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キャリアアップ助成金の支給額は?申請後に期待できる金額とその使い道

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キャリアアップ助成金は、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。「正社員化支援」と「処遇改善支援」として、6つのコースが用意されています。本制度では、支給取組の内容や企業規模によって支給額が異なります。コースによっては支給額の加算要件も設定されているので、事業計画の参考にしてください。

今回はキャリアアップ助成金の支給額の詳細や、助成金の賢い使い方のポイントをお伝えします。

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この記事の目次

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キャリアアップ助成金の支給額はどうやって決まる?

キャリアアップ助成金では、支給される助成金額はコースや企業の規模、労働者数など、様々な要因から決定されます。まず該当するコースを確認し、企業規模や労働者数の要件をしぼりこんでから、活用できそうな加算制度がないかどうか調べるとよいでしょう。
各コースの基本的な支給額と、加算されるケースをまとめました。

基本的な条件および支給額

令和6年度のキャリアアップ助成金には「正社員化コース」「障害者正社員化コース」「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「社会保険適用時処遇改善コース」があります。このうち、「社会保険適用時処遇改善コース」は令和8年3月31日までの暫定措置として設定されました。

なお、1年度・1事業所あたりの支給申請には上限人数があるコースもあるので、注意してください。
各コースの基本的な受給条件は、以下のとおりです。

コース名受給条件
【正社員化コース】就業規則等に規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正社員化し、1年以上雇用が続いた場合
【障害者正社員化コース】障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した場合
【賃金規定等改定コース】有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合
【賃金規定等共通化コース】有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合
【賞与・退職金制度導入コース】有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し、支給または積立を実施した場合
【社会保険適用時処遇改善コース】令和6年10月の社会保険の適用拡大に伴って、新たに加入対象となる労働者に対して以下の取組を行う場合

【正社員化コース】
就業規則等に規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正社員化し、1年以上雇用が続いた場合には、1人あたり以下の助成金が受けられます。1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は20名です。

有期雇用労働者を正社員にした場合・中小企業 80万円(40万円×2期)
・大企業 60万円(30万円×2期)
無期雇用労働者を正社員にした場合・中小企業 40万円(20万円×2期)
・大企業 30万円(15万円×2期)

支給対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、残りの6か月を第2期といいます。正社員化コースでは、雇用後6か月間ののち、さらに雇用が継続していた場合に、2期目の申請が可能になります。

出典:キャリアアップ助成金のご案内(パンフレット)

なお、第2期の申請を行う際は、労働条件や賃金が第1期より悪くなってはいけません。非正規労働者をより長く、安定して雇用することで、多くの助成金が受け取れる仕組みです。

【障害者正社員化コース】
ここでは、中小企業の場合の支給額を紹介します。

重度身体障害者・重度知的障害者および精神障害者
・有期雇用から正規雇用への転換 120万円(60万円×2期)
・有期雇用から無期雇用への転換 60万円(30万円×2期)
・無期雇用から正規雇用への転換 60万円(30万円×2期)

中小企業事業主が精神障害者の雇用形態を転換した場合、措置内容ごとの支給額を図に表すと、次のようになります。

出典:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内

重度以外の身体障害者・重度以外の知的障害者・発達障害者・難病患者・高次脳機能障害と診断された者
・有期雇用から正規雇用への転換 90万円(45万円×2期)
・有期雇用から無期雇用への転換 45万円(22.5万円×2期)
・無期雇用から正規雇用への転換 45万円(22.5万円×2期)

1年度の支給申請人数に上限はありません。

【賃金規定等改定コース】
以下は、1人あたりの支給額で、1年度1事業所あたり100人までは複数回支給申請ができます。

有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等の引き上げ率が3~5%未満・中小企業 5万円
・大企業 3.3万円
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等の引き上げ率が5%以上・中小企業 5万円
・大企業 3.3万円

【賃金規定等共通化コース】
有期雇用労働者に対して、正社員と同じ職務に応じた賃金規定を新たに作成して適用した場合、1事業所あたり1回のみ申請可能です。

中小企業60万円
大企業45万円

【賞与・退職金制度導入コース】
1事業所あたり1回のみ申請可能です。

賞与・退職金制度のいずれかを導入・中小企業 40万円
・大企業 30万円
両方を同時に導入・中小企業 56.8万円
・大企業 42.6万円

【社会保険適用時処遇改善コース】
短時間労働者に社会保険を適用し、手当支給や賃上げ、労働時間延長などを行い、収入を増やした場合に助成金が支給されます。

①手当等支給メニュー
中小企業40万円(10万円×4期)
3年目10万円
大企業30万円(7.5万円×4期)
3年目7.5万円

①は、3年間の取組を通じて、助成金が支払われるメニューです。3年目の取組を1年間前倒しして2年目に行った場合、2年目の支給額は中小企業30万円、大企業22.5万円(2年目の2期分と3年目の合算額)となります。

②労働時間延長メニュー
中小企業30万円
大企業22.5万円

社会保険加入後、1年目に①手当等支給メニュー、2年目に②労働時間延長メニューの取組を行った場合も助成の対象となります。この場合、助成金額は、最大50万円です。

加算されるケースとは

「正社員化コース」と「賃金規定等改定コース」には、対象労働者の属性や取組の内容によって、助成額が加算される制度があります。多様な労働者への配慮やより高い目標に取り組む企業が対象となります。
各コースの加算制度は、以下のとおりです。

【正社員化コース】
派遣労働者を直接雇用した場合28万5,000円
対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合・有期雇用労働者 95,000円
・無期雇用労働者 47,500円
人材開発支援助成金の訓練修了後の場合・有期雇用労働者 95,000円(自発的職業能力開発訓練または定額制訓練は11万円)
・無期雇用労働者 47,500円(自発的職業能力開発訓練または定額制訓練は55,000円)

なお、該当の訓練を受けている間は、非正規雇用のままであることが必要です。対象となるのは、訓練後に正社員になった場合のみですので、注意してください。

出典:キャリアアップ助成金のご案内(パンフレット)

正社員転換制度を新規規定し、当該雇用区分に転換等した場合20万円(大企業15万円)
1事業所あたり、1回のみ対象
多様な正社員制度を新規規定し、当該雇用区分に転換等した場合40万円(大企業30万円)
【賃金規定等改定コース】※この加算は1事業所あたり、1回のみ対象
職務評価の手法の活用により、賃金規定等を増額改定した場合■中小企業 20万円
■大企業 15万円

加算の例

たとえば正社員コースを活用し、有期雇用労働者を正社員化した場合、基本の助成額は1人あたり80万円です。ただし以下の場合、支給額は大きく増額されます。

派遣労働者のAさん(母子家庭の母)を直接雇用し、正社員化した。

この場合の助成金額は、
80万円+派遣労働者の直接雇用(28万5,000円)+母子家庭の母(95,000円)=118万円
加算がない場合の80万円と比べて、38万円の加算です。また、同様の労働者が複数いる場合、助成額はさらに増えます。
加算措置は、より手厚い支援を必要とする労働者を対象とすることで、企業にとってもメリットが大きくなる仕組みなのです。

助成金の賢い使い方とは?

助成金は、要件を満たしていれば原則として支給され、返済も不要です。使い道は幅広く、中小企業にとっては特に使いやすい支援策の一つです。ここでは、業種ごとに助成金の活用例をまとめました。受け取った助成金を、どのように使うかの参考にしてください。

小売業は設備導入で、業務改善や顧客体験の向上を

小売業の場合、券売機やセルフレジの導入で、業務効率の向上や人手不足を補うことが可能です。また、店舗の改装費用に充てて顧客体験を向上させれば、売上増加にもつながりますね。

IT業界は最新技術の研修で競争力強化

スキルや設備の更新が重要なIT業界では、最新技術に関する教育研修費用として活用し、競争力の強化を図るのはいかがでしょうか。また、新しい設備やソフトウェアの導入費用としても、活用できます。

製造業ではDXや設備導入で生産性向上を目指す

人手不足に悩む製造業では、DX化が大きなカギとなります。これまでの業務をデジタル化したり、省力化設備を導入したりするこどて、生産性の向上を実現できそうです。

助成金は「長期的な投資」として活用する

重要なのは、助成金を一時的な収入として捉えるのではなく、長期的な視点で企業の成長や人材育成に繋がる使い道を考えることです。たとえば助成金を賞与や昇給の原資として活用することで、労働者のモチベーション向上や優秀な人材の定着にも繋がります。これは業種を問わず、多くの企業にとって有効な方策となります。

そのほかにも、新規事業の立ち上げ資金や、将来を見据えた人材採用の原資として活用するなど、企業の将来性を高める投資に充てるとよいでしょう。助成金を元手として、将来的な飛躍を目指すことで、より充実した支援に代えることができるのです。

各企業の状況や目標に応じて、最も効果的な使い方を検討することが、助成金を賢く活用するコツといえるでしょう。

まとめ

キャリアアップ助成金は、いわゆる非正規雇用労働者の正社員化や待遇改善を支援する制度です。企業の規模や取り組みの内容によって支給額が異なり、加算されるケースもあります。

受け取った助成金は、労働者のスキルアップのための研修や生産性向上ための設備投資、新規事業への投資など、自由に使うことができます。助成金は、労働者の雇⽤の安定を図りつつ、企業の成長につながる制度です。積極的に活用し、より快適で、企業成長につながる環境づくりを目指しましょう。

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