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【2020年度】エネルギー使用合理化等事業者支援事業活用のポイント

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5月20日、省エネ補助金の金字塔とも言える、エネルギー使用合理化等事業者支援事業(通称:エネ合)の公募要領が公開され、公募が開始いたしました。

申請期間は6月末までと短い中ですが、昨年度からの変更点に注目し、採択率や、活用のポイントについて記載していきたいと思います。

この記事の目次

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「エネ合」の特徴

「エネ合」は、数ある省エネ系補助金の中で、下記のような特徴があります。
・全事業者、住宅・寮以外の建築物に活用可能で非常に間口が広い
・再生可能エネルギー発電設備、建材以外のどんな省エネ設備も対象になりえる
・「工場・事業場単位(補助金額:多、難易度:高)」「設備単位(補助金額:少、難易度:低)」の2つの区分から申請できる

また、採択率については、過去の実績や採択ラインがほとんど公開されていますので、申請時にある程度のアタリをつけることも可能です。

下記が昨年度までの採択率の推移です。

※補正予算での類似「エネ合」の採択率を含む。
事業場単位は、昨年度間口が非常に狭かった「H31省エネ」と、設備単位が開始する前の採択率を除くと実質約45%、設備単位は、非公開とされている補正予算分は100%と考えられますので、実質約75%程度の採択率と考えられます。

年度により多少の変化はありますが、総括すると、エネ合は間口が広く、様々な設備や事業者が申請可能だが、人気が高く、必ず採択されるわけではない、と言えると思います。
しかし、今年度はこの「常識」が大きく変わっていきそうです。

というのも、今年度のエネ合は、今までと大きく制度が変わった為です。
以下、昨年度からの変更点をまとめてみました。

昨年度からの変更点

省電力補助金との統合

昨年度はエネ合とは別途で「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金(通称:省電力補助金)」が実施されており、電気のみの削減を行う事業は「省電力補助金」に、電機以外のエネルギーも含めて削減する場合は「エネ合」に申請する、といった形を取っていました。今年度は、省電力補助金が実施されない為、どちらのパターンでもエネ合への申請を行うことになります。

予算額の減少

今年度の新規採択予定予算額は122億円となっています。昨年度はエネ合で115億円、省電力補助金で91億円、計206億の予算となっていたので、約40%の大幅減となっています。
しかし、今年は補正予算で、「生産設備におけるエネルギー使用合理化等事業者支援事業費補助金(生産設備エネ合)」が実施されています。生産設備エネ合は、名称の通り、今までエネ合事業場単位で対象となり、多くの採択を出していた生産設備の更新に対して交付される補助事業となっており、通常のエネ合の亜種のようなものとなっています。予算は40億円となっており、これを加味すると、今年度は162億円、昨年度は206億円となり、予算額は約44億円減、割合で言うと20%減と言えます。

LED照明への活用が困難になった

金額も安くなり、製品としての安定性も高まってきたLED照明は、区分Ⅰ工場・事業場単位では補助対象経費の全体の50%未満でないと申請不可、区分Ⅱ設備単位はそもそも対象から外れてしまいました。
特に設備単位は、今年度の公募説明動画の冒頭にて、過去、約半数を占めていたと解説されていました。全体の申請数が大きく減るのは間違いないでしょう。

設備単位の申請者が中小企業者等に限定

昨年度のエネ合より、設備単位は大企業申請不可となっておりましたが、LED等が活用可能な、省電力補助金の方は、大企業でも申請可能でした。
しかし、今年度からエネ合に統合ということで、設備単位はいずれの場合でも大企業は申請不可となりました。

中小企業者等の定義の変更

国として中小企業に対する支援を厚くしたいという考えから、工場・事業場単位では中小企業であれば補助率アップ、設備単位では、そもそも中小企業者等でないと申請不可となっています。
この「中小企業者等」の定義が今年度より変更となりました。

昨年度までの中小企業者等の定義
資本金・従業員数が一定以下の中小企業、個人事業主、会社法上の会社以外の法人

今年度の中小企業者等の定義
資本金・従業員数が一定以下の中小企業、個人事業主、および会社法上の会社以外の法人の場合は従業員数300人以下の法人

※「会社法上の会社」とは「株式会社」や「有限会社」「合同会社」等のことを言います。「会社法上の会社以外の法人」とは具体的には「社会福祉法人」「医療法人」「一般社団法人」等のことです。

以前の定義では、社会福祉法人や医療法人は、どんなに規模が大きくても中小企業者等という扱いとなっていましたが、新たに従業員数が300人以下という制限が設けられました。
設備単位については、対象となる事業者が少なくなる予定です。

みなし大企業の定義変更

中小企業であっても、親会社が大企業等の場合は、「みなし大企業」という扱いになりますが、今年度、こちらの定義が若干変更となりました。

昨年度までのみなし大企業の定義
株式の総数または出資額の1/2以上を同一の大企業が所有
株式の総数または出資額の2/3以上を複数の大企業が所有
大企業の役員・職員を兼ねている者が役員総数の1/2以上

今年度のみなし大企業の定義
今年度からは上記の「大企業」の文言が「大規模企業」へ変更となっています。大規模企業の定義は下記のいずれかを満たす企業と定義されています。
・資本金または出資金額の総額が1億円以上
・資本金、出資金の無い企業は従業員数が1,000人を超える法人

昨年度までは親会社等が「大企業」であったときに中小企業扱いにならない、という制度でしたが、今年度は「大規模企業」という定義が新たに出来、親会社が大規模企業にあたる場合は「みなし大企業」にあたるというルールに変わりました。

大企業の定義は、業種によって異なりますが例えば、製造業であれば資本金3億円以上および従業員数300人以上、資本金の無い法人はそもそも定義づけが無かった為、こちらもハードルが上がった格好です。

エネマネ事業による補助率変化

昨年度まで、一般事業とエネマネ事業を併用することによって、一般事業の補助率がアップ(中小企業者等1/3→1/2、大企業1/4→1/3)していましたが、本ルールが無くなりました。
エネマネ事業については、エネマネ事業で導入するEMSについてのみ補助率1/2、または1/3となります。

事業場単位の補助金上限額

事業場単位には大きく4つの区分があり、それぞれに要件があるのですが、それらの上限額が大きく減額となりました、下記のようになります。

区分 昨年の上限額 今年度の上限
一般事業 15億円 3億円
大規模事業 20億円 15億円
連携事業 30億円 15億円
エネマネ事業 15億円 1億円

特に一般事業とエネマネ事業は大きく補助金上限額が減少しています。

・設備単位の申請要件緩和
昨年度まで設備対設備で10%以上のエネルギー使用量削減が要件としてありましたが、今年度は削除されています。

今年度の申請のポイント

設備単位の補助金が狙い目

昨年度からの変更点を見ると予算減少したものの、その他要件は厳しくなり、全体的に申請をするまでのハードルが上がり、上限額も減り、予算消化という観点からは厳しい変更が相次いでいると言えるでしょう。

大きなポイントはやはり、設備単位の大幅な要件変更です。
・大企業申請不可
・照明設備対象外
・みなし大企業、中小企業者等の定義変更
全体の予算額が減っているとは言え、せいぜい約20%程度、また、時勢的にも設備投資に対して慎重になる企業が増えてくると予想される為、申請件数は大きく減ると思われます。

昨年度までの制度と比較すると、間口が狭くなったが、条件に当てはまるのであれば採択されやすい、と言えると思います。

特に大企業が設備単位に申請できない為、事業場単位に流れることを考えると、設備単位は今年度最大の穴場補助金といえるでしょう。

設備単位と事業場単位の予算配分について

公募要領上では、設備単位と事業場単位での予算の配分は明確にされていませんが、過去、同時実施された際の予算配分は以下のようになっています。

予算配分は毎年、ほとんど変化が無く、設備単位:事業場単位=4:6と言えます。

工場・事業場単位の申請ポイント

設備単位で申請を予定していた方が殺到する可能性と、予算減、コロナウィルスによる買い控えの影響両方を考えると採択可能性は例年通りと考えられます。
 事業場全体の5%以上の省エネが必須の他、事業場の規模ごとに採択ラインがありますので、事業所のエネルギー使用量と設備での省エネ量を把握した上で、専門家に相談することをオススメします。

設備単位の申請ポイント

 中小企業者等の定義に当てはまり、みなし大企業でない、更新予定設備が補助対象である、という条件さえ揃っていれば、省エネ・費用対効果が多少悪くても採択される可能性は十分にあります。会社情報や設備について確認、または専門家に相談の上で、条件に当てはまっていればとにかく申請がオススメです。

最後に

エネ合は平成10年から続いている補助金であり、経済産業省からも令和2年度までの事業と、以前から発表されていました。
今後も省エネ関連補助金は続いていくかと思いますが、要件や補助率等がさらに厳しくなっていくと予想されます。
設備投資を考えていらっしゃる企業様は、是非この機会に補助金の利用をオススメします。

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