毎月の家賃やローン返済は、家計の大きな負担となります。しかし、企業や自治体、国が提供する家賃補助制度を利用すれば、住居費の負担を大幅に軽減することも可能です。
家賃補助制度は、企業・国・自治体が展開しています。自身の住居環境が変化するタイミングで、活用できる制度がないかをチェックしてみましょう。
今回は、家賃補助制度の具体的な種類や概要を解説します。
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この記事の目次
家賃補助制度とは?
家賃補助制度とは、企業や国、地方自治体が住居費の負担を軽減するために設けている支援制度の総称です。毎月の家賃やローン返済といった住居にかかる費用の一部が補助されるので、生活費の負担を大きく減らすことができます。
家賃補助制度には「家賃補助」「住宅手当」「助成金」「給付金」などがあります。主な違いは、以下のとおりです。
基本的には同じ意味で使われることが多く、どちらも企業が従業員の住居費を支援する福利厚生制度を指します。ただし企業によっては、「住宅手当」を給与に上乗せする形で支給し、「家賃補助」を実際の家賃に応じて支給するなど、細かい運用方法で区別している場合もあります。
■補助金
地方自治体が特定の政策目的のために支給する
■助成金
企業や団体が従業員や利用者を支援するために支給する
■給付金
国が生活困窮者などへ広く支給する
ただし、使い分けが曖昧なケースもあります。
利用対象者も、制度ごと異なります。企業の制度は正社員が対象となることが多く、自治体や国の制度では年齢、世帯構成、所得、居住年数といった条件が設けられています。主な対象者には、企業に勤める従業員、地方へ移住する方、一定の所得基準を満たす子育て世帯、生活に困窮している方などが挙げられます。
どの制度を利用できるかは勤務先や居住地域、家族構成、収入状況によって違いますので、要件をよく確認しましょう。
企業による家賃補助制度
企業による家賃補助制度には、主に以下の2つが挙げられます。| 家賃補助制度の種類 | 内容 |
| 住宅手当(家賃補助) | 従業員の家賃や住宅ローンなどの費用の一部を企業が補助する制度 |
| 借り上げ住宅 | 企業がマンションやアパートを借り上げて従業員に割安で貸し出す制度 |
企業による家賃補助制度では「住宅手当(家賃補助)」が一般的です。住宅手当を活用すると、本来の給与に家賃や住宅ローンの支払い金額が上乗せされます。毎月の家賃や住宅ローンの支払い負担を抑えられる点が魅力です。ただし住宅手当はあくまでも「企業が独自で定める福利厚生」です。法的な支給は、定められてはいません。
一方「借り上げ住宅」は、企業が物件を丸ごと借り上げて、従業員に割安で貸し出す制度です。従業員は企業が決めた物件を契約すれば良く、自分で不動産を探したり物件を決めたりする手間がありません。また、家賃の一定額以上を従業員が負担する場合は非課税扱いになるため、住宅手当よりも税金の負担を減らせます。
こうした家賃補助制度は、資金が潤沢な大企業ほど導入される傾向にあります。
現在では価値観が多様化し、「ルームシェアをする」「実家に住み続ける」「全国を旅する」など、さまざまな住居スタイルが当たり前になってきました。こうした状況を背景に、住宅手当や借り上げ住宅は、減少傾向にあります。
また住宅手当ではなく、リモート勤務などに対応した「在宅勤務手当」に移行するケースも増えています。
地方自治体の家賃補助制度
地方自治体が家賃補助制度を展開しているケースもあります。例として、いくつかの自治体での家賃補助制度を見てみましょう。
| 自治体 | 補助制度名 | 補助制度の概要 | 補助対象要件 |
| 東京都豊島区 | 子育てファミリー世帯家賃助成制度 | 5年間もしくは児童が15歳に達した年度末まで、基準家賃との差額の一部を助成(月3万円が上限) | ・申請時点で15歳以下の児童1名以上と、その児童の扶養者が同居している ・住所を移動してから1年以内 ・前年の世帯合計所得が、月額33万8,000円以下 等 |
| 大阪府大阪市 | 新婚世帯・子育て世帯向け家賃補助 | 公社賃貸住宅へ入居する「新婚世帯」「子育て世帯」を対象として、2年間家賃を補助(月2万円が上限) | ・入籍後1年以内(または1か月以内に入籍する)の新婚世帯 ・18歳以下の子どもがいる(もしくは入居後5年以内に出産)の子育て世帯 |
| 福岡県八女市 | 若年世帯家賃支援補助金 | 実質家賃負担額の1/2(月1万円が上限)を、最長で36か月補助 | ・夫婦の合計年齢が80歳未満 ・世帯全員が八女市に4年を超えて定住する意思を持ち、住民基本台帳に登録している 等 |
| 北海道夕張郡長沼町 | 町内就業者定住促進家賃助成事業 | 家賃の負担額が1万円、または1万2,000円になるように差額を助成(月2万5,000が上限) | ・町内の民間事業所に通年雇用され、町外から移住する 等 |
| 広島県府中市 | 三世代同居・近居支援事業 | 引越し費用等の1/2(10万円が上限)を助成 | ・小学生以下の子どもが同居している ・新たに、親世代と同居または近居すること 等 |
地方自治体による家賃補助制度は、主に「自治体への移住促進」「生活困窮者への救済措置」などを目的として運営されています。もし「これから引越しの予定がある」などの場合、移住者を対象にした家賃補助を受けられる可能性があるため、事前にチェックしましょう。インターネットで「自治体名+家賃補助制度」などで検索すると確認できます。
国の家賃補助制度
主な国の家賃補助制度には、「移住支援金」と「住宅セーフティネット制度」があります。それぞれの概要を見ていきましょう。
移住支援金(東京圏から地方への移住)
移住支援金は東京23区に在住または通勤する人が東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です。実施期間や支給額等は地方公共団体によって異なります。
助成対象者の主な要件は、以下のとおりです。
■東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者である
■地域の中小企業等への就業やテレワークにより、移住前の業務を継続または地域で社会的起業などを実施する
【受給額】
■世帯 100万円以内
■単身 60万円以内
18歳未満の子どもがいる場合、1人につき最大100万円の加算があります。
なお受給額は、各都道府県が設定しています。
住宅セーフティネット制度
住宅セーフティネット制度とは、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」のことです。高齢者や低所得者、障害者、子育て世帯、被災者などの住宅確保要配慮者が、民間の賃貸住宅に円滑に入居できるよう支援します。2025年10月には法改正が施行される予定です。
改正後は、利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する制度が創設されます。
そのほか、「住居確保給付金」では就職活動を支えるための家賃の補助のほか、2025年4月から家計の立て直しのための転居費用の補助が拡充されました。
特優賃、公社住宅などの割安な住宅
他にも、国や自治体の補助を受けた割安な住宅があります。主な住宅は以下の通りです。
| 住宅名 | 概要 | メリット |
| 特定優良賃貸住宅(特優賃) | 「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づき建設された賃貸住宅 | ・保証人不要 ・更新料や礼金、仲介手数料などが不要 ・家賃補助あり |
| 公社住宅 | 東京都住宅供給公社(JKK東京)が管理する公的賃貸住宅 | ・幅広い種類の住宅から選べる ・都心から郊外まで幅広い住居地を選べる ・礼金、仲介手数料、更新料がない |
| UR(都市機構) | UR都市機構が管理する賃貸住宅 | ・礼金、仲介手数料、更新料がない |
| 公営住宅 | 国と地方公共団体が住宅に困窮する低額所得者に対して、公営住宅法に基づき安価な家賃で提供する住宅 | ・入居は先着順ではなく、抽選 ・収入額に応じて家賃が決まる |
利用者に条件が設定されている制度もあります。利用条件や物件の詳細等は自治体によっても異なりますので、まずは担当の窓口等に相談してみましょう。
家賃補助制度 申請のポイント
家賃補助制度を利用するには、申請手続きが必要です。たとえ対象者であっても、申請しなければ受給できないので、注意してください。
また、制度の内容や条件は年度ごとに変更される可能性があります。必ず最新情報を確認しましょう。
ここでは、主な申請の流れをまとめました。
企業での申請
企業によって、申請時期や手続きが異なります。住宅手当を申請する際は、まず総務部や人事部に確認してください。
一般的に必要となる書類は、住民票や賃貸借契約書のコピー、家賃の支払いを証明する書類などです。持ち家の場合は、住宅ローンの返済予定表や契約書の提出を求められることもあります。
申請書類を人事部または総務部に提出し、審査を経て承認されれば、翌月以降の給与に住宅手当が上乗せされる流れが一般的です。
ただし企業の制度は福利厚生規程に基づいて運用され、年度ごとに支給条件や金額が見直される場合があります。定期的に社内規定を確認し、変更があれば速やかに対応しましょう。
自治体の申請
自治体の制度は、移住促進や子育て支援など特定の政策目的に沿って設計されています。対象者や条件も細かく設定されているので、自治体のホームページなどで制度をよく確認しましょう。
申請には、住民票や所得証明書、賃貸借契約書、家族構成を証明する書類などが必要です。また予算の範囲内で実施されるため、年度によって内容が変更されたり、募集が停止されたりすることがあります。最新情報を確認し、募集開始時には早めに申請を行いましょう。
国の制度
国の家賃補助制度を活用する場合、市区町村の福祉課や自立相談支援機関が窓口となります。申請には住民票や収入証明書、離職証明書などが必要です。また審査では、収入基準や資産基準を満たしているか、求職活動を行う意思があるかなどが確認されます。
なお国の制度も、年度ごとに要件や支給額が見直されることがあります。制度を利用する際は必ず最新の情報を確認し、申請期限や必要書類を事前に準備してください。
よくある質問
家賃補助制度全体に関して、よくある質問と回答をまとめました。住宅手当に税金はかかりますか?
住宅手当は給与所得の一部として扱われるため、所得税や住民税の課税対象となります。ただし借り上げ社宅の場合、従業員が家賃相当額の一定割合以上を負担していれば、企業負担分は非課税です。
実家暮らしでも住宅手当はもらえますか?
一般的に、実家で世帯主である父母等と同居している従業員には住宅手当が支給されません。ただし世帯分離をして従業員本人が世帯主として届け出をすることで、受給できる場合もあります。企業の規定により異なるため、人事部や総務部に確認が必要です。
自治体の家賃補助は誰でも申請できますか?
自治体の家賃補助制度には厳格な条件があります。多くの自治体では所得制限が設けられ、世帯収入が一定額以下であることが条件です。またほとんどの場合、子育て世帯や新婚世帯、移住者など、特定の対象者に限定されています。
家賃補助の申請を忘れていました。遡って受給できますか?
企業の住宅手当については、就業規則や社内規定によって異なります。自治体や国の制度では申請期限が設けられている場合が多く、遡っての受給は原則として認められません。
まとめ
家賃補助制度は、企業・自治体・国の三層構造で展開されています。それぞれ目的や対象者が異なるので、注意してください。
企業の住宅手当や借り上げ社宅は、従業員の生活費負担を軽減し、福利厚生を充実させる目的で実施されます。一方地方自治体の制度は、移住促進や子育て支援などの政策目的に沿って設計されるものです。国の制度は生活困窮者の住居確保を支援するセーフティネットとしての役割を担っています。自身の状況に合った制度を選択しましょう。
いずれの制度も、内容や条件は年度ごとに変更される可能性があります。定期的に情報をチェックし、対象となる可能性がある制度には早めに申請してください。
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