人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、外国人労働者が安心して働ける環境づくりに取り組む事業主を支援する助成金制度です。言語や文化の違いから生じやすい外国人労働者のトラブルを未然に防ぐため、就業規則の多言語化や相談体制の整備、一時帰国休暇制度の導入などを助成します。
今回は人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の概要や申請方法、よくある質問を紹介します。
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・【本記事】外国人労働者就労環境整備助成コース
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この記事の目次
外国人労働者就労環境整備助成コースとは
人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人特有の事情に配慮した就労環境を整備した場合に対象となります。事前に就労環境整備計画を提出した上で、導入した措置を実施することが必要です。
本助成金は事業主単位(企業単位)で支給されるものであり、事業所単位で支給されるものではありません。
認められた措置を導入した場合に1制度導入につき定額20万円(上限80万円)が支給される仕組みです。
主な要件
本制度の要件は適正に外国人を雇用しているだけでなく、以下の「外国人労働者離職率」に係る目標を達成する必要があります。
②離職率算定期間末日まで継続して雇用している外国人労働者が1人以上いること
なお、外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、算定期間における外国人労働者離職者数が1人以下であることが求められます。
その他の要件は、以下のとおりです。
■外国人労働者を雇用している事業主である
■外国人雇用状況届出を適正に届け出ている
■就労環境整備計画に基づき、就労環境整備措置を新たに導入し、外国人労働者に対し実施する
■就労環境整備計画期間の初日の前日から起算して6か月前の日から就労環境整備計画期間の末日までの期間に、雇用保険被保険者である外国人労働者を解雇等していない
■過去に本コースを受給している場合は、最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している
このほかにも、管轄労働局の実地調査に協力する等、雇用関係助成金共通の要件を満たす必要があります。
対象となる外国人労働者
本制度の対象となる「外国人労働者」とは、以下のすべてに該当する者です。
■事業主に直接雇用される者であって、当該事業主と労働契約を締結していること
■雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く)であること
なお在留資格にかかわらず、上記すべてに該当する者は「外国人労働者」となります。支給対象となる事業主は、雇用保険被保険者となる外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」を除く)を雇用している事業主です。
必要な取組【必須メニュー・選択メニュー】
本制度の申請要件となる「就労環境整備措置」では、2つの必須メニューと、3つの選択メニューから1つ以上を実施する必要があります。
| ■必須メニュー | |
|---|---|
| ①雇用労務責任者の選任 | 雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、雇用する外国人労働者に周知するとともに、1回以上の面談を行う。また、労働基準法等の労働関係法令違反を受けた場合に相談できる関係行政機関(労働基準監督署等)の案内を周知する。 |
| ②就業規則等の多言語化 | 就業規則・労働協約・労働条件通知書・雇用契約書のいずれかを多言語化し、外国人労働者に周知する。 |
| ■選択メニュー | |
|---|---|
| ①苦情・相談体制の整備 | 外国人労働者の苦情または相談に応じるための体制を新たに定め、外国人労働者の母国語等での苦情・相談に応じる。 |
| ②一時帰国のための休暇制度の整備 | 外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得できる制度を新たに定め、1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇を取得させる。 |
| ③社内マニュアル・標識類等の多言語化 | 社内マニュアルや標識類等を新たに多言語化し、外国人労働者に周知する。 |
必須メニューは必ず実施、選択メニューでは、①~③のいずれかを選んで実施してください。
なお、「多言語化」とは、外国人労働者の母国語やその他当該外国人労働者が使用する言語、または平易な(やさしい)日本語を用いて記載すること等を指します。
支給額と対象経費
外国人労働者就労環境整備助成コースの支給額は、以下のとおりです。
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 1つの措置導入ごと | 20万円(上限80万円) |
外部機関等に委託した場合は、以下の経費が支給対象経費として考えられます。
■翻訳機器導入費(雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器の導入に限る)
■翻訳料
■委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要するもの)
■社内標識類の設置・改修費(多言語の標識類に限る)
いずれも、この取組に関わる経費のみが対象です。
外国人労働者就労環境整備助成コースの申請について
支給手続きの主な流れは、以下のとおりです。

出典:厚生労働省 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
| 手順 | 計画期間・タイミング |
|---|---|
| ①就労環境整備計画を作成・提出 | 計画期間の初日から6か月前の日から1か月前の日までに、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出 |
| ②就労環境整備措置の導入 | 計画期間:3か月以上1年以内 |
| ③就労環境整備措置の実施 | |
| ④支給申請 | 就労環境整備措置の実施日の翌日から6か月経過した翌日から2か月以内 |
| ⑤助成金の支給 | ー |
就労環境整備計画の提出や申請、問い合わせについては、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出してください。
支給申請期間
支給申請は、離職率算定期間(就労環境整備措置の実施日の翌日から6か月間)の末日の翌日から2か月以内に提出してください。
ただし、外国人労働者雇用労務責任者講習を受講し、かつ就労環境整備措置の実施日の前日から起算して6か月前までに外国人労働者を解雇等していない場合は、就労環境整備措置の実施日の翌日から2か月以内に支給申請ができます。
なお、早期に支給申請した場合でも、就労環境整備計画期間末日までの解雇等の有無を確認する必要があるため、支給決定は必ず就労環境整備計画期間末日以降となります。
郵送の場合、締め切り日必着です。余裕を持ってご提出ください。
計画に変更が生じる場合
認定された就労環境整備計画に変更が生じる場合は、変更内容に応じた変更書を作成し、必要な書類を添えて変更の認定申請を行う必要があります。変更書を提出せずに認定を受けた計画と異なる措置の導入・実施を行った場合は、原則として支給対象とはなりません。
なお、就労環境整備措置の全部を変更する場合は、管轄労働局長から認定就労環境整備計画の取消を受けた上で、新たな就労環境整備計画として提出する必要があります。
また、複数の計画を一度に提出することはできません。計画を提出している事業主は、当該計画に係る支給決定日の翌日から起算して3年が経過した日、または不支給決定日の翌日以降に新たな計画を提出できます。
外国人労働者就労環境整備助成コースのよくある質問
公式のガイドブックやQ&Aをもとに、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)のよくある質問と回答をまとめました。「外国人労働者」に、技能実習生やアルバイトは含まれる?
含まれます。在留資格にかかわらず、外国人雇用状況届出の対象であり、事業主に直接雇用され、雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者を除く)であれば「外国人労働者」に該当します。
雇用労務責任者には社外の者を選任してもいい?
雇用労務責任者は、当該事業所において雇用されている労働者から選任する必要があります。ただし、専任の者を配置する必要はなく、外国人雇用管理業務を担当する人事課長等が兼任することも差し支えありません。また、適当な者を選任できない場合は事業主または役員が雇用労務責任者になることもできますが、同時に複数の事業所の雇用労務責任者になることはできません。
特定技能外国人を雇用する場合、「苦情・相談体制の整備」を導入してもいい?
特定技能外国人を雇用する事業所は、相談体制の整備が法令上の義務であるため、本助成金の「苦情・相談体制の整備」の支給対象とはなりません。特定技能外国人を雇用している又は雇用しようとしている事業所の場合は、「一時帰国のための休暇制度の整備」もしくは「社内マニュアル・標識類等の多言語化」のメニューを選択してください。
助成金は事業所ごとに支給されるの?
いいえ。本助成金は事業主単位(企業単位)で支給されます。事業所単位で支給されるものではありません。
「多言語化」とは具体的にどのようなことを指す?
外国人労働者の母国語やその他当該外国人労働者が使用する言語、または平易な(やさしい)日本語を用いて記載すること等を指します。厚生労働省が公開しているモデル就業規則やさしい日本語版なども参考にできます。
過去にこの助成金を受給したことがある場合、再度申請できる?
可能です。ただし、前回の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している必要があります。
外国人労働者雇用労務責任者講習を受講するとどのようなメリットがある?
外国人労働者雇用労務責任者講習を受講し、かつ就労環境整備措置の実施日の前日から起算して6か月前までに外国人労働者を解雇等していない場合は、通常の離職率算定期間(6か月)を待たずに、就労環境整備措置の実施日の翌日から2か月以内に支給申請ができます。
一時帰国のための休暇制度で、計画期間内に取得者がいない場合はどうなる?
外国人労働者の都合により計画期間内に当該措置による有給休暇の取得者がいない場合、その事実のみをもって直ちに支給対象事業主に該当しなくなるわけではありません。ただし、当該措置に対しては支給されず、その他の就労環境整備措置の実施が完了していれば、実施が完了した措置を対象とした額に限り支給されます。
技能実習の監理団体の場合、選択メニューはどれを選べばいい?
技能実習の監理団体である又は監理団体になる予定がある事業所の場合は、「一時帰国のための休暇制度の整備」または「社内マニュアル・標識類等の多言語化」を選択してください。
計画の内容を途中で変更することはできる?
可能です。就労環境整備措置の一部変更や追加、一部取り止めの場合は、変更書を提出して変更の認定申請を行います。ただし、就労環境整備措置の全部を変更する場合は、既存の認定計画の取消を受けた上で新たな計画として提出する必要があります。変更書を提出せずに認定計画と異なる措置を実施した場合は、原則として支給対象となりませんのでご注意ください。
出典:厚生労働省 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
まとめ
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)を活用するには、「雇用労務責任者の選任」と「就業規則等の多言語化」の2つの必須メニューに加え、苦情・相談体制の整備、一時帰国休暇制度の整備、社内マニュアル等の多言語化のいずれか1つ以上を選択して実施する必要があります。計画期間は3か月以上1年以内で、1制度導入につき20万円(上限80万円)が支給されます。
離職率目標の達成が求められるほか、外国人労働者雇用労務責任者講習を受講することで早期の支給申請が可能になるなど、計画的な準備が重要です。
少子高齢化を背景にした人手不足の解消に向けて、外国人労働者の活躍が期待されています。外国人労働者がトラブルに巻き込まれることなく、安心して働ける環境を整えることは、すべての人が安定して働ける社会の構築にもつながります。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)を始めとする支援制度を上手に活用し、職場環境の整備を進めていきましょう。
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