日本のスタートアップ市場は、米国と比べて投資額も件数も小さく、差が拡大しています。政府は「スタートアップ育成5か年計画」に基づき、スタートアップの担い手を多数育成し、その起業を加速するため、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築に取り組んでいます。
総務省は、ICTの研究開発を伴うスタートアップの創出・育成を進めるため、今年度から「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を実施します。本事業は、起業や事業拡大を目指す個人、グループ、またはスタートアップによる、ICTに関する研究開発に対する研究開発費の支援と伴走支援を行うことで、ICT分野における次世代の産業を育成することを目的としています。
また、本事業を契機とし、スタートアップに知見のある有識者、企業、団体とともに、官民が一体となり、スタートアップの成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムとして「ICTスタートアップリーグ」という取組も実施します。
本記事では、ICTスタートアップリーグについて解説します。支援を希望する個人とスタートアップはぜひチェックしてみてください。
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この記事の目次
ICTスタートアップリーグとは?
ICTスタートアップリーグは、総務省が主催するスタートアップ支援プログラムです。ICT分野で起業を目指す個人やグループ、ICT分野で成長志向のあるスタートアップを対象に、開発支援金や伴走支援を提供します。
支援の概要
支援内容は以下のとおりです。
・研究開発費の支援
・伴走支援
対象区分として、SupportⅠとSupportⅡがあります。
研究開発費の支援
SupportⅠは、これから本格的に起業や事業化を目指す個人、グループ、または起業して間もないスタートアップを対象に、最大300万円の研究開発費の支援を行います。
SupportⅡは、事業の確立、拡大を目指し、技術の事業化、事業計画のブラッシュアップ等に取り組む個人、グループ、またはスタートアップを対象に、最大2,000万円の研究開発費を支援します。
伴走支援
伴走支援では、SupportⅠ、Ⅱともに、専門家による起業、開発、実用化への助言や、人材確保のサポート、ピッチ、マッチングイベントの開催、実用化に係る事務的な支援、開発、起業ノウハウに関する勉強会などを行います。
想定される事業期間中の取り組み
想定される取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。SupportⅠとSupportⅡ、それぞれ確認しましょう。
【Support Ⅰ】 |
事業化に向けて必要となる技術の概念実証(POC)、実現可能性調査(FeasibilityStudy)に向けた研究開発 |
事業計画(ビジネスモデルを含む)の立案、検証 |
チームビルディング |
法人化(法人化前の場合)等 |
【SupportⅡ】 |
概念実証、実現可能性調査を経た技術の事業化に向けた研究開発 |
事業計画(ビジネスモデルを含む)のブラッシュアップ |
法人化(法人化前の場合)等 |
法人化(法人化前の場合)等 |
下の図は支援の概要をまとめたものです。
出典:募集要項
SupportⅠとSupportⅡの違い
SupportⅠとSupportⅡの主な違いは、対象とするスタートアップのフェーズと、研究開発費の支援額です。SupportⅠは、これから本格的に起業や事業化を目指すスタートアップを対象としており、研究開発費の支援額は最大300万円です。SupportⅡは、事業の確立、拡大を目指すスタートアップを対象としており、研究開発費の支援額は最大2,000万円です。
支援期間
令和5年9月中旬〜令和6年3月中旬まで(約6ヶ月間)
募集対象
募集対象は、以下のとおりです。
■ICT分野で起業を目指す個人またはグループ
■ICT分野で成長志向のあるスタートアップ
個人またはグループの応募の場合、日本国内に居住している、または居住する予定であることが必要です。外国籍の方は、日本国内での滞在と就労要件を満たしていることが必要です。
スタートアップの応募の場合、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第2条第14項に規定する中小企業者等であることが必要です。また、日本国内に登記されており、その事業活動に係る主たる技術開発及び意思決定のための拠点を日本国内に有していることが必要です。原則として、設立15年以内であることが求められます。
推薦をする場合、推薦者は本募集に推薦することについて、事前に被推薦者の承諾を得る必要があります。選考過程において、被推薦者に対し本募集の業務実施機関である角川アスキー総合研究所より連絡がいく、という流れになります。
応募方法
ICTスタートアップリーグへの応募は、公式サイトの応募フォームに沿って、必要内容を記入し、資料等を提出して行います。応募締切は令和5年7月31日です。
【提出資料】
提出が求められる資料は以下のとおりです。この中で、プレゼンテーション動画は必須ではありませんが提出が推奨されています。
(1)本募集に向けた事業提案資料(必須)
事業提案資料は、以下の内容を含めて15ページ程度で作成してください。
・事業計画
・市場ニーズ
・独自の価値や優位性
・技術的特徴
・ICTの研究開発要素
・資金計画
・人員計画
・事業化及び実装に向けたスケジュール
・実現を目指すビジョン
・その道筋
SupportⅡに応募する方は、より明確に記載してください。
(2)予算計画(必須)
予算計画は様式を公式サイトからダウンロードし、記入の上フォームより提出します。
(3)プレゼンテーション動画 (任意)
事業内容や実現したいことについて、3分程度のプレゼンテーション動画を提出します。動画は、ストレージサービスにアップロードするか、YouTubeなどの動画共有サイトに限定公開して、URLを応募フォームに入力してください。ストレージサービスにパスワードをかける場合は、応募フォームにパスワードを入力してください。
採択に係る必須条件について
本事業では、以下の「採択に係る必須条件」が設けられており、応募フォームにおいて同意した場合に、応募が可能になります。
- 採択後、本事業に係る会合や交流会等に積極的に参加をする意思がある
- 選考プロセスにおいて面談等を実施することとなった場合には、それに参加可能である
- 企業等の組織に所属する者の場合、所属組織からの承諾書を提出できる
- 採択者に選出された際、氏名・会社名、事業概要が公表されることに同意する
- 採択者に選出された場合、採択者に関する情報についてメディア等での掲載、発信に積極的に協力する意思がある
- 採択者に選出された場合、研究開発や事業の進捗状況の公表を含む ICTスタートアップリーグとしての取り組みに積極的に協力する意思がある
- 運営委員会による起業、開発、実用化への助言に対して受容的な姿勢で臨む
採択までのスケジュール
最後に、採択までのスケジュールを確認しましょう。
応募期間 | 令和5年6月19日(月)12:00〜同年7月31日(月)18:00 |
書類選考期間 | 令和5年8月1日〜同年8月15日 頃 |
面談選考 | 令和5年8月25日(金)、8月26日(土) ※状況により面談選考開催日は追加される場合があります。 |
採択者発表 | 令和5年9月上旬以降 |
採択件数
・SupportⅠ:30 件程度(予定)
・SupportⅡ:5件程度(予定)
採択件数は予定であるため、応募内容および選考の状況により増減します。
まとめ
ICTスタートアップリーグは、ICT分野で起業を目指す個人やグループ、ICT分野で成長志向のあるスタートアップにとって、大変貴重な支援プログラムです。
開発支援金のほか、専門家による起業、開発、実用化への助言などが受けられます。採択までのスケジュールも非常にスピーディーです。7月31日に応募が締め切られた後、8月に選考があり、採択者の発表は9月上旬、支援期間は9月中旬から開始となる予定です。
ICT分野で起業を目指し「我こそは」と強い想いを抱く方、ICTスタートアップリーグに興味のある方は、ぜひ公式サイトをご確認の上、応募をご検討ください。