▼8月1日更新
※7月14日から四次公募が開始しています。締め切りは8月19日です。
今回は、令和3年度補正予算において、当初予算の3倍以上の額が計上された「災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」についてご紹介します。
本事業は、避難所等において、災害時にも対応可能な停電対応型の天然ガス利用設備の導入を補助する事業です。避難所等の災害対応能力の強化を図る一方で、燃料の安定供給や省エネルギー・地球温暖化対策として、優れた環境特性を持つ天然ガス利用設備の普及促進も図ります。
避難所や帰宅困難者受入施設、防災上中核となる施設の災害対応強化に活用できる制度で、条件によっては、商業施設や企業の事務所、工場や学校なども広く補助対象施設になり得ます。公募期間は8月19日までです!安全・防災対策への支援をお探しの方はぜひチェックしてみてください。
03-6435-7692
お問い合わせ先受付時間/平日
9:00~12:00
13:00~17:20
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
自然災害の頻発化への対応が重要に
近年、地震や台風、集中豪雨などの大規模災害の頻発化・激甚化が進み、それに伴う停電などのインフラ機能障害も増加するなど、私たちの生活環境に大きな影響を及ぼす事態が生じています。
また、新型コロナウイルスをはじめとした感染拡大対策等として、避難先は避難場所・避難所に限るものではなく、自宅が安全な場合は自宅にとどまる、避難所以外の安全な場所に避難するといった分散避難がすすめられています。
【分散避難の例】
- 親戚・知人宅への避難
- 車中泊避難
- 在宅避難
いつ大規模災害が起こっても不思議ではない状況で、被災者等が一時的に生活を送る「避難所」等の環境対策として、停電時にも発電または空調を開始・継続できる設備を導入することは、以前にも増して重要になってきているといえます。
同時に、分散して避難する被災者に対して物資・食料・情報等を提供する機能を持つ避難所等を普及させることの重要性も高まっています。本事業では、災害時に避難所等として活用される協定を締結した多様な施設が補助対象施設に含まれるため、避難所以外への避難者に対して物資、情報等を提供する拠点の増加や対応能力の強化が期待できます。
では、さっそく補助金の内容を確認していきましょう。
令和3年度補正予算 災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金とは
「災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」は、災害時の強靱性の向上と平時からの環境対策を図ることを目的に、災害時にも対応可能な停電対応型の天然ガス利用設備の導入等を行う事業者を支援する補助金です。令和3年度予算案額は9.1億円でしたが、補正予算では3倍以上の29億円が計上されました。
【予算額の変化】
◆令和3年度予算: 9.1億円(新規)
↓
◆令和3年度補正予算:29億円
(参考)令和4年度予算: 6.7億円
これは令和3年度に新規で予算計上された補助金制度で、補助対象となる事業は「災害時にも対応可能な天然ガス利用設備の導入」と「天然ガス利用設備の機能維持・増強」に分かれていました。今回、補正では予算額を増やし、対象事業を「災害時にも対応可能な天然ガス利用設備の導入」にしぼって、より多くの設備の導入を進める狙いがあると推測されます。
補助対象者
民間事業者等(家庭用需要を除く全業種の事業者)
補助事業に含まれる設備等の所有者および使用者は、必ず申請者として登録する必要があります。申請者が複数となる場合は共同申請とし、交付申請書類に各々の役割を明確に示すことが求められます。
【共同申請となる例】
出典:令和3年度(補正)災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金【公募説明会資料】
補助対象施設
災害時にもエネルギーを安定的に確保することの重要性の高まりから、基本的に災害時でもガスの供給が停止しない「中圧ガス導管」または「耐震性を向上させた低圧ガス導管」でガスの供給を受けている以下の施設等に対象設備を設置します。
1.災害時に避難所等として活用される国や地方公共団体の防災計画指定の施設
・指定避難所(福祉避難所含む)
・指定避難場所への避難者にサービスを提供する施設
2.災害時に活動拠点等として活用される国や地方公共団体の防災上中核となる施設
・地方公共団体施設
3.災害時に避難所等として活用される国や地方公共団体と協定を締結している(見込みも含む)施設
・協定による避難所
・協定による避難場所への避難者にサービスを提供する施設
・帰宅困難者受入施設
・災害時帰宅支援ステーション
・一斉帰宅抑制事業者の当該施設
・物資提供の協定を締結した上で、それら物資の提供を地域住民にも行う施設(地域住民へ提供を行うことを確認できることが必須)
下図は補助対象施設についてまとめたものになります。
出典:【R3補正】強靭性パンフレット
これによると、次のような施設も補助対象になることがわかります。
・物資提供の協定を締結した商業施設等
・避難場所の協定を締結した学校等
・一斉帰宅抑制の協定を締結した企業の事務所等
・物資提供の協定を締結した工場等
補助対象事業
停電対応型の天然ガスコージェネレーションシステム(ガスエンジン、ガスタービン、燃料電池)および停電対応型のガスエンジン・ヒートポンプ・エアコンの導入を行う事業者に対し、補助事業に要する経費の一部を補助します。
主な交付要件
- 天然ガスを主原料とするガスを燃料とした設備を導入して使用すること
- 以下のいずれかのガス供給を受けること
1.中圧導管による供給
2.耐震性を向上させた低圧導管による供給 - 系統電力の停電時に、発電または空調を開始・継続できる設備であること
- 導入後の対象設備に、運転状況を確認するために必要な専用の計測装置を取り付けること
- 設置先施設がZEB(平均でエネルギー消費量が正味でおおむねゼロ以下となる建築物)、または補助金を活用して石油製品(石油ガスを除く)タンク等を導入した施設でないこと
【用語の確認】
◆ガスコージェネレーションシステム(CGS)
ガスコージェネレーションシステムでは、天然ガス等を燃料として、エンジン、タービン、燃料電池等の方式により発電し、廃熱も同時に回収します。回収した熱は、蒸気や温水として、工場の熱源、冷暖房・給湯などに利用できるので、総合エネルギー効率が高いシステムといわれています。
◆ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン(GHP)
ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコンとはガスエンジンによって、冷暖房を行う空調システムのことです。ガスエンジンで室外機を動かすため、電気エアコンよりも電気消費量を大幅に削減することができます。
補助対象経費
停電対応型ガスコージェネレーションシステムおよび停電対応型ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン導入にかかる以下の経費が対象になります。
- 設計費
- 既存設備撤去費
- 新規設備機器費
- 新規設備設置工事費
- 敷地内ガス管敷設費
更新の場合も申請できますが、更新前設備等を廃止することが要件となるため、撤去等の処置が必要になります。その際、更新のための既存設備の撤去にかかる費用は補助対象外となります。
補助率
供給方式、地域等によって、補助率は1/2以内、または1/3以内に分かれています。
1/2以内:政府想定の地震対象エリア及び政令指定都市等の大都市等(指定区域)のうち、中圧ガス導管でガスの供給を受けている施設
1/3以内:上記以外の中圧ガス導管または低圧ガス導管でガスの供給を受けている施設
※政府想定の地震対象エリア及び政令指定都市等の大都市等(指定区域)とは
(1)政府想定の地震
◆南海トラフ地震
◆首都直下地震
◆日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震
◆中部圏・近畿圏直下地震
(2)熊本地震・北海道胆振東部地震の被害地域
(3)政令指定都市・特別区、中核市、特例市、県庁所在地、中枢中核都市
補助上限額
◆停電対応型コージェネレーションシステム(CGS)の上限額
中圧・指定区域:3億6000万円
中圧・上記以外:2億4000万円
低圧(全地域):6000万円
◆停電対応型ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン(GHP)の上限額
中圧・指定区域:1億円
中圧・上記以外:6600万円
低圧(全地域):6600万円
補助率と上限額をまとめたものが下図になります。
出典:【R3補正】強靭性パンフレット
公募期間
【四次公募】令和4年7月14日(木)~令和4年8月19日(金)
申請は、原則、補助金申請システム(jGrants)から行います。jGrantsの利用には、GビズID(gBizIDプライム、メンバー)が必要で、GビズIDの取得には1週間程度かかりますので、早めにお手続きください。
事業の流れ
(1) 公募開始
(2) 公募説明会 開催
▼こちらから説明会の動画がご覧いただけます。
http://www.gasproc.or.jp/current/subsidylist/r4_2/
(3) 補助金交付申請書 提出
(4) 補助金交付審査
(5) 補助金交付決定
事業を開始できるのは交付決定日以降になります。開始日とは、補助事業において最初に設計、工事等の契約を締結する日を指します。
(6) 事業開始
(7) 中間報告
補助事業者は、令和4年11月末までに補助事業が完了しない場合、令和4年12月9日までに実績報告書にて提出する書類のうち、その時点で報告可能なものを「中間報告」としてセンターへ報告する必要があります。
(8) 実績報告書 提出
(9)補助金確定検査
(10)補助金交付
補助事業が完了した時は、事業完了後30日以内または令和5年2月28日のいずれか早い日までに実績報告書をセンターへ提出します。書類審査および現地調査等の確定検査を経て、補助金の額が確定します。事業者は確定通知を受けた後に請求を行い、補助金が支払われます。
(11)燃料使用量等データ報告
事業完了の翌年度(令和5年度)4月から翌年3月までの期間において、補助対象設備で使用した燃料使用量等を報告します。
災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金活用のメリット
メリットとして、社会的重要インフラの災害時における強靭性の向上はもちろんのこと、避難所等施設の過密防止のための「分散避難」への対応強化による、地域社会への貢献ができます。
また、電気ではなくガスエンジンを使うガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン(GHP)は節電対策になります。ほかに、天然ガスを利用することで二酸化炭素の排出が減り脱炭素化に貢献できるといった面もあります。
このように、補助金を活用して、いつ来るかわからない災害への備えと、天然ガスへのシフトといった脱炭素化の取り組みを同時に進めることができるのがこの補助金の大きなメリットといえるでしょう。
まとめ
今回は、停電対応型の天然ガス利用設備の導入等を行う事業を支援する「令和3年度補正予算 災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」についてご紹介しました。
近年、大規模災害の頻度が高まる中で、強靭性の向上は喫緊の課題となっています。予算額が大幅にアップされたことからも、政府が力を入れて行っていく事業だということがわかりますね。
今回の補助事業の採択予定件数は、停電対応型ガスコージェネレーションシステム(CGS):約106件、停電対応型ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン(GHP):約53件となっています。令和3年度事業の採択は27件(天然ガス利用設備)でしたので、補正では多くの採択が期待できるのではないでしょうか。
03-6435-7692
お問い合わせ先受付時間/平日
9:00~12:00
13:00~17:20