9月12日に、第14回受付締切分の公募要領が公開されました。第14回受付締切分のスケジュールは以下のとおりです。
■事業支援計画書発行の受付締切:原則2023年12月5日(火)
※管轄の商工会議所または商工会より交付を受ける必要があります。
■申請書類の受付締切:2023年12月12日(火)【最終日当日消印有効】
※電子申請の場合は当日中
昨年2022年12月2日に成立した令和4年度第2次補正予算では、中小企業生産性革命推進事業に2,000 億円の予算が計上されました。この事業はGX・DX化への投資や中小企業等の賃上げ、販路開拓などを支援するものです。生産性向上に取り組む中小企業等の設備投資やIT導入、国内外の販路開拓のほか、事業承継・引継ぎも補助されます。そのなかでも小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)では、補正予算で、インボイス転換事業者への支援額上乗せが実施されています。
持続化補助金の概要や変更点について、まとめました。
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この記事の目次
持続化補助金とは
中小企業生産性革命推進事業では、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)」「小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)」「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」「事業承継・引継ぎ支援事業(事業承継・引継ぎ補助金)」の4つの事業が展開されます。これらの事業を通じ、中小企業・小規模事業者の成長を下支えすること目指されます。
小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)とは、小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓等を支援する事業です。
まずは、従来の持続化補助金の目的や内容について見ていきましょう。
持続化補助金の目的
小規模事業者等は、地域の雇用を支えています。こうした事業者を支えることは、国民全体の生活を下支えすることにもつながります。
持続化補助金は地道な販路開拓やそれに伴う業務効率化を支援し、その経費の一部を補助するものです。小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。
【内容】
持続化補助金は「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の5つの枠からなります。補助金額は50万円~200万円で、いずれも小規模事業者を対象にし、策定した「経営計画」に基づいて実施する取り組みを支援します。
ただし、公の秩序もしくは善良の風俗を害するおそれがある事業等は対象外です。
持続化補助金とインボイス
2023年10月1日、インボイス制度が開始されます。「適格請求書 (インボイス) 発行事業者」となり、インボイスを発行するためには国税庁への登録のほか、事務業務の変更や消費税納税手続きなどの作業に対応しなくてはなりません。
持続化補助金ではこうした制度変更に伴う取り組みや、販路開拓のための経費の一部が、助成の対象となっています。
▼インボイス制度の支援措置についてはこちら
インボイス特例とは? インボイス転換事業者の補助上限を50万円上乗せ!
免税事業者からインボイス発行事業に転換する「インボイス転換事業者」が持続化補助金を申請する場合、すべての枠で補助上限が50万円の上乗せとなります。これにより、インボイス転換事業者の補助金額は最大で250万円となりました。
また、対象経費には税理士への相談費用も含まれます。
変更後の補助金額については、以下の表も参考にしてください。
出典:中小企業庁 小規模事業者持続化補助金
なお、令和元年度および3年度補正予算事業において「インボイス枠」で採択された事業者は、令和4年度第2次補正予算の「インボイス特例」の対象外です。
インボイス特例の要件
2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者及び2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者であること。ただし、補助事業の終了時点でこの要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、特例は適用されません。(出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14回公募 公募要領)
このように、2021年9月30日から2023年9月30日の間で一度でも免税事業者であれば、インボイス発行事業者の登録を受けると、通常枠または特別枠の補助額にインボイス特例として50万円が上乗せされます。
インボイス特例申請時に必要な手続き
インボイス特例の適用を受けるために、申請時に必要となる手続きは以下のとおりです。
- 「経営計画書」(様式2)の「インボイス特例」欄にチェックをする
- 補助事業計画②(様式3)の「Ⅱ.経費明細表」の「インボイス特例」欄にチェックをする
- 「インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書」(様式9)を提出する
- 次のいずれかがある場合、申請書に添付して提出する
【登録済みの事業者】適格請求書発行事業者の登録通知書の写し
【電子申告(e-Tax)で登録申請手続中の事業者】登録申請データの「受信通知」を印刷したもの
持続化補助金の補助金額と補助率について
補助金額
主な補助金額は以下のとおりです。
枠 | 補助金額 |
---|---|
通常枠 | 50万円 |
賃金引上げ枠 | 200万円 |
卒業枠 | 200万円 |
後継者支援枠 | 200万円 |
創業枠 | 200万円 |
補助率
補助率はすべての枠で2/3です。ただし、賃金引上げに取り組む事業者のうち、赤字事業者の補助率は3/4になります。
対象経費
主な対象経費は以下のものです。
■機械装置等費
■広報費
■ウェブサイト関連費(補助金交付申請額の1/4を上限)
■オンラインによる展示会等を含む展示会等出展費
■委託・外注費
具体的には以下のようなものが例として挙げられます。
対象経費 | 対象経費例 |
---|---|
機械装置等費 | 高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア 衛生向上や省スペース化のためのショーケース、生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫、新たなサービス提供のための製造・試作機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンター含む)、販路開拓等のための特定業務用ソフトウェア、管理業務効率化のためのソフトウェア(クラウドサービス含む) |
広報費 | チラシ・カタログの外注や発送、新聞・雑誌等への商品・サービスの広告、看板作成・設置、試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)、販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)、郵送によるDMの発送 |
ウェブサイト関連費 | 商品販売のためのウェブサイト作成や更新、インターネットを介したDMの発送、インターネット広告、バナー広告の実施、効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策、商品販売のための動画作成 |
展示会等出展費 | 展示会出展の出展料等に加えて、関連する運搬費 |
旅費 | 展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査等に係る、宿泊施設への宿泊代 |
開発費 | 新製品・商品の試作開発用の原材料の購入、新たな包装パッケージに係るデザイン費用 |
資料購入費 | 取得単価(税込)が10万円未満のもの |
設備処分費 | 既存事業において使用していた設備機器等の解体・処分費用 |
委託・外注費 | インボイス制度対応のための取引先の維持・拡大に向けた専門家(税理士、公認会計士、中小企業診断士等)への相談費用 |
持続化補助金の主な要件
各枠の補助対象となる主な要件は、以下のとおりです。
■賃金引上枠
最低賃金を、地域別最低賃金より+30円以上とした事業者
■卒業枠
小規模事業者として定義する従業員数を超えて、規模を拡大する事業者
■後継者支援枠
アトツギ甲子園のファイナリスト等となった事業者
■創業枠
「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者
■インボイス特例
免税事業者のうち適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者 (令和4年度第2次補正予算執行を持って、インボイス枠は終了)
持続化補助金に関する「よくある質問」
持続化補助金を申請する際には、申請書類を郵送または電子申請にて提出する必要があります。提出書類などの申請手続き等は、今後、変更される可能性があります。申請の前には必ず事務局HPを確認してください。
ここではQ&Aから、よくある質問とその回答を紹介します。
Q. 商工会、商工会議所の会員でなければ、応募できませんか?
会員、非会員を問わず、応募可能です。
Q. これから開業する人は対象となりますか?
申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。
Q. 補助金が交付されるまでの流れは?
補助金交付までの流れは、以下のとおりです。
■公募申請
■採択・交付決定
■補助事業の実施
■実績報告
■確定検査・補助金額の確定
■請求
■入金
詳細については、持続化補助金ガイドブックも参照してください。
Q. 今後のスケジュールは?
今後の受付スケジュールは、以下のとおりです。
■13回目受付締切分提出期限:2023年9月7日(終了)
■14回目受付締切分提出期限:2023年12月12日
※第14回以降のスケジュールについては、今後改めて案内されます。
Q. 申請後、審査結果はいつわかりますか?
各申請受付締切後、審査が行われます。申請件数によっては 審査に時間を要する場合もありますが、受付締切から概ね2~3か月程度で結果が通知されます。
審査結果は、事務局 HPでの採択公表のほか、全ての申請者に対して通知されます。
持続化補助金活用のメリット
日本国内の企業のうち、99%以上が中小企業です。経済産業省が発表した「2022年版中小企業白書・小規模企業白書」では、新型コロナウイルス流行や原油・原材料価格の高騰などの影響を受け、中小企業等の経営状況は引き続き厳しい状況にあることが報告されています。
また人材不足や働き方の多様化から、生活様式の変化への対応や業務効率の改善は急務となっています。さらに2023年10月から始まるインボイス制度は、免税業者からのインボイス事業者への転換に伴うシステム導入などの負担も引き起こしています。
新しい時代の流れに対応するためには、新しい業務体制への変革が不可欠です。とはいえ、厳しい業務状況が続く現状では、予算的課題解決できずにいる中小企業も少なくありません。
そんなときには、ぜひ持続化補助金を活用してください。第12回受付締切分より、免税事業者からインボイス転換事業者になると補助される「インボイス特例」があり、これまでよりも補助上限が上がっています。返還義務のない補助金の活用は、新しいニーズに応える業務変革のための大きな助けとなるはずです。
まとめ
ウィズコロナの時代へと移り変わりゆく中で、企業にも変革が求められています。新しい制度や社会的ニーズに応えるためには、予算的な体力が必要です。
持続化補助金を上手に利用し、できうる限り負担の少ない業務改革を目指すことは、経済の回復も早めます。大きく変わろうとする時代の流れを乗り切るために、支援事業を積極的に活用していきましょう。
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