政府は12月23日、令和5年度予算案を閣議決定しました。
防衛力の抜本的な強化を目的とした「防衛費」の増加などにより、一般会計の総額は114兆3812億円と過去最大になりました。
政策の方向性を知るために、閣議決定された内容を確認しましょう。
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この記事の目次
令和5年度一般会計予算の歳出・歳入の構成
まず、令和5年度一般会計予算の歳出・歳入の構成をみてみましょう。
出典:令和5年度予算のポイント
【歳出】
令和5年度予算の社会保障費は、高齢化による伸びなどで6154億円増の36兆8889億円となっています。
防衛費は令和4年度当初予算を1兆4192億円上回る6兆7880億円で、過去最大となりました。
また、新型コロナや物価高騰対策、ウクライナ情勢などに備えるための「予備費」に5兆円、地方自治体に配付する「地方交付税交付金」は、令和4年度当初予算より5166億円増の16兆3992億円を計上しました。
【歳入】
歳入は、税収を過去最大の69兆4400億円と想定し、ほかに、9兆3182億円の税外収入を見込んでいます。不足する35兆6230億円は、新規国債を発行して補うとしています。
下の表は令和4年度当初予算と5年度予算を比べたものです。
出典:令和5年度予算のポイント
歳出規模は、令和4年度の当初予算と比べて、6兆7848億円増となっていることがわかります。
令和5年度予算のポイント
令和5年度予算の一般会計総額は、114兆3812億円で、初めて110兆円を超えて過去最大を更新しました。
政府は令和5年度予算を「歴史の転換期を前に、我が国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くための予算」と位置づけています。
国が直面する内外の重要課題とは何を指すのか、また、それらへの対応として何がポイントになるのでしょうか。
安全保障のポイント
まず第一に、安全保障の課題があります。
日本を取り巻く安全保障環境を踏まえ、防衛関係費については、新たに策定された国家安全保障戦略等に基づいて、これまでの水準を大きく上回る6.8兆円を確保します。防衛力整備計画の初年度として、スタンド・オフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力、施設整備などの重点分野を中心に防衛力を抜本的に強化するとしています。また、5年間で緊急的に防衛力を強化するため43兆円の防衛力整備計画を実施します。
こども政策のポイント
国内に目を向けると、こども・子育て支援も課題となっています。
来年4月、こども・子育て世代への支援を強化するため、こども家庭庁を創設します。
妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と妊娠届出・出生届出を行った妊婦・子育て家庭に対する経済的支援(計10万円相当)をあわせたパッケージを継続実施し、出産育児一時金について50万円に引き上げます。
地方・デジタル田園都市国家構想のポイント
地方が直面する「人口減少・少子高齢化」「過疎化・東京圏への一極集中」「地域産業の空洞化」といった課題もあります。
こうした課題を解決する「デジタル田園都市国家構想」はデジタル技術の活用によって、地方の社会課題の解決や地方活性化を進め、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すもので「新しい資本主義」の重要な柱の一つとなっています。
デジタル田園都市国家構想交付金(5年度1000億円+4年度補正800億円)により、自治体のデジタル実装の加速化や、デジタルの活用による観光・農林水産業の振興等の地方創生に資する取組などを支援します。
GX(グリーントランスフォーメーション)のポイント
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石燃料中心の経済・社会や産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させて、経済社会システム全体の変革を図る取り組みのことです。政府は2050年カーボンニュートラルを掲げ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。
その一つとして、カーボンプライシングで得られる将来の財源を裏付けとした「GX経済移行債」を発行し、民間のGX投資を支援する仕組みを創設します。
また、カーボンニュートラル目標達成に向けた革新的な技術開発(4564億円)やクリーンエネルギー自動車の導入(336億円)、次世代革新炉の研究開発(123億円)など、新たな成長志向型カーボンプライシングによるGX投資の枠組みの下で、1.6兆円規模の支援を開始します。
今後の流れ
政府は閣議決定された来年度予算案を1月召集の通常国会に提出し、3月末までの成立を目指すとしています。
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