31年度はどのような助成金が出るのか、気になりますよね。
来年度の予算は、8月末までに各省庁が財務省へ来年度の予算案として概算要求を提出し、それをもとに1月の国会で審議がなされ閣議決定がされます。
今回は、2018年8月29日に国土交通省が提出した概算要求から、来年度はどのような補助金が出るのかに繋がるヒントとして、調べてみたいと思います。
代表的な補助金も併せてご紹介しますので、活用可能な補助金がないか是非ご確認下さい!
この記事の目次
1.はじめに
そもそも国土交通省の役割とは何か。
与えられた組織の役割があり、目標を掲げ、それを達成するために予算は投下されますね。
はじめに、国土交通省のミッションをしらべてみたいと思います。
1.国土交通省について
2001年に行われた中央行政組織の統合・再編にて、1府22省庁から1府12省庁(内閣府、防衛庁、国家公安委員会、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)の組織体制となりました。
その1府12省庁の一つが国土交通省です。
国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発および保全、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進、気象業務の発展並びに海上の安全および治安の確保などを担う官庁です。
特殊な任務を所管する行政機関として、国土交通省の下に観光庁、気象庁、運輸安全委員会、海上保安庁が置かれています。
役割としては、
・道路、鉄道、住宅、公園などの整備やバリアフリー化
・空港や港湾の整備
・自然・文化・歴史などを活かした地域づくり
・水害、地震などの災害に備えた安全対策
・大気汚染への対策や建設廃棄物などのリサイクル化
・台風、集中豪雨、地震、津波、火山噴火などの自然現象を24時間体制で監視、情報発信
などです。
私たちの生活に大きく関係することが多いことが分かりますね。
出典:国土交通省ホームページ
2.31年度概算要求について
それでは、8月29日に国土交通省の提出した概算要求は、どのような内容なのでしょうか。
一般会計要求総額は、6兆9,070億円で、昨年度比の19%増になります。
その中でも、公共事業関係費は6兆1,736億円となり、西日本豪雨などを踏まえた防災・減災対策に力を入れるほか、物流体制の強化などに重点を置いています。
その中で、インバウンド強化に向けた取り組みや、2019年1月から行われる国際観光旅客税の税収を見込んだ内容の概算要求がされているので、抜粋しながら見ていきたいと思います。
3.インバウンド強化に向けた内容に関して
1.観光の持続的な発展に向けた施策の着実な推進:460億円
1.戦略的なプロモーションの実施と観光産業の基幹産業化
・ 国別戦略に基づくプロモーションの徹底と成長市場からの誘客拡大に向けた取組実施
・ MICE誘致の国際競争力の強化、開催地の魅力向上及びプロモーション等の強化
・ 観光産業の生産性向上や人材育成、宿泊業における外国人材の活用等の取組への支援
・ 諸外国との相互交流の拡大に向けた若者の海外体験の促進
・ 観光施策の検討・評価・改善の基盤となる観光統計の整備
2.観光資源を活用した地域への誘客の促進
・ DMO等が中心となり地域が連携して行う、広域周遊や長期滞在を促進する取組への支援
3.訪日外国人旅行者の受入環境の向上
・ 公共交通機関や宿泊施設におけるストレスフリーで快適な受入環境の整備の支援
・ クルーズ船「お断りゼロ」の実現に向けた受入環境整備や官民連携での拠点機能強化
・ 地方空港におけるCIQ施設の機能強化
※DMOとは「Destination Management/Marketing Organization」の略称で、旅行者の目的地となる地域が一体となって観光をマネジメントする目的で形成される組織体のことを指します。
2.国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開:480億円
2019 年1月7日より、出国1回につき1,000 円の負担を求める国際観光旅客税を創設することが2018年12月に観光立国推進閣僚会議で決定されました。
こちらは、増え続けている訪日外国人旅行者に伴い、2020 年の訪日外国人旅行者数4,000 万人等の大きな目標に向けてより高次元な観光施策を展開していくことを目的とし創設されたものです。
その税収を見込んで、下記の施策を行う予定とのことです。
1.ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備
・ 最先端技術を活用した革新的な出入国審査等の実現等
・ 公共交通利用環境の革新等
・ ICT等を活用した多言語対応等
・ 旅行安全情報等に関する情報プラットフォームの構築 等
2.我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化
・ 欧米豪を対象としたグローバルキャンペーン
・ デジタルマーケティングを活用したプロモーションの高度化 等
3.地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上
・ 文化財や国立公園等に関する多言語解説の整備
・ 文化財の観光資源としての開花
・ 国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化
・ 魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放
・ 古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり
・ 新たな観光資源の開拓
・ 世界水準のDMOの形成・育成 等
宿泊施設のインバウンド対応支援事業
5以上の宿泊事業者が集まり、「訪日外国人宿泊者受入体制拡充計画」を策定、国土交通大臣の認定を受け事業を実施すれば、上限100万円として、各宿泊事業者が実施する館内共用部のWi-Fiの整備、館内共用部のトイレの洋式化、ホームページの多言語化等の経費の1/3を支援してもらえる補助金です。
参考:宿泊施設のインバウンド対応支援事業
手ぶら観光補助事業
国土交通省が手ぶら観光共通ロゴマーク掲出の認定をした又は認定する見込みがある者を対象に、受付業務を行うカウンター設備の設置や、受付業務を補助するタブレット、荷物を一時保管するラック、手ぶら観光情報を発信するデジタルサイネージ、多言語で場所を案内する看板などを設置した場合に経費の1/3を支援してもらえる補助金です。
参考:手ぶら観光補助事業
4.地域づくりに向けた内容に関して
地域づくりに向けた取り組みも強化していく方向性です。
優れた取組を行っている都市をモデル都市として選定したり、コンパクト・プラス・ネットワークとして居住や都市機能の集積による「密度の経済」の発揮によって、住民の生活利便性の維持・向上、地域経済の活性化を図ったり、空き家や空き地等への対策などを積極的に行っていく意向です。
1.コンパクト・プラス・ネットワークの推進による持続可能な地域づくり
1.コンパクトシティの推進:251億円
・ 効果的な立地適正化計画を策定する地方公共団体への支援の強化
・ 生活に必要な都市機能等を誘導するための民間事業者等に対する支援の強化
・ 地方都市の再生やまちの賑わいの創出等を図る取組に対する支援の強化
・ 公共公益施設の再編を促進する民間都市開発事業への支援
・ 新技術やビッグデータを活用した都市のスマート化に向けた取組に対する支援の強化
・ 「小さな拠点」形成のための既存施設を活用した生活機能等の再編・集約への支援
2.道路ネットワークによる地域・拠点の連携:3532億円
・ 地域・拠点をつなぐ高速道路ネットワークの構築
・ ICへのアクセス道路の整備に対する安定的な支援
・ スマートICの活用による地域の拠点形成や民間施設との直結による産業振興の支援
・ 自動運転の実現に向けた道の駅等を拠点とする実証実験等の取組の強化
・ 「小さな拠点」の形成を目指した「道の駅」の取組の支援
2.個性・活力のある地域の形成
1.地域資源を活かしたまちづくりの推進:440億円
・ 歴史文化資源や景観等を活用したまちづくりに対する支援の強化
・ 明治立憲政治の確立等の業績を後世に伝える明治記念大磯邸園の整備の推進
・ 国営公園における観光拠点整備や体験プログラムの展開等によるストック活用の推進
・ 都市の緑地や農地を活かした魅力あるまちづくりの推進
・ 豊かな自然や美しい風景を活かした魅力ある水辺空間形成(かわまちづくり)の推進
・ 河川を軸とした生態系ネットワークの構築によるまちづくりの推進
・ 地域活性化に資する下水道の未普及対策やリノベーション等の取組の推進
2.空き家、空き地、所有者不明土地等の有効活用の推進:48億円
・ 市町村が行う空き家の活用や除却等の総合的な支援の強化
・ 空き家対策を市町村と専門家が連携して行うモデル的取組への支援
・ 不動産業団体等による空き家・空き地の流通等の促進、所有者不明土地の活用等円滑化
・ 住宅団地における良好な居住環境の確保・再生を図る取組への支援
・ 地方公共団体等が行う都市の空き地等の利用促進の取組に対する支援
3.人生100年時代等に対応した居住環境の整備
1.既存住宅流通・リフォーム市場の活性化:71億円
・ 良質な住宅ストックが適正に評価され流通する仕組みの開発等に対する支援
・ 良質な住宅ストック形成に資する長寿命化や省エネ化等のリフォームへの支援の強化
・ 住宅瑕疵等に係る情報を活用するための情報インフラの整備に対する支援
・ 住宅・建築分野における新技術の開発等への支援制度の創設
2.若年・子育て世帯や高齢者世帯が安心して暮らせる住まいの確保:1434億円
・ 民間賃貸住宅や空き家を活用した住宅セーフティネット制度の強化
・ 公的賃貸住宅の建替や改修と併せて生活支援施設等を導入する取組への支援
・ サービス付き高齢者向け住宅の整備の促進やモデル的取組への支援の強化
・ 三世代同居や若年・子育て世帯に対応したリフォーム等への支援の強化
・ 子育て環境の整備促進や移住支援等の地方公共団体と協調した金融支援の強化
・ 住宅ストックの活用と医療福祉施設等の誘致によるUR団地の医療福祉拠点化の推進
3.省エネ住宅・建築物の普及:574億円
・ 省エネ住宅・建築物の普及の加速に向けた中小住宅生産者等への支援体制の整備
・ 中小事業者の連携による省エネ性能等に優れた木造住宅の整備等への支援の強化
・ 先導的な省エネ建築物等の整備の促進や既存住宅等の省エネ改修への支援の強化
・ CLT等や地域の気候風土に応じた木造建築技術を活用した先導的な取組に対する支援
・ IoT等の先導的な技術を活用した住宅等の実証的な取組に対する支援
・ 地域の木造住宅施工技術体制の強化に向けた大工技能者の育成・技術力向上への支援
空き家再生等推進事業
不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の除却や活用を行った場合に補助を受けることが出来ます。
参考:空き家再生等推進事業について
長期優良住宅化リフォーム推進事業
住まいの性能向上や三世代同居等の複数世帯の同居への対応に資するリフォームに対し補助を受けられる制度です。
参考:長期優良住宅化リフォーム推進事業
既存建築物省エネ化推進事業
民間事業者等が行う省エネ改修工事・バリアフリー改修工事に対し、国が事業の実施に要する費用の一部を支援する制度です。
参考:既存建築物省エネ化推進事業
補助金ポータルでも取り上げています。
https://hojyokin-portal.jp/airconditioning/
5.まとめ
2018年8月29日に国土交通省が提出した概算要求から、来年度はどのような補助金が出るのかに繋がるヒントとして、国交省の役割から、代表的な補助金も踏まえながら見てきました。
国交省の提出した要求総額は、昨年度比の19%増の6兆9,070億円。
公共事業関係費に6兆1,736億円があてられていますが、インバウンド強化や街づくりに対しても、約7000億等の概算要求が提出されています。
2019 年1月7日からの国際観光旅客税を見込んだ施策も行われる予定です。
バリアフリーやトイレの様式化、多言語化、古民家の活用から省エネ化まで、国交省ではとても幅広い取り組みをしています。
私たちの生活に大きく関係している機関である国交省。
31年度も補助金を通した支援があることが期待されますね。
この概算要求を元に、1月の国会で閣議決定が行われます。
31年度の制度の施行は31年4月からですが、動向はチェックしておくことをおススメします。
少しでもお役に立てる情報となれるよう、補助金ポータルでも色んな情報をお届けします。
是非、情報収集の一つとして、この補助金ポータルも定期的にチェックしてみてくださいね。
その他不明点などあればお気軽にご連絡ください。
https://hojyokin-portal.jp/inquiry/