令和5年度3月、「観光立国推進基本計画」が閣議決定されました。これは「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」の3つをキーワードに、持続可能な形での観光立国の復活を目指すものです。訪日外国人旅行消費額としては、令和7年度までに訪日外国人1人あたりの旅行消費額単価20万円を目標とするなど、国はインバウンドの獲得に力を入れています。
こうした動きを受け、東京都は宿泊施設での体験型観光プログラムに最大1500万円を支援する「文化体験等観光支援事業」を実施しています。今回は、文化体験等観光支援事業の内容や申請の流れについてお伝えします。
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この記事の目次
体験型観光とは?
体験型観光とは、その土地ならではの文化的体験を目的とする観光のことです。観光庁は訪日外国人をターゲットとした観光資源として、体験型観光コンテンツの設置を推進しています。
コロナ禍以前、令和2年に観光庁が発表した資料では、訪日外国人旅行者の消費が伸び悩んでいる現状が明らかになりました。さらに日本国内の「コト消費 (娯楽サービス)」の割合は諸外国と比べても低く、改善の余地が大きいことも指摘されています。
出典:訪日外国人旅行者の体験型観光コンテンツの購入促進に関するナレッジ集
インバウンドを増やし、日本が海外からの旅行者が繰り返し訪れる国となるためには、体験型観光の成長が鍵となるのです。
文化体験等観光支援事業の目的
文化体験等観光支援事業では、都内体験型観光提供事業者と連携して日本文化等の体験型観光を企画する都内宿泊施設の取組が支援されます。観光客が滞在する宿泊施設で体験プログラム等を行うことで、より多くの訪日外国人旅行者に、日本文化を体験してもらうことができます。
東京における長期滞在を促し、インバウンド需要を取り込むことが、文化体験等観光支援事業の目的です。
補助対象者と対象施設
補助の対象となる事業者と施設は、以下のとおりです。
①対象事業者 | 対象施設を運営する者 ※ただし、以下のものは除きます。 ■暴力団関係者や風俗営業者等 ■過去5年以内に、刑事法令による罰則の適用を受けているもの ■民事再生法等の申立・手続中であるなど、事業の継続性が不確実な状況にあるもの ■政治活動を主たる目的とする団体等 |
②補助対象施設 | 東京都内において営業する宿泊施設 |
補助対象経費
補助の対象となるのは、補助対象者が都内体験型観光提供事業者と連携して、行う以下の取組の費用です。
■外国人向けの体験プログラム作成
■体験プログラムを実施するための施設整備費用
都内体験型観光提供事業者1者以上と連携し、定期的なプログラムを提供することが条件となります。
【対象外経費】
なお、補助の対象外となる経費は、主に以下のものです。
- 補助事業に関係のない物品の購入、外注、業務委託等の経費
- 申請書に記載されていないものを購入した経費
- リース・レンタルによる設置機器に係る経費
- 指定の期日以外に契約や支払い、発注等を行った経費
- 他の取引と相殺して支払いが行われている経費
- 親会社、子会社、グループ企業等関連会社との取引
- 消費税等の租税、振込手数料等
- 中古品の購入経費
- 不動産の取得、補償、賃借に係る経費
- 借入金等の支払利息および遅延損害金
- 公的資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
対象期間・補助率・補助限度額
補助の対象期間、補助率、補助限度額は、以下のとおりです。
【補助対象期間】
交付決定の日から令和6年3月31日まで
【補助率】
2/3 (中小事業者は3/4)
【補助限度額】
1500万円(中小事業者は500万円)
申請方法
次は、申請方法や流れを見ていきましょう。手続きは、郵送と電子申請のいずれかで行います。また、申請には注意事項がありますので、事前に要領をよく確認してください。
申請から補助金交付までの流れ
交付申請から補助金交付までの主な流れは、以下のとおりです。(太字は事業者の手続きです)
1.交付申請 |
2.交付決定 |
3.事業実施 |
4.実績報告 |
5.補助金請求 |
6.補助金支払 |
事業全体の流れについては、以下の表も参考にしてください。
出典:募集要領
申請方法
①郵送
必要書類は簡易書留で、以下の宛先まで郵送してください。
〒163-8001
東京都新宿区西新宿2-8-1 東京都庁第一本庁舎19階
東京都 産業労働局 観光部 受入環境課 受入環境調整担当 宛
②電子申請
国が運営する補助金電子申請システム「J グランツ」から、申請手続きを行います。J グランツは、国・地方自治体等が実施する様々な補助金の申請をオンラインで完結できる補助金申請システムです。使用には、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
新規IDアカウントの登録には、2~3週間程度時間がかかります。まだIDアカウントをお持ちでない場合は、余裕を持って取得申請をしてください。
【申請締め切り】
令和5年12月28日(木)
注意事項
■受付期間中であっても、申請額が予算額に達した時点で申請受付を終了します。
■一度提出された書類は返却されません。必ず控えを残してください。
■締切日時点で書類に不備がある場合は、受け付けられません。
提出が必要な書類
申請時に提出が必要な書類は、以下の①~⑯です。
補助対象者 |
1.交付申請書 |
2.申請書類チェック表 |
3.申請前確認書 |
4.事業計画書 |
5.誓約書 |
6.財務関連書類 ・法人:直近1期分の貸借対照表および損益計算書 ・個人:直近1期分の確定申告書 |
7.登記簿謄本 個人:個人事業の開業・廃業等届出書 |
8.印鑑証明書 ※電子申請をする場合は不要 |
9.社歴(経歴)書 ※会社概要(パンフレット)でも可 |
10.直近の事業税等の納税証明書 ・法人:法人事業税および法人都民税の納税証明書 ・個人【課税対象の方】個人事業税の納税証明書および住民税納税証明書 【非課税の方】所得税納税証明書((その1)または(その3))および住民税納税証明書 |
11.直近の事業税等の納税証明書(連携する都内体験型観光提供事業者分) ・法人:法人事業税及び法人都民税の納税証明書 ・個人【課税対象の方】個人事業税の納税証明書および住民税納税証明書 【非課税の方】所得税納税証明書((その1)または(その3))および住民税納税証明書 |
12.仕様書、整備前後の図面等、補助事業内容が確認できる書類 |
13.経費の積算明細書又は見積書内訳 |
14.施設等の概要が分かる、利用者向けパンフレット |
15.旅館業営業許可書 ※補助金申請後に許可を受ける予定のものについては、許可申請書を提出してください。ただし、実績報告時までには許可書を提出してください。 |
16.その他 ※施設等の改修等を行う事業を実施する場合、建物の不動産登記簿謄本または賃貸借契約書等の管理運営を行っていることが確認できる書類を添付してください。補助事業者が補助金交付対象施設の所有者ではない場合は、改修等について所有者の許可を得ていることが確認できる書類を添付してください。 |
まとめ
人や経済の動きが活発化しつつあるいま、大きく変化した社会的ニーズにどれだけ対応できるかが、観光業界全体の課題となっています。モノ消費からコト消費への転向もそのひとつです。
地域ごとの特色を生かした文化的体験を観光資源として取り入れることは、持続可能な観光地への転換にもつながります。変化の時代をチャンスととらえ、将来的な成長を目指すために、文化体験等観光支援事業を始めとする支援を上手に取り入れていきましょう。