日本経済再生の要である新しい経済モデル、新しい資本主義の中心となるコンセプトは、成長と分配の好循環です。成長と分配の好循環という考え方は過去にも度々登場してきたものですが、今回の新しい資本主義においては、どのような点が重視されているのでしょうか。
この度、経済的豊かさと力強さをもたらす原動力である「人」を、成長と分配の好循環を実現するカギとしてとらえ、人への投資を抜本的に強化する、3年間で4000億円の施策パッケージのアイデア募集が始まりました。国だけでメニューを作って支援を行うというやり方は限界に来ているという考えから、働く従業員の方、企業経営に携わる方などの声が広く求められています。
人的資本への投資支援の制度設計に、皆さまのお声が必要とされています。専用サイトの受付フォームから、積極的なご提案をお寄せください!
参考:人への投資を抜本的に強化するための年間で4,000億円規模の施策パッケージ
この記事の目次
新しい資本主義と成長と分配の好循環
今回の新しい資本主義においては、市場や競争に全てを任せるのではなく、官民協働の取り組みが重要と考えられています。
「成長戦略で気候変動問題等の課題を成長のエンジンに変えていく」そして「分配戦略で格差の問題に向き合っていく」、これらの取り組みを循環させることによって、経済を持続可能なものにしていきたいと考えています。これが日本が追求していく新しい資本主義の姿です。
成長戦略と分配戦略
成長戦略は、デジタル化、気候変動問題への対応、経済安全保障、イノベーション・科学技術など、日本が克服しなければならない新時代の課題をこれからの成長分野にしていくという発想で取り組んでいきます。分配戦略は、企業による賃上げと人への投資という面から進めていく方針です。
人への投資は分配戦略の重要な柱
今、世の中はデジタルやカーボンをキーワードとした大きな変革の波の中にあり、創造性やイノベーションを生む「人」の重要性がますます高まっています。
そこで、新たな価値を生み出すためのカギである人への投資を強化するため、3年間で、4000億円の施策パッケージを実施することになりました。人への投資が進めば、企業の成長だけでなく、結果として、更なる賃上げを実現することも可能になり、次の成長につながると考えられています。
あなたのアイデアが必要とされています
人的投資強化のための3年間4000億円の施策パッケージ実現にあたり、12月27日から民間のアイデア募集がはじまりました。
アイデア募集の詳細は以下のとおりです。
【募集内容】
「能力開発(研修・Off-JT)」または「労働移動(他産業への再就職支援・受け入れ支援)」に関する支援策の提案
【提案者】
働く従業員の方、企業経営に携わる方、労働移動サービス事業者など
それぞれの立場の方から「能力開発」「労働移動」に関してどのような支援策があると良いかのアイデアを募集しています。
【求める提案分野の例】
◆働く従業員の方⇒「学び直しを行いたいが時間がとれない」、「様々な分野を短時間で学ばなければならない」といった課題への対応 等
◆企業経営に携わる方⇒「自社が求めるスキルを直接教えてくれる外部機関があってほしい」といった課題への対応 等
◆労働移動に関するサービス事業者⇒「成長分野のスキルを教える講座の数が足りていない」といった課題への対応 等
【受付期間】
令和3年12月27日~令和4年1月26日
※下記専用サイトのフォームで受付
『提案受付フォーム』
https://www.cas.go.jp/form_jintekishihon_toshishien.html
岸田総理大臣からのメッセージ
最後に、アイデアの募集にあたって出された岸田総理大臣からのメッセージをご紹介します。
政府は、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指しています。成長と分配の好循環を実現するカギは、経済的豊かさと力強さをもたらす原動力である「人」です。
「人」への投資を進めることで、我が国、そして、世界の経済社会が、グリーンとデジタルをキーワードとして大きく変革する中で、新たな付加価値を創出する力を強化するとともに、次の成長を生み出す人への分配を強化していきます。
こうした考え方の下、人への投資を抜本的に強化するため、3年間で、4000億円の施策パッケージを提供することとし、デジタルなど成長分野への労働移動の円滑化や、人材育成を強力に推進していきます。
今回、この施策パッケージの実現に当たり、働く従業員の方、企業経営に携わる方、研修サービスを提供している方など、多くの関係者の皆さんの声を伺った上で、制度設計を行うこととしました。ぜひ、これまでの発想の枠にとらわれず、積極的な御提案をお寄せ下さい。
(抜粋:首相官邸人への投資を抜本的に強化するための3年間で4,000億円規模の施策パッケージ)
まとめ
国だけでメニューを作って支援を行うというこれまでの手法は限界に来ているとして、政策の企画立案段階から民間の発想を取り入れる、政府のチャレンジが始まりました。
有効なアイデアは順次施策へ反映するとのことですので「こんな支援策があると良い」というアイデアをお持ちの方は、提案を行ってみてはいかがでしょうか。提案の受付期間は1月26日までです。
▼提案受付フォーム
https://www.cas.go.jp/form_jintekishihon_toshishien.html