▼令和3年度補正予算 事業承継引継ぎ補助金の最新情報はこちら!
国内の企業は、99%以上が中小企業で成り立っています。経済を支える基盤であり、日本の産業では欠かせない存在です。しかし近年では、多くの中小企業が事業承継の問題に悩まされています。
「後継者不足で事業継続が難しい」「M & Aの進め方が分からない」などの理由から、廃業に至る企業が増加。このままでは多くの雇用や技術が失われ、GDPに影響を及ぼす可能性が高いでしょう。そこで打ち出された政策が、事業承継・引継ぎ補助金です。
この補助金は、経営者交代・M & A・事業再編などの引き継ぎを、スムーズに進めるためのサポート制度です。政府は、令和3年度補正予算から、中小企業生産性革命推進事業に事業承継・引継ぎ補助金を加え、円滑な事業承継・引継ぎを一層強力に推進していく方針です。この記事で詳しく解説するので、事業承継を検討中の事業者はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
事業承継・引継ぎが急がれる理由とは
経営者の高齢化の進展
少子高齢化により、経営者の平均年齢が年々上がり続けています。それ以外にも、子が親の会社を継ぐのは当たり前ではないという、時代の変化による価値観も経営者の高齢化の進展に影響していると考えられます。そのため、今後数年間のうちに、事業承継を迎える中小企業が増加すると考えられます。
しかしながら、多くの企業では後継者が決定していません。また、経営者が高齢を理由に引退を考えていても、後継者不在のためやむなく事業存続に至っているケースもあります。そこで、事業を維持し発展させていくためには、何らかの形で引き継ぎをスムーズに進める必要があります。
参考:東京商工リサーチ 2020年「休廃業・解散企業」動向調査
コロナによる過去最多の廃業率
コロナ禍での時短営業・外出自粛などの要請により、2020年の廃業率が過去最多を更新しました。なお、廃業した企業の経営者も高齢化が進んでおり、2021年の平均年齢は70歳を超えています。
コロナによる廃業率の高さは、必ずしも経営難だけが理由ではありません。休廃業した企業の6割ほどは、業績が黒字であるにも関わらず、事業をたたむ決断へ至っています。これは、経営者の高齢化とコロナ禍が重なったことによる「あきらめ型」といえるでしょう。
先行きの不透明さが長期化する中で、資金に余裕があるうちに廃業を選択していると考えられます。コロナ禍においては、後継者問題に加え、駆け込み廃業への支援が急務です。
参考:中小企業庁 財務サポート「事業承継」
事業承継・引継ぎ補助金の目的とは
中小企業の廃業件数が増加の一途をたどる中、業績好調の企業も一定数存在しています。このような企業の資産を有効活用し、経営難の事業者を支援する試みが重要です。
また事業承継を実施した企業が、販路開拓・経営理念再構築など、新たな取り組みを行うケースが増えています。さらには、事業承継が企業の売上高を促進し、高い成長率につながっているという分析結果もあります。
出典:中小企業庁 財務サポート「事業承継」
他にも、廃業を検討している企業が補助金でM & A(売り手側)を行えば、以下のようなメリットがあります。
・後継者問題を解決し、従業員の雇用も確保できる
・廃業コストがかからず、より多くの金額が手元に残る
・事業の継続や拡大が図れる
・連帯保証や担保が解除されるので、引退後の生活が充実する
中小事業者は日本企業の大半を占めており、雇用・技術の担い手として社会を支える存在です。新たな活動を通して、企業の成長・発展を後押しするためにも、事業承継を推し進める必要性は高いでしょう。
補助金の種類についての概要
事業承継・引継ぎ補助金は、以下の3種類に分かれます。
①経営革新事業(創業支援型・経営者交代型・M & A型)
②専門家活用事業(買い手支援型・売り手支援型)
③廃業・再チャレンジ事業
それぞれ補助上限額・補助率が異なるので、どのタイプに該当するのか確認してから交付申請してください。詳細は後述で解説します。
経営革新事業とは
経営革新事業は、事業承継や、M & A後の経営革新(販路開拓・設備投資等)に関わる費用を補助するものです。
【創業支援型】
他の事業者が保有している、資産・負債・社員・契約関係などの経営資源を引き継いで創業した場合の類型
令和3年度補正予算事業の公募要領はまだ公表されていませんが、参考までに、令和2年度第3次補正予算では、以下の要件をすべて満たすことが条件でした。
①創業を機に引き継いだ経営資源を活用し、経営革新等に取り組む者。
②産業競争力強化法に基づく認定市区町村、又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の知識・実務経験等を有している者。
<過去の採択事例(令和2年度第3次補正予算)>
『廃業したスクールの事業継承を行い、今後のスクール運用に取り組む』
『閉店した「鶴屋」の商品を復活させるとともに自家焙煎の珈琲を販売。菓子と珈琲が楽しめる「鶴屋パーラー」を開業する』
【経営者交代型】
親族内承継等により経営資源を引き継いだ場合の類型
なお、令和2年度第3次補正予算では、以下の要件をすべて満たすことが条件でした。
①事業承継を機に、経営革新等に取り組む者。
②産業競争力強化法に基づく認定市区町村、又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の知識・実務経験等を有している者。
③地域経済全般を牽引する事業等の創業を機に、地域雇用をはじめ、引き継いだ経営資源を活用し経営革新等に取り組む者
<過去の採択事例(令和2年度第3次補正予算)>
『事業引き継ぎによる地域歯科医療への貢献、新規患者獲得のための設備導入』
『酒類卸売事業の承継に伴う既存酒類販売事業とのシナジー発揮と新規商品開発』
【M & A型】
M & A (株式譲渡、事業譲渡)により経営資源を引き継いだ場合の類型
なお、令和2年度第3次補正予算では、以下の要件をすべて満たすことが条件でした。
①事業再編・事業統合等を契機として、経営革新等に取り組む者であること。
②産業競争力強化法に基づく認定市区町村、又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の知識・実務経験等を有している者。
③地域経済全般を牽引する事業等の創業を機に、地域雇用をはじめ、引き継いだ経営資源を活用し経営革新等に取り組む者。
<過去の採択事例(令和2年度第3次補正予算)>
『非承継者の経営資源を活用した地域課題解決型の不動産コンサルティング事業』
『承継した洋菓子店の更なる成長発展及び全社シナジー発揮のための設備導入事業』
補助率と補助上限額について
上記3タイプの補助率と補助上限額はいずれも共通ですが、補助率は対象経費の額によって以下のように決定します。
対象経費 | 補助率 |
~600万円 | 2/3 |
600万円~1000万円 | 1/2 |
対象経費が600万円までは補助率2/3、それ以上は1/2となります。補助上限額は最大600万円です。
専門家活用事業とは
この事業では、M & A時の専門家活用に関する費用を補助します。具体的には、ファイナンシャルアドバイザーや仲介費用(M & A支援機関登録制度に登録された、FA・仲介業者による支援費用だけが補助対象)・デューデリジェンス・セカンドオピニオン・表明保証保険などです。
買い手支援型と売り手支援型の2つタイプがあり、令和2年度第3次補正予算事業では、それぞれ以下の要件をすべて満たすことが条件でした。
【買い手支援型】
M & Aに伴い、経営資源を引き継ぐ予定の中小企業者等。
①相乗効果を活かした経営革新などの実行が見込まれる者。
②地域雇用をはじめ、地域経済全体を先導する事業に取り組む者。
【売り手支援型】
M & Aに伴い、自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業者等。
①地域雇用をはじめ、地域経済全体を先導する事業に取り組む者。
②事業再編・事業統合等を行うことで、上記事業が第三者により継続されると見込まれる者。
補助率と補助上限額について
上記2タイプとも補助率と補助上限額は共通です。
補助率 | 2/3 |
補助上限額 | 600万円 (※M & A未制約時は300万円) |
廃業・再チャレンジ事業とは
事業承継・M & Aによって一部事業を廃業する場合、またはM & A不成約により再チャレンジに取り組もうとする場合、これらに係る費用(在庫処分費・原状回復費等)を補助します。
令和2年第3次補正予算と、令和3年度当初予算事業の事業承継・引継ぎ補助金では、補助金の上乗せとして、在庫処分費や原状回復費等が最大200万円申請できましたが、それのみでの交付申請は認められていませんでした。
今回は、廃業・再チャレンジ事業の枠組みができたことで、個別での申請ができる見込みです。経営革新事業や専門家活用事業との併用も可能です。
補助率 | 2/3 |
補助上限額 | 150万円 |
まとめ
令和3年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金の執行団体(事務局)は令和4年2月14日に決定しており、開始時期は現在調整中です。
事業承継・引継ぎ補助金は、経済発展を促すための重要な政策です。しかし、決して後継者問題を解決するだけの支援ではありません。企業を将来的に発展させるための、1つの投資方法としても有効な制度です。
また、コロナ禍での廃業を考えている事業者も、M & Aや事業再編などの選択肢を増やせます。今後会社をどうするべきか悩んでいる事業者は、公募開始となりましたら、事業承継・引継ぎ補助金を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
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