人材確保等支援助成金の「建設キャリアアップシステム等活用促進コース」は、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用して建設技能者の処遇改善を行った中小建設事業主に、対象技能者1人あたり16万円・年度あたり最大160万円を支給する助成金です。令和8(2026)年度も継続実施されています。
「CCUSに登録すればお金がもらえる?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。本コースの対象は登録そのものではなく、CCUSの能力評価でレベルが上がった技能者の賃金を5%以上増加させた場合の処遇改善が対象です。
国土交通省によると、CCUSの技能者登録数は2026年時点で全国の建設技能者の半数を超えており、登録から処遇改善への活用フェーズに本格的に入っています。
今回は人材確保等支援助成金「建設キャリアアップシステム等活用促進コース」について、いくらもらえるのか、対象要件、申請手続きまでを令和8年度の最新情報をもとに整理します。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
・雇用管理制度・雇用環境整備助成コース
・中小企業団体助成コース
・【本記事】建設キャリアアップシステム等活用促進コース
・若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
・作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
・外国人労働者就労環境整備助成コース
・テレワークコース
この記事の目次
人材確保等支援助成金とは?2026年度の概要と7つのコース一覧
人材確保等支援助成金は、事業主や事業主団体が雇用管理改善や人材の確保・定着に向けた取り組みを行った際に、その費用の一部を支援する厚生労働省の助成金です。令和8(2026)年度も全7コースが継続実施されており、業種・対象者ごとに使い分けができます。
本記事で解説する「建設キャリアアップシステム等活用促進コース」は、建設業の中でも中小建設事業主が処遇改善に取り組む際に活用できるコースです。
人材確保等支援助成金の7つのコース一覧
2026年度に実施されている7コースの概要は次のとおりです。
| コース名 | 主な対象 | 主な助成額の目安 |
|---|---|---|
| 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース | 全業種の中小企業 | 最大287.5万円 |
| 中小企業団体助成コース | 事業協同組合等の事業主団体 | 最大1,000万円 |
| 建設キャリアアップシステム等活用促進コース(本記事) | 中小建設事業主 | 年度あたり最大160万円 |
| 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野) | 建設業 | 定額・経費の一部 |
| 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野) | 建設業 | 経費の2/3等 |
| 外国人労働者就労環境整備助成コース | 外国人を雇用する事業主 | 最大80万円 |
| テレワークコース | 全業種 | 最大200万円 |
あわせて読みたい:人材確保等支援助成金2026 全コースの助成内容を解説
建設キャリアアップシステム等活用促進コースとは?CCUSで処遇改善を支援する助成金
建設キャリアアップシステム等活用促進コースは、CCUS等を活用して建設技能者のキャリアパスを明確化し、レベルアップに応じた賃上げを行った中小建設事業主に対して、対象技能者1人あたり16万円を助成する制度です。CCUSの技能者登録数が全国の建設技能者の半数を超え普及が一定程度進んだことから、登録手数料等の支援は見直しが進んでいます。中小建設事業主が利用できるのは「雇用管理改善促進事業」のみです。建設事業主団体向けの「普及促進事業」は引き続き実施されています(対象が異なる点に注意)。
「雇用管理改善促進事業」では、雇用する全ての建設技能者をCCUSに技能者登録(詳細型)し、レベル判定でレベルが上がった者の賃金を5%以上増加させた場合が対象となります。
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設技能者の保有資格、社会保険加入状況、現場での就業履歴などをICカードを通じて業界横断的に蓄積する仕組みです。一般財団法人建設業振興基金が運営しています。
蓄積された情報は、技能や経験に応じた処遇改善や、建設キャリアの「見える化」に活用されます。CCUSの登録には次の2種類があります。
| 登録の種類 | できること | 本助成金との関係 |
|---|---|---|
| 簡略型登録 | 就業履歴の蓄積、建退共の掛金充当、社会保険加入の確認 | レベル判定不可のため助成対象外 |
| 詳細型登録 | 簡略型の項目に加え、能力評価制度のレベル判定が可能 | 本助成金を受けるには詳細型登録が必須 |
対象となる事業者の要件
本コースの対象は中小建設事業主です。雇用管理責任者を選任しており、かつ以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
・国土交通大臣又は都道府県知事から建設業の許可を受けて建設業を営む者で、「一般の事業」又は「農林水産清酒製造の事業」としての雇用保険料率が適用されている
なお、一人親方や、同居の親族のみを使用して建設事業を行っている場合は支給対象外となります。
雇用管理改善促進事業の主な要件
雇用管理改善促進事業の支給を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
■本事業の開始日の前日6か月前から申請までの間に、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合により離職させていない
■賃金が、昇格評定を受けた日以降に5%以上増加している
なお、賃金増額後に合理的な理由なく賃金や諸手当等の額を引き下げた場合には、5%の賃上げとして認められません。
対象となる「建設キャリアアップシステム等」とは
本コースで対象となる「建設キャリアアップシステム等」とは、以下の3つを指します。雇用管理改善促進事業で要件となるのは、CCUSへの技能者登録と、能力評価制度(レベル判定)の2つです。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 建設キャリアアップシステム(CCUS) | 一般財団法人建設業振興基金が提供。工事現場の従事者や建設業者の情報を登録・蓄積し、利用者間で共有するサービス |
| 建設技能者の能力評価制度(能力評価) | CCUSに登録・蓄積される情報を用いて、建設技能者の技能や経験を4段階で評価する制度 |
| 専門工事企業の施工能力等の見える化評価制度(見える化評価) | CCUSに登録・蓄積される情報を用いて、専門工事企業の施工能力、基礎情報、コンプライアンスをそれぞれ4段階で評価する制度 |
「能力評価」と「見える化評価」は、いずれも国土交通大臣の認定を受けた基準で評価される必要があります。詳細はCCUS公式サイトで確認できます。
建設キャリアアップシステム等活用促進コースはいくらもらえる?
雇用管理改善促進事業の支給額は、対象となる建設技能者の数×16万円、年度あたり上限160万円(16万円×10人)です。
| 支給額 | 対象となる建設技能者の数×16万円 |
|---|---|
| 上限額 | 一事業年度あたり160万円(16万円×10人) |
「対象となる建設技能者」とは、レベル判定で昇格評定を受け、賃金が5%以上増加した技能者を指します。各技能者について、ひとつの昇格評定につき1回申請可能です。例えば10人の技能者が同時に昇格して賃上げ対象となった場合、上限の160万円が支給されることになります。
建設キャリアアップシステム等活用促進コースの申請手続きの流れ
申請は計画届の提出→技能者登録→昇格評定→賃上げ→賃金比較→支給申請の6ステップで進みます。賃上げのタイミングを起点に、前後の手続きが連動する点が特徴です。

出典:厚生労働省
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①計画届の提出 | 賃上げする月の6か月前から2か月前までに提出 |
| ②技能者登録 | 雇用する全ての技能者の詳細型技能者登録を完了する |
| ③昇格の評定 | 能力評価制度のレベル判定を行い、レベルを上げる |
| ④賃金の改定 | レベルが上がった技能者の賃金を5%以上増加させて支給 |
| ⑤賃金の比較 | 12か月間の賃金を比較し、5%以上増加していることを確認 |
| ⑥支給申請・支給 | 取組終了後に支給申請書を提出 |
なお、「技能者登録」や「昇格の評定」が「計画届の提出」より前に行われていた場合でも、助成の対象になります。
申請でつまずきやすい3つのポイント
本コースは「計画届の提出時期」「全技能者の詳細型登録」「賃金5%増の正確な比較」の3点で不備が起きやすい制度です。事前に押さえておきましょう。
計画届は賃上げする月の6か月前から2か月前までに提出が必要です。「先に賃上げをしてから申請」では計画届の要件を満たせないため、賃上げ月から逆算したスケジュール管理が不可欠です。
② 全ての建設技能者の詳細型登録が完了していない
一部の技能者だけが詳細型登録、残りは簡略型または未登録、という状態では要件を満たせません。雇用する全ての建設技能者をCCUSに詳細型で登録しておく必要があります。
③ 「賃金5%増」の比較期間と算定方法の取り違え
昇格評定を受けた日以降に5%以上の増加が必要で、増額後12か月の賃金を比較します。手当の組み替えで一時的に増えただけ、賞与の有無で月単位の数値がぶれる、といった状況は誤算定の原因になるため、賃金台帳ベースで正確に算定しましょう。
建設キャリアアップシステム等活用促進コースに関するよくある質問
ここでは人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)に関するよくある質問と回答をまとめました。建設キャリアアップシステム等活用促進コースはいくらもらえる?
雇用管理改善促進事業の支給額は、レベル判定で昇格評定を受け賃金を5%以上増加させた技能者の数×16万円です。一事業年度あたりの上限額は160万円(16万円×10人)となっています。各技能者について、ひとつの昇格評定につき1回申請可能です。
建設キャリアアップシステム(CCUS)って何ですか?
CCUSは、建設技能者の保有資格や社会保険加入状況、現場での就業履歴をICカードで業界横断的に蓄積する仕組みです。一般財団法人建設業振興基金が運営しており、技能や経験に応じた処遇改善や、キャリアの見える化に活用することを目的としています。
技能者登録の「詳細型」と「簡略型」の違いは何ですか?
簡略型登録では就業履歴の蓄積、建退共の掛金充当、社会保険加入の確認のみが可能で、能力評価制度のレベル判定はできません。一方、詳細型登録では簡略型の項目に加えレベル判定が可能です。本助成金を利用するには、必ず詳細型登録を行ってください。
令和8年度(2026年度)から変わった点は何ですか?
CCUSの技能者登録数が全国の建設技能者の半数を超え普及が一定程度進んだことから、登録手数料等の支援は見直されました。中小建設事業主が利用できるのは「雇用管理改善促進事業」のみとなっています。建設事業主団体向けの「普及促進事業」は対象や内容を見直したうえで引き続き実施されているため、事業主団体は別途厚労省の最新案内を確認しましょう。
建設キャリアアップシステム等活用促進コースは「補助金」ですか?
本制度は厚生労働省所管の「助成金」です。補助金が経済産業省系で予算枠内での審査・採択を経て支給されるのに対し、助成金は雇用保険料を財源とし、要件を満たせば原則として支給される点が特徴です。「CCUS 補助金」と検索される方が多いですが、正式名称は「人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)」です。
CCUSへの登録費用は助成の対象になりますか?
中小建設事業主向けの雇用管理改善促進事業は、CCUSへの登録費用ではなく、レベルアップした技能者への賃上げに対する助成です。技能者登録料そのものの直接補助は、過去の普及促進事業(建設事業主団体向け)で実施されており、中小建設事業主自身が登録料の補填を受ける枠組みは現在ありません。
計画届はいつまでに提出すればよいですか?
計画届は賃上げする月の6か月前から2か月前までに、本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出する必要があります。賃上げ月から逆算した余裕のあるスケジュールで準備しましょう。なお、技能者登録や昇格評定が計画届の提出より前に行われていた場合でも、助成の対象になります。
CCUSの登録で建退共の退職金は受け取れますか?
CCUSの登録自体で退職金が支給されるわけではありません。CCUSは就業履歴を蓄積する仕組みで、その情報を建設業退職金共済制度(建退共)の掛金充当に活用することが可能です。建退共の退職金を受け取るには、建退共制度への加入と所定の手続きが別途必要です。
一人親方や同居の親族のみで運営している場合は対象になりますか?
なりません。一人親方や、同居の親族のみを使用して建設事業を行っている場合は支給対象外です。本コースは中小建設事業主が雇用する建設技能者の処遇改善を対象としているため、雇用保険被保険者である建設技能者がいることが前提となります。
他の建設業向け助成金と併用できますか?
同一の取組や同一経費について他の助成金等と併給を受けることは、原則としてできません。ただし、内容や費用区分が異なれば、人材開発支援助成金の「建設労働者技能実習コース」「建設労働者認定訓練コース」、人材確保等支援助成金の他コースなどとの組み合わせ活用は可能な場合があります。詳細は管轄の都道府県労働局に事前確認をおすすめします。
出典:建設キャリアアップシステム等活用促進コース助成金(人材確保等支援助成金)の運用等に関するQ&A
まとめ
人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)は、CCUSを活用した雇用管理改善を支援する助成金制度です。令和8年度(2026年度)は中小建設事業主向けに「雇用管理改善促進事業」が継続実施されており、雇用する全ての建設技能者をCCUSに詳細型登録し、能力評価制度のレベル判定で昇格した技能者の賃金を5%以上増加させた場合、対象技能者1人につき16万円(上限160万円)が支給されます。
CCUSは技能者の登録から処遇改善への活用フェーズに本格的に入っており、本助成金はその取り組みを後押しする位置づけとなっています。建設技能者の処遇改善とキャリアパスの明確化を進めたい中小建設事業主は、活用できるかどうかをぜひ確認しておきましょう。
なお、建設業の人材育成や技能向上には、人材開発支援助成金の「建設労働者技能実習コース」「建設労働者認定訓練コース」など、別系統の助成金も整備されています。組み合わせ活用も視野に入れて検討してみてください。
あわせて読みたい:人材確保等支援助成金2026 全コースの助成内容を解説
あわせて読みたい:建設業の研修で使える助成金「建設労働者認定訓練コース」とは?
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する


