少子高齢化や働き方の多様化を背景に、各業界で、人材確保のための職場改善が急務となっています。人材確保等支援助成金は、多様な人材が働きやすい環境を整えるための支援制度です。
人事評価改善等助成コースでは、定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることで、人材不足の解消を目指します。令和6年4月1日からは電子申請も可能となりました。
今回は人材確保等支援助成金の人事評価改善等助成コースの内容や、申請の方法をお伝えします。
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この記事の目次
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)とは
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は、人材不足の解消を目的とし、生産性向上に資する人事システムを整備・実施する取組を対象とします。生産性向上を図り、賃金アップと離職率低下を実現した企業に対して助成を行うコースです。
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)はこのような事業主におすすめ
優秀な人材の確保や、いまいる従業員の離職率を低下させるためには、職場での評価が適正に行われることが重要です。明確な基準によって賃金アップにつながる評価制度の確立は、従業員のモチベーションを上げ、生産性向上にも役立ちます。
「人材の定着率を上げたい」または「生産性の向上を図りたい」企業にとって、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用した取組は、大きな一助となるはずです。
支給額と支給までの流れ
助成金の支給額は、80万円です。
【人事評価改善等助成コース支給までの流れ】
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の申請から支給までの主な流れは、以下のとおりです。
①人事評価制度等整備計画の作成・提出 労働協約または就業規則に人事評価制度等整備計画を明文化し、本社所在地を管轄する都道府県労働局へ提出します。 |
②人事評価制度等の整備 計画に基づいて、人事評価制度等を整備します。 |
➂人事評価制度等の実施 評価結果を反映した賃金を支払います。 |
④助成金の支給申請 該当制度の実施日または評価時離職率算定期間の末日のいずれか遅い日の翌日から2か月以内に、支給申請を行います。 |
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の要件とは
支給対象となるには、事業主・取組の両方に要件があります。ここでは主な各要件や、提出が必要な人事評価制度等整備計画などの詳細を見ていきましょう。
【事業主の要件】
対象となる事業主の主な要件は、以下のとおりです。
①雇用保険の適用事業主であること |
②人事評価制度等の適用開始日から支給申請日の前日までに、雇用保険被保険者を継続して雇用していること |
➂該当の人事評価制度等に基づき、毎月の賃金の総額を3%以上増加させたこと |
④評価時離職率が30%以下であり、計画時離職率と比較して目標以上に低下させたこと |
【助成の対象となる人事評価制度等】
助成金の支給対象となる人事評価制度等の主な要件は、以下のとおりです。
①制度の新設または改定が行われていること |
②人事評価制度等対象労働者全員を適用対象としていること |
➂労働者の生産性の向上に資する制度であり、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していること |
④人事評価の対象と基準・方法が明確であること。また、労働者に開示されていること |
⑤評価が年1回以上行われること |
⑥賃金制度が労働者の生産性の向上に資するもので、賃金表を定めていること |
【人事評価制度等の整備・実施】
「人事評価制度等の整備」とは、労働協約または就業規則に基づき、生産性向上に資する人事評価制度等を新設または改定することを指します。また「人事評価制度等の実施」は、整備した制度を運用し、評価を反映した賃金を支払うことです。
なお、各開始日は、以下のように定められています。
■人事評価制度等の適用開始日 | 人事評価制度等を整備した労働協約または就業規則の施行年月日 ※ただし、施行年月日が定められていない場合は、労働協約であればその締結日、就業規則であれば管轄する労働基準監督署等に届け出た日をいいます。 |
■人事評価制度等の実施日 | 人事評価制度等に基づく最初の賃金が支払われる日 |
【計画の作成】
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の申請には、人事評価制度等整備計画を都道府県労働局に提出して、認定を受ける必要があります。人事評価制度等整備計画は、人事評価制度等の適用開始月6か月前の日から1か月前の日までに提出してください。
人事評価制度等整備計画の認定申請に必要な主な書類は、以下のとおりです。
①人事評価制度等整備計画(変更)書 |
②整備する人事評価制度等の概要票 |
➂賃金が確認できる書類 |
④該当制度等について、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していることが確認できる書類 |
⑤事業所確認票 |
⑥現行の労働協約または就業規則と整備後の労働協約案または就業規則案 |
⑦計画時離職率の算出に係る期間の雇用保険一般被保険者離職状況がわかる書類 |
⑧人事評価制度等対象労働者の要件を満たすことがわかる書類 |
⑨社会保険の適用事業所であることがわかる文書および、対象の労働者が社会保険の被保険者であることが確認できる文書 |
➉その他管轄労働局長が必要と認める書類 |
【離職率の算出方法】
助成を受けるには、離職率を目標値以上に低下させることが条件のひとつです。離職率は以下の計算式で算出されます。
出典:人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?
なお、計算式により得た値が100%を超える場合、離職率は100%とされます。また、定年退職、重責解雇、個人的な事情による労働時間の短縮など特定の離職理由は除外されます。
人事評価制度等整備計画書 記載例
人事評価制度等整備計画書には、事業主の氏名や住所、主たる事業所の雇用保険番号等を記載します。記載例は、以下の図を参照してください。
出典:人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース) 記入マニュアル
なお、計画に変更がある場合は、同様の書式で「変更」に〇をし、提出してください。
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の支給申請期間
助成金の支給申請は、人事評価制度等の実施日または評価時離職率算定期間の末日のいずれか遅い日の翌日から起算して2か月以内に行います。
出典:リーフレット
必要書類
申請は、必要書類を提出することで行います。電子申請も可能です。提出が必要な主な書類は、以下のとおりです。
①人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)支給申請書 |
②事業所確認票 |
➂整備した人事評価制度等の内容が確認できる書類 ・制度を明示した労働協約 ・制度を明示した就業規則 |
④整備した人事評価制度等の概要票 |
⑤人事評価制度等対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書 |
⑥新たに整備した人事評価制度等を実施したことや、「人事評価制度等の実施日」が確認できる書類 ・事業所内での周知書類、昇進・昇格に関する通知 等 ・人事評価制度等の適用者名簿 |
⑦支給要件確認申立書 |
⑧評価時離職率算定期間の雇用保険一般被保険者の離職状況が確認できる書類 |
⑨該当の人事評価制度等が、引き続き実施されているか確認できる書類 |
➉事業所が社会保険の適用事業所であることが分かる書類 |
⑪その他管轄労働局長が必要と認める書類 |
まとめ
令和6年度、人材確保等支援助成金では、8つのコースが設定されました。そのうちの一つ、人事評価改善等助成コースでは定額80万円が支給され、人事評価制度等の整備等が支援されます。
成果に対する正当な評価は、従業員のモチベーションを維持し、離職率の低下につながる取組です。また、これから就労を希望する求職者にとっても大きな魅力のひとつとなります。
人材確保等支援助成金をはじめとする支援制度を上手に活用し、魅力的な職場づくりを進めていきましょう。