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ものづくり補助金は返還の義務が発生する場合がある?

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中小企業・小規模事業者等にとって強い味方となる「ものづくり補助金」ですが、一部のケースでは、補助金の返還義務が発生します。もしも受け取った補助金をあとで返還することになったら、企業の経営に悪影響を及ぼす恐れがあります。この記事では、ものづくり補助金で返還義務が発生するケースや、また返還を免れるケースについても詳しく解説するので、活用を検討している方はぜひ参考にしてください。

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この記事の目次

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ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、今後複数年の間に次々と発生する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に中小企業・小規模事業者等が対応できるよう、支援する取組です。革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を実施するための設備投資等について、対象経費の一部をサポートします。

要件未達の場合は返還義務が発生する

ものづくり補助金の申請要件には「補助金額の返還について同意した上で事業計画を策定・実行する」が含まれています。ただし再生事業者の場合は、各目標が達成できなかった場合でも返還義務が免除されます。

補助金の返還義務が発生するのは下記のケースです。

①給与支給総額の増加目標が未達の場合
補助事業が完了した事業年度の翌年度以降、事業計画終了時点で給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できなかった場合は、返還義務が発生します。金額は、導入した設備等の簿価もしくは時価のいずれか低い額のうち、補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)です。
②事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合
補助事業が完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点で事業場内最低賃金の増加目標が達成できなかった場合、返還義務(補助金額を事業計画年数で割った額)が発生します。

また、申請の時点で、賃上げ計画を策定していないことが発覚した場合は、全額返還となります。

追加の返還要件とは?

以下、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「大幅賃上げに関する補助上限額引上の特例」では、基本要件の返還要件に加えた追加の返還要件があります。

【回復型賃上げ・雇用拡大枠】の追加の返還要件

回復型賃上げ・雇用拡大枠は、従業員への賃上げ等を前提とした優遇制度です。よって同枠で採択を受けた事業者が、補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点で、基本要件に加えた追加要件の未達に加えて、給与支給総額もしくは事業場内最低賃金の増加目標のいずれか一方でも達成できなかった場合、補助金全額の返還義務が発生します。

【大幅賃上げに関する補助上限額引上の特例】の追加の返還要件

大幅な賃上げを実施する事業者に関しては、従業員数に応じて各申請枠の補助上限額が引き上げられます。(回復型賃上げ・雇用拡大枠、各申請枠の補助金額の上限額に達しない場合、再生事業者、常勤従業員がいない場合は活用できません)

下記に該当する場合、補助金交付金額から各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分について、返還義務が発生します。

  • 給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標に加え、年率平均4.5%以上(合計で年率6%以上)の増加目標に達しなかった。
  • 補助事業が完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点で、事業場内最低賃金が申請時から年額+45円以上を毎年増加できていない。
  • 事業計画期間に常時使用する従業員がいなくなった。

その他、補助事業者が「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」等に違反する行為等(例:他の用途への無断流用、虚偽報告など)を行った場合、補助金の交付取消・返還、不正の内容を公表等の措置を取ることがあります。

また、補助事業実施期間中に他の補助金で同様の行為等が判明した場合も、補助金の交付決定取消・返還を実施することがあります。

どんな場合は返還しなくてもいい?

前項目の「要件未達の場合は返還義務が発生する」において、補助金の一部返還義務を免れるケースがあります。

①給与支給総額の増加目標が未達の場合
付加価値額が目標を超えなかった際に給与支給総額の目標達成を要求するのは困難なため、下記の場合は補助金一部返還義務は発生しません。
- 給与支給総額の年率増加率平均が「付加価値額の年率増加率平均/2」を超えている。
- 天災など、事業者の責任を問わない理由がある。
また、給与支給総額の適用が妥当ではないとみなされる特別な事情がある場合は、給与支給総額増加率の代わりに、一人当たり賃金の増加率を適用することが認められます。
②事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合
下記の場合は補助金一部返還義務は発生しません。
- 付加価値額増加率が年率平均1.5%を超えなかった。
- 天災など、事業者の責任を問わない理由がある。
また前述の通り、再生事業者の場合は各目標が達成できなかった場合でも、返還義務が免除されます。

補助事業者の義務(交付決定後に遵守すべき事項)とは

本事業の交付決定を受けた事業者は、定められた条件等を守る必要があります。中には補助金の交付取消・返還が求められる内容もあるので、最後に「交付決定後に遵守すべき事項」の全体像を確認しておきましょう。

交付決定受理後の変更や中止の場合の手続き

交付決定受理後、本事業の経費配分や内容を変更しようとする、もしくは本事業を中止・廃止する場合は、事前に事務局の承認を得る必要があります。

補助事業実績報告書の提出

本事業の完了時、その日から起算して30日を経過した日もしくは事業完了期限日のいずれか早い日までに、補助事業実績報告書を提出してください。

事業化状況・知的財産権等報告書による報告

本事業の完了日の属する会計年度(国の会計年度である4月~3月)の終了後5年間、毎会計年度終了後60日以内に、本事業に関する事業化等の状況を事業化状況(収益状況を含みます)・知的財産権等報告書で報告しなければなりません。また、本事業に関連した調査への協力も求められ、さらに事業場内最低賃金の確認のための「賃金台帳」の提出が必要です。

なお、上記期間内に事業化状況・知的財産権等報告書による報告がなかった場合は、補助金の返還を要求されることがあります。また虚偽報告が確認された場合も、補助金の返還を要求されることがあります。

収益納付

事業化状況の報告により、本事業の成果の事業化や知的財産権の譲渡・実施権設定、並びにその他当該事業の実施結果の他への提供で収益が得られたとみなされる場合は、受領した補助金の額を上限として収益納付する必要があります。(事業化状況等報告の該当年度の決算が赤字の場合や、十分な賃上げにより公益へ相当程度貢献した場合は免除となります)

取得財産を処分する場合の手続き

取得財産のうち、単価50万円(税抜)以上の機械等の財産や効用が増加した財産(処分制限財産)については、取得財産を処分する場合は事前に承認を受ける必要があります。

財産を処分する時

財産を処分する時は、残存簿価相当額もしくは時価(譲渡額)により、当該処分財産に関する補助金額を限度として納付する必要があります。ただし、中小企業・小規模事業者が試作品開発の成果により実施する事業で使用するために、処分制限財産(設備のみ)を生産に転用する場合は、事務局の事前承認を得ることで転用による納付義務が免除となります。

消費税等の扱い

交付申請書提出時に、消費税並びに地方消費税額等仕入控除税額を減額し記載してください。

経理の証拠書類の保存

補助事業者は「中小企業の会計に関する基本要領」もしくは「中小企業の会計に関する指針」に則った、信頼性が高い計算書類当の作成・活用に努めてください。また、本事業に関する経理について、その収支の事実が明確である証拠書類を整理し、交付年度終了後5年間保存する必要があります。

遂行状況報告書について

補助事業者は、本事業の遂行並びに収支の状況に関して、事務局から求められた時は速やかに遂行状況報告書を作成し、事務局へ提出してください。

事務局による実地検査

本事業の進捗状況を確認するため、事務局が実地検査に入るケースがあります。また、本事業実施中並びに本事業終了後、会計検査院や事務局等が抜き打ちで実地検査を行うケースがあります。この検査で補助金の返還命令等を指示された場合は、従わなければなりません。

知的財産権について

本事業で知的財産権が発生した場合、その権利は事業者へ帰属することになります。

補助金の支払いについて

補助金の支払いは、原則として本事業終了後に補助事業実績報告書の提出を受理し、補助金額確定後の精算払いで行います。なお、補助金は収入として計上し、法人税等の課税対象として扱われます。

補助金の概算払いを受けた場合

補助金の概算払を受けた後で本事業が廃止となった場合、補助金相当分は全額返納する必要があります。

補助金額確定について

本事業終了後の補助金額確定において、補助対象物件や帳簿類の現地確認が不可能な場合、当該物件等に関する金額は補助対象になりません。

調査や事業成果の発表等への協力

事務局、経済産業省並びに中小機構より、採否に関係なく本事業に関連する調査へ協力を求めることがあります。また補助事業者となった場合、状況によって事業成果の発表や事例集の作成等への協力が求められます。

まとめ

ものづくり補助金は、申請・事業実施・実績報告を経て補助金を受け取っても、増加目標が未達の場合は補助金返還を求められます。とはいえ、ものづくり補助金はあらゆる申請枠が用意されており、幅広い事業者が活用できる事業です。返還義務が発生するケースをしっかりと理解しておけば、より目標を達成しやすくなるでしょう。また、返還を免れるケースや補助事業者の義務も併せて押さえた上で、ものづくり補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:ものづくり補助金総合サイト

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