この記事の目次
1.ビル屋上が緑の憩いの場へ
本格的な夏に突入し、毎日暑い日が続いていますね。
暑い日が続くと、食欲がない、疲れがとれない、ストレスの増加など、健康面の影響も不安になりますよね。
地球温暖化や、都市の気温が周囲よりも高くなるヒートアイランド現象によって、都市で生活する人々が夏に感じる暑さや厳しさは増してきています。都心部では、日中の地表温度が40度を超える日が続くなど、アスファルトで地面が覆われることによる「緑の喪失」と、自動車・エアコン使用など「都市活動に伴う排熱」による気温上昇が考えられています。
近年、ヒートアイランド現象の緩和を目的とした緑化対策として、都内事務所や商業ビルの屋上に緑を植えたり、駅ビルの屋上で野菜を栽培するなど、都市型農園として都会の真ん中が「ふれあいの場」となる、緑の憩い場づくりが増えてきています。
都市緑地の役割として、地域住民の環境意識啓発や、地域コミュニティの場としての活用、企業にとっては、遊休地の有効活用によるイメージアップなどのメリットも見込むことができます。
今後、気候変動による気温上昇は進んでいくことが予測されていて、暑さはより一層厳しさを増す可能性があります。
今回は、暑さ対策に積極的に取り組んでいくことを推奨する助成制度として、千代田区の緑化助成事業をご紹介していきます。
2.「ヒートアイランド対策助成制度」とは
この制度は、千代田区がヒートアイランド現象を緩和する、屋上緑化や壁面緑化、屋上に高反射率塗料を散布する工事、窓ガラスへの日射調整フィルム・コーティング材による遮熱対策、ドライミスト型発生装置の設置など、ヒートアイランド対策の費用の一部を助成するものです。
3.対象の助成事業は?
「ヒートアイランド対策助成制度」には、次の7種類が対象事業です。
1.屋上緑化
屋上に樹木または芝、多年草等を植栽した基盤に新たに設置する
2.壁面緑化
つる性植物や、植栽基盤を建物壁面に覆うように植栽することや、壁面に沿って高木※を3本以上植栽する
※高木とは
成木の高さが、3m以上の樹木(植栽時はおおむね2m以上)であること
3.敷地内緑化
敷地の地上部に樹木または芝、多年草等を植栽した基盤を新たに設置する
4.高反射率塗料
屋上の全面に、屋上の蓄熱を抑制する塗料を散布すること
※第三者機関において測定した日射反射率が(近赤外線領域)が50%以上であること
参考:高反射率塗料 捕捉事項
5.日射調整フィルム・窓用コーティング材
窓ガラスに日射調整フィルムや、窓用コーティング材による対策を行うこと
※第三者機関における測定値が、原則、遮蔽係数0.7未満、可視光線透過率65%以上熱貫流率5.9W ㎡/K)未満(コーティング材は6.0W/(㎡/K)以下)であること
6.ドライ型ミスト発生装置
微細な水滴を散布してその気化熱により対象空間の冷却を行う装置
※原則、装置は固定式を使用。ミストは水道水を用いて、水滴の大きさが20μm 以下であること
参考:第三者機関調査の手引き
環境省 環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野
4.選定方法によっては、助成額が割増されます!
屋上緑化、壁面緑化、敷地内緑化において、区画ごとの植栽に用いる植物すべてを「千代田区在来種植栽選定の手引き※」に記載のあるものにした場合、当該区画にかかる助成額および限度額が20%割増されます。
※千代田区在来種植栽選定の手引き
内容については、千代田区環境政策課窓口で閲覧をお願いします。
5.助成対象の要件は?
1.共通要件
今回の助成事業は、個人、中小企業事業者※が対象です、
また、次の①~④は共通要件です。
①区内の民間建物であり、工事前の申請であること
②自らの所有でない建物の場合は、所有者の承諾を得ていること
③国や地方公共団体が行う類似の助成等を受ける予約または既に受けていないこと
④住民税や固定資産税の滞納がないこと
※中小企業事業者の範囲
2.屋上緑化・壁面緑化・敷地内緑化の場合
・新築の場合、敷地面積が1,000㎡未満の建物であること
・プランターによる緑化の場合は、要領100ℓ/基以上のものであること
・敷地面積が250㎡以上の建物で、「千代田区緑化推進要綱」で計画書を提出の対象となっている建物については、要綱の定める基準を超える部分が助成対象
3.高反射率塗料・日射調整フォルム・窓用コーティング材の場合
・第三者機関の証明書等により性能値を証明できる製品を使用すること
4.ドライ型ミスト発生装置の場合
・公共もしくは、それに準ずる場で不特定多数への涼を提供するために、90日以上設置する見込みがある場合
6.助成額
助成額は、助成対象経費(税抜き)の2分の1、または次の表に示す単位×助成単価のいずれか小さい額です。
7.申請先
申請先は、千代田区環境まちづくり部環境政策課エネルギー対策係です。
〒102-8688
東京都千代田区九段南1-2-1
電話:03-5211-4256
申請書類に関しては、区役所の窓口のみでの受付に限ります。
出張所での受付や郵送は認められていませんので、注意してください。
8.申請受付期限
申請期限は、平成30年2月9日(金)です。
ただし、受付は先着順のため、予算がなくなり次第終了となるので気をつけて下さい。
9.手続きの流れ
Step1:助成金交付申請書と添付書類を提出
注意点:申請は必ず工事(導入)前に行うこと
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Step2:審査(10日間前後)
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Step3:助成金交付決定書(交付の可否・交付予定額)を受領
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Step4:工事開始
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Step5:事業完了報告(事業完了報告書と添付書類を区役所窓口へ提出)
注意点:提出期限は平成30年2月28日までです
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Step6:受付審査(10日間前後)
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Step7:助成金交付額決定
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Step8:助成金交付請求書を提出
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Step9:助成金の振込(1ヵ月程度)
申請書類(申請時、工事完了・請求時)
助成金交付申請書、事業完了報告書は千代田区HPより書式ダウンロードをお願いします。
また、助成種別ごとに添付書類が異なるため、助成金交付申請書記載の必要書類を確認した上で、漏れのないように申請してください。
10.まとめ
近年、夏の都心ではヒートアイランド現象による、ゲリラ豪雨被害が多発しています。
その原因の一つは、都市が出す廃熱と、ビル等によるコンクリートの蓄熱です。エアコンをつけると室内の熱は屋外に放出され、コンクリートは熱を吸収してため込み、夜になっても熱を出し続けます。その結果、局地的に気温が高い場所があると、上昇気流により積乱雲が発達して、ゲリラ豪雨発生が考えられています。
屋上緑化により植物が増えると、コンクリート面への熱の伝達がさえぎられ、コンクリートが熱をため込まなくなります。また、緑化により建物内への熱の侵入を防ぐため、エアコンの効率があがり、温室効果ガスの排出抑制が可能です。さらに、植物は生育する過程でたえず水を蒸散させて、周囲の熱を奪うので冷却効果も期待ができます。
東京都では2001年4月より、「東京における自然の保護と回復に関する条例」を定め、都内で1,000㎡(国および地方公共団体が有する敷地の場合は250㎡)以上の敷地で開発計画や建築計画等がある建物に対して、その敷地内への緑化を義務づけています。この義務化が事実上の屋上緑化促進となり、地方自治体についても徐々に対応が進められてきています。
参考:東京都環境局 緑化計画書制度
地方自治体の取り組みとして、墨田区では個人住宅・中小企業事業者など、建築物所有者が屋上緑化を行うことに対して、最高40万円の助成事業を行っています。この事業では、建物の耐久性など無料点検した上で屋上緑化費用の補助を行うなど、申請時に対して細やかな相談を受けることができる点と、企業だけでなく個人住宅も対象という所も魅力です。
参考:墨田区「屋上緑化助成制度」
必要以上にエアコンの設定温度を低くしたり、冷蔵庫を長時間開けっぱなし、水を流したままで作業など、普段の行動で心当たりがある方いませんか?
普段なにげなく行っている行動も、エネルギーを消費し、熱を生み出すことになります。
私たちの身の回りで使っているエネルギーに無駄がないか、今一度見直し、助成金を上手く活用し緑化を推進していきましょう。