「親が病気で、子どもが家事や兄弟の世話をしている」「介護のために学校を欠席することがある」――ヤングケアラーは「一部の恵まれない子」が当てはまるわけではなく、実際はもっと身近な問題です。テレビ番組等で話題になったことで「ヤングケアラー」という言葉を知っている人もいるかと思いますが、家族の介護や日常的な世話を担っている子ども・若者は、身近な地域にも存在します。
また、本人が自身をヤングケアラーだと自覚していないことも多く、支援につながらないことも少なくありません。本記事では、ヤングケアラーが孤立する理由と、本人やその家族が状況に応じて利用できる制度を紹介します。
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この記事の目次
ヤングケアラーとは?定義・具体例をわかりやすく解説
「ヤングケアラーとは」「ヤングケアラー 定義」という検索が多くあります。まず基本から整理します。
こども家庭庁では、ヤングケアラーとは「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」であると定義しています。具体的には、以下の事例が当てはまります。

出典:こども家庭庁 ヤングケアラーについて
・家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている
・障害や病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている
・目の離せない家族の見守り・声かけ・気づかいなどの情緒的ケアをしている
・日本語が第一言語でない家族や障害のある家族のために通訳をしている
・障害や病気のある家族に代わり、家計を支えるために働いている
・精神疾患やアルコール・薬物・ギャンブルなどの問題を抱える家族の情緒的ケアや周囲との調整などを行っている
・がん・難病のほか慢性的な病気の家族の看病をしている
・障害や病気のある家族の身の回りの世話をしている
・障害や病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている
「お手伝い」の範囲を超え、本人の学業や進路・交友関係等に支障をきたすようなケアをしている子ども・若者がヤングケアラーと呼ばれます。日本財団の調査によると、中学2年生のうち17人に1人が「世話をしている家族がいる」と回答しています。
また、全日制高校生のケースでは、ヤングケアラーと思われる人のうち「家計を支えるために、アルバイト等をしている」と答えた人が全体の64.5%となっており、学業と並行して経済的役割を担っている実態がうかがえます。
(出典:日本財団 数字で見るヤングケアラー)
ヤングケアラーが生まれる背景・原因
「ヤングケアラー 原因」という検索もあります。ヤングケアラーが生まれる主な背景には以下があります。
- 家族に介護・支援が必要な状況(親の疾患・障害・精神疾患・アルコール問題など)があるにもかかわらず、十分な外部サポートが得られていない
- ひとり親家庭など、世帯内で子どもがケアを担わざるを得ない状況
- 家族が外部支援を利用することに抵抗がある、または制度を知らない
- 経済的困窮により必要なサービスを利用できない
ヤングケアラーが支援につながりにくい理由
ヤングケアラーに対する支援の整備が進んでいますが、実際には支援につながらないケースも多いです。その理由として、制度上の問題と、本人側が置かれている状況の両方が挙げられます。
ここでは、ヤングケアラーが支援につながりにくい理由を4つ解説します。
ほとんどの制度は申請しないと使えない
多くの支援制度は、行政側から自動的に支給されることはなく、本人や家族から申請が必要です。しかしヤングケアラーの場合、親が手続きを行う余裕がない、そもそも制度の存在を知らないといった事情から申請ができないケースが少なくありません。
結果として支援制度があっても制度の利用に至らないことが多く、当事者や家庭に届かない状況が続いています。
支援の窓口が分かれており状況全体が把握されにくい
ヤングケアラーに関する問題は、教育・福祉・介護・医療・子ども支援といった複数の分野があります。一方で、支援窓口は分野ごとに分かれており、1つの窓口だけでは全体像を把握しにくいのが現状です。
そのため、「家族の介護のため学校を休まなければならない」と学校に相談した場合、教育分野の支援は受けられても、家族の介護の支援にはつながらないといったことが起こりやすくなっています。
本人が「ヤングケアラー」だと自覚していない
ヤングケアラーと判断される子どもや若者自身が、自分がヤングケアラーだと自覚していないことも少なくありません。日本財団の調査によると、「自分がヤングケアラーだ」と自覚している人は、ヤングケアラーだと答えた人の2%に留まっています。
本人にとっては、家族の世話をするのが当たり前だと思っている場合もあり、ヤングケアラーだという意識を持ちにくいことも多いです。その結果、困っていても支援を求める発想が生まれにくいという問題があります。
(出典:日本財団 数字で見るヤングケアラー)
家庭内の問題として抱え込みやすい
ヤングケアラーの多くは、家族の世話について友人や周りの大人に相談することに抵抗を感じています。調査によると、家族の世話をしている中高生の67.7%が、世話について相談したことがないと回答しています。
相談しない理由を調査したところ、以下の6つの回答がありました。
・相談しても状況が変わるとは思わない
・家族のことのため話しにくい
・誰に相談するのがよいか分からない
・家族に対して偏見を持たれたくない
・家族のことを知られたくない
(出典:日本財団 数字で見るヤングケアラー)
こうした気持ちの面での理由から、問題が長期化するケースも少なくありません。
【困りごと別】利用できる可能性がある公的支援制度と対応窓口
ヤングケアラー本人やその家族が、困りごとに応じて利用できる可能性がある支援を紹介します。制度ごとに相談窓口も合わせて紹介するので、状況に当てはまる人はご検討ください。
学業・進学に関する支援
| 困りごと | 制度名 | 申請する人 | 相談窓口 |
|---|---|---|---|
| 小中学校の学費や制服代が負担 | 就学援助制度 | 保護者 | 小中学校・市区町村の役所 |
| 高校の授業料が負担 | 高等学校等就学支援金(高校無償化) | 保護者 | 高校・オンライン |
| 高校の授業料以外の教育費が負担 | 高校生等奨学給付金 | 保護者 | 高校・県庁 |
| 大学に進学するお金がない | 給付型奨学金・授業料免除 | 進学する学生本人 | 高校・大学 |
生活費・経済面の支援
| 困りごと | 制度名 | 申請する人 | 相談窓口 |
|---|---|---|---|
| お金がない・生活が苦しい | 生活困窮者自立支援制度 | 保護者 | 市区町村の役所・社会福祉センター等 |
| 生活保護 | 保護者(世帯主) | 市区町村の役所 | |
| 生活費を支援してほしい | 自治体独自の給付(非課税世帯給付等) | 保護者 | 市区町村の役所 |
家事・介護負担を軽減する支援
| 困りごと | 制度名 | 申請する人 | 相談窓口 |
|---|---|---|---|
| 家族の介護が負担(家族に要介護者がいる場合) | 介護保険サービス(ホームヘルパー等) | 要介護者または家族 | 市区町村の役所・地域包括支援センター等 |
| 家族の介護が負担(家族に障害者がいる場合) | 障害福祉サービス(重度訪問介護等) | 障害者本人または家族 | 市区町村の役所 |
| 障害のある家族の日用品費を支援してほしい | 日常生活用具給付等事業 | 障害者本人または家族 | 市区町村の役所 |
| 忙しくて家事や幼児の世話ができない | 訪問支援・代行サービス等(地域により異なる) | 保護者等 | 市区町村の役所 |
ヤングケアラーへの補助金・給付金はある?
「ヤングケアラー 補助金」という検索が一定数あります(CTR 5.26%・最もクリックされているKW)。
現時点では「ヤングケアラー専用の補助金・給付金」という名称の制度は設けられていません。しかし、ヤングケアラーやその家族が置かれた状況に応じて、上記の各種支援制度が活用できます。
| 状況 | 活用できる制度の例 |
|---|---|
| 生活が苦しい・お金がない | 生活保護・生活困窮者自立支援制度・非課税世帯給付金 |
| 高校・大学の学費が払えない | 高等学校等就学支援金(2026年4月から所得制限撤廃)・給付型奨学金・高校生等奨学給付金 |
| 小中学校の費用が払えない | 就学援助制度(学用品費・給食費・修学旅行費等) |
| 家族の介護費用が負担 | 介護保険サービス・障害福祉サービス |
ヤングケアラーの相談窓口(どこから相談すればいい?)
「ヤングケアラー どこから」という検索が多くあります(掲載1位・CTR 0%)。「どこに相談すればいいかわからない」という方向けに、相談の入り口を整理します。
ヤングケアラーに関する相談は、本人だけでなく、保護者や学校関係者からでもできます。最初の相談先として、以下の場所であれば支援につなぎやすくなります。
| 相談先 | 特徴・対象 |
|---|---|
| 市区町村の福祉窓口(子ども家庭課など) | 最初の総合相談窓口。各種支援制度につないでもらえる |
| 子ども家庭支援センター | 子どもと家庭に関する総合的な相談・支援 |
| 学校(スクールソーシャルワーカー等) | 学校生活に影響が出ている場合の相談先。外部機関とも連携 |
| 地域包括支援センター | 高齢者の介護が絡む場合の相談先 |
| 障害者支援センター・相談支援事業所 | 障害のある家族の支援が必要な場合 |
| こども家庭庁のヤングケアラー支援(オンライン) | こども家庭庁のヤングケアラー支援ページから情報収集・相談先の確認が可能 |
早めに情報を共有することが、適切な支援につなげる第一歩となります。「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、まずお住まいの市区町村の福祉窓口に電話・来庁するか、こども家庭庁のウェブサイトから情報を確認してみましょう。
ヤングケアラーに関するよくある質問
ヤングケアラーとは何ですか?わかりやすく教えてください
ヤングケアラーとは、こども家庭庁の定義によれば「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」のことです。障害や病気のある家族の世話、幼い兄弟の養育、家族のために家事や通訳を担うなど、「お手伝い」の範囲を超えて学業や生活に支障が出ているケースが該当します。中学2年生のうち17人に1人が「世話をしている家族がいる」と回答しており(日本財団調査)、身近な問題です。
ヤングケアラーへの補助金・給付金はありますか?
「ヤングケアラー専用の補助金」という名称の制度は現時点では設けられていませんが、状況に応じて活用できる支援制度は複数あります。生活が苦しい場合は生活保護・生活困窮者自立支援制度・非課税世帯給付金、学費が払えない場合は高等学校等就学支援金・給付型奨学金・就学援助制度、家族の介護が必要な場合は介護保険サービス・障害福祉サービスなどが活用できる可能性があります。まずは市区町村の福祉窓口に相談することをおすすめします。
ヤングケアラーはどこに相談すればいいですか?
最初の相談先として、市区町村の福祉窓口(子ども家庭課など)、子ども家庭支援センター、学校(スクールソーシャルワーカー)が挙げられます。家族の介護が絡む場合は地域包括支援センター、障害のある家族の支援が必要な場合は障害者支援センターも活用できます。「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、まずお住まいの市区町村の窓口に電話してみましょう。
ヤングケアラーの支援制度にはどんなものがありますか?
学業支援(就学援助制度・高校無償化・給付型奨学金)、生活費支援(生活保護・生活困窮者自立支援制度・非課税世帯給付金)、介護・福祉支援(介護保険サービス・障害福祉サービス)など、困りごとに応じて複数の制度が活用できます。ただし多くの制度は申請が必要なため、制度を知ることが重要です。支援につながるためには、まず学校や市区町村の福祉窓口に相談することが有効です。
ヤングケアラーが支援につながりにくい理由は何ですか?
主な理由は4つあります。①ほとんどの支援制度は申請しないと利用できないため、親が手続きする余裕がなかったり制度を知らなかったりすると利用できない。②支援窓口が教育・福祉・介護など分野ごとに分かれており、全体像を把握しにくい。③本人が自分をヤングケアラーだと自覚していない(自覚者は約2%)。④家庭の問題として抱え込みやすく、中高生の67.7%が相談したことがないと回答している。
親が病気で子どもが世話をしている場合、使える支援はありますか?
はい、複数の支援が活用できる可能性があります。親が要介護状態の場合は「介護保険サービス(ホームヘルパー等)」を利用することで子どもの負担を軽減できます。障害のある親がいる場合は「障害福祉サービス」も活用できます。また、生活が苦しい場合は生活困窮者自立支援制度や生活保護、学費が心配な場合は就学援助制度や奨学金制度が利用できる場合があります。まずは地域包括支援センターや市区町村の福祉窓口に相談してみてください。
まとめ
ヤングケアラーが支援を受けにくい背景には、窓口の分断や、申請しないと使えない制度上の問題もあります。とはいえ、活用できる支援が存在するのも事実です。
困りごとに応じた制度と窓口を知ることが、ヤングケアラーの孤立を防ぐことにつながります。
- ヤングケアラーとは:家族の世話を過度に担い、学業や生活に支障が出ている子ども・若者。中学2年生の17人に1人が該当(日本財団調査)
- 補助金・給付金:専用の制度はないが、状況に応じて生活保護・学費支援・介護サービスなど複数の制度を活用できる
- 相談窓口:市区町村の福祉窓口・子ども家庭支援センター・学校(スクールソーシャルワーカー)が入り口として有効
- 行動の第一歩:「どこに相談すればいいかわからない」と感じたら、まず市区町村の窓口に電話・来庁するか、こども家庭庁のウェブサイトを確認する
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参考資料:
日本財団 数字で見るヤングケアラー
こども家庭庁 ヤングケアラー支援の現況
こども家庭庁 ヤングケアラーについて


