「自分でスキルアップしたい」という社員の声はあるのに、業務が回らず学ぶ時間を確保できない。リスキリングが経営課題として語られる一方で、多くの企業がこの壁にぶつかっています。
人材開発支援助成金の教育訓練休暇等付与コースは、そこを制度面から解決するための助成金です。3年間に5日以上取得できる有給の教育訓練休暇を新たに導入し、実際に社員が取得して訓練を受ければ、1事業主あたり30万円(賃金要件等を満たす場合36万円)が支給されます。研修費用の助成ではなく、制度をつくったこと自体に対する助成である点が特徴です。
2026年度は使いやすさが増しました。令和8年4月7日の改正で、これまで制度導入から3年待たなければ申請できなかった教育訓練休暇制度が、要件を満たせば6か月経過後に申請できるようになっています。あわせて、長期教育訓練休暇の代替要員を確保した中小企業への「新規採用助成」「職務代行助成」も新設されました。
一方で、制度導入・適用計画届を出す前に就業規則を変えてしまうと助成対象外になるなど、順番を間違えると1円ももらえない制度でもあります。本記事では、厚生労働省の令和8年8月3日版パンフレットをもとに、3つの制度の助成額・要件・申請手順と、不支給になりやすいポイントを整理して解説します。
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・人材育成支援コース
・【★本記事】教育訓練休暇等付与コース
・人への投資促進コース
・事業展開等リスキリング支援コース
・建設労働者認定訓練コース
・建設労働者技能実習コース
・障害者職業能力開発コース
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この記事の目次
教育訓練休暇等付与コースとは?助成額と対象になる事業主
教育訓練休暇等付与コースは、社員が自発的に教育訓練を受けられる有給の休暇制度を新たに導入し、実際に適用した事業主に助成金を支給する制度です。厚生労働省が所管し、申請先は都道府県労働局になります。
| 制度名 | 人材開発支援助成金「教育訓練休暇等付与コース」 |
|---|---|
| 所管 | 厚生労働省(申請先は主たる事業所を管轄する都道府県労働局) |
| 対象事業主 | 雇用保険適用事業所の事業主(企業規模を問わず対象) |
| 対象労働者 | 雇用保険被保険者 |
| 助成額 | 30万円(賃金要件または資格等手当要件を満たす場合36万円) |
| 支給回数 | 1事業主あたり1回限り |
| 申請単位 | 事業主(企業)単位。複数の事業所がある場合は全事業所への制度導入が必要 |
助成の対象になるのは、研修の費用ではなく「制度を新たに導入し、実際に使われたこと」です。就業規則または労働協約に規定し、社員に周知したうえで、実際に休暇を取得させることまでが支給の条件になります。
「長期教育訓練休暇制度」「教育訓練短時間勤務等制度」はどのコース?
学び直しを支える制度は全部で3種類ありますが、所属するコースは分かれています。教育訓練休暇等付与コースに含まれるのは「教育訓練休暇制度」のみで、「長期教育訓練休暇制度」と「教育訓練短時間勤務等制度」は人への投資促進コースのメニューです。厚生労働省のパンフレットは3つをまとめて1冊で案内しているため混同されがちですが、支給限度額の扱いが異なります。
| 制度 | 所属コース | 制度導入・実施助成 | 賃金助成(1人1時間) | 1事業所1年度の限度額 |
|---|---|---|---|---|
| 教育訓練休暇制度 | 教育訓練休暇等付与コース | 30万円(賃金要件等で36万円) | なし | 設定なし(1事業主1回限り) |
| 長期教育訓練休暇制度 | 人への投資促進コース | 20万円(賃金要件等で24万円) | 中小企業1,000円/大企業800円(賃金要件等で1,000円) | 2,500万円(教育訓練短時間勤務等制度と合算) |
| 教育訓練短時間勤務等制度 | 人への投資促進コース | 20万円(賃金要件等で24万円) | なし | 2,500万円(長期教育訓練休暇制度と合算) |
人への投資促進コースは令和4年4月から令和9年3月までの時限措置です。長期教育訓練休暇制度と教育訓練短時間勤務等制度の活用を考えている企業は、実施スケジュールに余裕を見ておく必要があります。
2026年度(令和8年度)の改正点は?
令和8年4月7日と8月3日に、それぞれ改正が行われました。実務に影響するのは次の3点です。
| 改正日 | 変更内容 |
|---|---|
| 令和8年4月7日 | 教育訓練休暇制度の支給申請を早期化。制度導入・適用計画期間中に支給要件を満たせば、制度導入日から3年を経る前でも申請可能に(制度導入日から6か月を経過した日の翌日以降) |
| 令和8年4月7日 | 「制度導入・適用計画期間の初日から1年ごとに被保険者1人以上に休暇を付与する」要件を廃止 |
| 令和8年4月7日 | 長期教育訓練休暇制度に「新規採用助成」「職務代行助成」を新設(中小企業のみ対象) |
| 令和8年8月3日 | 不正受給を行った場合の公表に関する特例を新設。支給決定前であっても、自主申告をしていない場合は原則公表の対象 |
支給申請の早期化は、改正前の支給要領が適用される事業主にも適用されます。すでに計画届を提出済みで3年待っている企業も、要件を満たしていれば前倒しで申請できます。
対象になる教育訓練は?助成されない訓練の具体例
助成対象になる教育訓練は、次の2つをどちらも満たすものです。
②事業主以外の者が行うもの
教育訓練休暇制度と長期教育訓練休暇制度では、教育訓練のほか、職業能力検定とキャリアコンサルティング(キャリアコンサルタントが実施するものに限る)も対象に含まれます。
一方、次に該当する訓練は助成対象になりません。
| ・OJT |
| ・事業主が主催するOFF-JT(事業主が主催した訓練に外部講師を招いて行う場合を含む) |
| ・業務命令により受講させるもの |
| ・教育訓練休暇以外の休暇日や、教育訓練短時間勤務等制度の適用日以外の日に受講するもの(年次有給休暇を取得して受講するものを含む) |
| ・趣味教養を身につけることを目的とするもの(日常会話程度の語学講習、話し方教室、普通自動車運転免許の取得講習など) |
| ・通常の事業活動として遂行されるものを目的とするもの(経営改善の指導、自社製品の説明、QCサークル活動、社内制度の説明など) |
| ・職業能力開発に直接関連しないもの(時局講演会、研究会、座談会、見学会、視察旅行、ビジネス交流会、オンラインサロンなど) |
| ・法令等で講習等の実施が義務づけられ、受講しなければ事業を実施できないもの(労働安全衛生法に基づく安全衛生教育や特別教育。技能講習はこれに該当しません) |
| ・意識改革研修、モラール向上研修など、職業や職務に関する知識・技能の習得を目的としないもの |
年次有給休暇を使って自発的に訓練を受けた場合は対象外です。休暇日を振り替えた場合も助成されません。あくまで新たに導入した教育訓練休暇を取得した日の受講が対象になります。
教育訓練休暇制度とは?3年間で5日の有給休暇を導入して30万円
教育訓練休暇制度は、社員が職業能力開発のための訓練や検定を受ける際に取得できる有給休暇を導入する制度です。3年間に5日以上取得できる制度を就業規則または労働協約に規定し、実際に適用すれば30万円が支給されます。
対象になる制度の要件は?
対象になるのは、次の5つをすべて満たす制度です。
②3年間に5日以上の取得が可能な制度を、施行日を明記して就業規則または労働協約に規定すること
③制度を規定した就業規則または労働協約を、制度施行日までに労働者へ周知すること(就業規則は制度施行日までに労働基準監督署へ届出済みであること)
④日単位で取得が可能なものであること
⑤被保険者が業務命令ではなく、自発的に教育訓練・各種検定・キャリアコンサルティングのいずれかを受講できること
なお、教育訓練休暇は労働基準法第39条の年次有給休暇とは別に付与する休暇を指します。すでに有給または無給の教育訓練休暇制度(長期教育訓練休暇制度を含む)を導入済みの事業主は、助成対象になりません。
何人に休暇を取得させれば支給される?
制度導入・適用計画期間(3年間)内に、企業全体の被保険者数に応じた人数へ、それぞれ5日以上の教育訓練休暇を付与する必要があります。
| 企業全体で雇用する被保険者数 | 最低適用被保険者数 |
|---|---|
| 100人以上の企業 | 5人 |
| 100人未満の企業 | 1人 |
被保険者数は、制度導入・適用計画届を提出した時点の内容で判断します。時間単位で付与した場合は、その社員の1日の所定労働時間を1日として換算します。所定労働時間が8時間の社員なら、3時間+4日+5時間で合計5日という数え方になります。取得日数が5日に満たない社員は人数に計上できません。
支給申請はいつできる?改正で早期化
原則は、制度導入・適用計画期間終了日(制度導入日から3年)の翌日から起算して2か月以内です。ただし令和8年4月7日の改正により、計画期間中に支給要件を満たして書類を提出できる場合は、3年を待たずに申請できます。この場合、制度導入日から6か月を経過した日の翌日以降が申請可能日です。
たとえば制度導入日が2026年5月1日であれば、計画期間は2029年4月30日まで、原則の申請期間は2029年5月1日から6月30日までとなります。一方、2026年7月1日に要件を満たした場合は、2026年11月2日以降に申請できます。
活用事例:税理士法人が30万円を受給
厚生労働省は、担当先の業種や規模によって必要なスキルが異なり、一律の研修が組みにくかった税理士法人の事例を紹介しています。
| 課題 | 従業員ごとに求められる知識やスキルが異なるため一律的な研修の実施が難しく、個人任せの学習に頼っていた |
|---|---|
| 教育訓練の内容 | 職業能力開発促進センターのIT活用セミナー(Excel中・上級、2日間×2コース)、会計専門教育セミナーの顧客対応力セミナー(1日) |
| 支給額 | 教育訓練休暇等付与コース(教育訓練休暇制度)30万円 |
| 効果 | 休暇を有効に使うために自ら必要な研修を探して選ぶようになり、積極的な学びと業務の効率化につながった |
長期教育訓練休暇制度とは?30日以上の休暇に賃金助成1,000円
長期教育訓練休暇制度は、合計30日以上の長期休暇を取得できる制度を導入し、実際に適用した事業主を助成する人への投資促進コースのメニューです。制度導入・実施助成20万円に加え、有給で付与した場合は1人1時間あたり1,000円(大企業800円)の賃金助成を受けられます。
賃金助成の対象時間数は、1人あたり中小企業1,600時間・大企業1,200時間が上限です。対象となる被保険者の人数に上限はありません。ただし賃金助成は、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額以上を支払う場合に限られます。無給の休暇や減額しての付与は対象外です。
長期教育訓練休暇制度の適用要件は?
次の4つをすべて満たす必要があります。制度導入・実施助成は1人の被保険者が全要件を満たせば支給され、賃金助成は被保険者ごとに判定されます。
②所定労働日において、「1日単位」の長期教育訓練休暇を10日以上連続して1回以上付与すること
③休暇取得開始日および最終休暇取得日が、いずれも制度導入・適用計画期間内であること
④職業訓練・教育訓練・各種検定・キャリアコンサルティングを受けた日数が、長期教育訓練休暇の取得日数の2分の1以上であること
見落としやすいのが、30日の数え方です。時間単位で取得した日は、取得時間を1日の所定労働時間で割って日数に換算します。所定労働時間8時間の社員が10日連続で毎日4時間ずつ休暇を3回取得しても、換算すると15日にしかならず、しかも1日単位の連続10日を満たさないため対象外になります。また、Aさん・Bさん・Cさんが10日ずつ取得しても、1人あたり30日という要件は満たしません。
対象になる社員は、長期教育訓練休暇を取得する時点で、その事業所での被保険者期間が連続して6か月以上ある人に限られます。
新規採用助成とは?代替要員の確保で最大67万5千円
新規採用助成は、有給の長期教育訓練休暇を取得した社員の業務を処理するために新たに労働者を雇い入れる、または派遣労働者を受け入れた中小企業事業主に対する助成です。令和8年4月7日に新設されました。助成額は有給休暇の取得期間に応じて決まります。
| 業務代替期間 | 助成額 |
|---|---|
| 30日以上90日未満 | 27万円 |
| 90日以上180日未満 | 45万円 |
| 180日以上 | 67万5千円 |
代替要員には要件があります。休暇取得者の業務を代替すること、原則として同一の事業所および部署で勤務していること、所定労働時間が休暇取得者の2分の1以上であること、新たな雇い入れまたは新たな派遣により確保する者であること、そして休暇取得の最初の適用日以前1か月より後に雇用契約または派遣契約の始期があることが必要です。1人の休暇取得者の代替を期間で分割して複数人が担う場合も対象になります。
職務代行助成とは?既存社員への手当の75%を助成
職務代行助成は、長期教育訓練休暇取得者の業務を既存の社員に代替させ、職務代行手当を支払った中小企業事業主への助成です。助成額は職務代行手当の75%(月16万円上限)で、こちらも令和8年4月7日の新設です。
要件は5つあります。休暇取得者の業務を他の社員(複数名でも可)に代替させること、休暇中の業務分担を明確にし、上司または人事労務担当者が業務代替者に代替業務の内容と賃金を面談で説明すること、代替業務に対応した賃金制度を業務代替期間の開始日までに労働協約または就業規則に規定すること、そしてその賃金制度に基づき業務代替者全員に支払われた総額が1万円以上増額されていることです。
なお、対象になる賃金制度は職務内容や業務内容を評価するものである必要があり、所定外労働時間に応じて支払われる残業代そのものは該当しません。新規採用助成・職務代行助成とも、有給の長期教育訓練休暇を利用した場合のみ支給対象です。
すでに長期教育訓練休暇制度を導入している企業でも使える?
本助成金は原則として新たに制度を導入する事業主が対象ですが、有給の長期教育訓練休暇を付与する事業主は、すでに制度を導入している場合でも対象になり得ます。この場合、通常の支給要件に加えて次のいずれかを満たすと賃金助成が支給されます。
②制度の見直しを行うなど、休暇の取得者を増やすための具体的な取組を新たに事業内職業能力開発計画に規定すること
この場合も計画届の提出は必要です。ただし制度導入・実施助成は支給されず、賃金助成のみが対象になります。
教育訓練短時間勤務等制度とは?短縮制度の導入で20万円
教育訓練短時間勤務等制度は、社員が訓練を受けられるよう、通常より短い勤務時間で働ける仕組みを整備する制度です。制度導入・実施助成は20万円(賃金要件等を満たす場合24万円)で、人への投資促進コースのメニューにあたります。
対象になるのは、所定労働日において30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除のいずれも利用できる制度を、施行日を明記して就業規則または労働協約に規定したものです。所定労働時間の短縮は、1日につき1時間以上・所定労働時間未満の範囲で、1時間単位で措置できる必要があります。1日の労働時間をすべて免除すると休暇を与えたことになり、対象外です。
適用要件は次の2つです。
②本制度を利用して受講する教育訓練が、同一の教育訓練機関が行う一連の15日以上の訓練を含むものであること
支給申請は、支給要件を満たす制度の最初の適用日の翌日から2か月以内です。制度導入・適用計画期間内であることも必要になります。
賃金要件・資格等手当要件を満たすと助成額はいくら増える?
賃金要件または資格等手当要件のいずれかを満たすと、教育訓練休暇制度は+6万円で36万円、長期教育訓練休暇制度と教育訓練短時間勤務等制度は+4万円で24万円になります。長期教育訓練休暇制度の賃金助成については、大企業のみ+200円の加算が適用されます。
| 賃金要件 | 毎月決まって支払われる賃金を、所定の起算日から1年以内に5%以上増加させること。改定後3か月間と改定前3か月間の賃金総額を比較し、全ての対象労働者が5%以上増加していることが必要 |
|---|---|
| 資格等手当要件 | 資格等手当の支払いを就業規則・労働協約・労働契約等に規定したうえで、所定の起算日から1年以内に全ての対象労働者へ実際に支払い、賃金を3%以上増加させること |
起算日は制度ごとに異なります。教育訓練休暇制度は制度導入・適用計画期間の最終日の翌日、長期教育訓練休暇制度は支給要件を満たす休暇の最終取得日の翌日、教育訓練短時間勤務等制度は支給要件を満たす制度の最初の適用日の翌日です。
加算分は通常分の支給申請とは別に申請します。申請期間は、全ての対象労働者に対して要件を満たす賃金または資格等手当を3か月間継続して支払った日の翌日から5か月以内です。個別の案内は届かないため、期限管理は自社で行う必要があります。
申請の流れと不支給になりやすい落とし穴は?
申請は、計画届の提出から支給申請まで7ステップで進みます。順番が定められており、前後すると助成対象外になります。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①事前準備 | 職業能力開発推進者を選任し、労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画を策定・周知する |
| ②計画の作成 | 導入する制度の種類・スケジュール・内容・就業規則の記載内容等を検討し、制度導入・適用計画届(訓練休暇様式第1号)を作成する |
| ③計画届の提出 | 制度導入・適用計画期間の初日から起算して6か月前から1か月前までの間に、主たる事業所を管轄する労働局へ提出する |
| ④制度の導入・周知 | 制度施行日までに、制度を規定した就業規則を労働基準監督署へ届け出る(または労働協約を締結する)とともに、労働者へ周知する |
| ⑤制度の適用 | 計画に従って被保険者に制度を適用する |
| ⑥支給申請 | 制度ごとに定められた日の翌日から起算して2か月以内に支給申請書(訓練休暇様式第4-1号)を提出する |
| ⑦支給決定 | 労働局の審査を経て支給・不支給が決定される |
計画届の提出前に就業規則を変えると助成対象外
厚生労働省が「不支給となる理由で多い要件」として挙げているのが、次の2点です。
・常時10人以上の労働者を使用する事業主が、制度施行日までに就業規則を労働基準監督署へ届け出ていない場合は助成対象外(施行日が令和8年7月25日、届出日が令和8年8月1日というケースは対象外)
常時10人未満の事業主の場合は、制度施行日までに就業規則の実施について事業主と労働者代表者による申立書を作成する方法も認められます。いずれにせよ「計画届の提出→制度の施行」という順序と、施行日までの届出が絶対条件です。
また、届出済みの計画の導入予定日を変更する場合は、当初の導入予定日か変更後の導入予定日のいずれか早い方の前日までに制度導入・適用計画変更届(訓練休暇様式第2号)を提出します。導入予定日を1か月以上後ろ倒しにする場合は、変更届ではなく計画届を改めて提出してください。
制度ごとの支給申請期限
支給申請の起算日は制度によって異なります。
| 教育訓練休暇制度 | 制度導入・適用計画期間終了日(制度導入日から3年)の翌日から2か月以内。ただし計画期間内に支給要件を満たせば、制度導入日から6か月を経過した日の翌日以降に申請可能 |
|---|---|
| 長期教育訓練休暇制度 | 支給要件を満たす休暇の最終取得日の翌日から2か月以内 |
| 教育訓練短時間勤務等制度 | 支給要件を満たす制度の最初の適用日の翌日から2か月以内 |
申請単位は事業主(企業)単位です。複数の雇用保険適用事業所がある場合は全事業所に制度を導入したうえで、主たる事業所を管轄する労働局に全事業所分の書類をまとめて提出します。申請様式は人材開発支援助成金の公式ページからダウンロードできます。
不正受給の公表ルールが厳しくなりました
令和8年8月3日以降の支給申請から、不正受給の公表に関する特例が適用されます。支給申請を行った事業主に不正が認められた場合、支給決定前であっても、自主申告をしていなければ原則として企業名が公表されます(支給申請額の合計が100万円未満の場合等を除く)。
逆に、労働局による実地調査や照会よりも前に自主申告し、受給済みの金額・違約金・延滞金を速やかに返還すれば、原則として公表されません。申請代理人が不正を行った場合でも責任を問われるのは事業主です。判断に迷う点があれば、申請前に管轄の労働局へ相談してください。
教育訓練休暇等付与コースに関するよくある質問
最後に、教育訓練休暇等付与コースに関するよくある質問を紹介します。労働者が年次有給休暇を使って自発的に訓練を受けても対象になる?
対象になりません。労働基準法第39条の年次有給休暇を取得して教育訓練を受講する場合は助成対象外です。教育訓練休暇以外の休暇日に受講したものは、休暇日を振り替えたとしても対象になりません。新たに導入した教育訓練休暇を取得した日に受講することが要件です。
具体的にどのような教育訓練が助成対象になる?
職業訓練校が実施する訓練、民間の教育訓練機関等が実施する研修、大学・大学院等が開催する講座などが挙げられます。教育訓練休暇制度と長期教育訓練休暇制度では、職業能力検定やキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングも対象です。判断が難しい場合は、教育訓練の内容が分かる書類を用意して事前に管轄の都道府県労働局へ問い合わせてください。
人への投資促進コース(自発的職業能力開発訓練)と同時に受給できる?
両方の支給要件を満たせば同時に受給できます。自発的職業能力開発訓練は労働者が自発的に受講した訓練経費への経費助成であり、制度導入・実施助成とは助成対象となる経費・内容が異なるためです。一方、業務命令で行う訓練を対象とする人材育成支援コースや事業展開等リスキリング支援コースの経費助成・賃金助成とは、同時に支給要件を満たすことはありません。
教育訓練休暇制度と長期教育訓練休暇制度の両方の要件を満たしたら、両方もらえる?
制度導入・実施助成については、教育訓練休暇制度の30万円が支給されます。両制度を同時に支給申請して双方の支給要件を満たす場合でも、20万円と30万円の両方を受け取ることはできません。ただし有給の長期教育訓練休暇を付与している場合は、30万円に加えて賃金助成も支給されます。
すでに教育訓練休暇制度を導入している会社は対象外になる?
教育訓練休暇制度については、すでに有給または無給の教育訓練休暇制度(長期教育訓練休暇制度を含む)を導入済みの事業主は助成対象外です。過去にキャリア形成促進助成金の教育訓練休暇制度、または人材開発支援助成金の教育訓練休暇制度・長期教育訓練休暇制度を受給している場合も支給されません。ただし長期教育訓練休暇制度については、有給で付与する事業主であれば既に導入済みでも賃金助成の対象になる場合があります。
制度導入・実施助成は何回でも受けられる?
同一の制度導入・実施助成を受給できる回数は、事業主(企業)単位で1回限りです。教育訓練休暇制度の30万円も、長期教育訓練休暇制度・教育訓練短時間勤務等制度の20万円も、それぞれ1事業主あたり1回のみとなります。なお制度導入・実施助成の額は、企業規模にかかわらず同じです。
就業規則の届出が制度施行日に間に合わなかった場合はどうなる?
常時10人以上の労働者を使用する事業主の場合、制度施行日までに制度を規定した就業規則を労働基準監督署へ届け出ていないと助成対象外になります。厚生労働省も不支給理由で多い要件として注意喚起しています。常時10人未満の事業主であれば、制度施行日までに就業規則の実施について事業主と労働者代表者による申立書を作成する方法も認められます。
事業所が複数ある場合、1つの事業所だけに制度を導入すればいい?
全ての雇用保険適用事業所に制度を導入する必要があります。本コースの申請単位は事業主(企業)単位であるため、全事業所の就業規則に制度を規定して労働基準監督署へ届け出る(または労働協約を締結する)ことが必要です。手続きは主たる事業所を管轄する都道府県労働局に対して、全事業所分の書類をまとめて行います。
長期教育訓練休暇を時間単位で取得した場合も30日にカウントされる?
カウントされますが、取得した時間を1日の所定労働時間で割って日数に換算します。所定労働時間8時間の社員が30日間毎日4時間の休暇を取得した場合は15日分です。加えて「1日単位の休暇を10日以上連続して1回以上付与すること」という要件があり、これは時間単位の取得では満たせません。合計30日と連続10日の両方をクリアする設計が必要です。
無給の長期教育訓練休暇でも新規採用助成や職務代行助成は受けられる?
受けられません。新規採用助成・職務代行助成はいずれも、有給の長期教育訓練休暇制度を活用して有給の休暇を取得させた場合のみ支給対象になります。また、対象は中小企業事業主に限られます。無給の長期教育訓練休暇を取得させた場合は、賃金助成も対象外です。
参考:令和8年度版 教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース(長期教育訓練休暇等制度)のご案内(令和8年8月3日版)
まとめ
教育訓練休暇等付与コースは、社員の「学びたい」を制度として支える会社を後押しする助成金です。3年間に5日以上の有給教育訓練休暇を導入して実際に使われれば30万円、賃金要件等を満たせば36万円。長期教育訓練休暇制度や教育訓練短時間勤務等制度を組み合わせれば、賃金助成や代替要員への助成まで広がります。
ただし、計画届を出す前に就業規則を変えてしまう、制度施行日までに監督署へ届け出ていないといった手順のミスで不支給になるケースが目立ちます。計画届の提出期間は、制度導入・適用計画期間の初日から6か月前〜1か月前です。制度設計の段階で、管轄の都道府県労働局に一度相談しておくことをおすすめします。
なお、社員個人が受け取る「教育訓練休暇給付金」は雇用保険の別制度です。会社が受け取る本助成金とは仕組みが異なるため、混同しないようご注意ください。
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