「高齢社員に長く活躍してほしいが、制度整備に踏み出せていない」——そんな中小企業の担当者にこそ活用してほしいのが、65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)です。
賃金・人事処遇制度の見直しや在宅勤務制度の導入など、55歳以上の高齢社員が働きやすい環境を整備した事業主に対して、措置の内容に応じて中小企業は最大60万円が定額で助成されます。機器・システム等の導入を伴う場合は、導入経費の60%が別途助成されます。
本記事では、受給要件・支給額・申請の流れを詳しく解説します。
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合わせて読みたい:65歳超雇用推進助成金で高齢者雇用を支援!要件や申請方法を解説
この記事の目次
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースとは
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、「65歳超雇用推進助成金」を構成する3つのコースのうちのひとつです。55歳以上の高年齢者を対象とした雇用管理制度の整備に取り組む事業主に対し、その実施に要した経費の一部を助成します。
本制度は、以下に当てはまる会社に特に向いています。
・高齢社員の体力や通勤負担を考慮した勤務制度を導入したい会社
・健康管理制度を充実させることで、高齢社員の長期就労を支援したい会社
・制度整備を検討しているが、専門家への委託費用や導入コストが気になっている会社
受給するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
① 雇用管理整備計画書の提出と認定
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)に対して、高年齢者のための雇用管理制度の整備に係る計画(実施期間1年以内)を記載した「雇用管理整備計画書」を提出し、認定を受けることが必要です。計画開始の3か月前までに提出してください。
② 高年齢者雇用等推進者の選任
雇用管理整備計画書の提出日前日までに、高年齢者雇用等推進者を選任していることが必要です。見落としがちな要件のため、計画申請の準備と並行して早めに対応してください。
③ 措置の実施と運用状況の書類整備
雇用管理整備計画に基づき、高年齢者雇用管理整備の措置を実施し、措置の実施状況および計画終了日の翌日から6か月間の運用状況を明らかにする書類を整備していることが必要です。
④ 対象被保険者の在籍
支給申請日の前日において、以下の条件をすべて満たす従業員が1人以上在籍していることが必要です。
・当該事業主に1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者を除く)
・講じられた高年齢者雇用管理整備の措置により、雇用管理整備計画の終了日の翌日から6か月以上継続して雇用されていること
⑤ 高年齢者雇用安定法の遵守
雇用管理整備計画書の提出日前日から支給申請書の提出日前日までの間、高年齢者雇用安定法を遵守していることが必要です。
⑥ 機器等を導入する場合の追加要件
雇用管理制度の整備に伴い機器・システム・ソフトウェア等を導入する場合は、支給対象経費を支給申請日までに支払っていることが必要です。
対象となる措置
以下のいずれかの措置を、55歳以上の高年齢者を対象として労働協約または就業規則に定め、対象被保険者1人以上に実施することが必要です。②短時間勤務・隔日勤務など、高年齢者の希望に応じた勤務が可能となる労働時間制度の導入または改善
③高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善
④高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために必要となる知識を付与するための研修制度(高齢期における職業生活設計のために必要な情報の提供や助言を行う研修を含む)の導入または改善
⑤医師または歯科医師による法定外の健康管理制度(人間ドック・生活習慣病予防検診等)を実施するための制度の導入
⑥そのほか、高年齢者の雇用の機会の増大のために必要な雇用管理制度の導入または改善
なお、④の研修制度に「高齢期における職業生活設計のために必要な情報の提供や助言を行う研修」を含む場合は、高年齢者雇用等推進者も同じ研修を受講することが条件となります。
また、同一の事由により他の国または地方公共団体等の補助金等の支給を受けた場合、助成金は支給されません。
支給額
支給額は、実施した措置の内容に応じて以下のとおりです。一つの雇用管理整備計画の実施期間内に複数の措置をあわせて実施した場合も、支給額はいずれか高い額のみとなります。
| 実施した措置 | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| ①賃金・人事処遇制度の導入または改善 | 60万円 | 45万円 |
| ②~⑥その他の措置(労働時間・在宅勤務・研修・健康管理等) | 30万円 | 23万円 |
| 雇用管理制度の整備に伴う機器等の導入 | 導入経費×60% | 導入経費×45% |
※機器等の導入経費が50万円を超える場合は、50万円として計算します。
対象となる経費(機器等導入の場合)
機器等の導入に要した経費が対象です。
ただし、以下の相手との取引に要した経費は支給対象外となります。
②法人の場合:役員・役員の配偶者・役員の1親等以内の親族・従業員、およびこれらの者が役員である法人
申請方法
申請窓口
申請先は、事業主の主たる雇用保険適用事業所の所在する都道府県の支部高齢・障害者業務課(東京および大阪は高齢・障害者窓口サービス課)です。郵送の場合は消印日ではなく必着のため注意が必要です。
申請時期の目安
・計画申請時:雇用管理整備計画書を計画開始の3か月前までに提出
・支給申請時:支給申請書を計画期間終了日の翌日から6か月後の翌日〜その2か月以内に提出
申請の流れ
①事前相談 → ②計画申請(雇用管理整備計画書の提出・認定) → ③措置の実施・運用状況の記録(6か月間) → ④支給申請 → ⑤支給・不支給決定通知 → ⑥助成金振込
まずは都道府県支部で事前相談を行うことを推奨します。
活用事例
公式サイトでは、65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)の活用事例が公表されています。ここではそのうち、一部を紹介します。
保育園にキャリアパス制度(賃金・人事処遇制度)を導入
| 制度活用前の課題 |
|---|
| 変則的なシフトによる勤務時間や長時間の立ち作業が多く、高齢職員が継続雇用に対して不安を感じる要因となっていた。また高齢職員の定年後の処遇・賃金体系もなかった |
| 対応状況 |
| 定年後の継続雇用者の増加を図るため、専門家と相談して、高齢職員を対象とした「キャリアパス制度(賃金・人事処遇制度)」を新たに導入 |
| 成果 |
| 役職に応じた職責や職務内容を明確化し、選択可能な勤務形態及びそれに応じた賃金を設定したことで、高齢職員の不安の解消と働き続ける自信につながった |
製造業に在宅勤務制度を導入
| 制度活用前の課題 |
|---|
| 事務所が公共交通機関の利用が困難な地域に立地していることから、社員は車で通勤している。だが、将来的に社員の高齢化が進んだ場合、運転能力の低下や交通事故のリスク増加が懸念される |
| 対応状況 |
| 高齢社員が安心して働き続けられる環境を整えるため、在宅勤務制度を新たに導入した。社員の意見を聞き取り、専門家の助言を受けながら、在宅勤務が可能な業務内容を事前に整理した |
| 成果 |
| 高齢社員も自宅で一部の業務を行うことが可能となり、体力や生活スタイルに応じた柔軟な働き方が実現した |
まとめ
65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)は、55歳以上を対象とした雇用管理制度の整備に取り組む事業主を支援する制度です。令和8年度より支給額が措置の内容に応じた定額方式に改められ、賃金・人事処遇制度の整備を行った中小企業には最大60万円が支給されます。
申請には計画開始3か月前までの雇用管理整備計画書の提出が必要なため、早めの準備が重要です。高齢社員の活躍は技術継承や職場の安定にもつながります。この助成金を活用して、高齢社員が長く働ける環境づくりを始めましょう。
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