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【2026】パートの社会保険加入とは?条件や今後の適用拡大を解説

公開日:2023/9/1 更新日:2026/8/5
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社会保険の適用拡大が、いよいよ大きな節目を迎えます。2025年6月に成立した年金制度改正法により、2026年10月から「106万円の壁」と呼ばれてきた月額8.8万円の賃金要件が撤廃され、週20時間以上働く短時間労働者は、収入額にかかわらず社会保険の加入対象となります。厚生労働省は、この改正によって新たに約200万人が厚生年金の加入対象になると試算しています。

さらに2027年10月以降は、企業規模要件(従業員数51人以上)が「36人以上→21人以上→11人以上→全企業」の順に段階的に撤廃され、2035年10月には10人以下の小規模企業まで完全に対象となる見通しです。施行までの期間が半年を切り、企業の人事・労務担当者は対象者の洗い出し、保険料試算、給与計算システムの設定確認など、待ったなしの対応を迫られています。

本記事では、パート・アルバイトなど短時間労働者が社会保険に加入するための条件、令和8年度(2026年度)の最新保険料率、2026年10月に開始される保険料調整制度、企業・従業員それぞれのメリット、社内準備の流れや活用できる支援制度について、最新情報をふまえて詳しく解説します。

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社会保険の適用拡大は段階的に進んでいる

社会保険の適用拡大は、2016年10月の「従業員数501人以上」を皮切りに段階的に進められてきました。ここでは、直近の社会保険適用拡大に関する流れをご紹介します。

2024年10月:従業員数51人以上の企業まで拡大

2024年(令和6年)10月から短時間労働者の社会保険の加入条件が変更されました。具体的な変更点は、従業員数51人以上の事業所が加入対象となった点です。2024年9月以前までは、従業員数101人以上の事業所を対象としていたため、本拡大により、より多くの事業所が義務的な適用対象となりました。
社会保険の適用拡大スケジュールを示した図
出典:社会保険適用拡大のこんなとき!どうする?手引き

2025年6月:年金制度改正法が成立

2025年(令和7年)6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立し、6月20日に公布されました。これにより、今後さらなる社会保険の適用拡大が法律として確定しています。改正内容は2026年4月から段階的に施行されており、社会保険の適用拡大に関する大きな変更は2026年10月以降に順次実施されます。

2026年10月以降、社会保険加入条件は何が変わる?

2026年10月以降は、賃金要件(106万円の壁)が撤廃され、2027年10月からは企業規模要件も段階的に撤廃されていきます。具体的な変更内容は以下のとおりです。

変更点概要時期
賃金要件の撤廃月額8.8万円(年収106万円)の収入要件が撤廃。週20時間以上働く短時間労働者は、収入額にかかわらず加入対象となる2026年10月
保険料調整制度の開始企業規模要件見直しで新たに加入する標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者について、事業主が保険料の一部を追加負担できる時限措置(3年間)2026年10月
企業規模要件の段階的撤廃「51人以上→36人以上→21人以上→11人以上→全企業」の順に、2027年10月から2035年10月にかけて段階的に撤廃2027年10月〜2035年10月
個人事業所の適用対象拡大常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所において、従来の特定17業種以外の全業種も加入対象となる2029年10月以降(施行時点で既にある事業所は当分の間対象外)

これにより、労働者は老後の年金や医療保障を手厚く受けられる一方、企業側の社会保険料負担が増加するため、経営への影響を事前に検討しておくことが重要です。

「106万円の壁」撤廃の背景と影響

「106万円の壁」として知られた月額8.8万円以上の賃金要件は、2026年10月に撤廃されます。背景には、最低賃金の上昇があります。2025年度の最低賃金改定により全都道府県で時給1,016円を超え、週20時間勤務すれば自動的に月額8.8万円(年収約106万円)以上に達するようになり、賃金要件の実効性が薄れました。

厚生労働省は、この改正により新たに約200万人が厚生年金の加入対象になると試算しています。また、106万円の壁を意識して働き控えをしている労働者は約65万人と推計されており、これらの層の働き控え解消も期待されています。

企業規模要件は2027年10月から段階的に撤廃

現行の企業規模要件(従業員数51人以上)は、2027年10月から2035年10月にかけて次の順で段階的に撤廃されます。最終的には従業員10人以下の企業まで、すべて加入義務の対象になります。

時期新たに対象となる企業規模
2027年10月従業員36〜50人の企業
2029年10月従業員21〜35人の企業
2032年10月従業員11〜20人の企業
2035年10月従業員10人以下の企業(企業規模要件の完全撤廃)

参考:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト

【2026年10月時点では企業規模要件は51人以上のまま】

2026年10月に賃金要件が撤廃されても、企業規模要件(51人以上)は引き続き残ります。従業員数50人以下の企業に勤めるパート・アルバイトは、2026年10月時点では引き続き4分の3基準を満たす場合のみ加入対象となる点にご注意ください。ただし、対象拡大は2027年10月以降段階的に迫るため、今から準備を進めることが重要です。

社会保険とは?令和8年度の保険料はいくら引かれる?

社会保険とは、条件を満たす労働者に加入義務のある公的保険制度です。社会保険には、以下の種類があります。

健康保険被保険者やその家族が病気や怪我をした際に治療を受けられる
厚生年金保険従業員の将来や障害などの備えとなる(公的年金)
介護保険介護が必要な人が、少ない負担額で介護サービスを受けられる
雇用保険労働者が失業した際の再就職までの給付や、育児介護休業中の給付などを行い、生活を支える
労災保険業務中や通勤中の事故による病気や怪我などに対して、治療費や休業中の賃金などを補償する

労働者の病気や怪我、失業や労働災害など、働けなくなった際には収入がなくなってしまいます。社会保険は、こうした際に給付金を支給するなど、労働者の生活を支える役割を担っています。従業員は、社会保険に加入することで、さまざまなシーンにおける収入不安などを抑えられるのです。

令和8年度(2026年度)の社会保険料率一覧

社会保険料は、給与支給額そのものではなく、「標準報酬月額」に保険料率を乗じて計算されます。雇用形態にかかわらず、正社員でもパートでも同様です。以下、東京都の令和8年度(2026年度)の場合で確認してみましょう。

なお、令和8年度の協会けんぽ健康保険料率は全国平均で9.90%となり、令和7年度(10.00%)から0.10ポイント引き下げられました。東京都は前年度の9.91%から9.85%に引き下げられ、2026年3月分(4月納付分)から適用されています。

種類保険料率(令和8年度・東京都)
健康保険料率東京都は9.85%(労使折半/本人負担4.925%)

※都道府県によって異なる(全国平均9.90%、最高は佐賀県10.55%、最低は新潟県9.21%)
※40〜64歳(介護保険第2号被保険者)は介護保険料率1.62%が上乗せされる
※令和8年3月分(4月納付分)から適用
厚生年金保険料率全国一律で18.3%(労使折半/本人負担9.15%)
子ども・子育て支援金率0.23%(労使折半/本人負担0.115%)
※令和8年4月分(5月納付分)から新設され、健康保険料に含めて徴収される
※2028年度まで段階的に引き上げ予定
子ども・子育て拠出金率0.36%(事業主が全額負担)
※厚生年金保険料と一緒に納付。子ども・子育て支援金とは別制度

たとえば東京都で月収80,000円の場合、標準報酬月額は健康保険で「78,000円」、厚生年金保険では下限額の「88,000円」となり、以下の計算をします。健康保険と厚生年金保険では標準報酬月額の等級区分が異なり、厚生年金保険の標準報酬月額の下限は88,000円である点に注意が必要です。

健康保険料(本人負担)78,000円×9.85%÷2=3,841.5円
厚生年金保険料(本人負担)88,000円×18.3%÷2=8,052円
子ども・子育て支援金(本人負担)78,000円×0.23%÷2=89.7円

計算の際やシミュレーションの際は、労使折半になる点に注意しましょう。また、40〜64歳の従業員は上記に加えて介護保険料(東京都・令和8年度は1.62%を労使折半)も控除されます。

【「子ども・子育て支援金」と「子ども・子育て拠出金」の違い】

名称が似ていますが、両者はまったく別の制度です。

子ども・子育て支援金(0.23%):2026年4月新設。健康保険料に含めて徴収され、事業主と労働者で折半負担。少子化対策の財源として、こども未来戦略「加速化プラン」に充てられる。

子ども・子育て拠出金(0.36%):2015年から続く制度。厚生年金保険料と一緒に納付され、事業主が全額負担。児童手当や子育て支援事業の財源。

給与計算で混同しないよう、システム設定時には特に注意が必要です。両制度は将来的に統合されていく予定ですが、当面は併存します。

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社会保険への加入義務が発生する事業所とは?

社会保険への加入義務が生じるかどうかは、まず「事業所が社会保険の適用対象かどうか」、次に「従業員が社会保険加入の条件を満たしているか」で判断します。

強制適用事業所と任意適用事業所の違い

社会保険加入に関する事業所の種類には、法律によって社会保険への加入が義務付けられている「強制適用事業所」と、社会保険への加入が義務付けられていない「任意適用事業所」があります。具体的な事業所の種類は以下のとおりです。

区分内容
強制適用事業所【法人事業所】従業員1名以上の法人(株式会社など)が、従業員や役員に給与を支払っている場合に加入義務が発生。【個人事業所】常に5名以上の従業員を雇用し、かつ法定17業種に該当する場合、社会保険への加入義務が発生
任意適用事業所【個人事業所】従業員が5名未満の場合。【非適用業種に属する事業所】農業、林業、水産業、サービス業、自由業、宗教関連など

強制適用事業所は社会保険加入が義務付けられていますが、任意適用事業所は義務付けられていません。任意適用事業所が社会保険に加入するためには、以下の条件を満たす必要があります。

任意適用事業所が社会保険に加入する条件
・被保険者となる者の半数以上の同意がある
・厚生労働大臣の認可を受けている

なお、2029年10月以降は、常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所について、法定17業種以外の全業種も強制適用の対象に拡大される予定です(施行時点で既に存在する事業所は当分の間、対象外)。

従業員側の加入条件

従業員における社会保険は、法人の代表者や役員、適用事業所で常勤として働く正社員が対象です。さらに、正社員以外の短時間労働者(パートやアルバイト)でも、条件を満たすことで加入義務が生じます。次に、短時間労働者の社会保険加入条件について詳しく解説します。

パート・アルバイトの社会保険加入条件は?

パート・アルバイトなど、短時間労働者における社会保険への加入条件は大きく分けて以下の2つです。

  • 4分の3基準(企業規模を問わず適用)
  • 4分の3基準を満たさない場合の要件(短時間労働者要件)

それぞれの条件を詳しく解説します。

4分の3基準とは?

短時間労働者は、社会保険への加入条件として労働時間に関する「4分の3基準」があります。4分の3基準とは、正社員の週および月の所定労働時間の4分の3以上で働いている場合は社会保険への加入義務が生じる、という内容です。

たとえば、パートであっても週5日40時間働いているような場合は正社員と同様の働き方をしているため、社会保険への加入義務が生じます。4分の3基準を満たす場合は、企業規模を問わず加入対象となります。

4分の3基準を満たさない場合の要件(2026年9月まで)

4分の3基準を満たさない場合でも、以下の条件をすべて満たすことで、社会保険への加入義務が生じます。これは2026年9月までの要件です。

  • 従業員規模が51人以上の事業所に勤めている
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2か月以上の雇用が見込まれる
  • 賃金が月額88,000円以上(2026年10月以降は撤廃)
  • 学生でない

たとえば、正社員のようにフルタイムでは働いていなくても、週4日6時間勤務をしていて賃金が88,000円以上になる(そのほかの条件も満たしている)場合は社会保険への加入義務が発生します。

2026年10月以降の加入条件はどう変わる?

2026年10月以降は、賃金要件(月額8.8万円以上)が撤廃され、次の4つの要件をすべて満たせば社会保険の加入対象となります。

  • 従業員規模が51人以上の事業所に勤めている(2027年10月以降段階的に撤廃)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2か月以上の雇用が見込まれる
  • 学生でない

最低賃金が時給1,016円を超えた地域では週20時間勤務でほぼ月額8.8万円に達するため、実務上は「週20時間以上働くかどうか」が新たな判断基準になります。

なお、条件のひとつである「学生でない」には、夜間や通信、定時制などの学生も該当します。基本的に昼間の学校に通っている生徒は対象外ですが、4分の3基準を満たしている場合は、社会保険の対象となる場合があるため注意が必要です。

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「50人以下」「10人以下」の会社は社会保険加入対象外?

現時点(2026年8月現在)において、被保険者が常時「50人以下」の小規模な事業所は、短時間労働者への社会保険の適用義務が生じません(4分の3基準を満たす場合を除く)。ただし、従業員数50人以下の企業等においても、従業員と企業等が合意することで、51人以上の企業等と同じ加入要件にすることができます(任意特定適用事業所)。

従業員数の数え方

従業員数は、下記の合計により「現在の厚生年金保険の適用対象者」を算出します。

「①フルタイムの従業員数+②週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数」

  • ②は週労働時間ならびに月労働日数が、フルタイムの3/4以上の従業員数を指します
  • 原則として、従業員の基準を常時上回る場合は、適用対象と認められます
  • 法人は法人番号が同一の全事業所を合計し、個人事業所は個々の事業所ごとにカウントして算出します
  • 短時間労働者(パート)として社会保険に加入している人数は含みません

50人以下・10人以下の企業も段階的に対象へ

今後の社会保険適用拡大によって、小規模事業所も2027年10月以降は段階的に対象となります。前掲のスケジュールをふまえると、対象となる時期の目安は次のとおりです。

従業員規模加入義務の発生時期(見込み)
36〜50人の企業2027年10月〜
21〜35人の企業2029年10月〜
11〜20人の企業2032年10月〜
10人以下の企業2035年10月〜

【社会保険完備は求人上の魅力に】
厚生労働省の「社会保険適用拡大に関するガイドブック」によると、パート労働者の45%が「社会保険に加入できる求人を魅力的」と回答しており、「魅力を感じない」と答えた20%を大きく上回っています。この結果から、適用拡大による「社会保険完備」は求人の魅力を高める要素の一つと言えるでしょう。

【2026年10月開始】保険料調整制度とは?対象者と負担軽減の仕組み

2026年10月から、企業規模要件の見直しにより新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者について、事業主が保険料の一部を追加負担できる「保険料調整制度」が始まります。手取り減少への不安を和らげ、就業調整せずに働けるようにするための時限的な仕組みです。

保険料調整制度の対象者

保険料調整制度の対象となるのは、以下すべての要件を満たす短時間労働者です。

  • 従業員数50人以下の企業などで、企業規模要件の見直しにより新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者
  • 週の所定労働時間20時間以上(短時間労働者要件を満たすこと)
  • 標準報酬月額が126,000円以下(おおむね年収156万円未満)
  • 学生ではない

なお、令和8年10月1日以降、企業規模要件が段階的に撤廃されて特定適用事業所になる前に、任意特定適用事業所として自主的に加入した場合も対象となります(令和8年9月30日以前に任意特定適用事業所となっていた場合は対象外)。

負担割合と支援の内容

保険料調整制度を利用すると、標準報酬月額に応じて事業主が本人負担分の一部を追加負担することができます。期間は制度の利用開始から通算3年間で、事業主が追加負担した保険料は、一定期間経過後に事業主が納付する保険料から全額控除されるため、最終的に事業主の総負担額は増えません。

たとえば標準報酬月額88,000円のパートで通常の本人負担は月額約12,500円ですが、制度を利用すると本人負担が半減し、事業主が同額を追加負担します。事業主が追加負担した6,250円は後日、事業主納付分から控除されるため、事業主の実質負担は変わらない仕組みです。従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません。

【保険料調整制度のポイント】

・対象は「企業規模要件の見直しで新たに加入する」短時間労働者に限定

・標準報酬月額126,000円以下が対象(12.6万円超は対象外)

・利用期間は通算3年間の時限措置

・事業主の最終負担は増えない(後日控除で調整)

・従業員の将来の年金額は減らない

参考:日本年金機構 従業員50人以下の事業主の皆さまへ(保険料調整制度リーフレット)

社会保険の加入手続き

ここからは、社会保険へ新規加入する際の手続きについて紹介します。それには次の2種類の手続きが必要です。

  • 事業所自体が加入するための手続き
  • 従業員が加入するための手続き

それぞれの手続きについて、詳しく解説します。

事業所の加入手続きとは?

事業所が社会保険へ加入するには、必要書類を年金事務所に提出する必要があります。強制適用事業所と任意適用事業所では、提出する書類や期限が異なるので、事前に確認が必要です。

【強制適用事業所】
強制適用事業所の場合は、以下の書類を「事実発生から5日以内に」事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)に提出します。

  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
  • 健康保険 被扶養者(異動)届
  • 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書

さらに、事業所の種類に応じて以下の添付書類が必要です。

法人事業所法人(商業)登記簿謄本(90日以内に発行されたもの、コピー不可)
事業主が国、地方公共団体、または法人法人番号指定通知書のコピー
強制適用となる個人事業所事業主の世帯全員分の住民票(90日以内に発行されたもの、コピー不可・個人番号なし)

【任意適用事業所】
任意適用事業所の場合、従業員の1/2の同意後、速やかに以下の書類を事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)に提出します。

  • 健康保険・厚生年金保険 任意適用申請書・同意書
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
  • 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書

そのほか、併せて以下の添付書類も必要です。

  • 任意適用同意書
  • 事業主世帯全員の住民票原本(個人番号の記載がないもの)
  • 公租公課の領収書(コピー可)

参考:日本年金機構 新規適用の手続き
参考:日本年金機構 任意適用申請の手続き

従業員の加入手続きとは?

従業員が社会保険に加入する際には、事業主が「被保険者資格取得届」を日本年金機構に提出する必要があります。この手続きを行うと、公的年金制度に初めて加入した従業員には基礎年金番号通知書が交付されます。

また、従業員が全国健康保険協会(協会けんぽ)管掌の事業所に所属している場合、本人名義の「健康保険被保険者証」が発行されます。従業員が配偶者や子どもを扶養する場合は、さらに「健康保険被扶養者(異動)届」を提出し、家族名義の「健康保険被保険者証」を受け取ることになります。

社会保険未加入の場合の罰則は?

社会保険への未加入が発覚した場合の罰則には、以下のようなものがあります。事業の運営に大きな影響を及ぼす可能性があるため、事業所は適切な加入手続きを行いましょう。

  • 過去2年分の保険料を徴収される
  • 従業員負担分の保険料をも事業者側が支払う可能性がある
  • 延滞金が発生する
  • ハローワークに求人が出せなくなる
  • 従業員側から損害賠償を請求されることもある
  • 悪質な場合は健康保険法違反となり、罰則が適用される

社会保険の加入漏れを防ぐ実務上のポイント

企業は、社会保険に加入義務のある従業員の加入漏れを防がなければなりません。特に、パートやアルバイトなどの短時間労働者の場合、条件を満たしているかどうかを適切に判断する必要があります。ここでは、企業が従業員の社会保険加入漏れを防ぐために重要な実務上のポイントを紹介します。

2026年10月に向けて対象者を再チェックする

2026年10月の賃金要件撤廃以降は、これまで「月額8.8万円未満だから対象外」と判断していた従業員も、週20時間以上勤務していれば加入対象となります。特にシフト勤務のパート・アルバイトについては、直近3か月の実労働時間もあわせて確認し、契約上の所定労働時間が実態と合っているか点検しておくことが重要です。

勤怠管理・給与計算システムを見直す

社会保険の加入漏れを防ぐために有効なのが、システムなどで対象者を適切に把握することです。特に労働時間や収入については、勤怠管理システムや給与計算システムなどを利用することで正確な管理が行えます。手動での管理は人的ミスを招きやすく、社会保険への加入漏れの原因となるため、システムでの一元管理が推奨されます。

さらに2026年4月からは子ども・子育て支援金(0.23%、労使折半)の徴収が始まっており、健康保険料の控除額そのものが変動しています。給与計算システムの設定見直しと、対象者の再チェックの仕組みを整えておくことが重要です。

ダブルワークをする従業員への対応

パートの掛け持ちなど、ダブルワークにおける社会保険の対応も適切に行わなければなりません。

状況対応
どちらの企業でも加入条件を満たしていない社会保険に加入する必要はない
片方の勤務先で加入条件を満たしている条件を満たす勤務先で社会保険に加入する
両方の勤務先で加入条件を満たしている両方の企業で社会保険に加入する

特に注意しなければならないのが、複数の企業で社会保険の加入条件を満たしているケースです。前提として、勤務する複数の企業で社会保険の適用条件を満たしている場合、すべて加入するのが基本です。このような場合は、従業員本人が「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所へ提出しなければなりません。実務上の流れとしては、従業員が必要事項を記入し、主たる事業所を経由して提出します。

学生の扱いを適切に判断する

社会保険の適用条件では、学生を原則として対象外としています。しかし、すべての学生が対象外となるわけではありません。「4分の3基準」を満たしていれば、学生であっても社会保険の適用対象です。また、4分の3基準を満たしていない場合の学生でも、「夜間」や「通信」、「定時制」や「休学中」の生徒は、社会保険の適用対象となる点を理解し、正しく判断しましょう。

社会保険に加入するメリットとは

社会保険に加入するメリットについて、企業側・従業員側それぞれの場合について解説します。

企業のメリット

【求人がより魅力的になる】
厚生労働省の資料によると、パート労働者の6割が「社会保険に加入できる求人」について魅力的と回答しています。社会保険完備の求人であれば、優秀な人材をより確保しやすくなるでしょう。

【生産性向上のための補助金を受けやすくなる】
国では、生産性向上に取り組む中小企業に対し補助金を設けており、支援を受けるには審査を通り採択される必要があります。そこで企業が選択的適用拡大(施行期日より前にパート・アルバイトを社会保険に加入させる)を行えば、応募要件が緩和されたり審査の加点項目になったりと、支援を優先的に受けられる可能性が高くなります。

従業員のメリット

【年金が充実】
老後・障害・死亡の3つの年金について、これまでよりも充実した保障を受けられます。
社会保険加入による年金のメリットを示した図
出典:社会保険適用拡大ガイドブック

■老齢年金
厚生年金に加入すると、1階(基礎年金部分)に加え2階(報酬比例部分)が上乗せされます。

厚生年金保険料増える報酬比例部分の年金額(目安)
20年間加入月額8,100円月額8,900円(年額106,800円)×終身
10年間加入月額8,100円月額4,400円(年額52,800円)×終身
1年間加入月額8,100円月額440円(年額5,200円)×終身

60歳以上の方が厚生年金に加入した場合、過去の加入期間が40年未満の方は定額部分(1階相当)の額も増加します。増加額は、加入期間1年あたり約1,600円(年額約20,000円)です。

■障害年金
厚生年金加入中の障害に関しては、障害等級1・2級の場合、障害基礎年金に加え障害厚生年金が上乗せされます。障害厚生年金は老齢厚生年金と異なり、加入期間が短い場合でも一定(300月分)の給付を受けられます。3級やそれより軽い一定の障害の場合でも、厚生年金に加入していれば、障害厚生年金もしくは障害手当金(一時金)が支給されます。

■遺族年金
厚生年金に加入すれば、遺族基礎年金に加え遺族厚生年金が上乗せされます。

【医療保険が充実】
医療(健康)保険もさらに充実した手当が受けられます。

■傷病手当金
療養期間中、給与の2/3相当が支給されます。業務外の事由による療養で働けなくなった場合、その3日後から働けない期間(通算1年6ヶ月間)、傷病手当金の支給を受けられます。

■出産手当金
産休期間中、給与の2/3相当が支給されます。被保険者が出産で会社を休み報酬が受けられない場合、産前42日・産後56日までの間、出産手当金の支給を受けられます。

【保険料は給料からの天引きに】
これまで、国民年金や国民健康保険の保険料を自身で口座振替や納付書で支払っていた方も、厚生年金・健康保険に加入することで、保険料は給与からの天引きに変わります。支払いの手間が省けるうえ、保険料の半額は事業主(会社)が負担するため、経済的な負担も軽減されます。

社会保険加入に向けた企業への支援制度

国では、中小企業での社内準備を円滑に進められるよう、下記のような支援制度を用意しています。

  • 専門家活用支援事業(無料)
  • よろず支援拠点(無料)
  • 中小企業生産性革命推進事業
  • キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)
  • 保険料調整制度(2026年10月開始、前述)

ここでは「キャリアアップ助成金」について、2026年度(令和8年度)の最新情報を紹介します。

キャリアアップ助成金の令和8年度の変更点

キャリアアップ助成金とは、企業内における非正規雇用労働者(有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者)のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主に対し、助成金を支給する制度です。キャリアアップ助成金は令和8年度(2026年度)も継続して実施されており、2026年4月8日に令和8年度版のパンフレットが公表されています。


【重要】社会保険適用時処遇改善コースの終了について

以前まで設けられていた「社会保険適用時処遇改善コース」は、2026年3月31日(令和7年度末)をもって暫定措置が終了しました。「年収の壁」への対応としての機能は、2025年7月に新設された「短時間労働者労働時間延長支援コース」に引き継がれています。令和8年度以降に社会保険を適用した場合は、社会保険適用時処遇改善コースの対象とならないため、後者の活用を検討しましょう。

【令和8年度の主な変更点】
令和8年度(2026年度)のキャリアアップ助成金では、以下のような変更が行われています。

  • 正社員化コースに「情報公表加算」を新設(令和8年4月8日以降):正規雇用への転換情報を自社ウェブサイトまたは職場情報総合サイト「しょくばらぼ」に公表した場合、1事業所当たり20万円(大企業15万円)を加算
  • 社会保険適用時処遇改善コースの暫定措置終了(令和8年3月31日)
  • 令和7年度から継続:正社員化コースに「重点支援対象者」区分を導入、キャリアアップ計画書は届出のみで認定不要に簡素化

短時間労働者労働時間延長支援コース(令和8年度も継続)

2025年(令和7年)7月に新設された「短時間労働者労働時間延長支援コース」は、いわゆる「年収の壁」対策として、週所定労働時間を延長し新たに社会保険を適用させた短時間労働者に対して、収入増加の取り組みを行った事業主を支援するコースです。令和8年度(2026年度)も継続実施されており、2026年4月1日に令和8年度版のパンフレットが公表されています。

【助成概要】

事業主規模1年目の取組(第1期)2年目の取組(第2期)合計最大
小規模企業事業主(30人以下)最大50万円最大25万円最大75万円
中小企業事業主最大40万円最大20万円最大60万円
大企業最大30万円最大15万円最大45万円

【申請の流れ】

1取組実施日の前日までに、キャリアアップ計画を作成し提出
2計画書の提出後、取組を開始(週所定労働時間の延長・新たに社会保険を適用・賃金の増額)
3支給申請書および添付書類を、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出
【年収130万円の壁対策助成金】短時間労働者労働時間延長支援コースとは

キャリアアップ助成金とは?令和8年度の全6コース・支給額・対象事業者を解説【2026年】

パートの社会保険加入条件に関するよくある質問

パートの社会保険加入において、よくある質問を紹介します。

2026年10月以降、社会保険加入条件はどう変わりますか?

2026年10月以降は「106万円の壁」として知られた月額8.8万円以上の賃金要件が撤廃されます。これにより、週20時間以上・2か月以上の雇用が見込まれ・学生でないという要件を満たす短時間労働者は、収入額にかかわらず社会保険の加入対象となります。ただし2026年10月時点では企業規模要件(従業員数51人以上)は残るため、51人以上の企業に勤める短時間労働者が主に影響を受けます。最低賃金が時給1,016円を超えた地域では週20時間勤務でほぼ月額8.8万円に達するため、実務上は「週20時間以上働くかどうか」が判断の中心となります。厚生労働省は約200万人が新たに加入対象になると試算しており、企業は対象者の洗い出しと保険料試算など、早めの準備が必要です。


週20時間以上働くパートは、いつから社会保険に加入する必要がありますか?

2026年10月以降、従業員数51人以上の企業に勤める週20時間以上のパート・アルバイトは、賃金額にかかわらず社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が必要です。従業員数50人以下の企業に勤める場合は、企業規模要件が段階的に撤廃されるスケジュールに沿って、2027年10月から2035年10月にかけて順次加入対象となります。ただし4分の3基準(正社員の所定労働時間の4分の3以上)を満たす場合は、企業規模に関係なく加入対象となります。


従業員数50人以下の小規模企業でも、パートを社会保険に加入させる必要がありますか?


現時点では、被保険者が常時50人以下の事業所は、短時間労働者への社会保険の適用義務は原則生じません(4分の3基準を満たす場合を除く)。ただし、企業規模要件は2027年10月から段階的に撤廃されます。具体的には、2027年10月に36〜50人の企業、2029年10月に21〜35人の企業、2032年10月に11〜20人の企業、2035年10月に10人以下の企業が順次対象となり、最終的には規模を問わずすべての事業所が対象になります。今から準備を進めておくことをおすすめします。


2026年10月に始まる「保険料調整制度」とは何ですか?


保険料調整制度は、企業規模要件の見直しにより新たに社会保険に加入する短時間労働者について、事業主が本人負担分の一部を追加負担できる時限的な制度です。対象は標準報酬月額126,000円以下(おおむね年収156万円未満)の短時間労働者で、期間は制度利用開始から通算3年間です。事業主が追加負担した保険料は、一定期間経過後の納付分から控除されるため最終的な事業主の総負担は増えません。従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません。手取り減少への不安を和らげる仕組みとして、2026年10月1日から開始されます。


月額8.8万円に含まれる内容は何ですか?

月額8.8万円には、基本給及び諸手当が含まれます。ただし、以下の賃金は含まれませんのでご注意ください。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
  • 1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
  • 時間外や休日労働などにおける割増賃金等
  • 最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)
なお、この賃金要件は2026年10月に撤廃されます。


2ヶ月以内の雇用契約なら加入対象外ですか?

最初の雇用契約期間が2ヶ月以内であっても、以下に該当する場合は被保険者資格を取得することになります。

  • 就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は「更新される場合がある旨」が明示されている
  • 同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績がある
上記の場合、2ヶ月以内の雇用契約が更新されることが見込まれるとみなされるためです。


社会保険における学生の範囲を教えてください

社会保険の適用における「学生」とは、主に高校生や大学生、専修学校に在学する生徒を指します。ただし、以下の場合は社会保険の対象として扱われるためご注意ください。

  • 卒業した後も引き続き当該適用事業所に使用される者
  • 休学中の者
  • 定時制課程及び通信制課程に在学する者
  • その他これらに準じる者(社会人大学院生など)
基本的に、昼間の学校に通う学生は社会保険の対象外ですが、それ以外の学生は社会保険の適用対象として扱われる点に注意しましょう。



「子ども・子育て支援金」と「子ども・子育て拠出金」はどう違いますか?


名称は似ていますがまったく別の制度です。子ども・子育て支援金(0.23%)は2026年4月に新設された制度で、健康保険料に含めて徴収され、事業主と労働者で折半負担します。少子化対策の財源として、こども未来戦略「加速化プラン」に充てられます。一方、子ども・子育て拠出金(0.36%)は2015年から続く制度で、厚生年金保険料と一緒に納付され、事業主が全額を負担します。児童手当や子育て支援事業の財源となるものです。給与計算の際は混同しないよう注意が必要です。



掛け持ちで複数のパートをしている場合、社会保険はどうなりますか?


複数の職場で社会保険の加入条件を満たしている場合は、すべての勤務先で社会保険に加入することが原則です。この場合、従業員本人が「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出する必要があります。届出を怠ると正確な社会保険料が計算できないため、注意が必要です。



パートが社会保険に加入したくない場合、どうすればよいですか?


社会保険は加入要件を満たした場合、原則として本人・企業ともに加入を拒否できません。加入を回避したい場合は、週の所定労働時間を20時間未満に抑える働き方の見直しが必要です。ただし2026年10月以降は、106万円の壁がなくなることで「勤務時間を抑えないと保険料負担が発生する」構造が明確化します。加入した場合は将来の年金増額や傷病手当金など長期的なメリットも大きいため、目先の手取りだけでなく長期的な収入設計や2026年10月開始の保険料調整制度の対象になるかを踏まえて判断することをおすすめします。



2026年10月の賃金要件撤廃に向けて、企業はどのような準備が必要ですか?


主な準備として、①現在勤務しているパート・アルバイトのうち週20時間以上働いている方の洗い出し、②新たに加入対象となる従業員の社会保険料の試算(事業主負担分の把握)、③勤怠管理・給与計算システムの対応確認(2026年4月から徴収開始の子ども・子育て支援金0.23%への対応含む)、④対象従業員への事前説明、⑤就業規則の見直し、⑥50人以下の企業では保険料調整制度の活用検討などが挙げられます。特に従業員への説明は早めに行うことで、働き方の調整や手取り変化への不安を軽減できます。キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」(最大75万円)の活用もあわせて検討しましょう。



まとめ

社会保険の適用拡大は、2025年6月の年金制度改正法成立により、今後さらに大きく進展することが確定しました。2026年10月には賃金要件(106万円の壁)が撤廃され、あわせて保険料調整制度もスタートします。さらに2027年10月以降は企業規模要件も「36人以上→21人以上→11人以上→全企業」の順に段階的に撤廃され、2035年10月には10人以下の小規模企業まで完全に対象となる見通しです。厚生労働省は約200万人が新たに加入対象になると試算しており、その影響は計り知れません。

こうした変化により、これまで社会保険の対象外だった多くのパート・アルバイトが新たに加入対象となります。少子高齢化の影響で人手不足が深刻化する中、社会保険完備の環境を整えることは、中小企業にとって優秀な人材を確保するうえでの重要な取り組みのひとつです。

なお、令和8年度(2026年度)は健康保険料率の改定(東京都は9.85%)や、子ども・子育て支援金(0.23%、労使折半)の新設など、保険料の実務面でも大きな変更があります。子ども・子育て拠出金(0.36%、事業主全額負担)とは別制度である点も含め、給与計算システムの設定を慎重に確認しましょう。企業は、今後の社会保険適用拡大のスケジュールと最新の保険料率を正確に把握し、対象従業員の洗い出しや保険料の試算、キャリアアップ助成金・保険料調整制度の活用検討など、早めに準備を進めておくことが求められます。

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