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法律改正で変わるパート・アルバイトの社会保険加入条件【従業員数100人以下の事業主も対象に!】

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これまで、パート・アルバイトの社会保険加入条件として、企業の従業員数が101人以上であることが求められていました。しかし年金制度の法律改正により、従業員数が100人以下の企業も新たに対象となります。

この法律改正は、現代社会が抱える労働者の課題を解消し、経済基盤をより充実させることが狙いです。本記事では、パート・アルバイトが社会保険に加入するための新たな条件や、社会保険加入による企業・従業員それぞれのメリット、また社内準備の流れ・支援制度についても詳しく解説します。

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この記事の目次

新たな法律改正の概要

法律改正により、令和6年10月からパート・アルバイトの社会保険の加入条件が変更されます。

今後の社会・経済では人手不足が進むことで、現役世代の人口が急速に減少すると見込まれています。このような状況において、特に高齢者や女性の就業を促進させ、より多くの人が多様な形で働き続けられる環境を整える必要があります。

そんな中、令和2年6月5日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されました。この法律は、今後の社会・経済の変化を年金制度へと反映させ、長期化する高齢期の経済基盤を充実させることを目的としています。

なおこの改正では、被用者保険の適用拡大を図るため、適用対象となる事業所の規模を段階的に引き下げる(令和4年10月に100人超規模、令和6年10月に50人超規模)施策が盛り込まれています。

対象企業について

パート・アルバイトの社会保険加入条件は、令和5年8月現在「従業員数101~500人の企業」が対象です。ただし法律改正により、令和6年10月からは「従業員数51~100人の企業」が対象となります。

なお従業員数は、下記の合計額により「現在の厚生年金保険の適用対象者」を算出します。

「①フルタイムの従業員数+②週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数」

  • ②は週労働時間並びに月労働日数が、フルタイムの3/4以上の従業員数を指します。
  • 原則として、従業員の基準を常時上回る場合は、適用対象と認められます。
  • 法人は法人番号が同一の全企業を合計し、個人事業所は個々の事業所ごとにカウントして算出します。

パート・アルバイトの新たな加入条件

パート・アルバイトで新たな加入対象者となるのは、下記①~④の要件全てに該当する者です。

新たな加入対象者
①週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
契約上の所定労働時間とし、臨時で発生した残業時間は含まれません。

※週所定労働時間が40時間の企業の場合です。
※契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2ヶ月連続で週20時間以上となり、継続すると見込まれる場合の保険加入は3ヶ月目からとなります。
②所定内賃金が月額8.8万円以上
基本給並びに諸手当を指します。ただし、残業代・賞与・臨時的な賃金等は含めないものとします。

【基本給・諸手当に含まれない例】
- 1月を超える期間ごとに支払われる賞与等の賃金
- 時間外労働、休日労働、深夜労働に関して支払われる割増賃金等
- 最低賃金に算入しないと定められた精皆勤手当、通勤手当、家族手当
③2ヶ月を超える雇用が見込まれる
④学生ではない
※休学中や夜間学生は加入対象とみなされます。

社会保険に加入するメリット

ここでは、社会保険に加入するメリットについて、企業側・従業員側それぞれの場合について解説します。

企業のメリット

【求人がより魅力的になる】
厚生労働省の資料によると、パート労働者の6割が「社会保険に加入できる求人」について魅力的と回答しています。社会保険完備の求人であれば、優秀な人材をより確保しやすくなるでしょう。

【生産性向上のための補助金を受けやすくなる】
国では、生産性向上に取り組む中小企業に対し補助金を設けており、支援を受けるには審査を通り採択される必要があります。そこで企業が選択的適用拡大(施行期日より前にパート・アルバイトを社会保険に加入させる)を行えば、応募要件が緩和されたり審査の加点項目になったりと、支援を優先的に受けられる可能性が高くなります。

従業員のメリット

【年金が充実】
老後・障害・死亡の3つの年金について、これまでよりも充実した保障を受けられます。

出典:社会保険適用拡大ガイドブック

■老齢年金
厚生年金に加入すると、1階(基礎年金部分)に加え2階(報酬比例部分)が上乗せされます。

厚生年金保険料 増える報酬比例部分の年金額(目安)
20年間加入 月額8,100円 月額8,900円(年額106,800円)×終身
10年間加入 月額8,100円 月額4,400円(年額52,800円)×終身
1年間加入 月額8,100円 月額440円(年額5,200円)×終身

60歳以上の方が厚生年金に加入した場合、過去の加入期間が40年未満の方は定額部分(1階相当)の額も増加します。増加額は、加入期間1年あたり約1,600円(年額約20,000円)です。

※65歳以上の方が厚生年金に加入した場合、加入実績に伴って毎年1回年金額が増額されます。

■障害年金

  • 厚生年金加入中の障害に関しては、障害等級1・2級の場合、障害基礎年金に加え障害厚生年金が上乗せされます。障害厚生年金は老齢厚生年金と異なり、加入期間が短い場合でも一定(300月分)の給付を受けられます。
  • 3級やそれより軽い一定の障害の場合は、国民年金に加入していると障害年金は支給されません。しかし厚生年金に加入すれば、障害厚生年金もしくは障害手当金(一時金)が支給されます。

    出典:社会保険適用拡大ガイドブック

■遺族年金
厚生年金に加入すれば、遺族基礎年金に加え遺族厚生年金が上乗せされます。

【医療保険が充実】
医療(健康)保険もさらに充実した手当が受けられます。

■傷病手当金
病床期間中、給与の2/3相当が支給されます。業務外の事由による療養で働けなくなった場合、その3日後から働けない期間(最長1年6ヶ月間)、傷病手当金の支給を受けられます。

■出産手当金
産休期間中、給与の2/3相当が支給されます。被保険者が出産で会社を休み報酬が受けられない場合、産前42日・産後56日までの間、出産手当金の支給を受けられます。

社内準備のステップ

パート・アルバイトの社会保険加入に向けた基本的な流れは、下記をご参照ください。

加入に向けた基本的な流れ
①社内の加入対象者を把握
前述の「パート・アルバイトの新たな加入条件」を参考に社内の加入対象者を把握し、対応方針を決めます。

なお、厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイト内の「社会保険料かんたんシミュレーター」を利用すれば、会社が負担する社会保険料がどの程度変わるのかを簡単に試算できます。
②社内周知
新たに加入対象者となるパート・アルバイトに対し、法改正の内容を確実に伝えるため、社内イントラやメール等を活用し社内周知に取り組みます。
③従業員とのコミュニケーション
必要に応じて、説明会や個人面談などを行います。
④書類の作成・届出(オンライン)
新たな適用拡大の対象となる旨を通知する書類が届き次第、被保険者資格取得届を準備します。届書が作成できたら、2024年10月7日までにオンライン申請を行います。

企業への支援制度

国では、中小企業での社内準備を円滑に進められるよう、下記のような支援制度を用意しています。

  • 専門家活用支援事業(無料)
  • よろず支援拠点(無料)
  • 中小企業生産性革命推進事業
  • キャリアアップ助成金

ここでは「キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)」について内容を解説します。

【概要】
「キャリアアップ助成金」は、企業内における非正規雇用労働者(有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者)のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主に対し、助成金を支給する制度です。

「短時間労働者労働時間延長コース」では、週所定労働時間を延長することで、雇用する有期雇用労働者等を新たに社会保険被保険者とした場合に助成します。

【支給額】
①週所定労働時間を3時間以上延長し、かつ新たに社会保険に適用した場合
1人あたり23.7万円 〔中小企業以外17.8万円〕

②労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1時間以上3時間未満延長し、かつ新たに社会保険に適用した場合
1時間以上2時間未満 1人あたり5.8万円 〔中小企業以外4.3万円〕
2時間以上3時間未満 1人あたり11.7万円 〔中小企業以外8.8万円〕

【申請方法】
支給申請書および添付書類を、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出します。

※令和5年度より「雇用関係助成金ポータル」での電子申請が順次可能となります。電子申請を利用するには「GビズID」の申請・取得が必要です。

  • 取組実施日の前日までに、キャリアアップ計画を作成し提出する必要があります。
  • 就業規則は、当該事業所の従業員に周知した日付で効力があり、原則として発効と施工日は同日付けとなるようにしてください。

まとめ

少子高齢化の影響により、中小企業では人手不足が年々深刻化しています。そんな中で社会保険の適用を拡大し、パート・アルバイトが働きやすい環境を作ることが、中小企業にとって重要な取組のひとつです。

社会保険の適用拡大は、企業側の保険料負担が増えてしまうものの、保障が充実することで優秀な人材の確保や離職率低下などのメリットをもたらします。令和6年10月よりパート・アルバイトの社会保険の加入条件が変更されるので、社会保険の適用拡大を検討する企業は、内容をしっかり把握し準備を進めましょう。

参考:厚生労働省からのお知らせ 従業員数100人以下の事業主のみなさまへ

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