近年、国内外で大きな地震が続いています。特に8月8日に発生した日向灘を震源地とする地震では、南海トラフ地震との関連性も大きな関心を集めました。
いつ起こるかわからない災害から身を守るため、東京都では、耐震シェルターや防災ベッドの設置に関する助成事業が設置されています。今回は、東京都で耐震シェルターや防災ベッドの設置をはじめとした地震対策に使える助成金をまとめました。
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この記事の目次
古い木造住宅の地震対策!地震から命を守るためにできること
大きな地震が起きると、家屋の崩壊によって被害が拡大します。特に昭和56年以前に建てられた古い木造建築は、現在の耐震基準に対応しておらず、倒壊のリスクが高いことが指摘されてきました。
一方で、耐震改修工事には予算的な負担が伴います。いますぐ安全な建物に引っ越すことが難しい人も多いでしょう。耐震シェルターや防災ベッドは、こうした耐震強度に不安のある建物に住む人が、命を守るための設備です。
耐震シェルター・防災ベッドとは
耐震シェルターと防災ベッドは、大地震発生時に建物が倒壊しても命を守るための室内避難設備です。耐震シェルターは、鉄骨などの強固な構造体で作られた小部屋で、寝室や居間に設置されます。地震の際には、この中に避難することで、建物の倒壊から身を守ることができる設備です。
一方、防災ベッドは、頑丈な鋼鉄製のフレームで覆われたベッドです。普段は通常のベッドとして使用しながら、地震時には上から落下してくる建材や家具からの衝撃を防ぎます。就寝中の地震にも即座に対応できる点が大きな利点です。いずれも、住宅全体の耐震改修が難しい場合でも、比較的容易に設置できるメリットがあります。
耐震シェルター補助金まとめ【東京都】
東京都では、以下のように、各区が耐震シェルターや防災ベッドなどの設置に使える助成金を設定しています。
助成金制度 | 内容 | 助成率 | 上限額 |
---|---|---|---|
千代田区 木造住宅の耐震化促進助成制度 | 耐震改修 | 10/10 | 120万円 |
耐震シェルター・ベッドの設置 | 10/10 | 40万円 | |
除却 | 2/3 | 80万円 | |
豊島区 耐震シェルター等設置助成事業 | 耐震シェルター設置 | 10/10 | 60万円 |
荒川区 耐震シェルター等設置支援事業 | 耐震シェルター設置 | 9/10 | 50万円 |
練馬区 耐震シェルター・防災ベッド設置の助成制度 | 耐震シェルター・防災ベッド設置 | 9/10 | 50万円 |
目黒区 耐震シェルター等設置助成制度 | 耐震シェルター・耐震ベッド設置 | 10/10 | 30万円 |
町田市 耐震シェルター等設置助成 | 耐震シェルター設置(一般世帯) | 1/2 | 20万円 |
耐震シェルター設置(高齢者世帯) | 9/10 | 50万円 | |
府中市 木造住宅耐震診断・耐震改修等助成事業 | 耐震診断 | 2/3 | 12万円 |
耐震改修 | 1/2 | 110万円 | |
耐震除却 | 1/2 | 50万円 | |
耐震シェルター設置 | 3/4 | 30万円 | |
瑞穂町 住宅耐震関連助成 | 住宅耐震診断 | 1/2 | 10万円 |
耐震改修 | 1/2 | 100万円 | |
簡易耐震改修 | 6/10 | 50万円 | |
新宿区 耐震シェルター、耐震ベッド設置への助成 | 耐震シェルター設置 | 9/10 | 45万円 |
耐震ベッド設置 | 9/10 | 35万円 | |
墨田区 木造住宅耐震改修促進助成事業 | 耐震シェルター設置(一般世帯) | 9/10 | 30万円 |
耐震シェルター設置(高齢者世帯等) | 9/10 | 50万円 |
また、東京都全体では「安価で信頼できる木造住宅の『耐震改修工法・装置』の事例紹介」のパンフレットも公表されています。このパンフレットに掲載されている設備が助成金の対象になっている区もあるので、こちらもあわせて、参照してください。
以下、各事業の概要をまとめました。
千代田区木造住宅の耐震化促進助成制度
震災時の人的・物的被害を最小限にとどめるため、居住者のいる木造住宅を対象に、以下の費用の一部を助成します。
①耐震診断
②耐震改修等(耐震改修・耐震シェルター等の設置・除却)
※建築物の除却の場合は、耐震診断の実施を省略できますが、耐震改修や耐震シェルター・ベッドの設置の助成の場合は、耐震診断を行う必要があります。
主な要件 |
---|
・木造在来軸組工法により建築された木造住宅であること ・昭和56年5月31日以前の旧耐震基準により設計・建築された建築物であること ・居住者のいる建築物であること |
補助率・上限額 | |||
---|---|---|---|
①耐震診断 | 補助率 | 10/10 | |
上限額 | 15万円 | ||
②耐震改修等 | 耐震改修 | 補助率 | 10/10 |
上限額 | 120万円 | ||
耐震シェルター・ベッドの設置 | 補助率 | 10/10 | |
上限額 | 40万円 | ||
耐震除却 | 補助率 | 2/3 | |
上限額 | 80万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
豊島区耐震シェルター等設置助成事業
地震発生時に迅速な避難が困難な高齢者や障害のある方の生命を守るため、耐震シェルター、耐震ベッドの設置費用を助成します。
主な要件 |
---|
①豊島区耐震シェルター等設置助成金交付要綱または豊島区木造住宅耐震改修助成金交付要綱の交付を受けていないこと ②世帯全員が、65歳以上または身体障害者手帳1級・2級であること ➂住民税の滞納がないこと |
助成率・上限額 | |
---|---|
助成率 | 10/10 |
上限額 | 60万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
荒川区耐震シェルター等設置支援事業
資金面や行動力の面から、耐震化や建替え等の耐震工事が困難な高齢者・障害者等が、命を守るための対策を支援します。なお、申請には事前の相談が必要です。
主な要件 |
---|
①昭和56年5月31日以前に建築された木造の戸建住宅であること ②申請者が、以下のいずれかであること ・65歳以上の高齢者のみで構成された世帯で、住民税等を滞納していない ・世帯全員が、特別区民税および都民税を課税されていない ・障害者手帳等を取得していて、住民税等を滞納していない なお、耐震シェルター等の設置は、原則として建物の1階のみです。 |
助成率・上限額 | |
---|---|
助成率 | 9/10 |
上限額 | 50万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
練馬区耐震シェルター・防災ベッド設置の助成制度
建築物の倒壊から人命を守るため、耐震シェルターや防災ベッドの設置に対して助成を行います。東京都が「安価で信頼できる木造住宅の『耐震改修工法・装置』の事例紹介」の装置部門で選定した設備が対象です。
対象建築物の主な要件 |
---|
①昭和56年5月以前に建築された木造住宅であること ②世帯全員が住民税非課税であること ➂高齢者・障害者・乳幼児等、地震時に避難することが困難な人が世帯にいること ④住民税を滞納していないこと ⑤申請者が居住していること |
助成率・上限額 | |
---|---|
助成率 | 9/10 |
上限額 | 50万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
目黒区耐震シェルター等設置助成制度
家屋全体の耐震改修工事が難しい高齢者などを対象に、耐震シェルター等の設置費用の一部を助成します。東京都が、「安価で信頼できる」として都民に公表している耐震シェルター・耐震ベッドが対象です。
なお、令和6年度における各種耐震関連の助成申請については、4月1日から11月29日までです。
対象要件 |
---|
①昭和56年5月31日以前に建築された木造2階建て以下の住宅の、1階部分に設置すること ②65歳未満の人等がいない世帯であること ➂年間所得額が200万円以下の世帯であること ④既に、耐震シェルター等の設置助成または耐震改修助成の交付決定を受けていないこと |
助成率・上限額 | |
---|---|
助成率 | 10/10 |
上限額 | 30万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
町田市耐震シェルター等設置助成
簡易耐震診断の結果、倒壊の可能性があると判断された住宅が耐震シェルターを設置する際、助成金が交付されます。
主な要件 |
---|
①個人所有の住宅であること ②簡易耐震診断の結果、倒壊の可能性があると判断されていること ➂1981年5月31日以前に着工された住宅であること ④設置について住宅の所有者が同意していること |
助成率・上限額 | |
---|---|
助成率 | 1/2 |
上限額 | 20万円 |
※高齢者世帯は助成率9/10・上限50万円です。
詳細については、公式ページをご確認ください。
府中市木造住宅耐震診断・耐震改修等助成事業
市内の旧耐震基準で建築された木造住宅の耐震診断調査と、この調査に基づく耐震改修・耐震除却・耐震シェルター等の設置に要する費用の一部を助成します。
主な要件 |
---|
①耐震診断 ・木造住宅であって、昭和56年5月31日以前に建築された市内の一戸建て等であること ・所有者本人またはその2親等以内の親族が、現に居住している・居住する予定であること ・市税等を滞納していないこと ②耐震改修 ・上記の耐震診断で、上部構造評点が1.0未満と診断された住宅で、上部構造評点を1.0以上とする耐震改修であること ・所有者本人または所有者の2親等以内の親族が、現に居住している・居住する予定であること ・市税等を滞納していないこと ➂耐震除却 ・上記の耐震診断で、上部構造評点が1.0未満と診断された住宅全部の除却であること ・所有者本人または所有者の2親等以内の親族が、除却の実施前まで居住し、かつ、除却完了時まで所有者等であり続けること ・市税等を滞納していないこと ④耐震シェルターなどの設置 ・上記の耐震診断で上部構造評点が1.0未満と診断された住宅への耐震シェルター等の設置 ・世帯の状況が次のいずれかに該当すること 1. 65歳以上の方のみで構成された世帯 2. 身体障害者手帳1・2級等を取得した人がいる世帯 ・市税等を滞納していないこと |
補助率・上限額 | ||
---|---|---|
①耐震診断 | 補助率 | 2/3 |
上限額 | 12万円 | |
②耐震改修 | 補助率 | 1/2 |
上限額 | 110万円 | |
➂耐震除却 | 補助率 | 1/2 |
上限額 | 50万円 | |
④耐震シェルターなどの設置 | 補助率 | 3/4 |
上限額 | 30万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
瑞穂町住宅耐震関連助成
以下の取組に要する費用の一部を助成します。
①住宅耐震診断費助成事業
住宅が大地震で倒壊しないかどうかを見極めるための診断
②耐震改修費助成事業
耐震診断の結果、耐震性の不十分な木造住宅についての耐震改修工事
➂簡易耐震改修費助成事業
耐震診断の結果、耐震性の不十分な木造住宅に耐震シェルターや防災ベッドを設置する
なお、東京都が公開している「安価で信頼できる木造住宅の『耐震改修工法・装置』の事例紹介」で選定されている耐震シェルターおよび耐震ベッドが対象です。
主な要件 |
---|
①住宅耐震診断費助成事業 ・昭和56年5月31日以前に建築を着工した、町内の木造一戸建建築物であること ②耐震改修費助成事業 ・昭和56年5月31日以前に建築を着工した、町内の木造一戸建建築物であること ・耐震診断の評点が1.0未満であること ・耐震改修を行った後の評点が1.0以上となること ➂簡易耐震改修費助成事業 ・昭和56年5月31日以前に建築を着工した、町内の木造一戸建建築物であること ・以下いずれにも該当すること ・年間世帯所得額が200万円以下 ・65歳以上の方 ・未成年者 ・障害者等で構成される世帯また、以下の要件は、すべての事業に共通します。 -町内に住所を有すること -自己の居住用建築物であること -町税および国民健康保険税の滞納がないこと |
補助率・上限額 | ||
---|---|---|
①住宅耐震診断費助成事業 | 補助率 | 1/2 |
上限額 | 10万円 | |
②耐震改修費助成事業 | 補助率 | 1/2 |
上限額 | 100万円 | |
➂簡易耐震改修費助成事業 | 補助率 | 6/10 |
上限額 | 50万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
新宿区耐震シェルター、耐震ベッド設置への助成
耐震シェルター、耐震ベッドの設置に要する費用の一部を助成します。
主な要件 |
---|
①以下の条件に該当する住宅や店舗併用住宅であること 【旧耐震基準】 昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた、木造の2階建て以下の住宅や店舗併用住宅 【新耐震基準】 昭和56年(1981年)6月1日から平成12年(2000年)5月31日までに建てられた、木造の2階建て以下の住宅や店舗併用住宅(在来軸組工法) - 店舗併用住宅は、全体の面積の半分以上が住宅であること - 増築や改築、建て方によっては対象外になる場合があります ②予備耐震診断や詳細耐震診断の結果、耐震補強が必要と診断されたもの ➂住民税を滞納していないこと ④指定の設備を設置するものであること |
補助率・上限額 | ||
---|---|---|
①耐震シェルター設置 | 補助率 | 9/10 |
上限額 | 45万円 | |
②耐震ベッド設置 | 補助率 | 9/10 |
上限額 | 35万円 |
詳細については、公式ページをご確認ください。
墨田区木造住宅耐震改修促進助成事業(耐震装置設置)
墨田区内の木造住宅の住人が耐震装置(耐震シェルター)の設置する際、経費の一部を助成します。
東京都都市整備局が発行するパンフレット「木造住宅の安価で信頼できる『耐震改修工法・装置』の事例紹介」で選定されている装置であることが条件です。また、1階に設置する場合に限ります。
主な要件 |
---|
墨田区内の平屋建てまたは2階建ての木造住宅で、以下の期間に着工されたもの ・昭和56年5月31日以前【旧耐震】 ・昭和56年6月1日から平成12年5月31日以前【新耐震】 |
補助額・補助率 | |
---|---|
補助率 | 9/10 |
上限額 | 30万円(高齢者等は50万円) |
詳細については、公式ページをご確認ください。
まとめ
災害は、いつ起こるかわかりません。食料や水の備蓄とともに、身の安全を守る対策も、日ごろから見直しておきたいところです。
耐震シェルターや防災ベッドは、崩壊する危険のある家屋の中で、命を守るための備えです。高齢者や障害のある人、小さな子どもがいる世帯などは、この機会にぜひ、設置を検討してください。
なお、補助金を受け取るには対象となる要件を満たしていなければいけないため、設置を検討されている方は、まず要件や申請期限などの詳細を、担当窓口にお問い合わせください。