▼1月25日更新
※1月19日から第3期公募が開始しました。
岸田文雄首相は9月22日の記者会見で「全国旅行割(全国旅行支援)」を10月11日から開始すると明らかにしました。また、水際対策も同日に大幅緩和する方針を表明しました。
この水際対策緩和により、1日あたりの入国者数の上限が撤廃され、訪日客の個人旅行、ビザなし渡航が解禁となる予定です。外国人旅行客の流入本格化目前ということで、今回は、インバウンド対策として宿泊施設のデジタル化を支援する補助金をご紹介します。
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この記事の目次
宿泊施設のデジタル化は遅れている傾向
ネットを使って施設の情報を得たり、宿泊の予約をしたりすることは、すでに一般的になりました。専用の機械を使い、宿泊客が自分でチェックインの手続きをする宿泊施設も増えています。デジタル技術を活用した業務改革の流れは、宿泊施設にも影響を与えているようです。
しかし宿泊業全体としては、DXの予定がない企業も多いようです。
総務省が2021年に公表した業務別デジタル化の取組状況では、宿泊業、飲食サービス業の65.8%がDXを「実施していない、今後も予定なし」と回答しています。全体から見ても、宿泊業、飲食サービス業はDX化を検討していない企業の割合が高くなりました。
出典:総務省 情報通信白書令和3年版
宿泊業などのサービス業では人員不足も問題になっています。人手不足解消への期待も大きいDXの活用は、宿泊業界の業績回復の鍵となるはずです。まだ関心の低い企業も多かった宿泊業のDX化は、いま、まさに急務となりつつあります。
宿泊業の運営効率化に利用されるデジタル技術
宿泊施設の業務には、当日の利用者への接客以外に、宿泊予約や顧客管理などの作業があります。こうしたデータの管理は、ITが得意とする分野です。現在、多くの宿泊施設では宿泊施設管理システム(Property Management System)と呼ばれるシステムが採用されています。今回ご紹介する補助金でも、このシステムが補助対象になっています。
【宿泊施設管理システム(Property Management System)とは?】
宿泊施設管理システムとは、主に宿泊部門の管理システムを差す言葉です。予約や残室数、料金精算などの情報を一元的に管理できる仕組みで、顧客情報や予約経路のデータを分析して営業戦略に役立てることができます。宿泊施設管理システムの導入により、業務の効率化や顧客サービスの向上が期待されています。
宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制の強化事業とは
平成28年に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、2030年の訪日外国人旅行者数6,000万人などが目標として掲げられました。宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制の強化事業は、こうした動きやポストコロナの観光需要を見据えて設置された助成制度です。
ここではその概要や補助率をまとめました。
概要
宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制の強化事業は、全国各地の観光地においてすべての訪日外国人旅行者が快適に宿泊できる環境を整備することを目的としています。本事業では、宿泊施設におけるデジタル技術を活用した情報管理の高度化や生産性の向上、観光関係事業者等のデータ活用・連携強化等によって、地域全体で収益向上を図る取組に対して経費の一部が補助されます。
公募要件
本事業に申請できるのは、同一観光地に所在する宿泊施設を営む5者以上の民間事業者、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、業界団体等で構成されたグループです。また、補助の対象となるには、以下の①~④の要件をすべて満たすことが必要です。
①旅館業法に規定する許可を受けた宿泊施設であること
②風俗営業等でないこと
③令和5年4月以降も事業の継続を予定していること
④反社会的勢力の排除に関する誓約に同意すること
補助対象事業
補助の対象となる事業は、以下のとおりです。
①宿泊施設管理システム (PMS) のうち
- オンプレミス型の導入・更新
- クラウド型の導入(最大2年間の費用が対象)
②「情報管理の高度化」のための既存PMS本体の入れ替え
③PMS本体を周辺・外部システムと連結するために必要なカスタマイズ
補助対象経費
■システム購入費用
■システム利用に必要な機器購入費用
■設置および設置に伴う関連費用
■撤去費用
■雑役務費用
■システム・機器類の操作・取り扱い指導費用
■マニュアルの作成・印刷費用
補助の対象となる経費は、以下の①~③をすべて満たすものです。
①使用目的が補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
②補助金交付決定後の発注・契約等による経費
③見積書等により契約・支出金額が確認できる経費
なお、以下の経費などは補助の対象外です。
■グループ代表やグループ構成員の人件費など経常的経費
■中古品機器の購入・設置費用
■維持管理費用等ランニングコスト
■システムやソフトウエアの使用料等の費用
■補助対象事業への公募や交付申請に係るコンサルティング料等
■故障等に備えるための予備の機器及び部品の購入費用
■必要な経理書類を用意できないもの
■販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費
■オークションによる購入
■保証金、敷金、仲介手数料等不動産の賃貸に際し必要となる経費
■電話代、インターネット利用料金等の通信費
■事務用品等の消耗品
■税務申告、決算書作成等のために税理士費用等
■金融機関などへの振込手数料等
■公租公課
■各種保障・保険料
■講習会・勉強会・セミナー研修等参加費や受講費等
■その他、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
補助率・上限額
補助率や補助上限額は以下の通りです。
■補助率:1/3
■補助上限額:1施設あたり300万円(千円未満の端数切り捨て)
なお、補助対象事業の完了期限は令和5年2月28日です。
補助金交付までの流れ
補助金交付までの流れは以下の通りです。
- 公募
- 計画採択
- 交付申請
- 交付決定
- 補助事業実施
- 事業完了
- 完了実績報告
- 補助金交付
申請手続きの方法
申請の手続きは、メールにて必要書類を事務局に提出してください。宛先は以下のとおりです。
宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制強化事業事務局 宛
shinsei@skhk-digir4.jp
なお、メールの件名は「【申請グループ名】宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制の強化事業」とし、添付データはパスワードを付けて暗号化したうえで送信してください。
申請に必要な書類
申請に必要な書類は以下の①~③です。書類の様式は特設サイト (https://skhk-digir4.net) からダウンロードできます。
①宣誓・同意書
②申請フォーム
③事業計画書
第3期 申請の締め切りは令和5年1月19日(木)〜令和5年2月3日(金)必着です。
デジタル技術を活用して、地域全体での収益向上を目指そう!
長引く円安の影響を受け、観光業へのインバウンド需要は高まりを見せています。新型コロナウイルスの流行によって打撃を受けた宿泊業にとって、これは復興のチャンスです。しかし現状では、外国からの観光客を受け入れるための準備が整っていない施設も多くあります。
こうした問題の中には、業務のデジタル化によって解決できることもあります。デジタル技術をうまく活用することで、人手をほかの業務に回したり、言語の違いによるサービスの低下を防いだりすることもできます。
また、観光業は地域全体での盛り上げが重要です。地域全体の宿泊施設の質が向上することで、インバウンド効果はさらに高まるからです。宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制の強化事業を活用すれば、負担を減らして新しい技術を導入できますので、予算的な問題で設備導入に踏み切れずにいる地域や宿泊施設団体には、ぜひ利用してほしい制度です。
まとめ
DXの波は、社会的需要の高まりとともにさまざまなサービスに影響を与えてきました。一方で、宿泊業界においては、まだまだデジタル化による業務改善の可能性が残っています。
これから水際対策が緩和され外国人観光客の流入が本格化しますので、宿泊施設のデジタル技術を活用したサービス提供体制の強化事業をはじめとした補助制度を上手に取り入れ、地域全体でのインバウンド対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。