8月も終わりに近づき、今年も概算要求の時季がやってきました。概算要求は、各省庁が翌年度の予算として必要とする費用をまとめて財務省に提出する要求書のことで、補助金にも大きく関わるものです。
本記事では、国の予算の仕組みを理解しポイントを押さえたいという方へ、概算要求とはどういうものかを解説します。また、予算成立のスケジュールや、今年度の補正予算について推測します。
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この記事の目次
概算要求とは
予算編成では、国が税金などの収入をもとに、各分野への支出をどのように割り当てるかを決めていきます。そのために必要なのが、予算を査定する財務省に対して次年度に必要な経費を要求する「概算要求」です。各省庁は、8月末までにこの要求を提出します。
概算要求の目安「概算要求基準」
概算要求では、基本的な方針が定められています。
出典:財務省 令和7年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(イメージ)
上の図にあるように、「地方交付税交付金等」「年金・医療等」「防衛力整備計画対象経費」「裁量的経費」「義務的経費」の項目別に上限が決まっています。
重要政策については、特別な枠(重要政策推進枠)で別途要望が可能です。
必要に応じて、物価高騰対策や賃上げ促進等の重要政策は、「重要政策推進枠」や金額を後から見積もる「事項要求」などで要求を行い、予算の編成過程で詳細に検討します。
令和7年度概算要求はいつ頃?
令和7年度の概算要求は、8月下旬に各省庁が提出するため、まもなく内容が明らかになります。
提出された概算要求をもとに、9月から12月にかけて予算編成作業が行われます。年末までに政府が予算案の調整を行い閣議決定し、年明けから始まる通常国会で、予算案を審議します。
その後、国会の可決を経て予算が成立し、翌年4月から政策の実施が行われるという流れになります。
予算成立のスケジュール
参考として、令和6(2024)年度の予算成立の流れを確認しましょう。
■政府案閣議決定(令和5年12月22日)・概算の変更の閣議決定(令和6年1月16日)
■国会提出、審議開始(令和6年1月26日)
■予算成立(令和6年3月28日 )
政府は、令和5年12月22日に令和6年度予算案を閣議決定しました。その後1月1日に発生した能登半島地震を受け、政府は予備費を増額するために、予算案の変更を1月16日に閣議決定しています。
予算案は1月26日に国会に提出されて、審議が始まり、それからおよそ2か月後の3月28日に予算成立となりました。
なお、令和5年度予算は令和5年3月28日、令和4年度予算は令和4年3月22日に成立しています。大きな変更がなければ、令和7年度も3月下旬に予算成立するでしょう。8月下旬から、およそ7か月かけて次年度の予算が決まっていくのです。
令和6年度補正予算(案)はいつ成立?
予算に関連して、「補正予算」についても簡単に紹介します。
補正予算は、年度の途中で組み直した予算のことです。
令和6年度は、岸田総理が自民党総裁選に不出馬を表明し、新たな総理大臣が誕生することから、新しい総理のもとで補正予算が組まれる可能性が高いといわれています。
昨年は、デフレ脱却を目的とした経済対策の裏付けとして補正予算が策定され、令和5年度の補正予算は11月29日に成立しました。一方、令和4年度では2回の補正予算があり、それぞれ5月と12月に成立しています。近年の補正予算は、11月から12月にかけて成立することが多いといえます。
中小企業や小規模事業者向けの補助金事業も、この補正予算によって多く実施されるため、本予算だけでなく、補正予算の内容も確認する必要があります。
まとめ ~概算要求は政府の方針を知る重要な手がかり~
今回は、令和7年度概算要求まとめというタイトルで、主に概算要求について解説しました。
概算要求の中で、新規の予算が組まれる部分、金額が増加している部分は、政府が今後力を入れていく分野やテーマです。たとえば、令和6年の概算要求では環境問題の解決を目指す「GX」に大きな予算が割り当てられていて、その後のエネルギー関連の施策の実施を読み取ることができました。
また、政府の重要課題は、概算要求でポイントとして明記されることが多いので、どのような施策で拡充があるのかなど、いち早く情報を得ることができます。
補助金の公募は、早いと2月から3月頃から始まります。概算要求を通じて早めに情報を収集することは、効果的な準備に繋がります。次年度にどのような支援やビジネスチャンスを得られるかを探るためにも、概算要求を確認するようにしましょう。
補助金ポータルでは、毎年、概算要求のまとめ記事を公開しています。各省庁の令和7年度の概算要求が公表されましたら、本サイトでも記事を公開してまいります。