男性の育児休業取得率が、初めて5割を超えました。厚生労働省が2026年7月31日に公表した「令和7年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は50.9%で、前年度の40.5%から10ポイント以上上がっています。
一方、人手に余裕のない中小企業にとって、社員の休業中に業務をどう回すかは切実な課題です。「育休を取ってほしいが、代わりの人手とコストが心配」という会社も多いのではないでしょうか。
そうした会社を支えるのが、厚生労働省の「両立支援等助成金」です。社員の育児・介護・不妊治療などと仕事の両立に取り組んだ会社に支給されます。令和8年度(2026年度)は6コースのうち4コースが拡充され、育休中等業務代替支援コースでは社員1人あたり最大260万円を受け取れます。さらに2026年8月に公表された令和9年度(2027年度)の概算要求では、助成金全体で412億円(前年度392億円)が要求されました。
この記事は、両立支援等助成金の全体像をまとめた総合ガイドです。厚生労働省「支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)」をもとに、次の点を解説します。
- 6コースの支給額と対象になる事業主
- 社員が産休・育休を取ったときに会社がもらえる金額(ケース別)
- 子の看護等休暇を有給にしたときの助成金(30万円)
- 申請方法・コース別の申請期限と「いつまで受け付けているか」
- 令和9年度(2027年度)の概算要求の内容
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この記事の目次
両立支援等助成金とは?6コースでいくらもらえる?【2026年度】
両立支援等助成金は、社員が育児・介護・不妊治療などと仕事を両立できる職場づくりに取り組んだ会社(事業主)に、厚生労働省が支給する助成金です。育児・介護・不妊治療・女性の健康課題をカバーする6コースがあり、取り組み内容に応じて1人あたり数十万〜最大260万円が支給されます。申請先は、本社等の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。
返済は不要です。融資ではないため、要件を満たして支給が決まれば、受け取ったお金を返す必要はありません。
6コースの支給額一覧(令和8年度)
令和8年度の6コースの主な支給額は、次の表のとおりです。金額の大きい順に見ると、育休中等業務代替支援コース(最大260万円)、介護離職防止支援コース、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース(最大90万円)が上位に並びます。
| コース | 主な区分と支給額 | 対象事業主 |
|---|---|---|
| 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金) | 男性労働者の育児休業取得:1人目20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合30万円)、2・3人目各10万円/男性の育休取得率の上昇等:60万円(プラチナくるみん認定で15万円加算) | 取得:中小企業事業主/取得率上昇等:特定事業主 |
| 育児休業等支援コース | 育休取得時30万円+職場復帰時30万円(1事業主2人まで:無期・有期各1人) | 中小企業事業主 |
| 育休中等業務代替支援コース | 手当支給等(育児休業):業務体制整備経費最大20万円+業務代替手当の3/4(最大240万円)/手当支給等(短時間勤務):最大20万円+手当の3/4(最大108万円)/新規雇用(育児休業):9万〜81万円 | 手当支給等:すべての事業主/新規雇用:特定事業主 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 制度を3つ導入・利用で20万円、4つ以上で25万円/子の看護等休暇制度有給化支援30万円/障害児等要配慮支援加算20万円 | 中小企業事業主 |
| 介護離職防止支援コース | 介護休業40万円(連続15日以上で60万円)/介護両立支援制度20万〜40万円/業務代替支援3万〜30万円/介護休暇制度有給化支援30万円(10日以上付与で50万円)/環境整備加算・有期雇用労働者加算各10万円 | 中小企業事業主 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース | 不妊治療・月経・更年期の各区分30万円(最大90万円) | 中小企業事業主 |
出典:厚生労働省「両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)」「2026(令和8)年度 両立支援等助成金リーフレット」
両立支援のひろばとは?情報公表加算2万円の条件
「両立支援のひろば」は、厚生労働省が運営する、企業の両立支援の取り組みを公表・検索できるWebサイトです。このサイトで自社の育児休業等の取得状況などを公表すると、育児休業等に関する情報公表加算(2万円・1回限り)を受け取れます。
加算は、出生時両立支援コース・育児休業等支援コース・育休中等業務代替支援コース・柔軟な働き方選択制度等支援コースの支給申請にあわせて受け取る仕組みです。加算だけを単独で申請することはできません。どのコースで受け取るかは、手引きで受給済みかどうかを確認したうえで選びましょう。
両立支援等助成金の対象になる事業主は?中小企業事業主・特定事業主の範囲
両立支援等助成金は、原則として中小企業事業主が対象です。ただし一部の区分は、中小企業より範囲の広い「特定事業主」や、企業規模を問わずすべての事業主が対象になります。| 対象となる事業主 | 該当するコース・区分 |
|---|---|
| すべての事業主(企業規模要件なし) | 育休中等業務代替支援コースの「手当支給等(育児休業)」「手当支給等(短時間勤務)」 |
| 特定事業主 | 出生時両立支援コースの「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」/育休中等業務代替支援コースの「新規雇用(育児休業)」 |
| 中小企業事業主のみ | 上記以外のすべての区分 |
中小企業事業主と特定事業主の範囲は、次のとおりです。資本金(出資金)と常時雇用する労働者数の、いずれか一方を満たせば該当します。
| 業種 | 資本金・出資金 | 中小企業事業主の労働者数 | 特定事業主の労働者数 |
|---|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 | 300人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | 300人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 | 300人以下 |
特定事業主は、資本金の基準は中小企業事業主と同じです。常時雇用する労働者数の基準が、業種を問わず300人以下に広がっています。たとえば、資本金1億円・労働者150人の飲食店は中小企業事業主には当たりませんが、特定事業主には当たります。個人事業主も、雇用保険の適用事業主であれば対象です。
令和8年度(2026年度)の両立支援等助成金は何が変わった?
令和8年度(2026年4月〜)は、4つのコースで対象の拡大、助成の新設、要件の見直しが行われました。支給申請書の様式も「R8.4.8版」(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは4月1日版)に更新されています。旧様式で提出しないよう注意しましょう。
| コース | 令和8年度の主な変更内容 |
|---|---|
| 出生時両立支援コース | 「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の対象を特定事業主に拡大/取得率の算定に事実婚状態の男性労働者の育休も算入 |
| 育休中等業務代替支援コース | 手当支給等の企業規模要件を撤廃/新規雇用の対象を特定事業主に拡大/業務代替手当の助成対象期間を2年間(24か月分)に延長/新規雇用に「1年以上」の区分(81万円、プラチナくるみん認定は99万円)を新設 |
| 介護離職防止支援コース | 介護休暇制度有給化支援(30万円、10日以上付与で50万円)を新設/有期雇用労働者加算(10万円)を新設/介護両立支援制度から「所定外労働の制限制度」「深夜業の制限制度」を削除 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 子の看護等休暇制度有給化支援(30万円)を独立した区分に(労働者の実際の利用が要件)/障害児等要配慮支援加算(20万円)を新設 |
出生時両立支援コースの区分名も変わりました。旧「第1種」は「男性労働者の育児休業取得」、旧「第2種」は「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」です。社内規程や申請書類を見直すときは、新しい名称で確認してください。
なお、要件を満たした日によっては、令和7年度以前の支給要領が適用される場合があります。年度をまたぐ取り組みは、どちらの要領が適用されるかを管轄の労働局に確認しておくと安心です。
令和9年度(2027年度)の両立支援等助成金はどうなる?概算要求は412億円
厚生労働省が2026年8月に公表した令和9年度概算要求では、両立支援等助成金に412億円が要求されました。令和8年度予算額は392億円で、約20億円の増額要求です。制度が縮小・廃止される方向ではなく、引き続き拡充される見通しといえます。
コース別の要求額は、次の図のとおりです。最も大きいのは育休中等業務代替支援コースで、全体の約7割を占めます。伸び率が大きいのは柔軟な働き方選択制度等支援コース(17.5億円→25.6億円)と、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース(0.84億円→2.0億円)です。
概算要求の資料では、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースについて、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画に「不妊治療と仕事の両立支援や女性の健康支援の取り組み」を盛り込むことを、支給要件に加える見直しが示されています。
ただし概算要求は、各省庁が財務省に出す「予算の要望」の段階です。金額や要件は、2026年12月ごろの政府予算案の閣議決定、2027年3月ごろの国会での予算成立を経て確定します。令和9年度の支給申請の手引きが公表されたら、この記事も更新します。
両立支援等助成金はいつまで申請できる?受付終了と年度末の注意点
両立支援等助成金は、年度ごとに一律の締切日がある補助金とは違い、コース・区分ごとに「要件を満たした日から〇か月以内」という申請期限が決まっています。多くは「要件を満たした日の翌日から2か月以内」です。2026年10月27日時点で、厚生労働省の両立支援等助成金のページに、令和8年度の申請受付を年度途中で停止するといった告知は出ていません。
例外として、事業所内保育施設コースは新規の受付を停止しています。保育施設の設置・運営費を目的にこの助成金を探している場合は、ほかの支援制度を検討する必要があります。
また、助成金は国の予算の範囲内で支給されます。年度末(2027年2〜3月)に要件を満たす取り組みは、適用される支給要領や様式が切り替わる時期と重なるため、早めに準備しておきましょう。
コース別の申請期限一覧
コース・区分ごとの申請期限は、次のとおりです。期限は消印ではなく、労働局に書類が届いた日(電子申請は送信日)で判断されます。
| コース・区分 | 申請期限 |
|---|---|
| 出生時両立支援コース(男性労働者の育児休業取得) | 育児休業終了日の翌日から2か月以内 |
| 出生時両立支援コース(取得率の上昇等) | 取得率が上昇等した事業年度の翌事業年度の開始日から6か月以内 |
| 育児休業等支援コース(育休取得時) | 育児休業開始日(産後休業から続けて取る場合は産後休業開始日)から3か月を経過する日の翌日から2か月以内 |
| 育児休業等支援コース(職場復帰時) | 育児休業終了日の翌日から6か月を経過する日の翌日から2か月以内 |
| 育休中等業務代替支援コース(手当支給等・育児休業) | 育休1か月未満:育児休業終了日の翌日から2か月以内/育休1か月以上:育休初日から1か月経過後と、復帰後3か月経過後の2回に分けて申請可能 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 6か月間の制度利用期間の翌日から2か月以内 |
| 子の看護等休暇制度有給化支援・介護休暇制度有給化支援 | 利用時間数が10時間に達した日の翌日から2か月以内 |
| 介護離職防止支援コース(介護休業) | 介護休業終了日の翌日から3か月を経過する日の翌日から2か月以内 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース | 制度利用が合計5日(回)を経過する日の翌日から2か月以内 |
男性社員の育休が9月に終わったら、申請はいつまで?
出生時両立支援コース(男性労働者の育児休業取得)は、育児休業が終わった日の翌日から2か月以内が申請期限です。たとえば育休が9月20日に終わった場合、翌日の9月21日から数えて11月20日までに労働局へ書類を届ける必要があります。
次の図は、男性社員の育休から申請期限までの流れを、この例に当てはめて整理したものです。2人目・3人目の育休なら支給額は各10万円、1人目なら20万円(雇用環境整備措置4つ以上で30万円)です。
社員が産休・育休を取ったら会社はいくらもらえる?ケース別に解説
社員が産休・育休を取るときに会社が使えるのは、主に出生時両立支援コース・育児休業等支援コース・育休中等業務代替支援コースの3つです。休業するのが男性か女性か、休業の長さ、業務をどうカバーするかによって、使えるコースが変わります。
| ケース | 使えるコース・区分 | 支給額の目安 |
|---|---|---|
| 男性社員が子の出生後8週間以内に5日以上の育休を取る | 出生時両立支援コース(男性労働者の育児休業取得) | 1人目20万円(雇用環境整備措置4つ以上で30万円) |
| 社員が産休から続けて3か月以上の育休を取り、職場に復帰する | 育児休業等支援コース | 育休取得時30万円+職場復帰時30万円=60万円 |
| 育休中の社員の業務を周りの社員がカバーし、手当を支給する | 育休中等業務代替支援コース(手当支給等) | 最大260万円(業務体制整備経費20万円+手当の3/4で最大240万円) |
| 育休中の社員の代わりに人を雇う・派遣を受け入れる | 育休中等業務代替支援コース(新規雇用) | 代替期間に応じて9万〜81万円 |
| 育休から復帰した社員が短時間勤務をし、周りの社員に手当を支給する | 育休中等業務代替支援コース(手当支給等・短時間勤務) | 最大128万円(業務体制整備経費20万円+手当の3/4で最大108万円) |
産休だけでも助成金の対象になる?
産前・産後休業だけで対象になるコースはありません。ただし、産後休業から続けて育児休業を取る場合、育児休業等支援コースでは産後休業の開始日から期間を数えます。女性社員が産休から続けて育休を取る予定なら、産休に入る前に育休復帰支援プランの作成や業務の引き継ぎを済ませておくことが大切です。
男性社員が育休を取ったら会社はいくらもらえる?
男性社員の育休で会社が受け取れる中心の助成金は、出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)です。中小企業事業主なら、1人目の育休で20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合30万円)、2人目・3人目は各10万円です。
さらに、男性の育休取得率が前年度から30ポイント以上上がり50%以上になった場合などは、「取得率の上昇等」として60万円(プラチナくるみん認定事業主は15万円加算)が支給されます。この区分は令和8年度から、常時雇用する労働者が300人以下の特定事業主まで対象が広がりました。育休中の業務を周りの社員がカバーして手当を出せば、育休中等業務代替支援コースも組み合わせられます。
東京都内の会社は、国の助成金とは別に、東京都の「働く人の育業応援奨励金」も検討できます。
同じ育休で重ねてもらえない組み合わせは?
同じ社員の同じ育児休業について、出生時両立支援コース(男性労働者の育児休業取得)と育児休業等支援コースの両方は受け取れません。育休中等業務代替支援コースでは、同じ社員の同じ子の育休について、手当支給等と新規雇用のどちらか一方だけが対象です。
複数のコースを使う場合は、区分ごとの併給ルールを手引きで確認してから計画を立てましょう。同じ取り組みや同じ経費で2つ以上の助成金を申請すると、一方しか支給されないことがあります。
両立支援等助成金の各コースの概要と令和8年度のポイント
6コースは、対象となる場面(男性育休・育休全般・業務代替・柔軟な働き方・介護・不妊治療等)がそれぞれ異なります。ここでは各コースの対象・支給額・令和8年度のポイントを簡潔にまとめます。要件の細かな条件は、コースごとの解説記事で確認してください。
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは?
出生時両立支援コースは、男性社員が育休を取りやすい環境を整え、子の出生後8週間以内に育休を取った場合に支給される助成金です。
「男性労働者の育児休業取得」は、中小企業事業主が対象です。必要な育休日数は、1人目が5日以上、2人目が10日以上、3人目が14日以上です。支給額は1人目20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合30万円)、2・3人目は各10万円です。
「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」は、令和8年度から特定事業主まで対象が広がりました。取得率が前年度から30ポイント以上上がり50%以上になった場合などに、60万円が支給されます(1事業主1回限り)。
育児休業等支援コースとは?
育児休業等支援コースは、「育休復帰支援プラン」を作り、プランに沿って社員の育休取得と職場復帰を支援した中小企業事業主に支給される助成金です。育休取得時30万円と職場復帰時30万円の、合計60万円が支給されます。
主な条件は、社員が連続3か月以上の育休(産後休業を含む)を取ること、原則として元の職務(原職等)に復帰させること、復帰後6か月以上雇用を続けることです。1事業主につき、無期雇用の社員1人・有期雇用の社員1人の計2人まで対象です。
育休中等業務代替支援コースとは?
育休中等業務代替支援コースは、育休中や短時間勤務中の社員の業務を代わりに担う周囲の社員に手当を支給した場合や、代わりの人を新たに雇った場合に支給される助成金です。令和8年度は業務代替手当の対象が2年間(24か月分)に延び、1人あたり最大260万円になりました。
手当支給等は、令和8年度から企業規模を問わずすべての事業主が対象です。新規雇用の支給額は、代替期間7日以上で9万円、1年以上で81万円です(プラチナくるみん認定は99万円)。支給人数は、3区分合わせて1年度10人まで、初回から5年間です。
柔軟な働き方選択制度等支援コースとは?
柔軟な働き方選択制度等支援コースは、3歳から小学校に入るまでの子を育てる社員向けに、柔軟な働き方の制度を3つ以上導入し、社員が利用した場合に支給される助成金です。制度3つで20万円、4つ以上で25万円(1事業主5人まで)です。
対象となる制度は次の5つです。
- フレックスタイム・時差出勤
- テレワーク等
- 短時間勤務
- 保育サービスの手配・費用補助
- 養育両立支援休暇
令和8年度からは、障害児や医療的ケア児を育てる社員が制度を使える期間を、子が18歳になる年度末まで延ばした場合の「障害児等要配慮支援加算」(20万円)も新設されました。
子の看護休暇を有給にすると助成金はいくら?【2026年】
子の看護等休暇を有給の制度にして、社員が実際に利用した場合は、柔軟な働き方選択制度等支援コースの「子の看護等休暇制度有給化支援」として30万円(1事業主1回限り)が支給されます。令和8年度から独立した区分になり、制度を作るだけでなく、社員が実際に利用したことが支給の条件になりました。
申請期限は、社員の利用時間数が合計10時間に達した日の翌日から2か月以内です。子の看護等休暇は、2025年4月の育児・介護休業法改正で、対象が小学校3年生修了までの子に広がり、学級閉鎖や入園式・卒園式などにも使えるようになりました。法律上は無給でもかまわない休暇のため、有給にする会社を国が後押しする仕組みです。
- 支給額は30万円(1回限り)。中小企業事業主が対象
- 有給の子の看護等休暇を就業規則等に具体的に規定することが必要
- 社員の利用時間数が10時間に達した日の翌日から2か月以内に申請
- 介護休暇を有給にした場合は、介護離職防止支援コースの「介護休暇制度有給化支援」(30万円、10日以上付与で50万円)が別に用意されている
介護離職防止支援コースとは?
介護離職防止支援コースは、「仕事と介護の両立支援プラン」に基づいて、社員の介護休業の取得・復帰や、介護と両立できる制度の利用を支援した中小企業事業主に支給される助成金です。介護休業は40万円(連続15日以上の休業で60万円)です。
令和8年度は、有給の介護休暇制度を導入して社員が10時間以上利用した場合の「介護休暇制度有給化支援」が新設されました。支給額は30万円で、年10日以上付与する制度なら50万円です。
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースとは?
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは、不妊治療・月経(PMSを含む)・更年期の3つについて、休暇制度や短時間勤務などの両立支援制度を整えた中小企業事業主に支給される助成金です。社員が制度を合計5日(回)利用すると、各区分30万円(最大90万円)が支給されます。相談に対応する「両立支援担当者」の選任も条件です。
両立支援等助成金の申請方法は?流れ・提出先・必要書類
両立支援等助成金は、本社等の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に申請します。本社等とは、人事労務管理を担う部署がある事業所のことで、登記上の本店と異なる場合があります。
申請方法は、厚生労働省の「雇用関係助成金ポータル」からの電子申請、または郵送・持参です。郵送は、簡易書留など配達記録が残る方法で送ります。消印ではなく労働局に届いた日で判断されるため、期限内に必着させる必要があります。
両立支援等助成金の申請の流れは?
申請までの流れは、制度の規定から支給申請までの5ステップです。多くのコースでは、制度の規定やプランの作成を休業・制度利用の開始日の前日までに済ませておく必要があります。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1.制度の規定 | 育児休業制度や対象となる両立支援制度を、就業規則・労働協約に具体的に規定し、社員に周知する |
| 2.行動計画の届出 | 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出る(多くのコースで要件) |
| 3.面談・プラン作成 | 対象の社員と面談し、育休復帰支援プランや仕事と介護の両立支援プランなどを作る |
| 4.体制整備・制度利用 | 業務の引き継ぎや見直しを行い、社員が休業・制度を実際に利用する |
| 5.支給申請 | 継続雇用の期間などを満たした後、コースごとの申請期限内に申請する |
社員から育休の申し出があってからでは、制度の規定やプランの作成が間に合わないことがあります。対象になりそうな社員がいなくても、先に制度を整えておきましょう。
申請に必要な主な書類は?
申請には、コースごとの支給申請書と、全コース共通の書類が必要です。主な書類は次のとおりです。
- コースごとの支給申請書(R8.4.8版)
- 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号。申請のたびに提出)と役員等一覧
- 就業規則・労働協約(関連する労使協定を含む)
- 労働者名簿、出勤簿またはタイムカード、賃金台帳
- 面談シート、育休復帰支援プランなどのプラン
- 一般事業主行動計画の策定届(対象のコース)
- 支払方法・受取人住所届
コースごとの詳しい書類は、厚生労働省「両立支援等助成金」のページにある手引きと様式で確認できます。提出した書類の写しは、支給決定から5年間保存する必要があります。
両立支援等助成金で不支給にならないための注意点は?
要件を満たしていても、準備の順番や労務管理の不備で不支給になることがあります。「制度の規定 → 社員への周知 → 取り組み → 期限内の申請」の順番を守ることが前提です。
就業規則に書いていない制度は対象外
助成の対象は、就業規則や労働協約に規定された制度だけです。実際には法律を上回る対応をしていても、規定がなければ支給されません。「育児・介護休業法に準拠する」といった包括的な書き方では認められず、制度の内容を具体的に定める必要があります。
原職等への復帰と継続雇用の条件
育児休業等支援コースや育休中等業務代替支援コースでは、育休後に元の職務(原職等)に復帰させることが条件です。職制上の地位が休業前より下がっている場合、たとえば管理職手当が支給されなくなった場合は、原職等とは認められません。復帰後の継続雇用期間は、コースによって3か月または6か月です。
両立支援等助成金を受給できない事業主の条件
次のいずれかに当たる事業主は、両立支援等助成金を受け取れません。
- 雇用関係助成金の不正受給で不支給決定・支給取消を受けてから5年を経過していない(2019年3月31日以前の申請分は3年)
- 前年度より前の労働保険料を納めていない
- 支給申請日の前日から1年以内に労働関係法令違反で送検された
- 育児・介護休業法などの重大な違反がある、または是正指導に従っていない
- 性風俗関連営業や、接待を伴う飲食等営業を行っている
- 暴力団と関わりがある
- 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している
育児休業給付金と両立支援等助成金の違いは?
両立支援等助成金は会社(事業主)が受け取るお金で、育児休業給付金は休業した社員本人が受け取るお金です。別の制度なので、同じ育休について会社は助成金、社員は給付金をそれぞれ受け取れます。
| 比較項目 | 両立支援等助成金 | 育児休業給付金・介護休業給付金 |
|---|---|---|
| 受け取る人 | 事業主(会社) | 休業した労働者本人 |
| 目的 | 両立支援の制度整備や業務代替体制づくりの支援 | 休業中の所得の補填 |
| 申請先 | 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) | ハローワーク(原則として事業主を経由) |
| 企業規模 | 原則として中小企業事業主(区分により特定事業主・全事業主) | 企業規模は問わない |
社員本人が受け取る給付金の金額や計算方法は、次の記事で解説しています。
育児・介護休業法の改正と両立支援等助成金はどう関係する?
2025年10月から、3歳から小学校に入るまでの子を育てる社員に向けて、柔軟な働き方を実現するための措置を2つ以上講じることが企業の義務になりました。選択肢は次の5つです。
- 始業時刻等の変更
- テレワーク等
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇
- 短時間勤務制度
法律の義務は「2つ以上」ですが、柔軟な働き方選択制度等支援コースの対象は「3つ以上の導入」です。法律への対応として導入する2つに、もう1つ制度を加えれば、助成金の対象になり得ます。法改正への対応と助成金の申請は、あわせて進めると効率的です。
養育両立支援休暇とは?
養育両立支援休暇は、3歳から小学校に入るまでの子を育てる社員が、就業しつつ子を養育しやすくするために取れる休暇です。2025年10月施行の改正育児・介護休業法で、柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢の1つとして設けられました。1日単位や時間単位で、年10日以上取れるようにする必要があり、子の看護等休暇とは別の休暇です。柔軟な働き方選択制度等支援コースでは、5つの対象制度の1つになっています。
がんや難病などの治療と仕事の両立を支援する助成金は、両立支援等助成金とは別の制度です。次の記事で解説しています。
両立支援等助成金に関するよくある質問
両立支援等助成金はいくらもらえますか?
コースと区分によって異なります。男性の育休取得で1人目20万円(雇用環境整備措置4つ以上で30万円)、育休復帰支援プランに基づく育休取得・職場復帰で計60万円、業務を代替する社員への手当支給で1人あたり最大260万円、代替要員の新規雇用で9万〜81万円です。介護休業は40万〜60万円、不妊治療・女性の健康課題対応は最大90万円です。
令和8年度(2026年度)の主な変更点は何ですか?
4つのコースが拡充されました。育休中等業務代替支援コースは手当支給等の企業規模要件を撤廃し、業務代替手当の対象を2年間(24か月分)に延長、新規雇用に1年以上の区分(81万円)を新設しました。出生時両立支援コースは取得率上昇等の対象を特定事業主に拡大しました。介護離職防止支援コースには介護休暇制度有給化支援、柔軟な働き方選択制度等支援コースには子の看護等休暇制度有給化支援が独立した区分として設けられています。
令和9年度(2027年度)の両立支援等助成金はどうなりますか?
厚生労働省の令和9年度概算要求では、両立支援等助成金に412億円(令和8年度予算392億円)が要求されています。柔軟な働き方選択制度等支援コースは17.5億円から25.6億円へ、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは0.84億円から2.0億円への増額要求です。金額や要件は、2026年12月ごろの政府予算案と2027年3月ごろの予算成立を経て確定します。
両立支援等助成金は今年度いつまで申請できますか?
年度で一律の締切日はなく、コース・区分ごとに「要件を満たした日の翌日から2か月以内」などの申請期限が決まっています。2026年10月27日時点で、令和8年度の受付を年度途中で停止する告知は出ていません。ただし事業所内保育施設コースは新規受付を停止しています。期限は労働局への到達日で判断されます。
子の看護休暇を有給にすると助成金はもらえますか?
もらえます。柔軟な働き方選択制度等支援コースの「子の看護等休暇制度有給化支援」として、中小企業事業主に30万円(1回限り)が支給されます。有給の子の看護等休暇を就業規則等に規定し、社員が実際に利用することが条件で、利用時間数が10時間に達した日の翌日から2か月以内に申請します。
男性社員の育休で会社に10万円が出るのはどんなときですか?申請はいつまでですか?
出生時両立支援コースで、2人目・3人目の男性社員が子の出生後8週間以内に育休(2人目10日以上、3人目14日以上)を取った場合に、各10万円が支給されます。1人目は20万円(雇用環境整備措置4つ以上で30万円)です。申請期限は育休終了日の翌日から2か月以内で、9月20日に育休が終わった場合は11月20日までに労働局へ届ける必要があります。
大企業でも両立支援等助成金を申請できますか?
一部の区分は申請できます。育休中等業務代替支援コースの手当支給等(育児休業・短時間勤務)は、令和8年度から企業規模を問わず対象です。出生時両立支援コースの取得率上昇等と、育休中等業務代替支援コースの新規雇用は、常時雇用する労働者が300人以下などの特定事業主が対象です。その他の区分は中小企業事業主のみが対象です。
社員が産休・育休を取ったとき、中小企業が受け取れる助成金は?
男性社員の育休なら出生時両立支援コース(1人目20万円〜)、産休から続けて3か月以上の育休を取り復帰した場合は育児休業等支援コース(計60万円)が使えます。業務を周囲の社員がカバーして手当を支給した場合は育休中等業務代替支援コース(最大260万円)、代替要員を雇った場合は同コースの新規雇用(9万〜81万円)が対象です。ただし、同じ育休について出生時両立支援コースと育児休業等支援コースは併給できません。
両立支援等助成金の申請期限はいつまでですか?
コース・区分ごとに異なりますが、多くは要件を満たした日の翌日から2か月以内です。たとえば出生時両立支援コース(男性労働者の育児休業取得)は育児休業終了日の翌日から2か月以内、育児休業等支援コースの職場復帰時は育児休業終了日の翌日から6か月を経過する日の翌日から2か月以内です。期限は労働局への到達日で判断されます。
両立支援等助成金はどこに申請しますか?電子申請はできますか?
本社等(人事労務管理を担う部署がある事業所)の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に申請します。厚生労働省の雇用関係助成金ポータルから電子申請もできます。郵送の場合は簡易書留など配達記録が残る方法で送り、期限内に必着させます。
個人事業主やパート社員も対象になりますか?
個人事業主も、雇用保険の適用事業主であれば申請できます。パートなどの有期雇用の社員も、雇用保険の被保険者であることなど各コースの要件を満たせば対象です。育児休業等支援コースは有期雇用の社員1人分の枠があり、介護離職防止支援コースと育休中等業務代替支援コースには有期雇用労働者加算(10万円)があります。
特定事業主とは何ですか?
資本金(出資金)が中小企業事業主と同じ基準以下か、常時雇用する労働者が業種を問わず300人以下の事業主です。中小企業事業主より労働者数の基準が広く、たとえば労働者150人の小売業は中小企業事業主には当たりませんが、特定事業主には当たります。
両立支援のひろばとは何ですか?助成金とどう関係しますか?
両立支援のひろばは、厚生労働省が運営する、企業の両立支援の取り組みを公表・検索できるWebサイトです。自社の育児休業等の取得状況などを公表すると、出生時両立支援コースなどの申請にあわせて「育児休業等に関する情報公表加算」(2万円・1回限り)を受け取れます。加算だけを単独で申請することはできません。
法律より手厚い制度があっても、就業規則に書いていなければ対象外ですか?
対象外です。両立支援等助成金の対象は、就業規則や労働協約に規定された制度だけです。「育児・介護休業法に準拠する」といった包括的な規定では足りず、制度の内容を具体的に定める必要があります。
くるみん・プラチナくるみん認定は必要ですか?
必須ではありませんが、認定があると有利です。プラチナくるみん認定事業主は、出生時両立支援コースの取得率上昇等で15万円が加算され、育休中等業務代替支援コースでは業務代替手当の助成率が4/5に、新規雇用の1年以上区分が99万円に上がります。くるみん認定を受けた事業主は、育休中等業務代替支援コースで令和12年度まで延べ50人を限度に支給を受けられます。
保育施設を作る費用は両立支援等助成金の対象になりますか?
現在は対象になりません。両立支援等助成金には事業所内保育施設コースがありますが、新規の受付を停止しています。令和9年度概算要求でも、同コースは新規受付停止中と記載されています。
まとめ
両立支援等助成金は、社員の育児・介護・不妊治療などと仕事の両立に取り組んだ会社に支給される、6コースの助成金です。令和8年度は4コースが拡充され、育休中等業務代替支援コースは最大260万円、手当支給等は企業規模を問わず使えるようになりました。令和9年度の概算要求も412億円と増額要求されており、制度は拡充が続く見通しです。
社員が産休・育休を取るときは、休業する人・期間・業務のカバー方法によって、出生時両立支援コース、育児休業等支援コース、育休中等業務代替支援コースを使い分けます。子の看護等休暇や介護休暇を有給にした場合も、それぞれ30万円の区分があります。
どのコースも、制度の規定とプランの作成を取り組みの前に済ませ、要件を満たした日から原則2か月以内に申請することが受給の前提です。「制度を導入しただけでなく、社員が実際に利用したか」を問う区分が増えているため、就業規則の整備と利用実績づくりをセットで計画しましょう。
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