、既定予算の活用、社会保障の歳出改革、そして子ども・子育て支援金の3つで構成されます。このうち子ども・子育て支援金は2026年4月分の保険料から徴収が始まり、公的医療保険に加入する全世代と企業が負担します。加速化プラン3.6兆円のうち、およそ1兆円程度を支援金でまかなう想定です。支援金の収納が満額になるまでの間は、「子ども・子育て支援特例公債」を発行してつなぐ仕組みになっています。
子ども・子育て支援金は月いくら引かれますか
2026年度の支援金率は全国一律0.23%です。会社員の場合は標準報酬月額に0.23%を掛けた金額を労使で折半するため、標準報酬月額30万円なら本人負担は月345円程度が目安になります。こども家庭庁は被用者保険の被保険者1人あたり平均で月約550円と試算しています。賞与にも同率がかかり、支援金率は2028年度まで段階的に引き上げられる予定です。なお被扶養者から徴収されることはありません。
少子化対策と少子高齢化対策は同じものですか
別のものです。少子化対策は出生数の減少に働きかける政策で、児童手当や教育費支援、育児休業給付などが該当します。一方の少子高齢化対策は、これに加えて高齢化に伴う社会保障制度の持続可能性や、労働力人口の減少への対応まで含む、より広い概念です。高齢者の就労支援、年金・医療・介護制度の改革、外国人材の受け入れ、生産性向上のためのDX推進などが少子高齢化対策に含まれます。
少子化対策はいつまで続きますか
こども未来戦略の加速化プランは2024年度から2026年度までの3年間を集中取組期間としており、2026年度が最終年度にあたります。ただし政策自体は継続し、毎年6月ごろに「こどもまんなか実行計画」として更新されます。2026年6月9日には「こどもまんなか実行計画2026」が決定されました。政府は若年人口が急減する2030年代までを少子化傾向を反転できる最後の機会と位置づけており、少なくともそれまでは取り組みが続く見通しです。
こども誰でも通園制度は誰でも利用できますか
対象は生後6か月から満3歳未満で、保育所・認定こども園・地域型保育事業・企業主導型保育事業などに通っていない未就園児です。保護者の就労要件は問われません。国の補助基準上限は月10時間で、利用料は1時間300円程度が目安ですが、自治体が独自に利用可能時間を上乗せしている場合もあります。利用には事前に市区町村への利用登録が必要で、受け入れ枠には限りがあるため、実施施設と空き状況は早めに確認しておくことをおすすめします。
こどもがいない世帯にも少子化対策のメリットはありますか
直接の給付を受ける機会は限られますが、結婚を予定している方は自治体の結婚新生活支援事業(新生活の費用を最大60万円補助)を利用できる場合があります。また将来的な妊娠・出産に備えた出産費用の無償化や、妊婦のための支援給付といった制度も整備が進んでいます。一方で子ども・子育て支援金は、こどもの有無にかかわらず公的医療保険の加入者が負担するため、「独身税」という呼び方で議論を呼んでいるのも事実です。制度の趣旨としては、社会全体で次世代を支えることで、将来の社会保障制度の担い手を確保するという位置づけになっています。
まとめ
日本の少子化対策は、2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」の加速化プラン(3.6兆円規模)を軸に、2024年から2026年にかけて一気に具体化しました。児童手当の所得制限撤廃、高校授業料の無償化、育休中の手取り10割相当の給付、こども誰でも通園制度の全国展開まで、支援メニューはかつてない規模で広がっています。
2026年上半期の出生数が11年ぶりに前年を上回ったことは、明るい材料です。ただし出生率は1.14と過去最低を更新し、待機児童は9年ぶりに増加に転じるなど、課題も同時に浮かび上がっています。
大切なのは、整備された制度を確実に使うことです。就学支援金も妊婦のための支援給付も通園制度も、すべて申請や登録が前提となっています。ライフステージの節目ごとに、国と自治体の両方の制度を確認しておきましょう。
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