「出産のとき、まとまったお金がもらえるらしい」――そう聞いたことはあっても、その中身が健康保険・雇用保険による給付なのか、法律に基づく妊婦向けの給付なのか、自治体独自の祝い金なのかを正確に区別できている方は多くありません。実際、Web検索でも「出産手当」という言葉は、産休中の所得補償である「出産手当金」を指すこともあれば、出産費用の補填である「出産育児一時金50万円」や、地方自治体独自の「出産祝い金」を指すこともあり、複数の制度が混在して使われています
出産をめぐる支援制度は、2025年から2026年にかけて大きく変わっています。2025年4月には「妊婦のための支援給付」が法律に基づく制度として始まりました。2026年5月29日には、標準的な出産費用について自己負担がかからない仕組みを導入するための改正法が成立しています。さらに2026年8月1日には、育児休業給付金の上限額も改定されました。制度改正が続いているため、「出産に伴って受けられるお金」の全体像を確認しておくことが重要です。
この記事では、出産手当金・出産育児一時金・妊婦のための支援給付・育児休業給付金・自治体独自の出産祝い金という5つの主要制度について、金額・条件・支給時期・申請方法までを一気に整理します。会社員・自営業・専業主婦(夫)、それぞれの立場でいくらもらえるのか、この記事を読めば全部わかります。
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この記事の目次
出産手当とは?混同されがちな5つの制度を最初に整理
「出産手当」は俗称であり、正確には目的も支給元も異なる5つの制度を指しています。この記事のあとの章で詳しく解説する各制度を、まずは全体像として整理しておきましょう。
① 出産手当金(健康保険)……産休中の所得補償。原則として支給開始日前12か月間の平均標準報酬月額をもとに計算
② 出産育児一時金(健康保険・国民健康保険)……出産費用に充てる給付。原則1児あたり50万円
③ 妊婦のための支援給付……1回目5万円+2回目は胎児1人あたり5万円
④ 育児休業給付金(雇用保険)……育児休業中の所得を補う給付
⑤ 自治体独自の出産祝い金等……金額・対象・支給時期は自治体によって異なる
①と②は健康保険等、④は雇用保険から支給されます。③は子ども・子育て支援法に基づき市町村が認定・支給する全国制度で、⑤は自治体が独自に設ける制度です。加入している保険や働き方、住んでいる自治体などによって、利用できる制度が異なります。
| 制度名 | 支給額の目安 | 支給元 | 主な対象者 |
|---|---|---|---|
| 出産手当金 | 平均標準報酬月額をもとに計算した日額の約2/3 | 健康保険 | 健康保険の被保険者本人で、出産のため仕事を休むなどの要件を満たす人 |
| 出産育児一時金 | 原則1児あたり50万円 一定の場合は48万8,000円 | 健康保険・国民健康保険 | 健康保険・国民健康保険の加入者等 |
| 妊婦のための支援給付 | 1回目5万円+2回目は胎児1人あたり5万円 | 市町村 | 妊婦給付認定等の要件を満たす妊婦 |
| 育児休業給付金 | 休業開始時賃金の67% 181日目以降は50% | 雇用保険 | 雇用保険の被保険者で育児休業等の要件を満たす人 |
| 自治体独自の出産祝い金等 | 自治体によって異なる | 市区町村等 | 各自治体の要件を満たす世帯 |
出典:全国健康保険協会「出産手当金」/全国健康保険協会「出産育児一時金」/こども家庭庁「妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施」/厚生労働省「育児休業等給付について」
自分がどの制度の対象になるかは、次の章から順に確認していきましょう。まずは「出産手当金」について解説します。
出産手当金(健康保険)はいくら?計算方法と支給日を解説
出産手当金は、健康保険の被保険者本人が出産のため仕事を休み、その期間について給与の支払いを受けない場合などに支給される所得補償です。1日あたりの支給額は、原則として支給開始日前12か月間の平均標準報酬月額をもとに計算されます。国民健康保険では出産手当金は原則として支給されないため、市区町村の国民健康保険に加入している自営業・フリーランスの方などは原則対象外です。出産手当金の計算式と平均標準報酬月額別の早見表
出産手当金の1日あたりの支給額は、以下の計算式で決まります。
※平均標準報酬月額÷30の金額は10円未満を四捨五入し、その金額に2/3を掛けた後、1円未満を四捨五入します。
※予定日どおりに出産した場合、単胎では産前42日+産後56日の98日、多胎では産前98日+産後56日の154日が基本的な支給対象期間です。
「標準報酬月額」とは、毎月の給与などを一定の幅で区分した社会保険上の金額です。標準報酬月額は、勤務先の給与・社会保険担当者や、事業主から通知された標準報酬月額の決定内容などで確認できます。健康保険の標準報酬月額は最大50等級で、上限は139万円です。以下では、平均標準報酬月額ごとの支給額を示します。
| 平均標準報酬月額 | 1日あたり支給額 | 単胎98日分の合計 | 多胎154日分の合計 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 4,447円 | 43万5,806円 | 68万4,838円 |
| 30万円 | 6,667円 | 65万3,366円 | 102万6,718円 |
| 40万円 | 8,887円 | 87万926円 | 136万8,598円 |
| 50万円 | 1万1,113円 | 108万9,074円 | 171万1,402円 |
| 139万円 | 3万887円 | 302万6,926円 | 475万6,598円 |
※98日・154日は予定日どおりに出産した場合の支給日数です。予定日より遅れて出産した場合は、その遅れた期間も支給対象となるため、支給日数が増えることがあります。
全国健康保険協会「出産手当金」
加入期間が12ヶ月に満たない場合は、①支給開始日以前の各月の標準報酬月額の平均、②全被保険者の標準報酬月額の平均額として毎年度定められる金額(2026年度は32万円)、のいずれか低いほうを使って計算される点にも注意が必要です。令和7年4月以降に支給開始となる方から、この②の金額が30万円から32万円に引き上げられました。
出産手当金の支給期間(産前42日+産後56日)
出産手当金の支給対象期間は、原則として出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から、出産日の翌日以後56日目までの範囲です。この期間のうち、出産のため会社を休み、給与の支払いを受けなかった日が支給対象となります。出産が予定日より遅れた場合は、出産予定日以前42日(多胎妊娠は98日)から実際の出産日までの期間も支給対象となるため、遅れた日数分だけ支給期間が長くなります。出産手当金はいつ振り込まれる?支給時期は保険者によって異なる
出産手当金の支給時期は、加入している健康保険によって異なります。協会けんぽでは、申請書を受け付けた後、審査の結果支払いが可能な場合は受付日から10営業日以内を目安に支払うとしています。健康保険組合などでは取扱いが異なるため、加入先の案内を確認してください。出産手当金は産前分・産後分をまとめて申請することも、分けて申請することもできます。分割して申請する場合は、その都度事業主の証明が必要になるため、勤務先と申請時期を確認しておきましょう。
参考:全国健康保険協会「健康保険出産手当金支給申請書」
出産手当金がもらえない人・ケース
出産手当金は健康保険の被保険者本人にのみ支給される制度のため、以下のいずれかに該当する方は原則として対象外です。- 国民健康保険の加入者(自営業・フリーランスの方など)
- 配偶者の健康保険の被扶養者(専業主婦や、一定の収入・勤務条件を満たして扶養に入っている方など)
- 出産のため仕事を休んでおらず、通常どおり給与が支払われている方
- 退職後の継続給付の要件を満たさない方
出産育児一時金50万円・妊婦のための支援給付10万円との違い
「出産手当金」と混同されやすい制度が「出産育児一時金」と「妊婦のための支援給付」です。出産手当金は所得補償、出産育児一時金は出産費用の補填、妊婦のための支援給付は妊娠・出産期の経済的支援と目的が完全に異なるため、要件を満たせば3つとも重ねて受給できます。| 比較項目 | 出産手当金 | 出産育児一時金 | 妊婦のための支援給付 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 産休中の所得補償 | 出産費用の負担軽減 | 妊娠・出産期の経済的支援 |
| 支給額 | 平均標準報酬月額をもとに算出した日額の約2/3 | 原則1児あたり50万円 一定の場合は48万8,000円 | 1回目5万円+2回目は胎児1人あたり5万円 |
| 支給元 | 健康保険 | 健康保険・国民健康保険 | 市町村 |
| 対象者 | 健康保険の被保険者本人で要件を満たす人 | 健康保険・国民健康保険の加入者等 | 妊婦給付認定等の要件を満たす妊婦 |
| 受取方法 | 加入先の保険者へ申請 | 直接支払制度の利用または本人への支給 | 市町村へ申請・届出 |
出産育児一時金50万円の直接支払制度
出産育児一時金は、2023年4月に原則42万円から50万円へ引き上げられました。産科医療補償制度に加入する医療機関等で、在胎週数22週以降に出産した場合は1児あたり50万円です。産科医療補償制度の対象とならない出産では48万8,000円となります。双子など多胎の場合は、胎児数に応じて支給されます。健康保険の被保険者本人だけでなく、被扶養者の出産や国民健康保険の加入者も対象となる制度です。「直接支払制度」を利用すると、保険者から出産育児一時金が医療機関等へ直接支払われるため、出産費用全額をいったん自分で支払う負担を軽減できます。出産費用が出産育児一時金の額を上回った場合は差額を医療機関等に支払い、下回った場合は差額を保険者へ請求できます。
参考:全国健康保険協会「出産育児一時金」
妊婦のための支援給付(合計10万円)とは
妊婦のための支援給付は、2025年4月から子ども・子育て支援法に基づく制度として始まりました。1回目は妊婦給付認定を受けた妊婦に5万円、2回目は胎児の数の届出後に胎児1人あたり5万円が支給されます。単胎の場合は合計10万円、双子の場合は合計15万円となります。2回目の給付は「出生届を出した場合だけ」が対象になる制度ではありません。流産・死産・人工妊娠中絶などの場合でも、医師による胎児心拍の確認など一定の要件を満たせば対象となる場合があります。給付は現金を基本とし、本人が希望する場合には自治体がクーポンなど別の方法を用意することもあります。
参考:こども家庭庁「妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施」
2026年の出産費用無償化をめぐる最新動向
2026年5月29日、標準的な出産費用について自己負担がかからない仕組みを導入するための改正法が成立しました。これまでの「保険適用にするか、一時金を増額するか」という検討段階から、制度実施に向けた詳細を詰める段階へ進んでいます。厚生労働省の令和6年度データでは、正常分娩の平均出産費用は全国51万9,805円、東京都64万8,309円です。ただし、新制度で自己負担をなくす対象は「標準的な出産費用」とされており、本人が希望して選択するサービスや追加的な費用まで一律に無料になるわけではありません。2026年8月時点では新制度はまだ施行されておらず、施行時期や対象となる費用の詳細について検討が続いています。
参考:厚生労働省「医療保険制度改革について」/厚生労働省「令和8年5月29日厚生労働大臣記者会見概要」/厚生労働省「正常分娩の都道府県別の平均出産費用(令和6年度)」
自治体独自の出産祝い金・子育て支援制度
国の給付とは別に、自治体が独自の出産祝い金や子育て支援制度を設けている場合があります。金額だけでなく、出生順位、居住期間、継続居住、申請期限、支給時期などの要件は自治体によって大きく異なります。複数年に分けて支給する制度や、国の給付を含めた合計額を案内している自治体もあるため、金額だけで比較せず制度内容を確認することが重要です。高額な出産祝い金がもらえる自治体の代表事例
以下は、2026年8月時点で確認できる高額な出産祝い金制度の例です。制度は年度ごとに見直される可能性があるため、最新情報は各自治体の公式サイトで必ずご確認ください。市の案内では、第1子・第2子は合計10万円、第3子50万円、第4子100万円、第5子以降200万円です。ただし、この合計額には妊婦支援給付金が含まれます。また、第5子以降の200万円は出生時に一括支給される金額ではなく、1歳から6歳までの分割支給分を含みます。
出典:豊後高田市「子育て応援誕生祝い金」
福島県矢祭町「すこやか赤ちゃん誕生祝金」
第1子・第2子30万円、第3子50万円、第4子100万円、第5子以上150万円です。さらに第3子以上には「健全育成奨励金」として、2歳から11歳まで毎年5万円、合計50万円が支給されます。
出典:矢祭町「すこやか赤ちゃん誕生祝金」
大阪府松原市「令和8年度松原市多子世帯応援補助金」
第3子以降を対象に、出生時30万円、小学校入学時35万円、中学校入学時35万円が設けられています。ただし、小・中学校入学時の補助には継続居住などの要件があり、その時点で制度が継続していることも必要です。出生時点で将来の合計100万円が確約される制度ではありません。
出典:松原市「令和8年度松原市多子世帯応援補助金」
栃木県日光市「すくすく赤ちゃん券」
1歳未満の子を養育する保護者に、おむつや授乳関連用品などに利用できる3万円分の券を交付します。申請期限は誕生月から6か月以内です。
出典:日光市「すくすく赤ちゃん券」
自治体祝い金の申請時の注意点
自治体独自の出産祝い金には、国の給付にはない独自の要件が付されているケースがほとんどです。以下の点は必ず事前に確認しておきましょう。- 居住要件:出産前から一定期間その自治体に住んでいることを求める制度があります
- 継続居住要件:出生後も一定期間その自治体に住み続けることを条件とする制度があります
- 申請期限:期限は自治体ごとに異なります。出生後数か月以内の制度もあれば、異なる申請期間を設ける制度もあります
- 出生順位要件:第3子以降など、対象となる子の順位を定めている場合があります
- 支給時期:出生時の一括支給だけでなく、数年間に分けて支給する制度もあります
- その他の要件:所得、税の滞納、居住状況など独自要件が設けられている場合があります
住まいの市区町村の出産祝い金を確認する3つの方法
自分の住む市区町村に出産祝い金があるかを調べるには、以下の3つの方法が確実です。第一に、市区町村の公式サイトで「出産祝い金」「子育て支援」「妊娠・出産」のいずれかのキーワードで検索します。第二に、母子健康手帳を受け取る際に、担当窓口の職員に「出産に関する市独自の給付制度はありますか」と直接尋ねます。第三に、市区町村役場の子ども家庭課・子育て支援課に電話で問い合わせるのが最も確実です。産休・育休の間にもらえるその他のお金
出産手当金の後に続く給付や、社会保険料の免除も見逃せない大きな経済的メリットです。出産した女性が産後休業に続けて育児休業を取得する場合、原則として産後休業終了後から育児休業給付金の対象となります。育児休業給付金は月上限332,454円へ(令和8年8月改定)
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が一定の要件を満たして育児休業を取得した場合に、原則として休業開始時賃金の67%、181日目以降は50%が支給される制度です。原則として1歳未満の子の育児休業が対象で、保育所等に入れないなど一定の要件を満たした場合は1歳6か月、さらに2歳まで延長される場合があります。令和8年8月1日の改定により、67%が適用される期間の1か月あたりの支給上限額は332,454円です。産休(出産手当金)と育休(育児休業給付金)は連続して受給できるため、産前42日から育休終了までのほぼ全期間(延長要件や給付対象外期間が発生する場合もあります)、所得補償を受けながら休むことが可能です。
産後パパ育休と出生後休業支援給付金(手取り10割相当)
産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に最大28日間、2回に分割して取得できる父親向けの休業制度です。給付率は原則67%ですが、令和7年4月に創設された「出生後休業支援給付金」により、原則として両親ともに出生直後の一定期間に14日以上の育児休業を取得するなどの要件を満たした場合、13%が上乗せされて給付率80%(最大28日間)となります。この上乗せ分を加えると、社会保険料免除・非課税と合わせて実質手取り10割相当となる設計です。なお、配偶者がいない場合や、配偶者が自営業・フリーランス、無業、産後休業中である場合など、配偶者の育児休業取得を求めない例外もあります。
産前産後休業中の社会保険料は全額免除
産前42日(多胎98日)から産後56日までの間、健康保険料・厚生年金保険料の被保険者負担分と事業主負担分がともに免除されます。免除期間中も健康保険の給付は通常どおり受けられ、将来の年金額にも影響しません。会社を通じて日本年金機構に申出をすることで手続きが完了します。育児休業期間中の社会保険料も同じく免除の対象です。自営業・フリーランスの国民年金育児免除(2026年10月開始)
これまで自営業・フリーランスは、産前産後の国民年金保険料の免除制度はあったものの、育児期間中の免除はありませんでした。2026年10月から、国民年金の育児期間中保険料免除制度がスタートします。子が1歳になるまでの期間、国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス・無職の方)保険料が免除されます。出産手当金の申請方法とスケジュール
出産手当金は「健康保険出産手当金支給申請書」を使って申請します。提出方法は加入している健康保険によって異なり、協会けんぽでは本人による電子申請や郵送も可能です。事業主による勤務状況や給与支払い状況の証明などが必要になるため、産休に入る前に勤務先と加入している健康保険へ申請方法を確認しておきましょう。【ステップ1】加入している健康保険の申請方法と申請書を確認する
【ステップ2】申請書の被保険者記入欄を記入する
【ステップ3】必要に応じて医師・助産師の証明を受ける
【ステップ4】勤務先に事業主証明を依頼する
【ステップ5】加入している健康保険へ申請書を提出する
※産前分・産後分をまとめて申請することも、分けて申請することもできます。提出方法や必要書類は加入先によって異なるため、各保険者の案内を確認してください。
申請書には被保険者記入欄や事業主証明欄などがあり、申請内容に応じて医師・助産師の証明が必要になる場合があります。事業主証明には、休業期間や賃金支払い状況などが記載され、支給額の確認に使われます。特に事業主記入欄には「休職期間」「賃金支払いの有無・金額」が記載され、この内容が支給の可否・金額に直接影響します。
出産手当金の請求権には2年の時効があります。時効は、出産のため労務に服さなかった日ごとに、その翌日から進行します。そのため、「出産日から一律2年」ではありません。申請が遅れている場合は、加入している健康保険へ早めに確認してください。書類の準備や医師の証明取得に時間がかかるため、産後2〜3ヶ月以内に申請を済ませるのが現実的です。国民健康保険の加入者は原則として出産手当金の対象外ですが、一部の国民健康保険組合(歯科医師国保など)では独自に出産手当金を支給しているケースもあるため、加入先に確認してみてください。
出産手当に関するよくある質問
出産手当と出産手当金は同じですか?
「出産手当」は法律上の正式な制度名ではありません。一般には「出産手当金」を指して使われることがありますが、出産育児一時金や自治体独自の祝い金などを含めて使われる場合もあります。この記事では、出産前後に利用できる主な給付・支援制度をまとめて紹介しています。
出産手当金はパートやアルバイトでももらえますか?
勤務先の健康保険に被保険者本人として加入し、出産のため仕事を休んで給与の支払いを受けないなどの要件を満たせば、パート・アルバイトでも出産手当金の対象になります。配偶者などの健康保険の被扶養者は出産手当金の対象ではありません。
出産手当金と出産育児一時金は両方もらえますか?
それぞれの要件を満たせば両方受け取れます。出産手当金は産休中の所得補償、出産育児一時金は出産費用の負担軽減を目的とする別の給付です。妊婦のための支援給付も別制度のため、それぞれの支給要件を満たせば利用できます。
出産手当金はいつ振り込まれますか?
支給時期は加入している健康保険によって異なります。協会けんぽでは、申請書受付後、審査の結果支払い可能な場合は受付日から10営業日以内を目安としています。健康保険組合などでは異なるため、加入先の案内を確認してください。
退職しても出産手当金はもらえますか?
一定の要件を満たせば、退職後も出産手当金を継続して受け取れる場合があります。資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日、通常は退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態であることなどが必要です。退職日に出勤した場合は、退職後の継続給付を受けられません。
出産手当金と育児休業給付金は同時にもらえますか?
原則として同じ期間について両方を受け取る制度ではありません。出産した女性が産後休業に続けて育児休業を取得する場合、産前産後休業中は出産手当金、育児休業開始後は育児休業給付金というように、それぞれの対象期間に応じて受給します。
双子・三つ子の場合、出産手当金は増えますか?
多胎妊娠では産前の支給対象期間が長くなるため、支給総額が増える場合があります。予定日どおりに出産した場合、単胎は産前42日+産後56日の98日、多胎は産前98日+産後56日の154日が基本です。予定日より遅れて出産した場合は、その遅れた日数も支給対象となります。
出産手当金の申請期限はいつまでですか?
出産手当金の請求権は、出産のため労務に服さなかった日ごとに、その翌日から2年で時効となります。「出産日から一律2年」ではないため、申請が遅れている場合は加入している健康保険へ早めに確認してください。
自治体の出産祝い金はどこで確認できますか?
住民票のある市区町村の公式サイトで「出産祝い金」「子育て支援」といったキーワードで検索するのが最も確実です。母子健康手帳を受け取る際の窓口で担当職員に尋ねる、または市区町村役場の子ども家庭課・子育て支援課に電話で問い合わせる方法もあります。制度は年度ごとに見直されるため、出産予定日が近づいたタイミングで最新情報を確認しましょう。
自営業・フリーランスは出産手当金がもらえないのですか?
市区町村の国民健康保険では出産手当金は原則として支給されないため、自営業・フリーランスの方は通常、出産手当金の対象外です。ただし、一部の国民健康保険組合では独自の給付を設けている場合があります。出産育児一時金や妊婦のための支援給付については、それぞれの要件を満たせば利用できます。さらに2026年10月からは、国民年金第1号被保険者を対象とする育児期間中の保険料免除制度が始まります。
まとめ
「出産手当」は法律上の正式な制度名ではありませんが、出産前後には、出産手当金、出産育児一時金、妊婦のための支援給付、育児休業給付金、自治体独自の祝い金など、複数の支援制度があります。それぞれ対象者や目的、計算方法が異なるため、自分がどの制度の要件を満たすか確認することが重要です。たとえば、支給開始日前12か月間の平均標準報酬月額が50万円で、予定日どおりに単胎を出産し98日分の出産手当金が支給される場合、出産手当金は約108万9,074円です。さらに、それぞれの要件を満たして出産育児一時金50万円と、単胎の場合の妊婦のための支援給付10万円を受けると、合計は約168万9,074円になります。ただし、出産育児一時金は出産費用の負担軽減を目的とする給付であり、出産条件によっては48万8,000円となる場合もあります。
2026年には育児休業給付金の上限額が改定され、10月からは国民年金第1号被保険者を対象とした育児期間中の保険料免除制度も始まります。また、標準的な出産費用について自己負担をなくすための改正法も成立しました。出産予定が決まったら、勤務先、加入している健康保険、住民票のある市区町村の案内を確認し、利用できる制度と申請時期を確認しておきましょう。
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