コロナ禍が一定の落ち着きを見せ、人の移動が活発化したことで、外国人旅行者も増加しつつあります。政府は2025年までに、訪日外国人旅行者1人あたり消費額を20万円にすることを目標にしています。
観光庁の発表した「訪日外国人旅行者数」では、コロナ以前の2019年までは、訪日外国人旅行者数が増加傾向にあったことが示されています。「1人あたり消費額を20万円」という目標は、訪日外国旅行者数が過去最高数となった2019年の消費額を4.1万円上回る数字です。
こうした動きを受け、東京都および東京観光財団は、外国人の旅行者が快適に東京観光を行うための環境整備を支援する「タクシー事業者向け多言語対応端末等導入補助金」を設置しました。今回はタクシー事業者向け多言語対応端末等導入補助金の内容や申請についてお伝えします。
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この記事の目次
多言語対応端末の重要性
日本において、観光は重要な成長分野のひとつです。訪日外国人が快適に旅行を楽しみ、そしてリピーターとして何度も訪れる流れをつくるために、各地ではさまざまな環境整備が行われています。特に言語は、日本を訪れる外国人にとって課題のひとつです。
こうしたニーズへの対応として、タクシー事業者向け多言語対応端末等導入補助金は、多言語対応等に活用できるタブレット端末等の導入を支援します。
旅行者はもちろん、ビジネスや学びの場として日本を選ぶ訪日外国人にとっても、不慣れな土地でタクシーが必要な場面は多いはずです。また、日本語以外の言語環境整備は、突然の災害への備えとしても重要となります。
グローバル化時代において「言語の壁のないタクシー」を目指すことは、タクシーの社会的役割を大きく広げるチャンスでもあるのです。
補助金の主な目的
タクシー事業者向け多言語対応端末等導入補助金では、東京都内のタクシーを対象に、多言語対応等に活用できるタブレット端末等の導入を支援します。
外国人旅行者の、受入環境の向上を図ることが目的です。
補助対象者
補助の対象となる事業者は、都内で事業を営むタクシー事業者です。以下の2点を満たす必要があります。
①一般乗用旅客自動車運送事業の許認可の「営業区域」が東京都内にあること
②タブレット端末等を設置する車両は、車検証上の「使用の本拠の位置」が、東京都内にあること
なお、法人の登記簿上の本店・支店、あるいは、個人事業者の所在地については、東京都内でなくても可とされています。
補助対象経費
補助の対象となるのは、以下の経費です。
①多言語および決済機能を有するタブレット端末等の新規導入に係る経費
この場合のタブレット端末とは、液晶ディスプレーなどの表示部分にタッチパネルを搭載し、ペンや指で操作するものを指します。液晶ディスプレーの大きさは問いません。
②タブレット端末等を車両に設置するために必要な器具購入費及び工賃
補助金額は、該当車両の数によって定められます。ただし、要件を満たす車両の合計数が、現に使用しているタクシー車両数を超える場合は、現在の車両数が上限です。
なお、リース車両も補助の対象です。
補助要件等
それぞれの設備の要件は、以下の通りです。
タブレット端末等 |
---|
対象となるタブレット端末等は、新規に導入するもののうち、以下の要件を満たすものです。 ■ドライバーと利用者が、多言語により、行き先や運賃の支払方法等に係るコミュニケーションを図ることができる機能を有するもの ■日本語と、英語・中国語・韓国語を含む3言語以上の翻訳が可能であるもの ■音声またはテキスト表示により、ドライバーと利用者のコミュニケーションが可能であるもの ■運賃の支払について、スマートフォン対応の決済機能、IC対応クレジットカード対応の決済機能、交通系ICカード対応の決済機能のいずれかを有するもの ■補助対象タブレット端末等が、規定の補助対象車両に設置されていること |
なお、タブレット端末のみでこれらの要件を満たせない場合は、その他の機器と併用してもかまいません。その場合は、タブレット端末以外の機器も補助対象となります。
タブレット端末等を車両に設置するために必要な器具購入費及び工賃 |
---|
補助対象となる車両は、補助対象者が使用し、都内に使用の本拠の位置があるもののうち、以下のいずれかの要件を満たすものです。 ■標準仕様ユニバーサルデザインタクシー車両 ■東京観光タクシー認定ドライバーが主として乗車する車両 ■東京都地域通訳案内士が主として乗車する車両 ■全国通訳案内士が主として乗車する車両 ■ホスピタリティタクシー乗務員が主として乗車する車両 |
なお、補助対象車両には、現在発注している車両も含まれます。
補助率等
補助率と補助上限額は、以下のとおりです。
法人
・補助率:1/2
・補助上限額:補助対象車両台数×5万円
個人
・補助率:9/10
・補助上限額:9万円
申請方法
申請は郵送または電子申請システムにて行います。それぞれの申請方法は、以下のとおりです。
郵送による申請
提出書類を簡易書留にて、以下の宛先に提出してください。
公益財団法人東京観光財団観光産業振興部観光インフラ整備課
〒162-0801
東京都新宿区山吹町346番地6 日新ビル2階
「タクシー事業者向け多言語対応端末等導入補助金」担当者
電子申請システム(J Grants)による申請
デジタル庁が提供する、JGrantsから申請を行います。電子申請を利用するには、GビズIDにおけるgBizIDプライムが必要です。アカウントの発行には、時間がかかります。早めに申請準備を行いましょう。
提出書類
申請時に提出が必要な書類は、以下のとおりです。
法人 |
1.補助金交付申請書 |
2.誓約書 |
3.一般乗用旅客自動車運送事業の許可書 |
4.登記事項証明書(現在事項全部証明書) |
5.印鑑証明書 |
6.納税証明書 |
7.貸借対照表・損益計算書 |
8.自動車検査証 |
9.東京観光タクシードライバー認定証 |
10.東京都地域通訳案内士登録証 |
11.全国通訳案内士登録証 |
12.外国人旅客接遇研修修了証 |
13.見積書 |
14.仕様明細 |
15.国等補助金の交付決定通知書 |
16.その他財団が必要と認める書類 |
個人 |
1.補助金交付申請書 |
2.誓約書 |
3.一般乗用旅客自動車運送事業の許可書 |
4.確定申告書B |
5.印鑑証明書 |
6.納税証明書 |
7.自動車検査証 |
8.東京観光タクシードライバー認定証 |
9.東京都地域通訳案内士登録証 |
10.全国通訳案内士登録証 |
11.外国人旅客接遇研修修了証 |
12.見積書 |
13.仕様明細 |
14.国等補助金の交付決定通知書 |
15.その他財団が必要と認める書類 |
申請書提出期限
申請書類の提出期限は、以下のとおりです。
令和6年3月31日(日)(消印有効)
なお、補助事業を実施することができる期間は、交付決定の通知を受けた日から1年以内です。事業実施後は、「実績報告書」を提出してください。
手続きの流れ
手続きは、タクシー事業者と東京観光財団の間で行われます。主な流れは、以下のとおりです。(太字は、事業者が行う手続きです)
- 補助金交付申請
- 審査・交付決定
- 契約
- タブレット端末等導入
- 支払い
- 実績報告書作成
- 検査・補助金額確定
- 確定通知確認
- 請求書作成
- 支払い手続き
- 補助金受領
補助事業の流れは、以下の図も参照してください。
出典:東京観光財団
まとめ
新たな設備の導入は、費用的な負担を伴うものです。長引くインフレや不安定な世界情勢は、観光業界にも大きな打撃を与えています。そうしたなかで新しく負担を受けることは、事業者にとって大きな決断です。
しかし、社会の変化はビジネスチャンスでもあります。この波を乗り越え、将来的な成長を目指すために、タクシー事業者向け多言語対応端末等導入補助金をはじめとした支援を上手に活用していきましょう。