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福岡市への企業進出を支援する立地交付金とは【最大10億円・2026年度半導体支援拡充】

公開日:2017/3/28 更新日:2026/6/22
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福岡市の立地交付金は、福岡市内に新たに進出する事業者を対象に、賃料・雇用・土地建物取得などへの助成が受けられる制度です。研究開発オフィス・コールセンター・本社機能など6つの分野ごとに用意され、最大10億円の支援が受けられます。

2026年4月には、半導体関連産業向けの大幅な要件緩和・拡充が行われ、ファブレス企業など小規模なスタートでも対象となるよう制度が拡充されました。

本記事では、6分野ごとの交付金額と要件、最新の改正内容、申請方法、よくある質問までをまとめて解説します。

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この記事の目次

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福岡市の立地交付金とは?制度の全体像

福岡市立地交付金制度は、「福岡市企業立地促進条例」を根拠とする企業誘致支援制度です。市内に新たに事業所を設置する事業者や、市内事業所を移転する事業者(物流関連業・都市型工業)を対象に、最大10億円の交付金が受けられます。

交付対象は以下の3つに分けられます。

・賃料への交付金(オフィス賃料の一部補助)
・雇用への交付金(雇用1人あたりの定額補助)
・土地・建物取得への交付金(取得額の一定割合の補助)

対象6分野と「賃借型/所有型」の2タイプ

立地交付金の対象は、以下の6分野です。

番号対象分野主な事業
研究開発用オフィスIT・デジタルコンテンツ・半導体・医療・環境関連の研究開発
コールセンター等コールセンター・データ管理センター
本社機能事務所・研究所・研修所
物流関連業貨物運送業・倉庫業等
都市型工業食料品製造業・印刷関連業等
外国・外資系企業のオフィス日本初進出または二次進出の外資系企業

それぞれの分野で、オフィス等を借りる「賃借型」と、土地・建物を取得する「所有型」の2タイプが用意されています。

【2026年4月改正】半導体関連産業向けに大幅拡充

福岡市は2026年4月1日、立地交付金制度を改正し、半導体関連産業(システムLSI設計等の研究開発事業)への支援を大幅に拡充しました。TSMCの子会社JASMの熊本進出を契機に九州での半導体集積が進む中、福岡市は九州で手薄な「半導体設計」分野(ファブレス企業)の集積を狙う戦略を打ち出しています。

改正の柱は以下の3点です。

①賃借型の適用要件を緩和

小規模のファブレス企業でも申請できるよう、要件が大幅に緩和されました。

項目改正前(基準規模)改正後(半導体関連産業)
オフィス延床面積60㎡以上要件なし
常用雇用3人以上1人以上

②雇用への交付金を倍増

福岡市民の正社員雇用1人あたりの交付金が、50万円から100万円に増額されました。業務関連の修士課程を修了した研究員も100万円の対象です。

項目改正前改正後
福岡市民・正社員1人あたり50万円100万円
上限額5,000万円5,000万円

③設備等導入費への交付金を新設

EDAツール・クリーンルーム等の設備(ソフトウェア含む)の導入経費が、新たに助成対象になりました。

項目内容
補助率対象経費の1/2
上限額1,000万円
対象経費半導体研究開発に用いる設備(ソフトウェア含む)
対象期間操業開始日以前1年以内

なお、金銭面の支援に加え、入居物件探し・人材採用・地場企業の紹介など、非金銭的サポートも用意されています。

試算例と申請時の注意点

福岡市の公表する試算例では、ファブレス企業の基準規模(オフィス20㎡・福岡市民の正社員2名・EDAツール1億円)で1,224万円、大規模型(オフィス300㎡・雇用30名・クリーンルーム3,000万円)で4,155万円が交付されます。

交付金の内訳基準規模(ファブレス)大規模型
賃料への交付金24万円1,440万円
雇用への交付金200万円1,715万円
設備への交付金1,000万円1,000万円
合計1,224万円4,155万円

なお、バーチャルオフィスやコワーキングスペースは対象外です。直接雇用者のみがカウント対象となり、派遣社員は常用雇用者の要件としてカウントされません。

対象事業者と申請の前提条件

立地交付金の対象事業者は、以下の3パターンに分けられます。

・市内に新たな事業所を設置して事業を開始する事業者
・市内事業所を移転する事業者(物流関連業・都市型工業のみ)
・大規模な物流関連業・都市型工業の施設提供者

研究開発用オフィスと外国・外資系企業については、創業5年以内の事業者向けの特例があります。福岡で創業した事業者、または創業5年以内で福岡市に本店登記を移転する事業者は、創業から5年までの間で最大3年間に増加した雇用者が交付対象となります(1人1回)。

ただし、地方拠点の分社化など、新規の創業と認められない場合は対象外です。

「常用雇用者」「福岡市民」の定義(派遣社員は対象外)

雇用への交付金の対象を理解するうえで、以下の用語の定義が重要です。

用語定義
正社員雇用期間の定めがなく、健康保険及び厚生年金に加入している常用雇用者
福岡市民住民票等の提出書類で確認できた方
常用雇用者自社の雇用保険に加入している者(派遣社員は対象外)

派遣社員は、雇用要件にカウントされず、雇用への交付金の対象にもなりません。あくまでも直接雇用者のみが対象です。

6分野別の交付金額と要件

①研究開発用オフィス

IT・デジタルコンテンツ・半導体・医療・環境分野の研究開発を行うオフィスが対象です。

【対象分野】
・知識創造型産業:情報通信技術・ロボット関連のソフトウェア開発、デジタルコンテンツ制作、ナノテクノロジー、システムLSI設計等の半導体研究開発、各種機械設計など
・健康・医療・福祉関連産業:医療機器、福祉機器、医薬品、保健機能食品等の研究開発
・環境・エネルギー関連産業:太陽電池、水素エネルギー、リサイクル関連技術、バイオテクノロジー研究開発など

【賃借型】

項目基準規模大規模
延床面積60㎡以上200㎡以上
常用雇用3人以上10人以上
賃料への交付金年間賃借額の1/4×1回年間賃借額の1/4×2回
賃料の上限額1,500万円5,000万円/回
雇用への交付金(福岡市民・正社員)50万円/人100万円/人
雇用上限額5,000万円1億円

【所有型】

項目基準規模大規模
延床面積200㎡以上400㎡以上
常用雇用10人以上20人以上
補助率投資額の5%投資額の10%
取得への上限額1億円10億円

※半導体関連産業の特例については本記事「半導体関連産業向けに大幅拡充」を参照ください。

②コールセンター・データ管理センター

電話・インターネット等の通信回線、PBX、CTI等のシステムを用いた顧客対応業務、およびデータ管理・事務処理業務が対象です。

【賃借型】

項目基準規模大規模
延床面積300㎡以上1,000㎡以上
常用雇用30人以上100人以上
賃料への交付金年間賃借額の1/4×1回年間賃借額の1/4×2回
賃料の上限額1,500万円2,500万円/回
雇用への交付金(福岡市民・正社員)50万円/人50万円/人
雇用上限額5,000万円5,000万円

【所有型】

項目基準規模大規模
延床面積300㎡以上1,000㎡以上
常用雇用30人以上100人以上
補助率投資額の5%投資額の10%
取得への上限額1億円10億円

③本社機能

事務所・研究所・研修所のいずれかとして、本社機能を担う部門が対象です。具体的には、調査・企画部門、情報処理部門、研究開発部門、国際事業部門、情報サービス事業部門、その他管理部門が対象です。

工場や店舗は対象外となります。

【賃借型】

項目基準規模大規模
延床面積500㎡以上1,000㎡以上
常用雇用20人以上40人以上
賃料への交付金年間賃借額の1/4×1回年間賃借額の1/4×2回
賃料の上限額5,000万円1億円/回
雇用への交付金(福岡市民・正社員)100万円/人100万円/人
雇用上限額1億円2億円

雇用への交付金の対象者は、操業開始時から3年間の雇用者(各年増加した雇用者)です。

【所有型】

項目基準規模大規模
延床面積500㎡以上1,000㎡以上
常用雇用20人以上40人以上
補助率投資額の5%投資額の10%
取得への上限額1億円10億円

④物流関連業【対象地域あり】

貨物運送業・倉庫業など、物流関連の事業が対象です。

【重要:対象地域の制限】
物流関連業は、福岡市内のすべての地域が対象ではありません。以下のエリアに限定されます。
・重点地域:アイランドシティ、香椎パークポート、九大学研都市
・流通業務地区:東区多の津1丁目、2丁目

進出を検討する場所がこれらのエリアでない場合、対象外となるため注意が必要です。

【賃借型】

項目基準規模大規模
延床面積2,000㎡以上20,000㎡以上
常用雇用10人以上200人以上
賃料への交付金年間賃借額の1/8×1回年間賃借額の1/6×1回
賃料の上限額5,000万円1億円

中小企業者の場合、延床面積要件は1,000㎡以上に緩和されます。

【所有型】

項目基準規模大規模
投資額3億円以上40億円以上
常用雇用10人以上200人以上
補助率投資額の2.5%投資額の5%
取得への上限額2億円10億円

中小企業者の場合、投資額要件は基準1.5億円・大規模20億円に緩和されます。土地への助成は、重点地域かつ市有地等を購入した場合のみ対象です。

【雇用への交付金(賃借型・所有型共通)】
福岡市民・正社員1人あたり50万円、福岡市民以外の正社員は10万円。雇用への上限額は5,000万円。

⑤都市型工業【対象地域あり】

食料品製造業、印刷関連業など、都市において需要がある製品の製造・加工事業が対象です。

【重要:対象地域の制限】
都市型工業の対象地域は、市内の工業系地域(都市計画法上の準工業地域、工業地域、工業専用地域)に限定されます。

【賃借型】

項目基準規模大規模
延床面積2,000㎡以上10,000㎡以上
常用雇用20人以上100人以上
賃料への交付金年間賃借額の1/8×1回年間賃借額の1/6×1回
賃料の上限額5,000万円1億円

中小企業者の場合、延床面積要件は1,000㎡以上に緩和されます。

【所有型】

項目基準規模大規模
投資額10億円以上40億円以上
常用雇用20人以上100人以上
補助率投資額の2.5%投資額の5%
取得への上限額2億円10億円

中小企業者の場合、投資額要件は基準5億円・大規模20億円に緩和されます。

【雇用への交付金(賃借型・所有型共通)】
福岡市民・正社員1人あたり50万円、福岡市民以外の正社員は10万円。雇用への上限額は5,000万円。

⑥外国・外資系企業のオフィス

「外国・外資系企業」とは、以下のいずれかに該当する企業を指します。

・外国企業:外国の法令により設立された企業、外国に主たる事務所を有する企業
・外資系企業:発行済株式総数または出資総額の50%超を外国企業または外国人が保有する国内企業

対象事業は、研究開発用オフィスと同じ3分野(知識創造型産業・健康医療福祉・環境エネルギー)に該当するもので、日本初進出または二次進出のケースが対象です。二次進出の場合は金融業(銀行、保険会社、監査法人、証券会社等)も対象に含まれます。ただし、金融業以外のBtoC事業は対象外です。

【賃借型】

項目基準規模大規模
延床面積60㎡以上200㎡以上
常用雇用3人以上10人以上
賃料への交付金年間賃借額の1/4×1回年間賃借額の1/4×2回
賃料の上限額1,500万円5,000万円/回
雇用への交付金(福岡市民・正社員)50万円/人100万円/人

【所有型】

項目基準規模大規模
延床面積200㎡以上400㎡以上
常用雇用10人以上20人以上
補助率投資額の5%投資額の10%
取得への上限額1億円10億円

【外国・外資系企業限定の設立費用補助】
市場調査、通訳、各種許認可の取得、登記等の経費、拠点設立に係る従業員の採用経費に対して、対象経費の1/2(上限300万円)の補助があります。姉妹都市またはMOU(経済交流等に関する覚書)締結都市からの進出企業は、渡航費(2名×2往復までの航空運賃)も対象です。

半導体関連産業の場合は、外国・外資系企業にも本記事「半導体関連産業向けに大幅拡充」で紹介した特例(オフィス面積要件なし、雇用1人以上、100万円、設備交付金)が適用されます。

中小企業向けの要件緩和(物流関連業・都市型工業)

福岡市内に事業所を有する中小企業者については、物流関連業と都市型工業の一部要件が緩和されています。

分野区分通常要件中小企業者の緩和後
物流関連業賃借基準・延床面積2,000㎡以上1,000㎡以上
物流関連業所有基準・投資額3億円以上1.5億円以上
物流関連業所有大規模・投資額40億円以上20億円以上
都市型工業賃借基準・延床面積2,000㎡以上1,000㎡以上
都市型工業所有基準・投資額10億円以上5億円以上
都市型工業所有大規模・投資額40億円以上20億円以上

この緩和措置によって、規模の大きな企業だけでなく、中小企業も活用しやすい設計となっています。福岡市内で事業展開を強化したい中小企業にとって、活用を検討する価値のある制度です。

なお、ここでの「中小企業者」は、市内に事業所を有する中小企業を指します。投資額要件における投資額には、土地の取得額は含まれません。所得税法施行令第6条第1号から第3号まで及び第6号に掲げる、対象事業の用に供される資産が対象です。

立地交付金の申請方法・手続きの流れ

立地交付金の申請は、以下のステップで進めます。

・事前協議:申請前に企業誘致課と協議を行います
・認定申請:契約前日までに申請
・オフィス等契約/土地・建物取得:認定後に契約締結
・操業開始:認定申請日から1年以内(所有型は3年以内)
・基準日:操業開始から所定期間内
・交付申請(賃料・建物等):基準日から3ヶ月以内
・現地確認・請求・支払い
・1年経過:継続雇用要件の確認
・交付申請(雇用):1年経過後の所定期間内
・現地確認・請求・支払い

申請は「賃料等」「雇用」など項目ごとに行います。

申請時期・操業開始期限・継続義務期間

立地交付金の申請には、以下の重要な期限があります。

申請時期

・賃借型:オフィス等の賃貸借契約の前日まで
・所有型:土地の売買契約(土地への助成を受ける場合のみ)、建物の売買契約または工事請負契約のいずれか早い日の前日まで

操業開始期限

・認定申請日から1年以内
・所有型の場合は3年以内

継続義務期間

・賃借型:5年間
・所有型:10年間

期間内に事業縮小・撤退した場合、交付金の全額または一部を返還する義務があります。立地交付金の申請にあたっては、「福岡市企業立地促進条例」ほか関係規定を熟読のうえ、定められた規定を遵守することに同意する必要があります。

申請には事前協議が必要

申請を検討する場合は、まず企業誘致課への事前協議が必須です。

【経済観光文化局 投資交流推進部 企業誘致課】
・Eメール:invest@city.fukuoka.lg.jp
・電話番号:092-711-4849
・FAX番号:092-711-4354
・住所:〒810-8620 福岡市中央区天神1-8-1 福岡市役所14階

【福岡市東京事務所(関東方面の事業者向け)】
・Eメール:tokyooffice.GAPB@city.fukuoka.lg.jp
・電話番号:03-3261-9712
・FAX番号:03-5276-7895
・住所:〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-1 日本都市センター会館12階

よくある質問

バーチャルオフィスやコワーキングスペースも対象になる?

半導体関連産業の研究開発オフィスについては、専有スペースの賃貸借契約が必要です。バーチャルオフィスやコワーキングスペースは対象外です。それ以外の分野については、各分野の延床面積要件を満たすことが前提となります。詳細は事前協議で確認してください。

派遣社員も雇用要件にカウントできる?

派遣社員は、常用雇用者の要件にカウントされません。雇用への交付金は、自社で直接雇用する正社員またはその他の常用雇用者(雇用保険に加入している者)のみが対象です。雇用への交付金の対象となるためには、操業開始時に雇用が確認でき、その後1年以上の継続雇用が確認できることも必要です。

中小企業でも申請できる?

中小企業でも申請可能です。特に物流関連業と都市型工業では、市内に事業所を有する中小企業者向けに、延床面積要件・投資額要件の緩和措置があります。詳細は本記事「5. 中小企業向けの要件緩和」を参照ください。

既存の事業所の拡充も対象になる?

立地交付金は基本的に、市内に新たな事業所を設置して事業を開始する事業者が対象です。ただし、物流関連業と都市型工業については、市内事業所を移転する事業者も対象になる場合があります。詳細は事前協議で確認してください。

「地方拠点強化税制」と何が違う?

地方拠点強化税制は、本社機能を移転・拡充する際の税優遇制度(国の制度)です。立地交付金は福岡市独自の交付金制度で、賃料・雇用・土地建物取得額に対する助成です。両者は併用が可能なケースもあるため、本社機能を福岡市に移転する場合は、両方の制度を併せて検討するとよいでしょう。

福岡県の「企業立地促進交付金」と何が違う?

福岡県の「企業立地促進交付金」は、福岡県内(福岡市以外も含む)に進出する企業を対象とする県の制度です。一方、本記事で解説している福岡市立地交付金は、福岡市が独自に行う制度で、市内への進出企業のみが対象です。立地予定地に応じて、適切な制度を選択する必要があります。


まとめ

福岡市立地交付金は、福岡市への進出を検討する事業者を支援する制度で、研究開発オフィス、コールセンター、本社機能、物流関連業、都市型工業、外国・外資系企業のオフィスの6分野で、賃料・雇用・土地建物取得に対する助成が受けられます。最大10億円の支援が受けられる手厚い制度です。

2026年4月には半導体関連産業向けの大幅な拡充が行われ、面積要件の撤廃、雇用助成の倍増、設備導入費の補助新設など、ファブレス企業をはじめとする半導体関連企業の集積を強力に後押しする内容となっています。

申請には事前協議が必須で、契約締結の前日までに認定申請を行う必要があります。活用を検討している事業者の方は、福岡市経済観光文化局企業誘致課への問い合わせから始めるとよいでしょう。

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