人材確保等支援助成金の「中小企業団体助成コース」は、事業協同組合等の事業主団体が、構成中小企業者に対して労働環境の向上を図るための事業を行うと、事業費の一部が助成されるコースです。助成額は認定組合等の規模に応じて最大1,000万円、助成率は対象経費の2/3となります。
今回は中小企業団体助成コースの概要や対象事業の例、申請手続きを解説します。
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この記事の目次
中小企業団体助成コースとは
本コースは、事業協同組合などの団体が、傘下の中小企業の人材確保や職場定着支援のための取り組みを行った場合に、その事業にかかった費用の一部が助成されます。中小企業を直接支援するのではなく、中小企業者を構成員とする事業協同組合等が助成の対象です。
本コースの申請の流れは、以下のとおりです。
| 手順 | 詳細 |
|---|---|
| ①改善計画の作成・提出 | 提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県へ提出 |
| ②中小企業労働環境向上事業計画の作成・提出 | 提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出 |
| ③中小企業労働環境向上事業の実施 | 計画に基づき1年間の事業を実施 |
| ④支給申請書の作成・提出 | 提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出 |
改善計画を作成・提出した後、さらに中小企業労働環境向上事業計画を作成・提出する必要があります。まずは中小企業団体助成コースの概要を見ていきましょう。
支給対象となる事業協同組合等
本コースの支給対象となる「事業協同組合等」とは、以下に当てはまる者を指します。
②事業協同小組合
③協同組合連合会
④その他特別の法律により設立された組合およびその連合会のうち政令で定めるもの
⑤中小企業者を直接または間接の構成員とする一般社団法人
改善計画の作成・提出
改善計画とは、中小企業で人手を確保し働きやすい職場を増やすために、事業協同組合などの団体や中小企業が、雇用管理の見直しや改善に取り組むために策定する計画です。
以下の基本指針の7項目のうち、事業協同組合等の実情に照らして必要な項目に取り組むものを作成してください。
| 基本指針の7項目 |
|---|
| ①労働時間等の設定の改善 |
| 労働時間等に関する事項について、労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへと改善する |
| ②男女の雇用機会均等の確保および職業生活と家庭生活との両立支援 |
| 雇用の各分野における男女の均等な機会と待遇の確保を図るとともに、育児や家族の介護を行う労働者が職業生活と家庭生活とを両立することができるような環境づくり |
| ③職場環境の改善 |
| 労働者が快適に働けるような職場の環境整備 |
| ④福利厚生の充実 |
| 福利厚生施設の設置・整備、福利厚生制度の充実による労働者の生活の安定と福祉の増進のためのハード・ソフト面の整備 |
| ⑤募集・採用の改善 |
| 適切な募集条件を設定して職場の魅力を効果的にアピールするなどの、募集・採用の改善 |
| ⑥教育訓練の充実 |
| 労働者の自己啓発への援助等、知識・技能・技術の習得に資する能力開発などの教育訓練の充実 |
| ⑦その他の雇用管理の改善 |
| その他、以下の取組等 ・高度人材の配置 ・新分野進出または円滑な技能継承に伴い必要となる労働者の雇用管理改善 ・仕事のやりがいを高める職業設計のモデルの明確化・職場の活性 ・高年齢者等の活用・能力発揮 ・青少年の職場定着の促進 |
「募集・採用の改善」の項目のみを選択することはできません。また構成中小企業者の1/3以上が、「募集・採用の改善」を除くいずれかの項目について取り組む必要があります。
中小企業労働環境向上事業計画の作成・提出
改善計画の承認を受けた後、次の4項目から構成される1年間の「中小企業労働環境向上事業」の実施計画を策定し、労働局に提出してください。
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| ①計画策定・調査事業 | ・中小企業労働環境向上事業のために必要な調査研究の実施 ・②から④に該当する事業の計画の策定等 |
| ②安定的雇用確保事業 | 労働者の安定的な雇入れに向けた、労働条件等の雇用環境及び募集・採用に係る諸問題の改善を図る |
| ③職場定着事業 | 労働者の職場定着に向けた、快適な職場環境づくりのための雇用環境に係る諸問題の改善を図る |
| ④モデル事業普及活動事業 | ・本事業の効果についての実情把握 ・本事業の実施に関する成果・ノウハウ等の他の事業所への普及、 活用等を図る |
「①計画策定・調査事業」「④モデル事業普及活動事業」は必須項目、「②安定的雇用確保事業」「③職場定着事業」はいずれか1つを選択する項目となります。
また、事業実施体制を確保するため、労働環境向上検討委員会・労働環境向上推進員の設置が必要です。
助成対象となる事業の例
助成対象となる事業は、例えば以下のようなものです。
■雇用管理改善啓発のセミナーの開催
■モデル企業見学会
■異業種団体交流会
■雇用管理の相談会(管理者向け)の実施
■団体紹介のための新聞広告等の掲載
■業界PRのための各種催物の実施
■集団説明会等共同活動の実施
■労働者のモラール向上のための事業
■事業成果の分析検討 等
事業協同組合等の実情に照らして必要な項目に取り組んでください。
支給額
支給額は、以下のとおりです。
| 助成率 | 事業の実施に要した費用の2/3 |
|---|---|
| 助成限度額 | ・大規模認定組合等(500以上)…1,000万円 ・中規模認定組合等(100以上500未満)…800万円 ・小規模認定組合等(100未満)…600万円 |
限度額は、認定組合等の規模に応じて設定されています。()は構成中小企業者数です。
対象経費
対象となる主な経費は、以下のとおりです。
| ①労働環境向上推進員の設置に係る費用 |
|---|
| ■認定組合等の役職員の場合 ・基本給 ・賞与 ■外部の者に委嘱する場合 ・謝金等 ■選任する者が所属する法人との労働者派遣契約等による場合 ・労働者派遣契約に基づく派遣料等 |
| ②対象となる具体的な事業に関する経費 |
| ■謝金 ■旅費 ■会議費 ■印刷製本費 ■通信運搬費 ■借料 ■賃金 ■賞状等費 ■委託費 ■受講料 ■広報費 ■事業消耗品費 ■給与 |
その他、振込手数料や印紙代等も対象となります。
中小企業団体助成コースの申請手続きの流れ
申請の流れは、以下のとおりです。

提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県へ提出
②中小企業労働環境向上事業計画の作成・提出
提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出
③中小企業労働環境向上事業の実施
計画に基づき、1年間の事業を実施
④支給申請書の作成・提出
提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出
なお令和7年度からは都道府県労働局長による中小企業労働環境向上事業計画の認定が廃止され、事業計画届の提出(届出)に変更となりました。ただし都道府県知事による「改善計画」の認定は、引き続き必要です。
支給申請に必要な書類
申請に必要な書類は、以下のとおりです。
■中小企業労働環境向上事業実施状況報告書
■実施した中小企業労働環境向上事業の事業内容等を証明する書類等
■実施した中小企業労働環境向上事業等の経費の支出が適正であることを証明する書類等
■労働環境向上推進員の設置及び設置費の支出を証する書類
■職業相談者の配置及び配置費の支出を証する書類
■支給要件確認申立書
その他、管轄労働局長が必要と認める書類の提出が求められます。
支給申請書の提出期間
申請書類は事業実施期間から2か月以内に、管轄の都道府県労働局に提出してください。
事業実施期間中に実施し、経費の支払が完了した中小企業労働環境向上事業に関する経費が助成対象となります。
活用事例
ここでは、中小企業団体助成コースの実際の活用事例を紹介します。
食肉業界での事例
| ■課題 |
|---|
| 雇用の確保、採用者の定着の両方に課題がある。特に採用については知り合いからの紹介に頼るなど、閉鎖的な面があった |
| ■対策:労働環境向上のための事業を実施 |
| ・労働条件改善の啓発を目的としたポスターの作成・配布 ・雇用管理改善の巡回相談会を実施 ・業界PRのための資料を、各種イベントで配布 ・雇用管理マニュアルの作成・配布 ・モデル企業見学会の開催等 |
製造業での事例
| ■課題 |
|---|
| 応募者の確保が困難な状況が続き、傘下企業の約半数が、採用計画を立てられていなかった。若年者の離職率も高い状況だった |
| ■対策:労働環境向上のための事業を実施 |
| ・従業員アンケートによる雇用管理実態調査 ・組合パンフレット・クリアファイルの作成・配布 ・雇用管理についての意見交換会の開催 ・求人広告の新聞掲載 ・傘下企業向けに経営者および従業員の資質向上のための研修を実施等 |
まとめ
人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)は、事業協同組合等が構成中小企業者の雇用管理改善を支援する際に活用できる助成金制度です。労働時間の設定改善、男女雇用機会均等の確保、職場環境の改善、福利厚生の充実、教育訓練の充実など、基本指針の7項目に基づく1年間の中小企業労働環境向上事業が対象となります。
特に中小企業では、人材確保と定着に課題を抱える企業が多くあります。支援制度を上手に活用し、組織的な雇用環境改善を推進しましょう。
あわせて読みたい:人材確保等支援助成金2026 全コースの助成内容を解説
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