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自治体予算とは?歳入・歳出、予算科目(款項目節)一覧から骨格予算まで図解【2026年】

公開日:2024/10/18 更新日:2026/9/28
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「自治体予算」と聞くと難しく感じるかもしれません。しかし仕組みそのものはシンプルです。住民や事業者が納める税金、国からの交付金などを財源に、1年間の行政サービスを「いくらの収入で、何にいくら使うか」をあらかじめ決めた計画——それが自治体予算です。

2026年は、予算の仕組みがニュースで注目された年でもありました。国の令和8年度予算は国会審議が年度内に終わらず、11年ぶりに暫定予算が組まれ、本予算の成立は4月7日にずれ込みました。一方、地方の令和8年度の地方財政計画は102兆4,427億円と、初めて100兆円を超えています。

この記事では、「予算とは何か」という基本から、歳入・歳出の構造、予算科目(款・項・目・節)の一覧、当初予算・補正予算・暫定予算・骨格予算の違い、地方自治法のルール、予算編成のスケジュール、予算書の見方までを図解つきで整理します。後半では、補助金・交付金を活用したい事業者が、この仕組みをどう使えば有利になるかも解説します。

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この記事の目次

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自治体予算とは?ひと言でいうと「1年間の収入と支出の計画」

自治体予算とは、都道府県や市区町村が、1会計年度(4月1日〜翌3月31日)に見込む収入(歳入)と支出(歳出)をまとめた計画です。福祉、子育て、学校、道路、ゴミ処理、消防、そして企業への補助金まで、地域の行政サービスの多くはこの予算に基づいて実施されます。

予算は、首長(知事・市区町村長)が案を作り、議会が議決することで初めて成立します。行政が単独で決めるものではなく、住民の代表である議会のチェックを経て決まる、公共性の高いお金の計画です。

「予算」「歳入」「歳出」とは?よく検索される用語を1分で確認

予算にまつわる基本用語は、次の表のとおりです。学校の授業や試験で問われる「国や地方自治体の1年間の収入のことを何という?」といった質問の答えも、この表で確認できます。

自治体予算の基本用語
用語意味
予算国や自治体の1年間の収入と支出の計画。「国の1年間の収入と支出についての計画を何というか」の答えは「予算」
歳入(さいにゅう)国や自治体の1会計年度の収入のこと。税金、交付金、使用料、借入金(地方債)などが含まれる
歳出(さいしゅつ)国や自治体の1会計年度の支出のこと。人件費、福祉、教育、道路整備、補助金などが含まれる
歳入歳出予算歳入と歳出を款・項に区分して金額を定めた、予算の中心部分
歳出金歳出予算に基づいて実際に支払われるお金を指す会計用語
一般財源使い道が決められていない財源(地方税・地方交付税など)
特定財源使い道が決められている財源(国庫支出金・都道府県支出金・地方債など)
自治体(地方公共団体)都道府県と市区町村のこと。法律上は「地方公共団体」と呼ばれる

「財源の使い道が決められているものは特定財源。では、決められていないものは何財源?」という問いの答えは一般財源です。

なぜ歳入と歳出は同じ金額になるの?

自治体の予算は、歳入の総額と歳出の総額が必ず同じ金額になるように組まれます。地方自治法第208条が「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって充てなければならない」と定めているためです。

収入の見込みが支出に足りない場合、自治体は基金(貯金)の取り崩しや地方債(借入金)の発行、事業の見直しで差額を埋め、帳尻を合わせたうえで議会に提出します。これを「収支均衡」と呼びます。なお、年度が終わった後の決算では、実際の収入と支出に差が出るため、歳入と歳出は一致しません。

自治体予算の6つの原則(単年度主義など)

自治体予算には、地方自治法に基づく6つの基本原則があります。とくに重要なのが単年度主義(会計年度独立の原則)で、その年度の支出はその年度の収入でまかない、原則として年度内に使い切ります。

自治体予算の基本原則
原則内容根拠
会計年度独立の原則(単年度主義)4月1日〜翌3月31日の1年間で収支を完結させる地方自治法第208条
総計予算主義1年間の収入・支出はすべて予算に計上する(収支の相殺は不可)地方自治法第210条
予算単一主義予算は原則1つにまとめる。例外として特別会計・補正予算がある地方自治法第209条・第218条
事前議決の原則予算は年度開始前に議会の議決を経なければならない地方自治法第211条
予算公開の原則議決された予算の要領は住民に公表する地方自治法第219条
会計区分の原則一般会計と特別会計を区分して経理する地方自治法第209条

単年度主義には、年度をまたぐ事業に対応するための例外(継続費・繰越明許費・債務負担行為)が設けられています。例外の内容は「予算に定める7つの事項」の見出しで解説しています。

歳入・歳出とは?自治体のお金の流れをわかりやすく図解

自治体のお金は、住民・事業者・国・都道府県・金融機関から「歳入」として入り、福祉や教育などの「歳出」として出ていくという流れで動いています。全体像は次の図のとおりです。

自治体予算の歳入と歳出のお金の流れを示した図。住民・国・都道府県・金融機関からの歳入が、民生費や教育費などの歳出に使われる自治体予算のお金の流れ(歳入と歳出)住民・事業者地方税・使用料・手数料国地方交付税・国庫支出金都道府県都道府県支出金(県支出金)金融機関など地方債(借入金)歳入(入るお金)自主財源地方税使用料・手数料財産収入・寄附金 など依存財源地方交付税国庫支出金都道府県支出金地方債 など使い道の自由度で一般財源/特定財源にも分類同額歳出(出るお金)民生費(福祉など)28.2%教育費16.7%土木費11.1%総務費10.8%公債費(借金返済)10.5%商工費6.5%↑事業者向け補助金の多くは「商工費」「農林水産業費」に計上構成比:令和6年度決算(純計)出典:総務省「地方財政の状況」(令和8年3月)をもとに補助金ポータル作成

令和6年度決算(都道府県と市町村の純計)では、歳入総額が120兆2,491億円、歳出総額が115兆9,823億円でした。歳出で最も大きいのは福祉や子育てに使う民生費(28.2%)です。

参考:総務省「地方財政の状況」(令和8年3月)

歳入の分類:一般財源と特定財源/自主財源と依存財源

歳入は、「使い道が自由かどうか」と「誰が集めたお金か」の2つの軸で分類されます。

【①使い道による分類】
・一般財源:地方税、地方交付税、地方譲与税など。自治体が地域のニーズに合わせて自由に使い道を決められるお金。
・特定財源:国庫支出金、都道府県支出金、地方債、使用料など。あらかじめ使い道が決められているお金。

【②調達元による分類】
・自主財源:地方税、使用料・手数料、財産収入、寄附金など。自治体が自ら集めるお金。
・依存財源:地方交付税、国庫支出金、都道府県支出金、地方債など。国や都道府県の決定に左右されるお金。

歳入に占める自主財源の割合を「自主財源比率」といい、高いほど財政運営の自由度が高いとされます。令和6年度決算では、地方税が歳入全体の38.5%を占めました。残りの多くは地方交付税(16.6%)や国庫支出金(16.8%)など、国から配分されるお金です。

自治体の主な収入源は?歳入科目の一覧

自治体の歳入は、地方自治法施行規則で定められた「款」という区分で整理されます。市町村の主な歳入科目は次のとおりです。

市町村の主な歳入科目
歳入科目(款)内容財源の性質
市町村税住民税、固定資産税、軽自動車税、市町村たばこ税、都市計画税など自主・一般
地方譲与税国税として集めた税を一定の基準で自治体に配分するもの(森林環境譲与税など)依存・一般
各種交付金地方消費税交付金、法人事業税交付金など、都道府県税の一部を市町村に配分するもの依存・一般
地方交付税自治体間の財政力の差を調整し、全国一定水準の行政サービスを保障するため国が交付依存・一般
分担金及び負担金特定の事業で利益を受ける人から徴収するお金(保育所負担金など)自主・特定
使用料及び手数料公共施設の使用料、住民票などの証明書発行手数料自主・特定
国庫支出金国が使い道を指定して交付するお金(国庫負担金・国庫補助金・委託金)依存・特定
都道府県支出金都道府県が市町村に交付するお金。「県支出金」とも呼ぶ依存・特定
財産収入土地の貸付料や売却代金、基金の運用利子など自主
寄附金ふるさと納税などの寄附自主
繰入金基金(貯金)や他の会計から移し入れるお金自主
繰越金前年度の決算剰余金自主・一般
諸収入延滞金、貸付金の元利収入、雑入(ほかに分類されない収入)など自主
市町村債(地方債)道路・学校など長期間使う施設の建設などのための借入金依存・特定

「国県支出金」とは、国庫支出金と都道府県支出金をまとめた呼び方です。どちらも使い道が指定された特定財源で、国や都道府県の制度に基づく事業(児童手当や生活保護など)に充てられます。

参考:茨城県土浦市「財政用語集」

歳出の分類:目的別と性質別の違い

歳出は、「何のために使うか(目的別)」と「どんな性質の支出か(性質別)」の2通りで分類されます。予算書の款・項は目的別、節は性質別の区分です。

地方の歳出構成(都道府県+市町村の純計)
分類主な区分構成比(令和6年度決算)
目的別民生費(福祉・子育て・生活保護)28.2%
目的別教育費(学校・社会教育)16.7%
目的別土木費(道路・河川・都市計画)11.1%
目的別総務費(庁舎管理・戸籍・選挙など)10.8%
目的別公債費(地方債の返済)10.5%
目的別商工費(産業振興・中小企業支援)6.5%
性質別義務的経費(人件費・扶助費・公債費)48.1%
性質別投資的経費(普通建設事業費など)14.2%
性質別その他の経費(物件費・補助費等・繰出金など)37.7%

義務的経費とは、人件費・扶助費・公債費のように法律や契約で支出が義務づけられ、削減しにくい経費のことです。これが歳出の約半分を占めるため、首長が新しい政策に使えるお金は限られます。

市の予算はいくら?規模感と調べ方

市の予算額は人口や産業構造で大きく異なるため、「平均でいくら」とは一概にいえません。全国の合計でみると、令和8年度の地方財政計画(通常収支分)は102兆4,427億円で、前年度から5.5%増えています。

自分の住む市の予算を知りたいときは、市のWebサイトで「当初予算の概要」「予算書」と検索するのが確実です。多くの市は、一般会計の総額、主な新規事業、市民1人あたりの予算額などを図表で公表しています。

参考:総務省「令和8年度地方財政計画の概要」

予算科目とは?款・項・目・節の違いをわかりやすく解説

予算科目とは、予算のお金を分類するための区分のことです。自治体の予算科目は、大きい順に款(かん)→項(こう)→目(もく)→節(せつ)の4階層で構成されています。

自治体の予算科目である款・項・目・節の4階層を商工費の例で示した図。款項は議決科目、目節は執行科目予算科目の4階層「款・項・目・節」(歳出の例)款(かん)目的別の大分類商工費商工業の振興に使うお金全体項(こう)款をさらに区分商工費市町村では款と同名のことも多い目(もく)事業のまとまり商工振興費中小企業支援・産業振興など節(せつ)性質別の支出区分18節 負担金、補助及び交付金事業者への補助金はここから支出議決科目議会が議決執行科目首長が管理款・項は議会の議決対象、目・節は予算説明書で示される執行上の区分(地方自治法第216条・同法施行規則第15条)

例えば、中小企業向けの補助金は「款:商工費 → 項:商工費 → 目:商工振興費 → 節:負担金、補助及び交付金」という場所に計上されるのが典型です。款・項は地方自治法施行規則で標準的な区分が示され、目は各自治体が定めます。

款項は「議決科目」、目節は「執行科目」

款と項は議会の議決の対象となる「議決科目」、目と節は予算の執行を管理するための「執行科目」です。地方自治法第216条は、歳入を性質に従って、歳出を目的に従って、それぞれ款・項に区分するよう定めています。

目と節は、予算とあわせて議会に提出する「予算に関する説明書」(歳入歳出予算事項別明細書)で示されます。議会が金額を議決するのは款・項までで、目・節は首長の執行管理の単位になる、という違いがあります。

款・項・目・節の違い
階層区分の考え方決める根拠性格
款目的別の大分類(民生費・商工費など)地方自治法第216条・施行規則議決科目
項款をさらに目的別に区分地方自治法第216条・施行規則議決科目
目項を事業のまとまりで区分各自治体(予算説明書)執行科目
節支出の性質別区分(27区分)地方自治法施行規則執行科目

市町村の歳出科目(款)の一覧

市町村の歳出の款は、行政分野ごとに次のように分かれています。都道府県では、市町村にない「警察費」が加わります。

市町村の歳出科目(款)
歳出の款主な内容
議会費議員報酬、議会の運営費
総務費庁舎管理、企画、徴税、戸籍・住民基本台帳、選挙、統計
民生費社会福祉、高齢者・障害者福祉、児童福祉、生活保護
衛生費保健・予防接種、ゴミ処理、上水道への繰出し
労働費雇用対策、勤労者福祉
農林水産業費農業・林業・水産業の振興(農業者向け補助金など)
商工費商工業の振興、中小企業支援、観光振興(事業者向け補助金など)
土木費道路・橋・河川・公園・都市計画・住宅
消防費消防・救急、防災
教育費小中学校、社会教育、文化・スポーツ施設
災害復旧費災害で被害を受けた施設の復旧
公債費地方債の元金・利子の返済
諸支出金ほかの款に属さない支出(普通財産取得費など)
予備費予見できない支出に備えて計上しておく経費

歳出の「節」27区分の一覧

節は、支出の性質で分けた最も細かい予算科目で、地方自治法施行規則により27区分が定められています。令和2年度からは、会計年度任用職員制度の開始にあわせて「賃金」の節が廃止され、28区分から27区分になりました。

歳出予算に係る節の区分(地方自治法施行規則)
節名称主な内容
1報酬議員報酬、委員報酬、会計年度任用職員(パートタイム)の報酬
2給料首長・常勤職員の給料
3職員手当等扶養手当、通勤手当、期末・勤勉手当など
4共済費共済組合負担金、社会保険料
5災害補償費公務災害の療養補償など
6恩給及び退職年金旧制度の恩給・退職年金
7報償費講師謝礼、記念品、報奨金
8旅費職員の出張旅費、委員の費用弁償
9交際費首長などの交際に必要な経費
10需用費消耗品費、燃料費、食糧費、印刷製本費、光熱水費、修繕料
11役務費通信運搬費、広告料、手数料、保険料、翻訳料
12委託料調査、施設管理、システム運用などの業務委託
13使用料及び賃借料土地・建物・機器のリース料、会場使用料
14工事請負費道路・施設の建設や改修工事
15原材料費工事用原材料、加工用原料
16公有財産購入費土地・建物の購入
17備品購入費長期間使う機械器具・家具・車両
18負担金、補助及び交付金一部事務組合への負担金、事業者や団体への補助金・交付金
19扶助費生活保護費、児童手当など法令に基づく給付
20貸付金中小企業向け融資のための預託金、奨学金の貸付
21補償、補塡及び賠償金移転補償、損失補塡、損害賠償金
22償還金、利子及び割引料地方債の元利償還金、過年度の返還金
23投資及び出資金公益目的の出資・国債などの取得
24積立金基金への積立
25寄附金自治体が行う寄附
26公課費自動車重量税など自治体が負担する租税公課
27繰出金一般会計から特別会計・基金への繰出し

事業者に最も関係が深いのが18節「負担金、補助及び交付金」です。自治体の補助金の多くはこの節から支出されるため、予算書でこの節の金額を見ると、補助金の予算規模をつかめます。

参考:岐阜県「節・細節の説明」

需用費・役務費・委託料の違いは?

需用費・役務費・委託料は混同されやすい節ですが、「モノを使う」「サービスを受ける」「業務をまるごと任せる」という違いで見分けられます。

需用費・役務費・委託料の違い
節判断のポイント具体例
需用費消費してなくなるモノや、使った分だけかかる費用コピー用紙、ガソリン、チラシ印刷、電気代・水道代、公用車の修理
役務費特定のサービスに対して支払う対価郵便料金・電話代(通信運搬費)、手数料、火災保険料、新聞広告料
委託料業務そのものを外部に任せる費用施設の指定管理、調査業務、イベント運営、システム保守

例えば、郵便料金や電話・インターネット回線の使用料は役務費の「通信運搬費」に分類されます。一方、案内状の印刷代は需用費の「印刷製本費」、発送作業まで業者に任せる場合は委託料になるのが一般的です。細かな区分は自治体ごとの予算執行規則で定められています。

予算の流用とは?項間・目間・節間のルール

予算の流用とは、予算で定めた科目の金額を、別の科目に融通して使うことです。流用できるかどうかは、科目の階層によって異なります。

予算の流用の可否
流用の種類可否ルール
款と款の間不可議決科目のため流用できない。必要なら補正予算を組む
項と項の間原則不可予算に流用の定めがある場合に限り、同一款内で可能(地方自治法第220条第2項)
目と目の間可執行科目のため、自治体の規則に基づき首長の権限で可能
節と節の間可(制限あり)規則に基づき可能。ただし交際費や補助金への流用を禁止・制限する自治体が多い

目間・節間の流用は首長の権限で行えますが、議会が認めた予算の趣旨を損なう流用は許されません。予算書の末尾に「歳出予算の流用」という条文が置かれているのは、項間流用の範囲をあらかじめ議会に認めてもらうためです。

自治体予算の種類とは?当初予算・補正予算・暫定予算・骨格予算の違い

自治体予算は、成立の時期と目的によって当初予算・補正予算・暫定予算の3つに大別されます。首長選挙の年には、当初予算を骨格予算として組むこともあります。4つの関係を1年の流れで示すと次のとおりです。

当初予算・補正予算・暫定予算・骨格予算と肉付け予算の関係を1年間のタイムラインで示した図当初予算・補正予算・暫定予算・骨格予算の違い(1年間の動き)4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月通常の年(3月議会で成立)当初予算(本予算)=1年間の基本となる予算6月補正9月補正12月補正3月補正暫定予算の年(成立が4月以降)暫定本予算が成立 → 暫定予算は失効し本予算に吸収つなぎ首長選挙の年(骨格予算)骨格予算:義務的経費・継続事業が中心(通年の本予算)肉付け予算(6月補正で新首長の政策を追加)選挙※補正予算の時期・回数は自治体により異なります。暫定予算・骨格予算はいずれも毎年組まれるものではありません

自治体予算の種類
予算の種類いつ組むか内容
当初予算(本予算)年度開始前(通常は3月議会)1年間の基本となる予算。年間を通じたすべての収入・支出を計上
補正予算年度の途中(6月・9月・12月・3月議会など)災害、物価高騰、国の経済対策などに対応して既定予算を追加・変更
暫定予算当初予算が年度開始までに成立しない場合本予算が成立するまでの一定期間に必要な経費だけを計上するつなぎの予算
骨格予算首長選挙が予算編成期と重なる年の当初予算義務的経費や継続事業を中心に編成し、新規の政策的経費を選挙後に回す予算
肉付け予算首長選挙後の最初の議会(6月議会が多い)新しい首長の政策を骨格予算に上乗せする補正予算

当初予算とは?既定予算とは?

当初予算とは、新年度が始まる前に議会の議決を経て成立する、1年間の基本となる予算です。「本予算」とも呼ばれます。多くの自治体では2月に予算案が発表され、3月の定例議会で成立します。

「既定予算」とは、補正予算を組む時点ですでに成立している予算のことです。当初予算と、それまでに成立した補正予算を合わせたものを指します。補正予算は、この既定予算に対して追加・減額を行う形で編成されます。

補正予算とは?

補正予算とは、予算の成立後に生じた事情の変化に対応するため、年度の途中で既定予算を変更する予算です(地方自治法第218条第1項)。物価高騰対策の給付金や、国の経済対策にあわせた事業の追加などがその典型です。

自治体では、国の補正予算で交付金が配分されると、それを受け入れるための補正予算を組みます。事業者向けの支援策が年度の途中に急に始まるのは、この補正予算によるものが少なくありません。補正予算の決まり方や補助金への影響は、次の記事で詳しく解説しています。

補正予算とは?わかりやすく解説|当初予算との違い・いつ決まる・補助金への影響【2026年最新】

暫定予算とは?補正予算との違い

暫定予算とは、当初予算が年度開始までに成立しない場合に、成立までの間の必要最低限の経費をまかなう「つなぎ」の予算です(地方自治法第218条第2項)。本予算が成立すると暫定予算は効力を失い、暫定予算に基づく支出は本予算に基づく支出とみなされます。

補正予算とは「いつ・なぜ組むか」が根本的に異なります。

暫定予算と補正予算の違い
比較項目暫定予算補正予算
組む時期当初予算の成立前当初予算の成立後(年度の途中)
目的予算が決まるまでのつなぎとして最低限の経費を確保既定予算を追加・変更して新たな事情に対応
対象期間本予算が成立するまでの一定期間その年度の残りの期間
その後本予算の成立で失効し、本予算に吸収される既定予算と一体となって執行される
組まれる頻度まれ(議会の混乱や選挙などで審議が遅れた場合)毎年複数回組むのが一般的

国でも、令和8年度予算は衆議院解散の影響で年度内に成立せず、暫定予算が組まれました。国の暫定予算が組まれた経緯は、次の記事で解説しています。

11年ぶりの暫定予算<閣議決定>。本予算はいつ決まる?高市首相「中小企業・小規模事業者の稼ぐ力を抜本的に強化」予算編成の見直しとは?

骨格予算とは?肉付け予算・暫定予算との違い

骨格予算とは、首長選挙が予算編成の時期と重なる年に、人件費や扶助費などの義務的経費と継続中の事業を中心に組む当初予算です。新しい首長の判断を尊重するため、新規事業や政策的な経費はあえて計上しません。

統一地方選挙は4月に行われるため、任期満了が春に来る首長の自治体では、3月議会で骨格予算を成立させるケースが多くみられます。選挙後、新しい首長の公約や政策を盛り込む補正予算が「肉付け予算」で、6月議会で提案されるのが一般的です。

骨格予算と暫定予算は、どちらも「必要最低限」の予算という点で似ていますが、性格はまったく異なります。

骨格予算と暫定予算の違い
比較項目骨格予算暫定予算
予算の位置づけ通年の本予算(当初予算)本予算が成立するまでのつなぎ
組む理由首長選挙が控えており、政策判断を新首長に委ねるため議会の審議が年度開始に間に合わないため
対象期間1年間本予算の成立まで(数週間〜数か月)
その後の扱い肉付け予算(補正予算)で政策的経費を上乗せ本予算の成立で失効
議会の議決3月議会で議決して成立年度開始前に議決して成立

事業者にとっては、骨格予算の年は新規の補助金が当初予算に入らず、6月以降の肉付け予算で始まる可能性がある点に注意が必要です。首長選挙がある自治体では、選挙後の補正予算の内容までチェックしておきましょう。

一般会計・特別会計・公営企業会計の違い

自治体の予算は、基本的な行政サービスを扱う「一般会計」と、特定の事業を独立して経理する「特別会計」に分かれます(地方自治法第209条)。水道・病院などの公営企業は、民間企業に近い会計方式をとる公営企業会計で経理されます。

自治体の会計区分
会計対象例
一般会計福祉・教育・道路など基本的な行政サービス全般市の「予算額」として報道されるのは通常この会計
特別会計特定の収入で特定の事業を行う場合に条例で設置国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療
公営企業会計料金収入で運営する企業的な事業水道事業、下水道事業、病院事業

予算に定める7つの事項とは?継続費・繰越明許費・債務負担行為

地方自治法第215条は、予算に定める事項として7つの項目を挙げています。「歳入歳出予算」以外の6項目は、単年度主義を補う仕組みや、資金繰りのルールです。

予算に定める7つの事項(地方自治法第215条)
予算の内容意味
歳入歳出予算その年度の収入と支出の見積もり。予算の中心部分
継続費完成まで数年度かかる事業の総額と年割額を定め、数年度にわたって支出できるようにするもの(第212条)
繰越明許費年度内に支出が終わらない見込みの経費を、翌年度に繰り越して使えるようにするもの(第213条)
債務負担行為今年度に契約を結び、支払いは翌年度以降に行う場合の限度額を定めるもの(第214条)
地方債借入れの目的・限度額・利率・償還方法などを定めるもの
一時借入金年度内の資金不足に備えた一時的な借入れの最高額
歳出予算の各項の経費の金額の流用同一款内の項と項の間で経費を融通できる範囲を定めるもの(第220条第2項)

例えば、2年がかりの施設建設は「継続費」、年度末までに工事が終わらない事業は「繰越明許費」、複数年のリース契約や指定管理は「債務負担行為」で対応します。

地方自治法は予算についてどう定めている?主な条文一覧

自治体予算のルールは、地方自治法第2編第9章「財務」(第208条〜)にまとめて定められています。予算に関する主な条文は次のとおりです。

予算に関する地方自治法の主な条文
条文見出し主な内容
第149条長の担任事務予算の調製と執行は首長の権限
第96条議決事件予算を定めることは議会の議決事件
第208条会計年度及びその独立の原則会計年度は4月1日〜翌3月31日。歳出はその年度の歳入で充てる
第209条会計の区分一般会計と特別会計に区分する
第210条総計予算主義の原則一切の収入・支出を歳入歳出予算に編入する
第211条予算の調製及び議決首長が調製し年度開始前に議決を得る。都道府県・指定都市は30日前、その他の市町村は20日前までに議会に提出
第212条〜第214条継続費・繰越明許費・債務負担行為年度をまたぐ支出の仕組み
第215条予算の内容予算に定める7つの事項
第216条歳入歳出予算の区分歳入は性質、歳出は目的に従い款・項に区分
第217条予備費予見しがたい予算の不足に充てるため予備費を計上
第218条補正予算・暫定予算等年度途中の補正予算、つなぎの暫定予算
第219条予算の送付及び公表議決された予算の要領を住民に公表
第220条予算の執行及び事故繰越し款・項の間の流用禁止(予算の定めによる項間流用は可)
第233条決算決算を調製し、監査委員の審査を経て議会の認定に付す

予算の調製とは?予算を作るのは首長、決めるのは議会

「予算の調製」とは、首長が予算案を作成し、議会に提出できる形に整えることです。予算の調製権は首長だけが持っており(地方自治法第149条・第211条)、議員が予算案を提出することはできません。

つまり、「予算を作成する機関」は首長を中心とする執行機関(実務は財政課)、「予算を決める機関」は議会です。国の予算で、内閣が予算を作成し国会が議決するのと同じ役割分担になっています。

議会は予算を修正できる?

議会は予算案を否決・減額修正・増額修正できます。ただし増額修正は、首長の予算提出権を侵さない範囲に限られます(地方自治法第97条第2項)。

議会が予算を否決した場合や、首長が議決に異議がある場合には、首長は議会に再議を求めることができます(第176条・第177条)。また、議会を招集する時間的余裕がないなど一定の場合には、首長が専決処分で補正予算を成立させることもあります(第179条)。

市の予算はどうやって決まる?予算編成の流れ

市の予算は、首長の編成方針 → 各課の予算要求 → 財政課の査定 → 首長査定 → 議会の議決という流れで決まります。準備は前年度の秋に本格化し、3月議会で成立するまで約半年かかります。

自治体の予算編成の流れ
段階時期の目安内容
①予算編成方針の通知10月頃首長が次年度の重点施策、財政見通し、要求の上限(シーリング)などを各課に示す
②予算要求10月〜11月各課が「来年度に実施したい事業」と必要額を予算要求書にまとめ、財政課に提出
③財政課の査定11月〜12月財政課が要求内容を精査し、ヒアリングを経て削減・調整する
④首長査定・内示1月〜2月上旬首長が最終判断し、予算案が固まる。査定結果が各課に伝えられる(内示)
⑤予算案の発表・議会提出2月記者発表で予算案を公表し、予算説明書とともに議会に提出
⑥議会の審議・議決2月〜3月予算特別委員会などで審査し、本会議で議決して成立
⑦公表・執行4月〜予算の要領を公表し、各課に予算を配当して事業を執行

予算編成の実務は財政課が担いますが、住民も関与できます。多くの自治体では、予算編成過程(要求額・査定額)をWebサイトで公開しているほか、パブリックコメントや住民提案型の事業募集を行う自治体もあります。

予算内示とは?

予算内示とは、財政課や首長の査定結果を、議会への提出前に各課へ伝えることです。「要求した事業が認められたか」「いくら付いたか」がこの段階で判明します。

内示は1月下旬〜2月上旬に行われるのが一般的です。内示で認められなかった事業について、担当課が首長や財政課に再考を求める「復活要求」の手続きを設けている自治体もあります。

予算措置とは?

予算措置とは、ある事業を実施するために必要なお金を予算に計上することです。「予算措置済み」といえば、その事業費が予算に盛り込まれて議会の議決を経ていることを意味します。

自治体は予算措置のない支出はできません。そのため、事業者が自治体と新しい取り組みを進めるには、まず担当課がその事業を予算要求し、予算措置を受ける必要があります。

政策的経費とは?義務的経費・経常的経費との違い

政策的経費とは、首長の判断で新たに始めたり拡充したりする事業の経費です。「政策予算」とも呼ばれます。一方、人件費や扶助費のように支出が義務づけられている経費を義務的経費、毎年度継続的に発生する事務的な経費を経常的経費と呼びます。

多くの自治体では、経常的経費には一律の要求上限(シーリング)を設け、政策的経費は事業ごとに個別に査定します。新規の補助金は政策的経費として扱われることが多く、首長の重点施策と合致するかどうかが予算化のカギになります。

自治体の予算編成スケジュールは?月別の流れを図解

自治体の予算編成は、10月の編成方針から3月の議決までが本番です。ただし、その前段の7〜9月に各課で次年度事業の検討が進むため、1年を通じて予算サイクルが動いています。国の動き・自治体の動き・事業者の動き方をまとめると次の図のとおりです。

自治体の予算編成スケジュールを国の動き・自治体の動き・事業者の動きの3段で月別に示した図自治体の予算編成スケジュールと事業者の動き方(翌年度予算の場合)4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月国の動き自治体の動き事業者の動き骨太の方針概算要求政府予算案国会審議・地方財政計画地財対策補正予算(例年)出納整理決算調製次年度事業の検討(実施計画など)編成方針予算要求財政課査定首長査定・内示予算案発表議会議決決算認定事業化の分岐点情報収集(計画・予算書を確認)担当課へ相談・提案★最重要の時期要求に乗るよう資料提供新規提案は難しい時期予算案で事業化を確認成立した予算の事業は、翌年度4月以降に公募・申請受付が始まるのが一般的です※時期は一般的な市町村の例。自治体ごとに前後します(議会への提出期限は地方自治法第211条)

自治体と国の予算スケジュール(一般的な例)
月自治体の動き国の動き
4月〜5月新年度予算の執行開始、前年度の出納整理(5月31日に出納閉鎖)新年度予算の執行開始
6月6月議会(補正予算、選挙年は肉付け予算)骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)
7月〜9月決算の調製(8月末までに会計管理者から首長へ)、次年度事業の検討8月末に各省庁が概算要求
9月9月議会で前年度決算の認定、補正予算財務省の査定開始
10月予算編成方針の通知―
10月〜11月各課の予算要求経済対策の策定(例年)
11月〜12月財政課の査定、12月議会で補正予算国の補正予算の成立(例年)
12月下旬国の予算案を踏まえて歳入見込みを修正政府予算案の閣議決定、地方財政対策
1月〜2月首長査定・内示、予算案の記者発表通常国会で予算審議、地方財政計画の決定
2月〜3月3月議会で予算の審議・議決国の予算成立(通常3月末まで)

議会への予算案の提出期限は、地方自治法第211条で都道府県・指定都市は年度開始の30日前、その他の市町村は20日前までと定められています。実際には2月中旬〜下旬に開会する定例会に提出されるのが一般的です。

国の予算スケジュールとの関係は?

自治体の予算は、国の予算と地方財政計画を前提に組み立てられます。12月下旬に国の予算案と地方財政対策が決まると、自治体は地方交付税や国庫支出金の見込みを確定させ、1月の首長査定で最終調整します。

国の概算要求の段階で、翌年度に新設・拡充される補助金の方向性が見えます。国の予算の流れと概算要求の読み方は、次の記事で解説しています。

概算要求とは?令和9年度は過去最大143兆円|いつ・スケジュール・予算成立までの流れ【2026年最新】

予算と決算の違いは?

予算は年度が始まる前に立てる「収支の計画」、決算は年度が終わった後にまとめる「収支の実績」です。予算は議会の「議決」で成立し、決算は議会の「認定」を受けます。

予算と決算の違い
比較項目予算決算
性格これからこう使うという事前の計画実際にこう使ったという事後の報告
作成時期年度開始前(10月〜2月)年度終了後(出納閉鎖後3か月以内)
作成者首長(調製)会計管理者が調製し首長に提出
議会の関与議決(否決・修正もあり得る)監査委員の審査を経て認定
歳入と歳出必ず同額差額が生じる(黒字なら翌年度の繰越金に)

決算の結果は、次の予算編成に反映されます。「予算を立てる → 執行する → 決算で検証する → 次の予算に生かす」という1年サイクルで、自治体のお金は管理されています。

自治体の予算書はどう見る?補助金の予算を探す方法

自治体の予算書は、「予算書(条文と款項の金額)」「予算に関する説明書(目節の内訳)」「予算の概要(主要事業の説明)」の3種類に分けて読むと理解しやすくなります。

自治体の予算資料の種類
資料記載内容こんなときに見る
予算書第1条(歳入歳出予算の総額)、継続費、債務負担行為、地方債、一時借入金、歳出予算の流用、款・項ごとの金額予算の総額や全体構成を知りたい
予算に関する説明書(事項別明細書)款・項・目・節ごとの金額と、前年度との比較、財源内訳特定の事業にいくら付いたかを知りたい
予算の概要(主要事業・新規事業一覧)新規・拡充事業の目的、内容、事業費をわかりやすく整理した資料新しい補助金・支援策を探したい

事業者向けの補助金を探す場合は、次の順番で確認すると効率的です。

  • 「予算の概要」で、新規・拡充事業の一覧から中小企業支援や産業振興の事業を探す
  • 「事項別明細書」で、商工費(または農林水産業費)の中の「商工振興費」などの目を開く
  • 18節「負担金、補助及び交付金」の金額と、説明欄の補助金名を確認する
  • 財源内訳の「国庫支出金」「県支出金」欄を見て、国や県の交付金を財源とする事業かを確認する

予算書は2月の予算案発表時点から公開されます。予算案の段階で補助金の新設がわかれば、4月以降の公募開始に向けて準備を前倒しできます。

国の予算(国家予算)と自治体予算の関係は?

国の予算と自治体予算は別々に編成されますが、地方交付税や国庫支出金を通じて密接につながっています。令和6年度決算では、地方の歳入の約3割(地方交付税16.6%+国庫支出金16.8%)が国から配分されたお金でした。

国の予算と自治体予算の違い
比較項目国の予算自治体予算
作成する機関内閣(財務省が実務)首長(財政課が実務)
決める機関国会地方議会
規模(令和8年度)一般会計122兆3,092億円地方財政計画102兆4,427億円(全自治体の合計の見込み)
議決のルール衆議院の予算先議・優越、30日経過での自然成立議会の議決のみ(自然成立の仕組みはない)
主な財源所得税・法人税・消費税などの国税、国債地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債

国の予算では、道路・河川・港湾などの社会資本整備に使う「公共事業関係費」と、それ以外の政策経費を区別して「公共予算」「非公共予算」と呼ぶことがあります。国の公共事業関係費の多くは、国庫支出金として自治体の建設事業の財源にもなります。

国から地方への資金の流れは、財務省の資料もあわせてご確認ください。

【事業者向け】自治体の補助金・交付金は予算にどう紐づく?

自治体が事業者に支給する補助金は、その年度の予算に計上された金額の範囲内でしか交付されません。そのため、予算の仕組みとスケジュールを知っておくことが、補助金獲得の近道になります。

自治体の補助金の財源は、市の一般財源だけでなく、国の交付金や県の補助金であることも少なくありません。お金は「国 → 都道府県 → 市町村 → 事業者」の順に流れ、それぞれの段階で予算措置が必要です。

2026年(令和8年度)に事業者が押さえたい動き

  • 重点支援地方交付金:令和7年度補正予算で2.0兆円が追加され、うち0.4兆円は食料品の物価高騰に対応する特別加算です。推奨事業メニューには「中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備」「中小企業等に対するエネルギー価格高騰対策支援」などが含まれ、自治体が補正予算を組んで事業者向け支援に活用しています。
  • ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金):令和8年4月1日以降の交付申請分から、公費による助成の上限額が原則2,500万円から3,000万円に引き上げられました。融資額との比率に応じて最大5,500万円までかさ上げされます。

重点支援地方交付金を活用した事業者支援の内容は、次の記事で解説しています。

重点支援地方交付金を拡充!推奨事業メニュー「中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備」とは

参考:内閣府地方創生推進事務局「重点支援地方交付金(令和7年度補正予算)の概要」

自治体の補助金は年度をまたいで使える?

自治体の補助金は、単年度主義のため原則として年度内(3月31日まで)に事業を完了し、実績報告を行う必要があります。年度末に向けて工期や納期が延びると、補助金を受け取れなくなるおそれがあります。

ただし、自治体が繰越明許費を設定した場合や、債務負担行為で複数年度の支出を定めた場合には、翌年度にまたがる事業が認められることがあります。年度をまたぐ可能性がある事業は、申請前に担当課へ繰越しの可否を必ず確認しましょう。

事業者が意識すべき予算スケジュール

新しい事業を自治体の予算に乗せたいなら、前年度の7〜9月までに担当課へ相談するのが理想です。10月の予算要求の段階で、担当課が具体的な事業として要求できる状態になっていなければ、翌年度の予算に入るのは難しくなります。

事業者が意識すべき予算スケジュール
時期自治体の予算の動き事業者がとるべきアクション
4月〜6月新年度予算の執行、前年度決算の整理総合計画・産業振興計画や当年度の予算書を読み、自治体が重視する分野を把握する
7月〜9月各課で次年度事業を検討担当課へ相談し、事業の必要性・効果・必要額を資料にして提案する
10月〜11月財政課への予算要求担当課の予算要求を補う追加データ(見積り・効果試算)を提供する
12月〜1月査定・内示新規提案は難しい時期。国の補正予算や交付金の動向を確認する
2月〜3月予算案発表・議会で審議予算案で事業化されたかを確認し、公募に向けて準備する
4月以降予算の執行開始公募要領を確認して申請する

自治体へ相談・事業提案するときのポイントは?

自治体への相談で成果を出すカギは、「担当課が予算要求の資料に使える情報」を早めに渡すことです。担当課は財政課の査定を通すため、事業の必要性・効果・金額の根拠を説明しなければなりません。事業者がその材料を用意できれば、予算化の可能性は高まります。

早めに準備を始める

翌年度の予算に事業を入れてもらうには、前年度の夏までに相談を始めることが欠かせません。相談時には、次の情報を誰が読んでもわかる形でまとめておきましょう。

  • 事業の目的と、解決したい地域の課題
  • 必要な人材・設備・資金と、その調達方法
  • 事業費の見積りと、自治体に求める支援額
  • 達成目標(雇用人数、売上、利用者数など)と達成時期
  • 国や県の交付金・補助金を財源に使えるかどうか

地域への貢献を数字で示す

自治体予算の目的は、住民の暮らしの向上です。地域経済の活性化・雇用の創出・住民サービスの向上にどれだけ貢献するかを、具体的な数値で説明できるようにしておきましょう。

顧客アンケートや事前調査のデータは有効な裏付けになります。すでに公表されている予算書や総合計画を確認し、自治体の重点施策の不足分を補う事業として提案すれば、予算に組み込まれやすくなります。

国の交付金事業は自治体経由で申請する

国の交付金を活用する事業では、事業者が国に直接申請するのではなく、自治体を通じて手続きを進めるケースがあります。例えばローカル10,000プロジェクトは、自治体が事業計画を作成して総務大臣に交付申請する仕組みで、自治体や地域金融機関との事前調整が前提になります。

地方創生プロジェクトに使えるローカル10,000プロジェクトとは?最大5500万円で地域起業と新規事業展開を支援!


自治体予算に関するよくある質問


自治体予算とは何ですか?


自治体予算とは、都道府県や市区町村が1会計年度(4月1日〜翌3月31日)に見込む収入(歳入)と支出(歳出)をまとめた計画です。首長が予算案を作成し、議会の議決を経て成立します。福祉・教育・道路整備・事業者への補助金など、地域の行政サービスの多くはこの予算に基づいて実施されます。



国や地方自治体の1年間の収入と支出を何といいますか?


1年間の収入を「歳入」、1年間の支出を「歳出」といいます。また、国や自治体の1年間の収入と支出についての計画を「予算」といいます。自治体の予算では、歳入の総額と歳出の総額は必ず同じ金額になるように組まれます。



予算科目の「款・項・目・節」とは何ですか?


款・項・目・節は、自治体予算のお金を分類する4階層の予算科目です。款が最も大きな分類で、項・目・節の順に細かくなります。款と項は議会の議決の対象となる「議決科目」、目と節は執行を管理するための「執行科目」です。歳出の節は地方自治法施行規則で27区分が定められています。



需用費と役務費の違いは何ですか?


需用費は消耗品・燃料・印刷製本・光熱水費・修繕料など、使うとなくなるモノや使用量に応じた経費です。役務費は通信運搬費・手数料・保険料・広告料など、特定のサービスに対して支払う対価です。郵便料金や電話代は役務費の「通信運搬費」に分類されます。



骨格予算とは何ですか?暫定予算との違いは?


骨格予算とは、首長選挙が予算編成の時期と重なる年に、義務的経費や継続事業を中心に組む当初予算です。新規の政策的経費は、選挙後の「肉付け予算」(補正予算)で追加されます。骨格予算は通年の本予算であるのに対し、暫定予算は本予算が年度開始までに成立しない場合のつなぎの予算で、本予算の成立とともに失効します。



暫定予算と補正予算の違いは何ですか?


暫定予算は、当初予算が年度開始までに成立しない場合に、成立までの間の必要最低限の経費をまかなうつなぎの予算です。補正予算は、当初予算の成立後に災害や物価高騰などの事情の変化に対応するため、年度の途中で既定予算を追加・変更する予算です。



市の予算は誰がどうやって決めるのですか?


市の予算は市長が作成(調製)し、市議会が議決して決まります。実務では、市長の予算編成方針を受けて各課が予算要求を行い、財政課の査定と市長査定を経て予算案がまとまります。議員には予算案の提出権がなく、議会は予算案を審議して可決・修正・否決します。



市の予算はいつ決まりますか?


多くの市では、翌年度の当初予算は2月に予算案が発表され、3月の定例議会で成立します。準備は前年度の10月頃の予算編成方針から始まり、予算要求・査定・内示を経て予算案が固まります。年度途中には6月・9月・12月などの議会で補正予算が組まれます。



予算内示とは何ですか?


予算内示とは、財政課や首長の査定結果を、議会への提出前に各課へ伝えることです。要求した事業が認められたか、いくら予算が付いたかがこの段階でわかります。自治体では1月下旬〜2月上旬に行われるのが一般的です。



予算措置とはどういう意味ですか?


予算措置とは、ある事業を実施するために必要な経費を予算に計上することです。自治体は予算措置のない支出を行えないため、新しい事業を始めるには、担当課が予算要求を行い、議会の議決を経て予算措置を受ける必要があります。



一般財源と特定財源の違いは何ですか?


一般財源は、地方税や地方交付税など、自治体が使い道を自由に決められる財源です。特定財源は、国庫支出金・都道府県支出金・地方債など、あらかじめ使い道が決められている財源です。財源の使い道が決められていないものを一般財源と呼びます。



自治体の補助金は年度をまたいで使えますか?


自治体の補助金は単年度主義のため、原則として年度内に事業を完了し実績報告を行う必要があります。ただし、自治体が繰越明許費や債務負担行為を設定している場合には、翌年度にまたがる事業が認められることがあります。年度をまたぐ可能性がある場合は、申請前に担当課へ確認しましょう。



自治体の補助金を活用したい事業者はいつ相談すべきですか?


新規事業や交付金を活用した施策は、前年度の7〜9月までに自治体の担当課へ相談を始めるのが理想です。多くの自治体では10月頃から翌年度予算の要求と査定が本格化するため、その前に事業の必要性や地域への効果、必要額を整理して伝えておく必要があります。



まとめ:自治体予算の仕組みを知ることが補助金活用の第一歩

自治体予算は、1年間の歳入と歳出を定めた計画です。首長が調製し、議会の議決を経て成立します。押さえておきたいポイントは次のとおりです。

・自治体予算は単年度主義で、歳入と歳出は必ず同額になるように組まれる
・歳入は一般財源/特定財源、自主財源/依存財源に分類される
・予算科目は款・項・目・節の4階層。款項は議決科目、目節は執行科目
・事業者向け補助金の多くは18節「負担金、補助及び交付金」から支出される
・予算の種類は当初予算・補正予算・暫定予算。首長選挙の年は骨格予算+肉付け予算になることがある
・当初予算は10月の編成方針から始まり、3月議会で成立する

事業者にとって、この仕組みの理解は補助金・交付金の獲得に直結します。翌年度の予算に乗せたい事業は、前年度の夏までに担当課へ相談するのが鉄則です。予算書や総合計画から自治体の重点施策を読み取り、地域への貢献を数字で示した事業計画を用意して、公的支援の活用につなげましょう。

補助金の探し方や自治体との調整に不安がある場合は、専門家への相談も検討してみてください。

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