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キャリアアップ助成金の対象者は誰?企業と個人が知っておくべき条件

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キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者等の正社員化や処遇改善を支援する制度です。使いやすいと言われる助成金ですが、コースによって対象者や要件が異なり、複雑に感じるかもしれません。申請時には対象者や助成対象となる取り組みなど、全体像をよく理解しておく必要があります。

今回は、企業と個人の双方が知っておくべき条件などをまとめました。この助成金を活用して従業員の処遇改善を図りたい企業や、非正規雇用から正社員を目指している方にぜひ読んでいただきたい内容です。

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この記事の目次

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キャリアアップ助成金を受けるには?企業が知っておくべき条件

企業がキャリアアップ助成金を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まずは対象となる事業主、取り組み内容などを見ていきましょう。

対象となる事業主は?

まず、事業所が雇用保険の適用を受けていることが前提となります。これは、助成金を受けるための基本的な要件です。

次に、事業所ごとに「キャリアアップ管理者」という、有期雇用労働者等のキャリアアップをサポートする担当者を置く必要があります。

さらに、キャリアアップに向けた今後の予定を示した「キャリアアップ計画」を作成し、管轄の労働局長に認定を受ける必要があります。この計画には、取り組む予定のあるコース、メニュー等を選んで、対象者人数等を記入します。単なる願望ではなく、具体的な行動計画に基づいたものが望ましいです。

また、対象となる労働者の労働条件や賃金計算方法などが分かるように、必要な書類を整備しておく必要があります。これは、助成金の不正受給を防ぐためにも重要な手続きです。

そして、計画期間中に、労働者のキャリアアップに向けた取り組みを実施し、助成金の支給要件をすべて満たす必要があります。

この、事業主の要件を簡潔にまとめると以下の①~⑤になります。

①雇用保険に入っていること
②キャリアアップ管理者を置くこと
③キャリアアップ計画を作成し、認定を受けること
④労働条件などを明確にする書類を整備すること
⑤計画期間内にキャリアアップに取り組むこと

ただし、以下の事業主は対象外となりますのでご注意ください。

①保険年度の労働保険料を納入していない
②過去1年間に、労働関係法令の違反を行った
③風俗関連営業等の営業を行っている
④暴力団等と関わりがある
⑤支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している
⑥支給申請時または支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない

コース別 助成対象となる取り組みとは

キャリアアップ助成金は、大きく「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2つに分けられ、それぞれに複数のコースが設定されています。ここでは、どのような取り組みに対して助成金が支給されるのかを確認しましょう。

【正社員化コース・障害者正社員化コース】
有期雇用労働者等を正規雇用へ転換する企業を支援します。例えば、契約社員を正社員に転換した場合や、派遣社員を直接雇用した場合などに、助成金の対象となります。また、障害のある労働者を正規雇用へ転換する場合、より高額な助成金が支給されます。

【賃金規定等改定コース】
有期雇用労働者等の賃金規定を3%以上引き上げるなど、処遇改善に取り組む企業を支援する制度です。簡単に言うと、「契約社員やパートタイマーなど非正規の社員の給料を上げることを応援する制度」です。

【賃金規定等共通化コース】
有期雇用労働者と正規雇用労働者の待遇の差をなくすために、給与体系や評価制度などを統一する取り組みを支援する制度です。例えば、賃金テーブルや昇給の基準を同じにするなど、より公平な職場環境を作るために活用されます。

【賞与・退職金制度導入コース】
これまで賞与や退職金の対象外だった有期雇用労働者等にも、これらの制度を新たに設けることで、待遇改善を図る企業を支援する制度です。例えば、すべての有期雇用労働者等にもボーナスを支給したり、退職金制度を導入したりする場合に、助成金が受けられます。

【社会保険適用時処遇改善コース】
パートやアルバイトなどの短時間労働者を、新たに社会保険の対象とし、手当支給・賃上げ・労働時間延長などの収入を増やす取り組みを行う企業を支援します。このほか、週所定労働時間を延長し、社会保険に適用させる取り組みも支援の対象です。

労働者の処遇改善は、少子化や労働力不足といった社会問題への対応策としても注目されており、もはや企業が避けては通れない課題となっています。正社員への転換、賃上げ、賞与や退職金制度の導入、社会保険の適用など、多岐にわたる取り組みが支援対象となるキャリアアップ助成金は、企業がこういった課題に取り組む際に、積極的に活用すべき制度といえます。

▼コースごとの支給額の詳細などはこちらの記事でご確認ください。
キャリアアップ助成金とは?2024年・令和6年度【全コース支給額比較表付き】

正社員になりたい人が知っておくべき条件

企業に対して支給されるキャリアアップ助成金ですが、企業だけでなく、正社員を目指す労働者にとっても非常に重要な制度です。例えば、契約社員として働いている場合、この制度を理解しておくことで、会社に正社員登用を提案する材料として活用することができます。助成金を利用すれば、会社にとっても正社員への転換の負担が軽減されるため、あなた自身のキャリアアップのチャンスを広げることができるでしょう。

ただし、必ずしも提案が受け入れられるわけではありませんが、キャリアアップの意欲を示すことは、今後のキャリアにプラスの影響を与える可能性が高いです。積極的に行動し、自らの成長の機会を追求する姿勢が大切です。ここでは、助成金の対象となる労働者とキャリアアップのチャンスについて見ていきましょう。

対象の労働者

対象となるのは、いわゆる非正規労働者です。契約社員のほか、パートタイマーや派遣労働者などが含まれます。キャリアアップ助成金における各労働者の定義は、以下のとおりです。

■有期雇用労働者
期間の定めのある労働契約を締結する労働者(短時間労働者および派遣労働者のうち、期間の定めのある労働契約を締結する労働者を含む)

■短時間労働者
「短時間労働者および有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」第2条第1項に規定する短時間労働者

■派遣労働者
「労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律」第2条に規定する派遣労働者

■無期雇用労働者
期間の定めのない労働契約を締結する労働者(短時間労働者および派遣労働者のうち、期間の定めのない労働契約を締結する労働者を含む)のうち、通常の労働者(正規雇用労働者、勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員)以外の者(通常の労働者に適用される労働条件が適用されていないことが確認できる者)

対象となる労働者の定義を簡潔にまとめると以下の①~④になります。

①有期雇用労働者:契約期間が定められている労働者
②短時間労働者:1日の労働時間が通常の正社員より短い労働者
③派遣労働者:派遣会社と契約し、派遣先で働く労働者
④無期雇用労働者:契約期間が定められていないが、正社員ではない労働者

コース別 対象となる労働者のポイント

対象となる労働者の要件はコースごとに異なります。ポイントとなる要件を、それぞれまとめました。

【正社員化コース】
次のいずれかに該当する有期雇用労働者または無期雇用労働者
①正規雇用労働者とは異なる雇用区分で、同じ事業主に6か月以上雇用されている者
②同じ派遣先の組織で6か月以上継続して勤務している派遣労働者
③事業主が実施した訓練を修了し、6か月以上正規労働者とは異なる雇用区分で働いている者
④コロナの影響で未経験の職業に就くことを希望し、紹介予定派遣で2〜6か月間同じ派遣先で勤務している者
※最初から正社員にすることを約束されて雇われた有期雇用労働者等は対象外です。また、過去3年以内に、同じ事業主や関連する事業主で正社員だった者、請負・委任契約をしていた者、または役員だった者も対象外になります。

【賃金規定等改定コース】
次のすべてに該当する労働者が対象

  • 賃金規定が改定される前の3か月以上前から、改定後6か月以上継続して雇用されている有期雇用労働者など
  • 改定された賃金規定が適用され、基本給が改定前より3%以上昇給している者
  • 賃金規定改定前の3か月前から申請日までの間に、基本給や定額手当が合理的な理由なく減額されていない者

【賃金規定等共通化コース】
次のすべてに該当する労働者が対象

  • 賃金規定や賃金テーブルを共通化する前の3か月以上前から、共通化後6か月以上継続して雇用されている有期雇用労働者など
  • 共通化された賃金区分で、正規雇用労働者と同等またはそれ以上の区分に格付けされている者

【賞与・退職金制度導入コース】
次のすべてに該当する労働者が対象

  • 賞与または退職金制度を新設する前の3か月以上前から、新設後6か月以上継続して雇用されている有期雇用労働者など
  • 賞与または退職金制度が新設され、初回の賞与支給または退職金積立後の6か月間、雇用保険の被保険者であること

【社会保険適用時処遇改善コース】
次のすべてに該当する労働者が対象

  • 週所定労働時間を延長した日または社会保険の被保険者となった日の6か月前から継続して雇用されている有期雇用労働者など
  • 手当や賃金の増額を受けた労働者で、基本給が一定の割合で増額された者
  • 社会保険の適用日の6か月前までに、社会保険の適用要件を満たしておらず、過去2年間に社会保険に加入していなかった者

これらに加えて、「事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族ではないこと」や「支給申請日に離職していないこと」が、すべてのコースで共通する要件となります。

各コース要件の詳細は、キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)をご確認ください。

労働者にとって、キャリアアップ助成金活用のメリットとは?

キャリアアップ助成金は、その名のとおり、非正規雇用労働者にとってキャリアアップの大きなチャンスになります。

例えば、契約社員が正社員化コースで正社員に転換されることのメリットを考えてみましょう。まず、雇用の安定性が大幅に向上します。これにより、雇用契約の更新に不安を抱えることなく、長期的なキャリア形成を見据えて働くことができるようになります。

また、正社員化によって、賃金面でのメリットも期待できます。基本給の増額や諸手当の拡充に加え、賞与や退職金制度が適用されることで、収入の安定性が向上し、将来の経済的な安心感が得られます。ほかにも、専門性を高めたり、新たな業務に挑戦するチャンスが広がることも考えられます。これにより、労働者自身がキャリアをステップアップさせ、職場での価値を高めることができます。

こうした労働環境の改善により、働くモチベーションも向上し、安心して働き続けられるようになるでしょう。キャリアアップ助成金は、働く人が安定した仕事を築くための大切な制度だといえます。

まとめ

キャリアアップ助成金は、企業にとっては人材育成や処遇改善のための支援策です。労働者にとってはキャリアアップの機会ともなります。

申請時には、対象となる条件や取り組み内容を十分に理解し、適切な計画を立てて申請することが重要です。各コースの特徴や助成金額を把握し、最適なコースを選択しましょう。

具体的な申請方法や注意点、不正受給を避けるためのポイントについては、「キャリアアップ助成金申請方法とポイント【失敗しない手順ガイド】」で詳しく解説しています。申請を検討されている企業の方々は、ぜひこちらの記事もご参照ください。

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