人材開発支援助成金の「教育訓練休暇等付与コース」要件と活用事例を紹介

公開日:2019/6/27 更新日:2026/4/13
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従業員が「自分でスキルアップしたい」と思っても、業務の都合でなかなか時間が取れないというのは、多くの企業が抱える課題です。教育訓練休暇等付与コースは、そうした従業員の自発的な学びを後押しするための休暇制度や短時間勤務制度を導入した事業主に対して、助成金を支給する制度です。

制度を就業規則等に定めて従業員に周知し、実際に休暇を取得させることが支給の条件となります。導入して終わりではなく、実際に活用されることが求められる点が、この制度の特徴です。

本記事では、人材開発支援助成金の教育訓練休暇等付与コースの詳細や申請方法、よくある質問までまとめて解説します。

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この記事の目次

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人材開発支援助成金の教育訓練休暇等付与コースとは?

人材開発支援助成金の教育訓練休暇等付与コースは、労働者が自発的に訓練を受けやすくするための休暇制度等を整備する事業者向けの制度です。新たな訓練休暇制度等を導入し、実際に従業員が活用することで助成金の支給を受けられます。

2026年度の改正ポイント

令和8年4月8日より、教育訓練休暇等付与コースに2つの変更が加えられました。

①教育訓練休暇制度 ― 支給申請が早期化

これまで支給申請は制度導入から3年後にしか行えませんでしたが、改正後は支給要件を満たした時点で申請できるようになりました。ただし、制度導入日から6か月が経過していることが条件です。

②長期教育訓練休暇制度 ― 新規採用助成・職務代行助成の新設

長期教育訓練休暇を取得した社員の業務を代替するために新たに人を採用した場合や、既存社員に業務を代替させ手当を支払った場合に、追加で助成を受けられるようになりました。詳細は後述の「長期教育訓練休暇制度」をご確認ください。

対象となる訓練

教育訓練休暇等付与コースで対象となる「自発的に受ける訓練」とは、以下の全ての要件を満たすものです。

①被保険者が業務命令ではなく、自発的に受講するもの
②事業主以外の者が行うもの

一方で、以下に該当する訓練は、助成の対象外となります。

・OJT
・事業主が主催するOFF-JT(事業主が主催した訓練に外部講師を呼んで行う場合を含む)
・業務命令により受講させるもの
・労働者の教育訓練休暇以外の休暇日や教育訓練短時間勤務等制度の適用日以外の日に受講するもの
・趣味教養を身につけることを目的とするもの
・通常の事業活動として遂行されるものを目的とするもの
・実施目的が労働者の職業能力開発に直接関連しない内容のもの
・法令等において講習等の実施が義務づけられており、また、事業主にとっても、当該講習を受講しなければ、当該事業を実施できないもの
・職業または職務に関する知識・技能の習得を目的としていないもの

ビジネス交流会やオンラインサロンなど、能力向上に直接関連しないものは対象となりません。また、安全衛生教育や特別教育など、法律で受講が義務付けられていて、受けないと事業自体が行えない講習も対象外となります。

教育訓練休暇等付与コースの3つの制度

教育訓練休暇等付与コースは、「教育訓練休暇制度」「長期教育訓練休暇制度」「教育訓練短時間勤務等制度」の3つの区分にわかれており、それぞれで制度導入・実施手当が設けられています。また、「長期教育訓練休暇制度」では、要件を満たすと賃金の助成も受け取れます。

3つの制度の要件と補助額について、詳しく解説します。

教育訓練休暇制度

教育訓練休暇制度では、従業員が職業能力開発のための研修や講座を受ける際に、有給または無給の休暇を取得できる制度を導入すると助成金の交付を受けられます。3年間に5日以上の有給の教育訓練休暇制度を就業規則または労働協約に明記し、制度施行日までに雇用する労働者に周知する必要があります。

助成額

新たに教育訓練休暇制度を導入すると、以下の助成を受けられます。

助成額賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合
制度導入・実施助成30万円+6万円

助成額は1事業者あたり1回限り30万円です。なお、以下の賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合、さらに6万円の追加を受けられます。

賃金要件制度導入・適用計画期間の最終日の翌日から1年以内に、毎月決まって支払われる賃金を5%増加
資格等手当要件資格等手当の支払いを就業規則、労働協約又は労働契約等に規定した上で、制度導入・適用計画期間の最終日の翌日から1年以内に全ての対象労働者に実際に当該手当を支払い、賃金を3%以上増加させる

どちらの要件も賃上げが必須となっているため、事前によくご確認ください。また、追加支給を受けるためには、通常分の支給申請と別で申請が必要です。

適用要件

本制度を適用するためには、制度導入・適用計画期間(3年間)内に、以下の人数以上の雇用保険被保険者に対し、教育訓練休暇をそれぞれ5日以上付与することが求められます。

企業全体で雇用する被保険者数最低適用被保険者数
100人以上の企業5人
100人未満の企業1人

さらに、計画期間(3年間)の各年度で、少なくとも1人の従業員に休暇を付与していることが必要です。各年で休暇を取得した被保険者は同一人物であっても構いません。

すべての要件を満たした後、計画期間が終了してから申請を行います。一例として制度導入日が2025年5月1日の場合、支給申請期間は2028年5月1日から6月30日までの2か月間となります。

長期教育訓練休暇制度

本制度は、長期間の教育訓練休暇制度を導入し、実際に労働者に適用した事業主を助成する制度です。合計30日以上の長期教育訓練休暇制度を就業規則または労働協約に規定した上、制度施行日までに労働者に周知する必要があります。

助成額

長期教育訓練休暇制度の助成額は、以下のとおりです。

助成額賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合
制度導入・実施助成20万円+4万円
賃金助成中小企業1,000円
大企業800円+200円

初めて本制度を導入・実施した場合の助成額は、1事業者あたり1回限り20万円です。さらに、休暇の最終取得日の翌日から1年以内に「賃金を5%以上増加」または「資格等手当支払い+賃金3%以上増加」のいずれかを満たすと4万円の追加助成を受けられます。

賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合には、さらに4万円の追加助成を受けられます。

賃金助成は、通常通り働いた場合に支払われる賃金以上の金額を支払う場合に支給されます。無給での休暇や、減額しての付与は対象外となります。

1人あたりの賃金助成対象時間数の上限は1,600時間(大企業の場合は1,200時間)です。なお、賃金助成の対象となる被保険者の人数に対する上限はありません。

新規採用助成(令和8年4月8日新設)

中小企業の場合、長期教育訓練休暇取得者の代替要員として新たに労働者を雇用または派遣を受け入れると以下の助成を受けられます。

業務代替期間 助成額
30日以上90日未満 27万円
90日以上180日未満 45万円
180日以上 67万5千円

職務代行助成(令和8年4月8日新設)

長期教育訓練休暇取得者の業務を既存の社員に代替させ、職務代行手当を支払った場合、中小企業を対象に職務代行手当の75%(月上限16万円)が助成されます。

なお、新規採用助成と職務代行助成の両方に該当する期間は、いずれか一方のみ受給できます。

適用要件

本制度は、以下の全ての要件を満たした場合に対象となります。

所定労働日において、合計30日以上の長期教育訓練休暇を付与する
所定労働日において、「1日単位」の長期教育訓練休暇を10日以上連続して1回以上付与する
休暇取得開始日及び最終休暇取得日がいずれも制度導入・適用計画期間内である
訓練や各種検定、キャリアコンサルティングを受けた日数が、長期教育訓練休暇の取得日数の1/2以上である

本制度を適用する場合、長期教育訓練休暇を取得する時点で、その従業員が同じ事業所で6か月以上継続して雇用されていることが条件です。30日間の訓練休暇は分けて取得しても対象となりますが、「1日単位」の休暇を10日以上連続して1回付与している必要があります。

教育訓練短時間勤務等制度

教育訓練短時間勤務等制度とは、従業員が職業能力開発のための訓練を受けられるよう、通常より短い勤務時間で働ける仕組みを企業が整備する制度です。30回以上の所定労働時間の短縮または所定外労働時間の免除が可能な制度を導入し、実際に1回以上適用した場合に助成を受けられます。

助成額

教育訓練短時間勤務等制度の助成額は、以下のとおりです。

助成額賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合
制度導入・実施助成20万円+4万円

初めて本制度を導入・実施した場合の助成額は、1事業者あたり1回限り20万円です。さらに、制度の最初の適用日の翌日から1年以内に「賃金を5%以上増加」または「資格等手当支払い+賃金3%以上増加」のいずれかを満たすと4万円の追加助成を受けられます。

適用要件

本制度を適用するためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

・制度導入・適用計画期間(3年間)内に、所定労働日において、1回以上の労働時間の短縮および所定外労働時間の免除を行うこと
・同じ教育訓練機関が行う連続して15日以上の訓練を含むものであること

教育訓練短時間勤務等制度では、所定労働時間の短縮や免除を行うことが求められます。1日の労働時間の全てを免除した場合、休暇を与えたことになるため、適用対象外となります。

申請の流れ

教育訓練休暇等付与コースの申請の流れは、主に以下のようになります。

①職業能力開発推進者の選任・事業内職業能力開発計画の策定・周知
②導入する制度の検討、制度導入・適用計画の作成
③制度導入・適用計画の提出
④制度の導入(就業規則の届け出等又は労働協約の締結)及び周知
⑤制度の適用
⑥支給申請書の提出
⑦助成金の支給

事前に職業能力開発推進者を選出し、適用計画を立てた上で「制度導入・適用計画届」を都道府県労働局へ提出してください。申請書を提出するタイミングは、制度ごとにそれぞれ異なります。

【申請のタイミング】

教育訓練休暇制度制度導入・適用計画期間終了日(制度導入日から3年)の翌日から起算して2か月以内
または支給要件を満たした日の翌日から2か月以内。ただし制度導入日から6か月を経過していること
長期教育訓練休暇制度支給要件を満たす休暇の最終取得日の翌日から2か月以内
教育訓練短時間勤務等制度支給要件を満たす制度の最初の適用日の翌日から2か月以内

申請先は、主となる事業所を管轄する都道府県労働局です。それぞれの制度の申請書類は、人材開発支援助成金の公式ページでご確認ください。

具体的な活用事例

教育訓練休暇等付与コースを活用すると、従業員に対し自社に合う形でスキルアップの機会を提供できます。ここでは、税理士法人での活用事例を紹介します。

税理士法人【課題】
個々の従業員が担当する企業の業種や規模により、求められる必要な知識やスキルも異なるため、一律的な研修の実施が難しく、個人任せの学習に頼る結果となっていた。
【教育訓練の内容】
・教育訓練機関:①職業能力開発促進センター ②会計専門教育セミナー
・受講コース:①IT活用セミナー(Excel中・上級) ②顧客対応力セミナー
・訓練期間:①1コース(2日間)×2コース ②1日
・訓練内容:①表計算ソフトにおける関数の活用及びマクロによる定型業務の自動化 ②顧客コミュニケーションの強化
【支給額】
教育訓練休暇等付与コース(教育訓練休暇制度):30万円
【制度導入の効果】
休暇を有効に利用するために、自らが必要と思う研修を模索し選定することが、積極的な学びにつながり、業務の効率化に役立った

参考:人材開発支援助成金活用事例

教育訓練休暇等付与コースに関するよくある質問

最後に、教育訓練休暇等付与コースに関するよくある質問を紹介します。

労働者が自発的に有給を使って訓練を受けても対象になる?

年次有給休暇を取得して自発的に教育訓練を受講する場合は、助成対象となりません。

具体的にどのような教育訓練が助成対象なの?

一例として以下のものが挙げられます。
・職業訓練校が実施する訓練
・民間の教育訓練機関等が実施する訓練、研修
・大学・大学院等が開催する講座
受講する教育訓練が助成対象となるか判断が難しい場合は、具体的な教育訓練の内容が分かる書類を持参の上、事前に各都道府県労働局へお問合せください。

人への投資促進コース(自発的職業能力開発訓練)と同時に受給できる?

両コースの支給要件を満たした場合、同時に受給することができます。


参考:令和6年度版 人材開発支援助成金事業主様向けQ&A

まとめ

教育訓練休暇等付与コースは、従業員の「学びたい」を応援する制度づくりに取り組む事業主を後押しする助成金です。休暇制度や短時間勤務制度の導入に応じて手当が受け取れ、長期休暇制度では賃金助成の活用も可能です。

計画届の提出や支給申請に当たってご不明な点は、管轄の都道府県労働局に問い合わせることができます。興味のある方は、ぜひお問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

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