令和3年度補正予算における、中小企業・小規模事業者関係事業のポイントの1つに、グリーン投資やデジタル投資の推進があげられます。
1年前の「令和2年度3次補正予算・令和3年度当初予算」においても、新たな日常の先取りによる成長戦略としてグリーン社会の実現、デジタル改革といった項目がありましたが、今回は将来を見据えた戦略的な産業政策として、グリーンやデジタルなど新分野への展開や生産性向上につながる取り組みを行う中小企業への支援策が盛り込まれています。
カーボンニュートラルの実現に向けたグリーン投資の拡大や、デジタル化の進展といった変化に対する企業の挑戦を、今年度は事業再構築補助金、生産性革命推進事業などで強力に支援していく方針です。
本記事では、中小企業庁が公表した「中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージのご案内」をもとに、グリーン・デジタル分野の取り組みに使える経済産業省の補助金やその活用例をご紹介します。
03-6822-5976
補助金ポータル電話相談受付時間/平日
10:00~12:00
13:00~17:00
この記事の目次
全世界的にグリーン・デジタル投資が加速
新型コロナをきっかけとして、世界的にグリーンやデジタル投資の加速とそれに応じた経済・産業構造の急速な変化が起きています。
世界に目を向けると、カーボンニュートラルに向けたグリーン投資の拡大や、情報の利活用・デジタル化の急激な進展、ドローンや自動運転などの将来技術の拡大など、コロナを一つのきっかけに、成長の実現に向けた大転換が進んでいます。この大きな流れに、日本だけが乗り遅れるわけにはいきません。(抜粋:中小企業庁HP 中小企業庁長官 令和4年 年頭所感)
中小企業庁長官 角野然生氏の令和4年年頭所感にも、この流れに乗り遅れることはできないという内容がありポストコロナの持続的な成長基盤を作るためにも、世界的な大転換の流れに乗ってグリーンやデジタル分野の取り組みを進めていく政府の方針が読み取れます。
グリーン・デジタル分野の投資に活用できる補助金
出典:中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージのご案内
事業再構築補助金
補正予算では、新分野展開や業態転換等の取り組みを支援する事業再構築補助金を積み増し、新たに「グリーン成長枠」を設けて、中小事業者等のチャレンジを支援します。グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決につながる取り組みが補助対象となります。
ポイント⇒グリーン成長枠の創設。グリーン成長枠では売上高減少要件撤廃。
◆グリーン成長枠
補助上限:中小1億円、中堅1.5億円
補助率:中小 1/2、中堅 1/3
ものづくり補助金
革新的な商品開発のほか、新たなサービス、生産方法、提供方法の導入などが対象となるものづくり補助金では「グリーン枠」および「デジタル枠」を創設し、グリーン、デジタルに資する革新的製品・サービス開発または生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援します。
ポイント⇒グリーン枠、デジタル枠の創設。補助率を2/3に引き上げ。※通常枠(中小)の補助率は1/2
◆グリーン成長枠
補助上限:最大2,000万円
補助率:2/3
◆デジタル枠
補助上限:最大1,250万円
補助率:2/3
インボイス制度関連のデジタル化支援
令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式が適格請求書等保存方式になる、いわゆるインボイス制度が開始となります。インボイス制度では適格請求書を7年間保管する必要がありますが、書面での交付に代えて、電子データでの提供(電子インボイス)もできますので、電子データなら保管場所が不要となり、管理の手間も省けます。また、データによる検索ができるため、検索性の向上といったメリットもありますので、インボイス制度をきっかけに業務の自動化や効率化をはかるデジタル化を進めていくとみられます。
IT導入補助金
ポイント⇒インボイス制度への対応に係るITツールおよびハードウェアの導入等を支援。
◆ITツール
補助上限:350万円
補助率:3/4~2/3
◆PC
補助上限:10万円
補助率:1/2
◆レジ等
補助上限:20万円
補助率:1/2
持続化補助金
ポイント⇒インボイス枠の創設。小規模事業者等の免税事業者からインボイス発行事業者への転換を支援。
◆インボイス枠
補助上限:100万円
補助率:2/3
事業再構築補助金グリーン成長枠の活用例
ここからは、想定される補助金の活用例をご紹介します。
たとえば、情報サービス業における事業再構築補助金グリーン成長枠の活用例として、以下のような例があげられます。
出典:中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージのご案内
顧客情報が蓄積されているニュースアプリ運営事業者が、情報を有効活用できる新規事業として、個人や企業に向けたCO2削減に資するアプリの作成をする場合、アプリデザインの外注にかかる費用、システム開発のためのソフトウェア購入費用、従業員の研修費用などが補助対象になると想定されます。
ものづくり補助金グリーン枠の活用例
ものづくり補助金はもともとは製造業の支援として有名ですが、製造業のグリーン枠活用例として以下のような取り組みがあがっています。
出典:中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージのご案内
例では、設備投資として、脱炭素化に寄与する設備・システム導入をしつつ、電気自動車市場の拡大を受けて電気自動車向け部品を製造するための機械装置導入を行うことで、生産工程の脱炭素化と付加価値向上の両立を目指しています。
この場合は、専門家による技術導入費用、脱炭素化のためのシステム構築費用、エネルギー効率に優れた機械導入にかかる費用などが補助されると想定されます。
ものづくり補助金デジタル枠の活用例
では、ものづくり補助金の、デジタル枠活用例はどうでしょうか。飲食・小売店と食品製造工場を所有している場合の例として、店舗への需要予測システムの導入のほか、新製品開発とあわせて工場にAIを活用した不良品察知システムを導入して、生産性と付加価値の向上を目指す取り組みがあがっています。
出典:中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージのご案内
この場合は、需要予測システムにかかるクラウドサービス利用料や、新商品開発のための機械装置に要する費用、AIを活用したシステム構築費用などが補助対象になると想定されます。
まとめ
令和4年度、政府はカーボンニュートラルに向けたグリーン投資の拡大やデジタル化の進展といった変化に対する企業の挑戦を、事業再構築補助金、生産性革命推進事業などで支援していく方針です。
今後公表される公募要領等で補助金の詳しい内容が明らかになりますが、事業環境の変化に対応しつつ、成長のための投資を行う場合に活用できる補助金制度になると思われます。
今年は「中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージ」として、各補助金に特別枠が設けられますので、こういった機会に成長への戦略投資に補助金活用を検討してみてはいかがでしょうか。
03-6822-5976
補助金ポータル電話相談受付時間/平日
10:00~12:00
13:00~17:00