コロナ禍において大きな打撃受けた外食産業では、多くの企業が新たなビジネスチャンスを模索しています。さらに水際対策の緩和によるインバウンドの増加や感染法上の位置づけの変化により、経済活動にも回復の兆しが見えてきました。
政府は外食産業事業継続緊急支援対策事業を実施し、中小・中堅規模の飲食店の業態転換や事業成長に向けた取り組みを支援しています。
公募要項などはまだ公表されていませんが、今回は外食産業事業継続緊急支援対策事業について、現在分かっている内容や対象事業者などをまとめました。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
外食企業の明暗を分ける「壁」とは
コロナ禍において、外食産業は様々な課題への対応を余儀なくされてきました。人の移動や活動が制限され、外食の機会が減ったことにより、産業全体の売り上げは大きく減少しています。日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査令和4年(2022年)年間結果報告」では、2022年には業界全体の売上が前年を上回った反面、飲酒業態ではコロナ前の半分以下に留まりました。また、ファミレスや喫茶店などの店内飲食業態の売り上げは、コロナ前の水準に戻っていません。
出典:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査令和4年(2022年)年間結果報告」
一方で、テイクアウトやデリバリーの業態は好調な売上を維持しています。コロナ禍においては、キッチンカーやお弁当の販売など、飲食店の業態の多様化も話題となりました。
こうした業態の多様化や転換には、人手不足やデジタル化への対応も課題となっています。しかしこれらの課題の解決には、予算的な問題も大きな壁のひとつです。
客足が戻りつつあるいま、こうした壁をいち早く乗り越えられるかどうかが、外食企業の明暗を分けることになるのかもしれません。
外食産業事業継続緊急支援対策事業とは
外食産業事業継続緊急支援対策事業は、中小企業等を対象に、作業場や工場の建築や機器の設置・導入費用の一部を支援する取組です。まずはその目的や補助金額などを確認しましょう。
【概要】
外食産業事業継続緊急支援対策事業では、外食産業の事業成長に向けた取り組み等を支援することを目的に設置された制度です。特に外食産業への普及推奨モデルになると判断される取組については、優先的に採択・公表が行われます。
対象事業者
対象となる事業者は、中小・中堅規模の飲食店です。なお応募には、コンサル・金融機関・ベンダー等の共同事業者と共同申請が必要です。
また、売り上げには以下のように制限があります。
■2021年度から2022年度の売上伸長率が115%以下
ただし2021年度から2022年度の売上伸長率が115%を超えているものの、2019年度と比較して売上伸長率が100%を下回っている場合は、支援の対象です。
外食産業事業継続緊急支援対策事業 対象事業
対象事業は、飲食店における売り上げ拡大・収益増加を目的とした業態転換や事業成長の取組等です。具体的には、以下のような補助事例が対象となります。
①現在扱っている商品・サービスの内容を変える
■居酒屋から焼肉店に転換する
■テイクアウト・デリバリー用のメニューを新たに開発する
■新たな顧客を獲得に向け、新しい食材とメニューを取り入れる
■飲料の計量自販機を設置し、セルフサービスの仕組みをつくる
■スマホを活用した、多言語セルフオーダーシステムを導入する など
②商品・サービスの提供方法を変える
■商品をテイクアウトで販売するため、販売窓口を設置する
■キッチンカーを改装し、店舗外での販売を強化する
■店舗商品をECサイトでも販売する
■半加工品や冷凍保存による、調理時間の短縮と業務効率化を図る など
外食産業事業継続緊急支援対策事業 対象経費
補助の対象となる経費は、以下の①~⑦です。
対象経費 | |
①建物費 | 生産施設・加工施設・販売施設・検査施設・共同作業場の改修に要する経費 など |
②機械装置・システム構築費 | 機械装置や工具・器具の購入・製作・借用に要する経費 など |
③技術導入費 | 知的財産権等の導入に要する経費 など |
④運搬費 | 運搬料や宅配・郵送料等に要する経費 など |
⑤広告宣伝・販売促進費 | 提供する製品・サービスに関する広告の作成および媒体掲載・海外を含む展示会出展・セミナー開催・市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に関する経費 など |
⑥研修費 | 教育訓練や講座受講等に係る経費 など |
➆その他の経費 | 上記に含まれない経費 |
⑧委託費 | 事業の一部を第三者に委託する経費 など |
外食産業事業継続緊急支援対策事業 補助率・上限額
補助率と補助金額は、以下のとおりです。
■補助率
1/2以内
■補助金
上限1,000万円
下限100万円
なお、対象となる事業は総事業費200万円以上の計画です。
外食産業事業継続緊急支援対策事業 申請方法
申請はWEBの応募フォームから行います。詳細は、追って公式ページに掲載されます。
公募期間
2023年4月17日(月)~5月31日(水)
必要書類
必要書類は、準備が整い次第、WEB上で公表されます。
WEB Q&Aセミナー
公募内容に関して事務局に質問がある場合は、申し込みの上、Q&Aセミナーに参加することもできます。参加費は無料、定員は先着200名です。開催日時等は確定し次第、公表されます。
なお、Q&Aセミナーへの参加応募は任意です。参加してもしなくても、審査結果への影響はありません。また、別途コールセンターやメールでも質問は受け付けられます。
公式サイトでは、今後、事業内容・応募書類に関する説明動画も発表される予定です。公募に関して不安な点がある型は、こちらも参照してくださぃ。
外食産業事業継続緊急支援対策事業 活用のメリット
外食産業事業継続緊急支援対策事業は、外食事業者が取り組む新たな事業や業態転換において資金面での負担を軽減するためのものです。
業績が悪化し、苦しい経営状態にある企業にとっては、新たな取り組みのための資金投資が難しい場合もあります。さらに新しい生活様式の定着により、外食企業には大きな変化が求められています。
顧客のニーズも変化しました。こうした社会の変化に柔軟に対応するためには、迅速な資金調達が必要不可欠です。
外食産業事業継続緊急支援対策事業を活用して展開された新しい業態やサービスは、将来的な企業の発展に向けた新しい戦力にもなりえます。目の前の危機を乗り越えるだけでなく、未来を見据えた経営戦略の実践のために、外食産業事業継続緊急支援対策事業を活用するメリットは大きいと言えるでしょう。
まとめ
外食産業事業継続緊急支援対策事業は、コロナ禍で苦戦する中小・中堅規模の飲食店に対して、業態転換や事業成長の取り組みを支援するための補助金です。対象事業には、商品・サービスの内容や提供方法を変える取り組みが含まれます。
こうした事業形態の変革等は、新しい顧客だけでなく、新しい雇用も生み出します。外食産業の多様化は、顧客にとっても労働者にとっても利益のあることです。
外食産業事業継続緊急支援対策事業の詳しい要件等は、まだ発表されていません。申請を検討している事業者はこまめに公式サイトを確認し、正確な情報を集めましょう。
変化の時期は、ビジネスチャンスでもあります。外食産業事業継続緊急支援対策事業を活用し、外食産業全体の成長を目指しましょう。