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骨太の方針2023!賃上げやリスキリング、子育て支援の政策は?

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異次元の少子化対策の具体例が明らかに!こども未来戦略方針とは

6月7日、政府は骨太の方針の原案を公表しました。骨太の方針の正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」で、年末の予算編成に向けた基本姿勢や、政権として力を注ぐ政策の方向性を示すものです。今回は、骨太の方針2023の原案について主な内容をご紹介します。

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この記事の目次

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骨太の方針2023の考え方

岸田政権は「新しい資本主義」を掲げ、賃金や設備・研究開発投資などを「未来への投資」と捉えて、人への投資や国内投資を促進する政策を展開しています。こうした政策展開により、30年ぶりとなる高い水準の賃上げなどが動き始めています。

高い賃金上昇を持続的なものとするために、リスキリングによる能力向上の支援などを行って、構造的賃上げの実現を通じた賃金と物価の好循環へとつなげる方針です。

また、市場や競争に任せるだけでは過少投資となりやすい、人への投資、グリーン、経済安全保障などの分野について、官が的を絞った公的支出を行い、民間投資を拡大させます。

ほかに、こども・子育て政策として「こども未来戦略方針」に沿って、政府を挙げてこども・子育て政策を抜本強化し、少子化傾向を反転させていくことを目指しています。

このような取り組みにより、官と民が協働して社会課題を解決しながら、持続的な成長に結び付けていくとしています。

骨太の方針2023のポイントは

骨太の方針2023では、以下の点についての基本的考え方や方針が示されています。

・ 内外の環境変化に対応したマクロ経済運営の基本的考え方を示すとともに、「新しい資本主義」の実現に向けた構造的賃上げの実現や人への投資、分厚い中間層の形成に向けた取組や、GX・DX、スタートアップ推進や新たな産業構造への転換など、官と民が連携した投資の拡大と経済社会改革の実行に向けた基本方針を示す。

・ 少子化のトレンドを反転させるべく、こども・子育て政策の抜本的強化に向けた道筋を示す。あわせて、多様性が尊重され全ての人が力を発揮できる包摂的な社会や地域の中小企業の活力を引き出し特色ある地方創生を実現するための方針を示す。

・ G7広島サミットの成果も踏まえた戦略的な外交・安全保障や我が国経済を強靱なものとする経済安全保障、エネルギー・食料安全保障についての方針を示すとともに、自然災害から国民を守る防災・減災、国土強靱化の推進、東日本大震災等からの復興、国民生活の安全・安心に向けた方針を示す。

・ その上で、これら政策遂行の基盤となる中長期の視点に立った経済財政運営の方針を示し、令和6年度予算編成の考え方を提示する。(引用:経済財政運営と改革の基本方針 2023(仮称)(原案)

上記のうち、本記事では、新しい資本主義を加速するための「労働市場改革」、「投資の拡大と経済社会改革」、「こども・子育て政策の抜本的強化」、「国民生活の安全・安心」の内容をチェックします。そして、最後に、令和6年度予算編成の考え方について確認しましょう。

労働市場改革による構造的賃上げ

まず、労働市場改革による構造的賃上げの実現と人への投資の強化、分厚い中間層の形成についてみていきます。

【労働市場改革】
岸田政権は、一人一人が自らのキャリアを選択する時代に合わせて、労働市場改革を行うことを提唱しています。

リスキリングによる能力向上支援では、現在、企業経由がメインの在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に過半が個人経由での給付が可能となるよう、個人への直接支援を拡充します。また、雇用調整助成金について、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう助成率等の見直しを行うほか、5年で1兆円の「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策の見直し等を行います。

また、労働者の労働移動を円滑にするため、失業給付制度において、自己都合による離職の場合に失業給付を受給できない期間に関し、失業給付の申請前にリスキリングに取り組んでいた場合などについて会社都合の離職の場合と同じ扱いにするなど、自己都合の場合の要件を緩和する方向で具体的設計を行います。ほかに、自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直しを行います。

こういった政策により、労働者はより良い条件で転職しやすくなり、労働市場全体の活性化が図られることが期待されています。

【分厚い中間層の形成】
家計所得の増大と分厚い中間層の形成のため、中小企業等の賃上げの環境整備について、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇等を強化します。赤字となっている企業においても賃上げを促進するため、税制を含めて更なる施策を検討を行います。また、最低賃金については、全国平均の最低賃金で時給1000円を達成することを含めて、公労使三者構成の最低賃金審議会で議論を進めます。

投資の拡大と経済社会改革の実行

新しい資本主義の下では、これまで「コスト」と認識されてきた賃上げと設備投資を「未来への投資」と再認識して、人への投資や国内投資を促しています。そのために、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、科学技術・イノベーション、スタートアップといった重点分野での大胆な投資拡大や中堅・中小企業の投資等を支援していきます。

【グリーントランスフォーメーション(GX)への対応】
2050年カーボンニュートラル実現に向けて、経済社会システム全体を変革するため、主に次の分野でGXに向けた設備投資や研究開発、需要創出の取組を推進します。
・省エネルギー
・再生可能エネルギー
・原子力
・水素
・自動車
・輸送
・インフラ
・森林
・カーボンリサイクル
など。

省エネルギーの推進について、具体的には、複数年の投資計画に切れ目なく対応できる中小企業向けの省エネ補助金や、省エネ効果の高い住宅の新築・改修、断熱窓への改修を含むZEH・ZEB等の取組を推進していきます。

【デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応】
行政手続きのデジタル化や、データの活用、デジタル人材の育成、サイバーセキュリティ対策などを進めて、行政サービスの質を向上し、利便性を高めます。デジタル化の恩恵をより多くの人が享受できるようにするために、国と地方自治体、民間企業が協力して取り組んでいきます。例えば、起業や補助金の申請手続など事業者向けの行政サービスがより容易にできるようにするためのGビズID、Jグランツ等の利用拡大の促進、法人基本情報データベースの整備等を行います。

【スタートアップの推進と新たな産業構造への転換】
前述の、人への投資、GXなど社会課題の解決を成長のエンジンに転換するとともに、成長分野への労働移動の円滑化を図り、新たな産業構造への転換を実現していくためには、スタートアップの推進が重要になります。

そこで、スタートアップへの投資額を5年後の2027年度に10倍を超える規模にするという目標の達成を目指し、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワーク構築、経営者保証に依存しない融資の拡大、スタートアップの資金供給の強化と出口戦略の多様化、などを進めます。

少子化対策・こども政策の抜本強化

少子化対策・こども政策の抜本強化として、「こども大綱のとりまとめ」が行われます。こども大綱は、こども基本法に基づき、今後5年程度を見据えた中長期の基本的な方針や重要事項を一元的に定めるものです。こども大綱では、こどもや若者の権利を保障し、こどもや若者の健やかな成長を社会全体で後押ししていくための施策が盛り込まれています。具体的には、以下のようなものがあります。

・幼児期までのこどもの育ちに係る質を保障する取組の推進
・保育人材の確保と現場の負担軽減
・多様なこどもの居場所づくりやこどもと居場所をつなぐ仕組みの構築
・産前産後の支援の充実
・こどもが安全安心に成長できる環境の構築
・こどもや家庭への包括的な支援体制づくりの推進
・こどもの自殺対策の強化
・いじめ防止対策の推進
・若年妊婦の支援
・ひとり親支援の推進
・こどもの貧困解消や見守り強化
・食育の推進
・こどもホスピスの全国普及に向けた取組
・発達障害児や医療的ケア児等多様なニーズを有するこどもの地域の支援基盤の強化
・こども政策DXの推進
・学校給食無償化の課題整理
・子育てしやすい地方への移住や子育てを住まいと周辺環境の観点から応援する「こどもまんなかまちづくり」の推進
・移動しやすい環境整備など公共交通・観光、公共インフラ等の面での気運醸成
など

なお、こども大綱は、2023年度中に策定される予定です。

国民生活の安全・安心

国民の安全・安心を確保するための施策として、テロの未然防止、インテリジェンス機能の強化を含むサイバーセキュリティ対策、有事に備えた国民保護施策、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策等を推進します。

感染症対策としては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に変更されたことに伴い、医療体制、公費支援など様々な政策・措置の段階的な移行を進めます。また、社会問題でもある「花粉症」の解決に向けて、「花粉症対策の全体像」に基づき、約30年後の花粉発生量の半減を目指した発生源対策、飛散対策、発症・曝露対策等に政府一体となって取り組みます。

経済財政運営の基本的考え方

さまざまな社会課題に対応する財源を確保しながら、中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営を行っていきます。

コロナ禍を脱して経済が正常化し、「成長と分配の好循環」を拡大していく中で、賃金や調達価格の上昇を考慮しつつ、歳出構造を平時に戻していくとともに、緊急時の財政支出を長期化・恒常化させないように取り組みます。

これからは、5~10年の中長期的視点に立ち、民間の予見可能性を確保し、民需を引き出し、社会課題を解決する中長期の計画的な投資を推進する政策運営を行い、加えて、デジタル社会に対応した次世代型行政サービスへの改革の実現に向けて、経済波及効果や質・効率の高い行財政改革を徹底します。

当面の経済財政運営について

現在、日本の経済は新型コロナウイルスの影響から徐々に回復しつつありますが、国際的な物価上昇や世界経済の減速などによるリスクにも注意が必要です。そのため、経済財政の運営においては、物価上昇や世界経済の減速に対応しつつ、持続的な成長と分配の改善を目指して、国内投資の拡大や研究開発の促進、価格転嫁による賃上げを進めるとしています。

これには、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及びそれを具体化する令和4年度第2次補正予算、「物価・賃金・生活総合対策本部」で取りまとめたエネルギー・食料品等に関する追加策、並びに令和5年度予算を活用し、機動的に対応する必要があります。また、重点分野への官民連携投資を通じて潜在成長率の向上も図るとしています。

令和6年度予算編成に向けた考え方

最後に、令和6年度予算編成に向けた考え方について確認しましょう。

日本経済を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていくために、令和6年度予算では、骨太方針2023、骨太方針2022及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進します。そこで、構造的な賃上げの実現や官民連携による投資の拡大、少子化対策や防衛力強化などに予算措置を講じることが示されています。

また、PDCAやEBPMの取り組みを通じて効果的かつ効率的な支出を実現し、中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営や社会保障制度の構築を進めることも重要視されています。なお、少子化対策や防衛力の強化など重要な課題には必要な予算措置を講じるとしています。

来年度の予算編成に向けた方向性を示す骨太の方針2023は、今月中旬に閣議決定が行われます。

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