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新たな経済対策で「人」への投資の強化が始まる!知っておきたい助成金「キャリアアップ助成金」とは

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昨今、持続可能性(サステナビリティ)という言葉をよく耳にします。

これからのビジネスに必須とされるSDGsは、"Sustainable Development Goals"(サステナブル ディベロップメント ゴールズ)の略で、日本語では持続可能な開発目標と訳されます。

日本語ではあるけれど、なんとなく持続可能性という言葉にピンとこないようでしたら、言い換えてみるとわかりやすいです。簡単にいうと、持続可能性とは、環境や社会などが将来にわたって維持され発展を続けることができることを意味します。環境保全や、社会、経済成長について語るときによく使われます。

「成長と分配の好循環」の実現に向けて、11月19日に新たな経済対策が閣議決定されますが、この中で日本経済を成長軌道に乗せるため持続可能性や「人」を重視し、新たな投資や成長につなげる方向性が示されると思われます。

とくに分配戦略に関しては、人への投資の強化が叫ばれており、非正規雇用の方、女性や若者、地方を含めて、国民全員が参加・活躍できる社会をつくることが重要視されていくのではないでしょうか。

そこで今回はコロナ禍で顕在化した非正規・女性の困窮などの課題をふまえて、人への投資に活用できる助成金「キャリアアップ助成金」についてご紹介します。優秀な人材の戦力化やモチベーションアップに取り組みたい、持続可能な視点から社会的価値の提供を考えてみたい、という方は詳細をご確認ください!

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この記事の目次

コロナで明らかになった課題

キャリアアップ助成金の説明の前に、非正規雇用労働者と女性の労働市場を確認しましょう。

コロナ禍で顕在化した課題のひとつに、非正規・女性の困窮などがあります。2010年以降、非正規雇用労働者は増加が続き、2020年は減少しましたが、非正規雇用の占める割合は雇用者全体の37.2%にのぼります。

増加が続いていた理由は、自分の都合のよい時間に働くことができるという点や、賃金引き上げなど待遇の改善があげられます。自由に働ける柔軟性を求めて非正規雇用を選ぶ人が増えていましたが、コロナ禍で失業や労働時間の縮減といった影響を受けたのも非正規の働き手で、安全網のない不安定さが浮き彫りになりました。

女性の正規雇用率は20代後半がピーク

女性の労働市場では結婚後に就業率が低下し育児が落ち着いた時期に上昇するといういわゆる「M字カーブ」を描くことで知られていますが、近年、女性の就業率の向上によって、M字の谷の部分が浅くなりM字カーブは解消しつつあります。

その中で、女性の正規雇用率については、20代後半でピークを迎えて低下するL字カーブになっているといわれており、30代以降の就業が非正規雇用となる傾向があります。これは、結婚・出産のほか、子どもの幼稚園・保育園入園や小学校入学などのライフイベントを重ねるにつれて非正規雇用という選択をしていることが考えられます。

女性の社会進出が進み家庭と仕事を両立しようとする女性の意欲が高まっていますが、正規雇用を望んだとしても育児や家庭の両立のために、時間の都合がつきやすい非正規雇用を選択しているという背景がみてとれます。

成長と分配の好循環に向けて「人」への投資の強化が始まる

中長期的に稼ぐ力を向上させて、その収益を賃上げ等の分配や更なる未来投資へ循環させることで持続的な成長を実現するというのが、政府がいう「成長と分配の好循環」です。賃上げだけでなく、男女間の賃金格差の解消、能力開発支援、人材育成など人への投資があって、次の成長へと続く分配が進みます。

非正規の正社員への雇用形態の転換や、同一労働同一賃金をはじめとする処遇改善が進めば、モチベーションの向上や収入の増加が見込まれ、消費の活発化につながることが期待されます。そのため、全体の3割以上を占める非正規の処遇改善、女性の活躍推進はこれからの好循環を生むために必要不可欠な取り組みになるといえるでしょう。

こうした取り組みに活用できるのが、今回ご紹介する「キャリアアップ助成金」です。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、多様で柔軟な働き方が拡大する中、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップ促進を支援するもので、使いやすいと人気の助成金の1つです。

キャリアアップ助成金の対象となる労働者は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の労働者で、取り組み内容によって以下7つのコースに分かれています。

  • 正社員化コース:非正規雇用者の正規雇用への転換または直接雇用
  • 障害者正社員化コース:障害のある非正規雇用者を正規雇用労働者等へ転換
  • 賃金規定等改定コース:すべてまたは一部の非正規雇用者の基本給の賃金規定等を増額改定
  • 賃金規定等共通化コース:非正規雇用者・正規雇用者の職務等に応じた賃金規定の共通化
  • 諸手当制度等共通化コース:非正規雇用者・正規雇用者の諸手当の制度の共通化、または非正規雇用者を対象とする「法定外の健康診断制度」を新設し、延べ4人以上実施
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース:非正規雇用者の社会保険の適用拡大や基本給の増額
  • 短時間労働者労働時間延長コース:非正規雇用者における労働時間の延長と社会保険適用

政府は、全ての女性が活躍できる社会を実現し、男女間の賃金格差の解消を図るため、企業側に短時間正社員の導入など多様な働き方の許容を求めており、令和3年度から正社員コースの加算措置の対象に短時間正社員制度を追加しています。

そこで、ここからは正社員コースに的を絞って内容をご紹介します。

キャリアアップ助成金 正社員コース

有期雇用労働者等の正規雇用等への転換、または派遣労働者を直接雇用した場合に、1人あたり以下の額が助成されます。非正規雇用の労働者のより安定度の高い雇用形態への転換等を通じたキャリアアップを目的としたコースです。

【助成額】※中小企業の場合
①有期 → 正規:1人あたり57万円(生産性要件を満たす場合は72万円)

②有期 → 無期:1人あたり28万5,000円(生産性要件を満たす場合は36万円)

③無期 → 正規:1人あたり28万5,000円(生産性要件を満たす場合は36万円)

1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は①~③合わせて20名までとなっています。また、ここでいう正規雇用労働者には「多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)」も含まれています。

【助成額の加算について】
以下の条件を満たす場合は、助成額の加算が行われます。

(1)派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用した場合に助成額を加算
※上記①③の場合:1人あたり28万5,000円(生産性要件を満たす場合は36万円)

(2)母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合に助成額を加算
(転換等した日において母子家庭の母等または父子家庭の父である必要があります)
※上記 ①の場合:1人あたり95,000円(生産性要件を満たす場合は12万円)、②③の場合:47,500円(生産性要件を満たす場合は6万円)

(3)勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、非正規雇用の労働者を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合に助成額を加算
※上記①③の場合:1事業所あたり95,000円(生産性要件を満たす場合は12万円)※1事業所当たり1回のみ

【主な支給要件】

  • 有期雇用労働者等を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する制度(派遣労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者として直接雇用する制度)を労働協約または就業規則その他これに準じるものに規定していること
  • 正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して3%以上※増額していること
  • 転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、対象となる事業所において事業主の都合により雇用保険被保険者を解雇等していないこと など

※これまで、正社員への転換時には5%の賃金アップが必要でしたが、令和3年度から3%になり活用しやすくなっています。

キャリアアップ助成金 申請の流れ

最後に申請までの流れをご紹介します。

(1)就業規則等の改定
正社員等への転換規定がない場合は事前に就業規則等を改定し、労働基準監督署に提出する必要があります。

(2)キャリアアップ管理者の選定
キャリアアップ計画の実施に掛かる責任者を選定します。資格要件などはありませんが計画の実行に必要な知識や経験を有している必要があります。

(3)キャリアアップ計画を作成・提出
助成対象となる労働者に講じる措置(正社員化など)を記載した計画書を作成し、労働局・ハローワークに提出します。※労働局・ハローワークが計画の作成援助等も行います。

(4)取り組みの実施
キャリアアップ計画に基づき、取り組みを実施します。

(5) 6か月雇用後支給申請
転換後6か月分の給与を支払った翌日から2か月以内に助成金の支給申請を行います。

▼申請様式はこちららダウンロードできます
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

(6)支給決定の通知書が届く
通知書が交付され、助成金が振り込まれます。

まとめ

今回は、多様で柔軟な働き方が拡大する中、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップ促進を支援する「キャリアアップ助成金(正社員コース)」についてご紹介しました。

政府は、成長と分配の好循環について、分配の原資を稼ぎ出す「成長」と次の成長につながる「分配」を同じタイミングで進めることが、新しい資本主義を実現するためのポイントだとしています。つまり、経済政策と雇用政策はどちらか一方ではなく、連携して対応していくものと考えられます。コロナ後の経済立て直しで経済・産業支援を行うなら、同時に雇用への支援も力を入れて行われるでしょう。

非正規雇用労働者の処遇向上はこれからの大きなテーマになるはずです。今後、非正規の正社員化や処遇改善を支援するキャリアアップ助成金の拡充や変更が行われる可能性もありますので、労働者の意欲向上、優秀な人材確保に取り組む場合や、非正規雇用の労働者を多く抱えている場合は、キャリアアップ助成金の動向を注視していきましょう。

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