2007年に観光立国推進基本法が施行されて以来、順調にインバウンド需要の拡大に成功してきた国内産業も、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大やそれに伴う東京2020大会の延期などの影響を受け、訪日外国人旅行客数の大幅な減少に見舞われることとなりました。
そこで、今回はインバウンド需要の回復、拡大に取り組む事業者の方に向け、ITツールの導入に活用できる「IT導入補助金」のインバウンド対策への活用方法を紹介したいと思います。
この記事の目次
IT導入補助金(中小企業生産性革命推進事業)
IT導入補助金は、中小事業者が今後複数年に渡り相次いで直面する度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、生産性向上に資するITツールを導入する場合にその費用の一部を補助する制度です。
経産省の3ヵ年事業である「中小企業生産性革命推進事業」のうちの1事業と位置付けられており、現在は新型コロナ対応として「C類型」という補助内容が大幅に拡充された区分での申請も可能となっています。
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補助対象者
・中小企業、小規模事業者等
※株式会社・有限会社・合同会社・特例非営利法人・協業組合・一般社団法人・商工会議所・商店街振興組合連合会・健康保険組合など幅広い組織形態の事業者が対象です。
申請要件
IT導入補助金は今年から原則電子申請での受付となるため、経産省の補助金電子申請システム「jGrants」を利用する際に必要な「gBIZIDプライム」の取得と、申請時に必要なパスワードを受信するための携帯電話(SMSが利用できるもの)の登録が必須となっています。
申請者についての主な要件
- gBizIDプライムを取得していること。
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「情報セキュリティ対策5か条」に関して取り組むことに同意すること。
- 申請事業者自身が管理する携帯電話番号を事務局に登録すること。
- 訴訟上、法令順守上において問題を抱えていない事
gBizIDの取得方法はこちら GビズIDウェブサイト
https://gbiz-id.go.jp/top/
IPAのSECURITY ACTIONについてはこちら IPAウェブサイト
https://www.ipa.go.jp/
申請内容についての主な要件
- 1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の数値目標を作成すること。
- IT導入支援事業者と確認を行った上で、生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数及び就業時間、給与支給総額、事業場内最低賃金など)を事務局に報告する事。
- 交付申請の内容については、IT導入支援事業者(ITツールの提供事業者)を含む第三者による統括的な確認を受ける事。
- B類型(高額なITツールの導入)または、一定額以上のC類型での申請を行う場合は、賃上げ目標の設定が必要
※賃上げ目標⇒賃上げ(年率1.5%以上)や、最低賃金の引き上げ等の要件を満たす3年の事業計画の策定
対象事業
補助対象事業は通常の申請区分であるA・B類型と、新型コロナ対応として期間限定で設置されているC類型の3種類に分けられており、対象となるITツールと提供元(IT導入支援機関)はIT導入補助金のWEBサイト全て検索できるようになっています。
詳細についてはこちらでご確認ください IT導入補助金ウェブサイト
https://www.it-hojo.jp/
A類型
事務局に登録されているITツールのうち補助額30万円~150万円未満のITツールの導入を行う場合の申請区分です。
補助額:30万~150万円未満
補助率:1/2
B類型
事務局に登録されているITツールのうち補助額150万円~450万円までのITツールの導入を行う場合の申請区分です。※A類型よりも高度なITツールが対象となります。
補助額:150万~450万円
補助率:1/2
C類型
新型コロナ対応として期間限定で実施されている申請区分で、補助対象経費の1/6以上が下記の3種類のいずれかの要件に合致する投資として認められる場合に申請が可能です。
①サプライチェーンの棄損への対応
顧客への製品供給を継続するために必要なIT投資
②非対面型ビジネスモデルへの転換
非対面・遠隔でのサービス提供を可能とするために必要なIT投資
③テレワーク環境の整備
従業員がテレワークで業務を行う環境を整備するために必要なIT投資
補助額:30万~450万円
補助率:①のみ2/3 ②③どちらかを含む場合3/4
※①のみを実施する場合は補助額150万円以上、②③どちらかを実施する場合は補助額300万円以上で、従業員の賃上げ目標の設定が必要となります。
IT導入補助金をインバウンド対策に活用!
IT導入補助金では、小売業やサービス業などを中心に、インバウンド対策の事例もこれまでに数多く蓄積されています。ITベンダーや事務局のHPなどでも様々な事例を確認することができますが、下記でそのうちのいくつかをピックアップして紹介したいと思います。
①多言語ECサイト制作
「ITツール」と聞くとハードウェアまたはソフトウェアをイメージしてしまう方も多くいらっしゃいますが、IT導入補助金では「役務(サービス)」についてもITツールとなるため、ECサイトの作成プランをパッケージ化して商品登録している事業者も数多く存在します。
通常のA・B類型でも申請が可能ですが、新型コロナ対応としてC類型「非対面型ビジネスモデルへの転換」の要件を満たすため、少ない負担で越境ECサイトの立ち上げを行いたい場合等は今がチャンスです。
②自動翻訳システム
近年のビジネスシーンでは音声通話よりもメールやチャットを利用したコミュニケーションの機会が増えていますが、こうした対応をスピーディに行うことができる多言語対応の自動翻訳ツールなども、IT導入補助金の対象製品として登録されています。
③日英中翻訳ロボット型接客ツール
以前は展示会やイベント会場等がメインの活躍の場であった対話型のロボット型接客ツールも、近年は多言語対応のおもてなしツールとして宿泊施設や商業施設などで幅広く活用され、IT導入補助金の活用事例も多くあります。
④多言語対応のオーダーエントリー
飲食店などでは、接客による新型コロナの感染を防止も含め、タブレットを利用した多言語対応のオーダーエントリーシステムの導入なども次々に進められています。
接客人員の削減により大幅な経費の削減が可能になるため、IT導入補助金の申請要件である生産性の向上を達成しやすい事例の一つと言えます。
⑤海外展開に対するコンサルティングサービスを活用
海外の企業との業務提携などを行う場合は、基幹システムの連携や自動翻訳システムの導入、海外展開に対するコンサルティングサービスなどの統合パッケージの利用もお勧めです。
IT導入補助金にはこうした革新的なITツール・サービスが年々追加されていますので、事務局HPにある補助対象となるITツールの一覧(※少々見づらい仕様になっています。)などもご利用ください。
まとめ
今回は中小企業などがITツールを導入する場合に活用できる「IT導入補助金」について、インバウンド対策への活用を軸に過去の採択事例などを紹介いたしました。
IT導入補助金は本年度から通年での公募となったため申請の機会は増える事となりましたが、新型コロナへの対応として実施されているC類型については、今後の延長がなければまもなく終了となります。
申請要件の緩和と補助内容の大幅な拡充が行われていますので、ITツールの導入を検討している事業者の方は早めのご決断をよろしくお願いいたします。
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